上告受理申立て理由書

平成26年(ネ受)第1116号
申立人
橋爪裕子
被申立人
正野朗
原審
平成26年(ネ)3533号
上告受理申立て事件
損害賠償等、損害賠償反訴請求控訴事件
平成27年1月15日
上告受理申立て理由書
最高裁判所
御中
上告受理申立人
橋爪裕子
原審の認定と判断は、次のとおり法に合致せず、法令に反したものであると思料す
るから、申立人は、請求の趣旨のとおりの判断を求める。
第1
1
裁判所の認定と判断は法に基づいて行われるものであることについて
「東京弁護士会法律相談センター運営委員会宛ての受任報告書」(甲340の
2の「採決取消請求訴訟乙第2号証」)を審理しないという不作為について
(1)
民事訴訟法220条は、文書提出義務について、「1号
おいて引用した文書を自ら所持するとき。」、「2号
当事者が訴訟に
挙証者が文書の所持
者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき」、「3号
文書が
挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関
係について作成されたとき」は、「文書の所持者は、その提出を拒むことが
できない」旨を定める。また、同219条は、「書証の申出は、文書の所持
者にその提出を命ずることを申し立ててしなければならない」旨を定める。
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また憲法第76条3項は、「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその
職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。」旨を定めている。
(2)
申立人は第1審被告の詐欺の行為を立証するため、上記の法令などを主張
して、本件受任報告書の提出を求め文書提出命令申立を行った(東京地方裁
判所平成24年(モ)第2934号事件)。第1審は、平成23年3月29
日、これを「申立てには理由がない」として却下した。申立人は、上記却下
決定に対し即時抗告を行ったが(東京高等裁判所平成25年(ラ)第871
号事件)、即時抗告審の裁判体である裁判長大竹たかし、裁判官山本剛史及
び同平田直人(以下「大竹たかしら」という。)は、これを「証拠の採否の
決定は、受訴裁判所の専権に属する」として却下した(同5~6項の決定書
及び別紙)。さらに申立人は上記決定に対し最高裁判所に特別抗告を申し立
てたが(最高裁判所平成25年(ク)684号事件)、同裁判所はこれを「(申
立ての理由は)法令違反を主張するものであって、特別抗告の事由に該当し
ない」として却下した(同7項の特別抗告申立書及び同8項の調書(決定))。
同時に申立人は抗告許可も同時に申し立てたが(東京高等裁判所平成25年
(ラ許)第378号事件)、抗告許可審の裁判体は、前述の即時抗告審と全
く同じ大竹たかしらであり、前2件の審理はそれぞれ独立して行われていな
いばかりか、大竹たかしらは抗告許可審において、これを「(申立ての理由
は)民事訴訟法337条2項所定の事項を含むものとは認められない」など
とこじつけて却下し、もって申立人が同文書を第1審に示すことを妨げた。
(3)
本件受任報告書は、「東京弁護士会法律相談センター運営委員会」に宛て
たものであり、申立人はそもそも同文書に署名と押印をしており、第1審被
告は、同文書を当然に同センターへ送付するということを申立人に信じさせ
期待させたことは明らかである。だからこそ申立人は第1審被告の詐欺行為
を立証するため、上記文書提出命令申立てが却下されたのちも根気よく同文
書を探してこれを見つけ出し、第2審に提出したものである。また、第1審
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被告が同文書の存在をあえて黙秘し、第1審、第2審に提出しないという不
作為を行った目的は、裁判所を欺罔するためであったということも明らかで
ある。本来なら同報告書は第1審が審理すべきであったにも拘らず、第2審
までもこれを審理しなかったことは、民事訴訟法220条の趣旨に反し不法
である。
2
総合法律支援法と弁護士法を混同していることについて
(1)
