小児の腹部超音波 - 東芝メディカル

Luncheon seminar
LS
第 1 回日本小児超音波研究会学術集会 ランチョンセミナー
小児の腹部超音波
∼ よくある症例・まれな症例 ∼
11月 28 日(土)
2015 年
12:15∼13:00
山口県周南市孝田町 1-1
地域医療機能推進機構
徳山中央病院
社会医療法人 真美会 中野こども病院
座長
演者
研究会名称
木野 稔
先生
大阪医科大学 小児科
余田 篤
先生
第 1 回日本小児超音波研究会学術集会
日 時
2015/11/28 09:00 ∼ 2015/11/28 18:30
場 所
地域医療機能推進機構 徳山中央病院
住 所
山口県周南市孝田町 1-1
世 話 人
内田 正志(徳山中央病院 小児科)
Crohn 病(回盲弁近傍)
東芝メディカルシステムズは医用機器事業が 100 周年を迎えます。医用機器事業のパイオニアとして、
人に寄り添い、社会に貢献できる価値を提供し続けることをこれからの 100 年に向けて約束します。
共催: 第 1 回日本小児超音波研究会学術集会
東芝メディカルシステムズ株式会社
第 1 回小児超音波研究会学術集会 ランチョンセミナー
LS
小児の腹部超音波 ∼よくある症例・まれな症例∼
演者
大阪医科大学小児科 余田 篤 先生
腹部エコーは,腹腔内充実臓器の検査において有用であるばかりでなく,機器の進歩と操作法の工夫により消化管疾
患においても有用な検査法である。エコーは消化管のガスがあると観察が困難となるが,ガスを排除することによって大
腸だけでなく下部食道,胃,十二指腸を含む小腸も観察が可能となる。エコーで消化管を明瞭に描出するには,以下のよ
うな点に留意する必要がある。 消化管は管腔側から漿膜側に,高・低・高・低・高の 5 層構造を呈し,第 1,2 層が粘膜
を,第 3 層の高エコーが粘膜下層を,第 4 層の低エコ−が固有筋層を,第 5 層の高エコーが漿膜下層と漿膜を表す。 常
に 5 層構造が観察されるとは限らないが,観察の妨げになるガスを圧迫法で押しやると,層構造が観察可能となる。 飲水・
体位変換と圧迫法で腸管ガスを視野外に排除することがポイントである。 圧迫法のこつは,ゆっくり,しかし強めに圧迫し,
圧迫したまままで観察することである。この圧迫法で観察部位の腸管内ガスは排除され観察しやすくなる。 消化管の異
常が示唆される場合には,必ず縦断像(長軸像)と横断像(短軸像)の両方を観察することが重要である。 異常像が観
察されたら,圧迫を解除せずに,その部位から口側ないしは肛門側に連続して探触子を移動させて観察する。これは腸
管の長軸方向の病変部位の進展を決定することになり,病変がびまん性か局所性かを,ある程度同定できる。また,数
分後に再度,同部位を観察して同様の所見が得られることも診断の重要なポイントである。 一般に,小児の消化管の観察
にはコンベックス型よりも,リニア型で高周波の探触子が適している。 小児消化管疾患の中でも日常よく経験される急性
虫垂炎,腸重積,肥厚性幽門狭窄症の診断としてはエコーが第一選択である。また,超音波ドプラを適応することで急
性虫垂炎,腸重積,イレウスなどの進行度や内科治療と外科治療の選択肢が決定される。これらの疾患で,内科治療が
選択された場合には経過観察にもエコーが最適である。 一方,消化性潰瘍をエコーで描出することは比較的困難なこと
が多いが,飲水法などで注意深く観察することでしばしば内視鏡前に診断できることがあり,内視鏡検査を示唆できるこ
ともある。
比較的まれではあるが見逃してはならない疾患に中腸軸捻転,E. coli O157 腸炎とこの合併症の溶血性尿毒症症候
群,血管奇形,近年増加している炎症性腸疾患などがあげられる。
良悪性を問わず腹部腫瘍性疾患では,腫瘍の存在だけでなく,その質的診断にもエコーが最初の画像検査であり,次
いで CT や MRI,腫瘍生験がなされることが多い。
小児の腹部疾患を網羅することは困難であり,小児の腹部超音波検査でよくある症例とまれな症例について,自験例を
中心に描出方法,確定診断そしてピットフォールなどについて概説する。
第 1 回日本小児超音波研究会学術集会 大会長( HP 抜粋)
このたび、記念すべき第 1 回日本小児超音波研究会学術集会を開催させていただくこととなりました。設立記念集会の会長の
大役を拝命し、身が引き締まる思いです。
小児超音波研究会は、平成 26 年 7 月 1 日に発足したばかりの、まだ新しく、小さな研究会です。その目的は『小児超音波医学
およびこれに関連する研究と診療を支援・促進し、教育・研修の場を提供し、並びに学際領域との連携を図り、もって学術の
発展と小児の健康増進に寄与する』ことです。言い換えると、小児領域に超音波検査を普及、定着させるとともに、広く指導
者を育て、未来を担う子どもたちに非侵襲性を生かしたより良い医療を提供することです。
小児超音波は成人のそれとは対象とする疾患が大きく異なるため、小児領域に超音波を普及するためには、成人領域とは別の研修・
学習の機会が必要であることは、以前から認識されていました。今回、診療科や職種の垣根を越えて、小児超音波を臨床の
会長 内田 正志先生
第一線で実施している医療者が力を結集して、小児超音波普及のために立ち上がったことは、喜ばしい限りです。メンバーは医師、検査技師、超音波検査
士の区別なく、診療科は小児科、小児外科、放射線科、救急科を含み、勤務先も第一線の病院、大学病院、小児医療センター( こども病院)、開業医など
多岐にわたります。
また超音波を普及させるにあたり、医療者だけでなく、機器の開発者や機器メーカーの協力が不可欠であることも、自明の理です。小児の検査に有用な機器、
アプリケーション、プローブが開発され、それが多くの病院・医院に普及しないことには、小児超音波の発展は望めません。双方がコラボすることで、はじめて我々
の目的が達成可能になります。
冬の訪れを告げる頃、風光明媚で温暖な山口の地で、活発な議論が展開されることを期待しています。今回の学術集会が、日本における今後の小児超音波
発展の起爆剤になると信じております。
つきましては、本会の趣旨をご理解いただき、何卒ご協力と御高配を賜りますようお願い申し上げます。