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平成26年度寄附講座活動実績報告書
寄附講座名:放射線科診療支援システム開発講座
所
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属
長:
山
田
惠
寄附講座の目的
遠隔画像診断の質を向上させるために必要な条件を大学病院勤務の放射線科医による
継続的なフィードバックを通じて模索する。
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報告年度に係る取組状況
平成 25 年度までの「医療情報通信学講座」の研究成果を踏まえ、工学的側面ではな
く、診療への支援に軸足を移し、さらに発展させていった。
済生会滋賀県病院との遠隔カンファレンスを引き続き行なった。遠隔カンファレンス
のシステム上避けがたい、質問やコメントの衝突にもカンファレンス参加者が慣れてく
ることによって、質疑応答が十全に比較して円滑になり、ともに同じ場所にいるかのよ
うに、プレゼンテーション・質疑応答がなされるようになった。
音声に割かれる帯域が狭く当初違和感を覚えるが、これも慣れによって無視できるほど
の些細な問題となる。音声・映像ともに、通信上のランダム誤りに対して誤り訂正符号
を用いるなど対策を講じていると思われるが、バースト誤りに対するインターリーブは
ないか、あってもごくわずかであり、遅延を感じることはなかった。また、通年のカン
ファレンスを通じてランダム誤り及びバースト誤りによる通信情報の欠落も感じられ
なかった。
先行研究により、モデルケースにおいて上記の環境が整えられた上での、カンファレ
ンスは、非常に有益である。今後の遠隔画像診断の質向上へ遠隔カンファレンスを応用
することも非常に現実味を帯びてきている。大学付属病院や大病院などのように多くの
画像診断医が存在すれば、ともに知識を共有し合い、up to date な知識を元にした診
断レポートを書くことができる。しかし、遠隔読影のように自らの読影した所見を批評
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する同寮に欠け、同一の患者を経時的に追うことが困難な環境下では、時間とともに自
らの画像診断能が低下するに任せることになる画像診断医もいるであろう。まして訓練
途中の画像診断医が勤務時間上の利点などから、遠隔読影を行なうことになれば、その
読影能力は従来の教育法によって向上させることができず、その状態で読影レポートを
作成することは、社会的法益の抽象的危険行為であるとの疑念を差し挟まざるを得な
い。
何事にも裏表があり、遠隔読影を否定するものではないが、診療支援によってより質
の高いレポートを作成できるようになることは、当然歓迎されるものである。
本研究は、こういった遠隔画像診断で生じることが予想される負の側面を減ずることが
できるものと確信する。
かかる目的のため、先行研究を継承し、その問題点につき検討を行なった。
細部の問題になると、同室でカンファレンスを行う場合と比較して、全ての面におい
て満足できるということは、現在のビデオ会議システムの趨勢に照らしてかなり困難で
はあるものの、逆に大筋に関しては十分実用に耐えうる。
ただ、現時点で問題点を挙げるならば、カンファレンス用の画像はプロジェクターで
スクリーンに映し出され、濃淡の情報が失われる。また、現行制度では予め用意した条
件の画像しか供覧できない。この結果極めて典型的な画像しかカンファレンスで提示す
ることが難しく、診断用画像のわずかな濃淡の差から所見を拾う訓練としては、十分で
はない可能性がある。
これは、今後の研究の課題であるが、無名化した非圧縮の DICOM 形式の画像をカン
ファレンスに先んじて転送し、読影用モニターの画像を見ながらカンファレンスを行な
うなどが解決案の一つとして予想される。
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報告年度における著書,論文,学会発表,講演,研究助成等の実績
該当なし
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