要望書-2015.02.10

平成27年2月10日
北海道開発局旭川開発建設部長
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様
公益財団法人日本釣振興会北海道地区支部長
松田哲義
大冨と石狩の自然を守る会代表
寺島一男
忠別川の自然に親しむ会代表
北島惇二
あさひかわサケの会代表
寺鳥一男
オサラッペ・コウモリ研究所代表 出羽 寛
忠別川取水工事に伴うサケ産卵床の保護について(要望)
拝啓 貴職におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、北彩都あさひかわ整備事業により整備中である大池の取水工事が、石狩川水系忠
別川鉄道橋付近において実施されておりますが、周辺一帯は遡上するサケ(シロザケ)の
産卵床が集中する河川生物保全上きわめて重要な場所になっています。
しかし、残念なことに工事にあたって、サケに関する情報や調査の取り扱い、工事に伴
う河川環境への配慮や見通し、工事方法等に適切さを欠いたため、周辺一帯の産卵床に深
刻な彫響が出ています。
ご承知の通り、上川盆地の石狩川水系では 1964 年に遡上が途絶えたサケを回復しよう
と、市民の手による運動が 1981 年から 34 年間にわたって営々と続けられています。その
長年にわたる取り組みと関係機関の協力が実って、2003 年 11 月には 39 年ぶりに旭川に
戻ったサケが確認されました。その後、サケの研究機関による天然産卵資源回復の試験が
加わったこともあって、2011 年からは群れをなしてサケが遡上するようになりました。
このサケを野生のサケとしていかに定着させるかが、現在の大きな課題となっています。
野生のサケの回復は、流域の自然環境のみならず生物多様性や地球物質循環等の働きを通
して、地球規模の環境保全に貢献すると目されており、国際的にも重要な課題となってい
ます。
サケの保護に関しては、貴開発建設部も石狩川水系の生物保全における重要課題として、
石狩川上流川づくり計画・忠別川川づくり計画に位置づけ、また具体的な施策として河川
横断工作物の改善や河畔林を連続させる試み、サケの産卵床調査や河川環境の改養に鋭意
務めていることは重々承知をしております。
しかしながら、この度の河川工事によるサケ産卵床への深刻な影響が、その取り組みの
最中に生じていることが重要な問題です。すでに現場おいて貴建設部と数度にわたり、現
状認識や工事経過、緊急対策等について話し合いをしてきたところではありますが、こと
の重要性に鑑み改めてなぜこのような事態に至ったのかその経緯と実態、今後の対策と課
題を十分に検討する必要があると判断いたしました。
以下に、事実関係の確認、問題の把握、再発防止に向けての質問等を列記しましたので、
調査・検討の上、ご回答下さるよう要望いたします。
なお、要望に関する内容の問合せや連絡等については、末尾に記載の窓口団体へお願い
いたします。
記
1.今回の工事計画内容とこれまでの経過、工事期間と工事工作物の撤去方法等について、
改めて詳細にご脱明下さい。
2.今回の工事では、忠別川右岸を堰き止め主流の流路を左岸に変更したことにより、右
岸における河床の露出、左岸における河床の浸食と下流部での堆砂を招き、結果とし
てサケ産卵床の露出や流失、埋没等を招いたと考えられます。工事に伴う河川環境の
急激な変化が最も大きな問題です。左岸流路を確保するために行われたと思われる河
床の掘削がどのような経緯でどのように行われたのかはっきりしていません。事実関
係を調査した上で明らかにして下さい。
3.流水を堰き止めるために土嚢が設置されていますが、産卵床に対する配慮が不十分で
設置方法にも問題があったと考えられます。産卵床を含む周辺で大型重機の走行跡が
見られることから産卵床に与えた影響も大きいと考えられます。
土嚢を設置した右岸下流直下の産卵床が、水位低下により大きく露出していますが、
その側で河床が不自然に掘削された形跡があります。どのような行為があったのかは
っきりしていません。事実関係を明らかにして下さい。
4.今回の工事では、専門家が事前に行ったサケの産卵床調査や実態把握の調査結果が、
適切に工事計画に反映されていないように思われます。どのように調査データを把握
してどのような工事対策を立てたのか、今後の防止対策につながる重要な事項ですの
で、具体的に明らかにして下さい。
5.忠別川は市民も注目しているサケ遡上河川で、産卵床の調査を始め河川環境の把握な
ど市民や関係団体が日頃から積極的な活動をしています。そうした関係者との情報交
換がなかったことも今回の事態を招いた大きな要因の一つと考えられます。
今後、このような事態を回避するためには、関係する市民や有識者を含めた形式的で
はなく有効に機能する情報交換の場が必要と思われます。この件に関する見解と今後
の対策を明示下さい。
6.今回の工事にあたり、実際に工事を担当する業者に対してサケの産卵床に関する説明
や教育が行われていたと思いますが、現場での対応を見ていると十分に機能している
ようには見えませんでした。工事業者に対してどのような方策をとられたのか、また
今後どのような手立てを講じるのか明らかにして下さい。
7.緊急対策は一部で行われていますが、この後の工事対策をどのように考えているかご
説明下さい。また、石狩川水系の河川生物保全に関する、今後のあり方についてどの
ような方向で臨むのかご脱明下さい。
以上
連絡先:大雪と石狩の自然を守る会(寺島一男)
〒 078・8302 旭川市緑が丘2条1丁目 1-23
電話:0166 - 65 - 1940