総合法律支援法13条は、日本司法支援センター(法テラス)の組織及び
運営を定める。他方、弁護士法第5章は東京弁護士会を含む弁護士会の組織
及び運営を定めている。
(2)
申立人は、本件交通事故損害賠償事件を一度は日本司法支援センターを介
して横山弁護士に委任し、同弁護士は相手方へ介入を通知したが、その後に
解任となってしまったという旨を、第1審、第2審で陳述しているものであ
る。さらに第1審被告は、第1審に日本司法支援センター(法テラス)の決
定書を示し、「法テラスがわざわざ『解任』とこじつけてまで委任(扶助)
終結を認め、かつ『別の弁護士の推薦は行わない』とまで決定している(甲
27の2)」(平成23年3月23日付け第1審被告答弁書1頁21~23
行目)と指摘してはっきり認めているものである。また、申立人は東京弁護
士会法律相談センターを利用したこともないものである。第1審被告はさら
に、「(委任の条件は)相談の結果、変わることはよくあります」と、はっ
きり自白陳述をして、申立人が東京弁護士会法律相談センターと提携するこ
とを委任の条件としたということも認めている(第1審被告本人調書16頁
26行目)。
第2審は、日本司法支援センターの決定書をもって、「(東京弁護士会法
律)相談センターにおいては横山弁護士に代わる弁護士の推薦を行わないこ
ととしており、このことは第1審原告も認識していた」と認定し、そのこと
から「第1審被告において、本件契約書の用紙を使用することにより、相談
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センターを経由して受任するとか、相談センターと提携しその審査を受ける
などと、第1審原告を欺罔したとは認められ」ないと判断した。
(3)
甲27の2の決定書は、法テラスの訴訟費用立替え等の扶助を利用する場
合は、以後は弁護士へ依頼せよという旨を述べているに留まり、さらに、東
京弁護士会法律相談センターの利用を禁じてもおらず、また、上記に指摘し
た法テラス(日本司法支援センター)は総合法律支援法、東京弁護士会法律
相談センターは弁護士法に基づく弁護士会という独立した機関が組織・運営
しているという事実にも反するから、上記第2審の認定と判断は法令に反す
るものである。
3
保険業法の存在は顕著な事実であり、そのことを前提とすべきであることにつ
いて
(1)
自動車損害賠償保障法は、平成14年4月1日に施行された自動車損害賠
償保障法の一部を改正する法律により、自動車損害賠償責任保険に関する規
定が改定され、そのことから損害保険会社の自動車損害賠償責任保険普通保
険約款は、「当会社は,前項の指定紛争処理機関による紛争処理が行われた
場合,その調停を遵守します。ただし,裁判所において,判決,和解または
調停等による解決が行われた場合には,この限りではありません。」(同1
7条の4)と定めているものである。また保険会社は保険業法に基づき、こ
の普通保険約款等を内閣総理大臣に申請し営業を認可されているものであ
る。
(2)
あいおい損害保険は「平成20年9月30日付け自動車損害賠償責任保険
お支払不能のご通知」に上記の規定を記載しており、第1審被告は平成20
年10月16日にこれを検討したという事実は、第1審も、第1審被告も認
めたところである。また、申立人の後遺障害等級は、上記の指定紛争処理機
構が紛争処理を行ったうえで調停したものであることは、第1審、第2審と
も認めるところである。
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また、第1審被告が申立人の後遺障害等級上昇認定の請求事件に関し、保
険会社への異義申立てを行うつもりであったということは、第1審、第2審
が認めているところである。これについて申立人は、第1審の平成24年2
月28日付けの準備書面3に前記の普通保険約款の規定を指摘し、第1審被
告が申立人に異義申立てをさせたのは、第1審被告が事件の解決を望んでい
るように見せかけ申立人を欺罔するためであった旨を主張していたもので
ある(9頁15~22行目)。これに対し第1審、第2審は、第1審被告に
は申立人を欺罔する意志はなかったと判断した。
(3)
第1審被告は法律に準拠して委任処理を行っていたという旨の第1審及
び第2審の判断は、上記自動車損害賠償責任保険普通保険約款の規定を無視
したものであり、不法である。
第2
その余の申立ての理由(判例・裁判例)
下記の判例・裁判例は、申立人に関わる以前の第1審被告の行為に関するもので
あることは、同人も認めるところであり、本件審理の間接事実として検討されるべ
きである。
1
東京地方裁判所平成5年(行ウ)第118号事件(平成6年3月30日東京地
方裁判所判決、金融・商事判例993号40頁)の判例によれば、第1審被告
は、平成3年頃、委任されていた債務整理事件において、顧客を言い包めて同
社と第1審被告とのあいだに「包括的資産譲渡契約」を締結させ、さらに、顧
客の銀行口座を管理していると見せかけながら、口座の金を顧客に知らせない
まま、別の新たな銀行口座に移動して流用し、同口座が税務署から差し押さえ
られると、自らが原告となり、税務署に対して上記口座差押処分取消訴訟を提
起し、顧客の銀行口座を自らの所有とすることを企んでいた(甲308の1)。
2
東京地方裁判所平成11年(ワ)第11511号事件及び同(ワ)第2896
9号事件の裁判例(平成12年10月16日東京地方裁判所判決)によれば、
第1審被告は、平成11年ごろ、投資損害金3千500万円余の賠償請求事件
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を受任して、金融商品
金融商品取引会社を提訴し、同社の業務のことを「被告(金融証
金融商品
券取引会社)の注文通りのオプションを、きちんと海外の業者を通じて購入し
ていたのかどうかが疑わしい」などとを主張した書面を提出し、同社が別個に
第1審被告及び上記顧客に名誉を棄損されたとして1億1千万円の損害賠償
請求訴訟を提起すると、上記顧客の代理人となり、もって上記顧客に本来は必
要ないはずの応訴の負担を与えたものである(甲309の1)。
3 東京地方裁判所平成15年(ワ)9603号求償金請求事件の裁判例(平成1
6年2月3日東京地方裁判所判決)によれば、第1審被告は、平成13年ごろ、
受任した債務整理事件において、相手方である株式会社ディー・シー・カード
の担当者が、負債の額を誤って少なく算定したうえで和解の約束をしていたこ
とに乗じ、その後の同社からの連絡に応じなかった。同社がやむなく金額を訂
正した和解契約書を送付すると、これを拒絶して同社を関東財務局に告発した。
また同社の社員を事務所に来させ、告発の手間により損害を被ったとして金3
万1000円を支払わせ、その後に同社から懲戒請求をすることを伝えられる
と、同社を再度告発した。以上のことにより和解は成立せず、同社が訴訟を提
起したが、第1審被告は、同社は詐欺行為を行ったのであり、同社の提起した
訴訟も詐欺であると主張し、逆に損害金20万円を同社に請求し、もって顧客
及び同社に応訴の負担を与えていたものである(甲307の1)。
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また、第1審被告は、自らの後遺障害等級上昇認定請求事件において、平林の
意見書を行使して等級を上昇させ、そのことから保険会社から債務不存在訴確認
請求訴訟を提起されたということ、また、上告人の委任相談のとき、これを予め
上告人に伝えていたことを、本人尋問でも自白しているものである(正野朗本人
調書22頁22行目)。
5
なお、第1審被告は、委任相談のとき、上記第4項の事件の概要の説明と上記
事件の相手方保険会社に対する憤りの心情の表明に終始し、それだけでも同人に
事件を依頼すれば追加的な訴訟が起こりうる可能性もないとはいえないと考え
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るのは普通であり、誰でもそう考えるという蓋然性も非常に高い。このことから
も、上告人は万が一トラブルが起きたときの相談先を確保するために東京弁護士
会法律相談センターの承認を得るという条件で委任を行うことを選択している
のであり、第1審被告との間で個人間の委任をすることをあえて避けていたとい
うことは明白であるというべきである。
第3
結論
以上のことから、申立人は、請求の趣旨のとおりの認定と判断を求める。なお、
申立人は、第1審被告らの行為は詐欺であるとして刑事告訴を行っているものであ
る。
以上
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