学位・研究業績等(PDF : 248.72 KB)

○茨木 正治
○学位
博士(政治学)
○教育研究業績
事項
教育上の
能力に関 教育方法の実践例
する事項
作成した教科書,教材
年月
概要
H16.4~現
在
情報文化論a,b(平成17年度ま
で),マス・メディア論ab社会心理学
(平成19年度から),現代日本の政
治(平成20年度)においては,新
聞,写真,漫画を素材に,現実の
出来事,事件,人物からなる情報
社会の実相を,OHCやプリントを用
いて,講義の例証として使用した。
授業評価は、あくまで上記の教育
実践の結果として生ずるものであ
るとの認識に立っているので、授業
評価自体を目的とした活動は行っ
ていない。演習科目では,基礎演
習Ⅰ,Ⅱでは,テキストの輪読・報
告・レジュメを通じて,情報の入力
だけでなく,出力を意識させて,知
の習得には,そうした入力・出力の
連関が不可欠であることを意識さ
せた。卒業研究Ⅰでは,前期の事
柄とともに,論文による表現の仕方
について指導した。
H16.4~現
在
情報文化論bでは,上記と同様
『「政治漫画」の政治分析』(芦書
房,平成9年10月)を,情報メディア
の実像の一環として使用した。平
成19年度より開講の社会心理学で
は、『メディアのなかのマンガ』(臨
川書店,平成19年)を使用してい
る。その他の科目(情報文化論a,
マス・メディア論b)では主として,ま
た上記情報文化論bでは副教材と
して,プリントを毎週配布し,メディ
ア論および情報社会論,文化論の
概要および参考資料を掲載して,
授業理解の素材として使用した
年度
発行所、発表雑誌等又は発表学会
概要
等の名称
○著書・研究論文
著書、学術論文等の名称
著書
発行又は発表の年月
マンガジャンル・スタディーズ 共
白書出版産業2010
共
H25,4
H22,9,1
臨川書店
「序章 カートーンとコミックをめぐる考
察――一コママンガ(カートゥーン)とマ
ンガ(コミック)をつなぐ――」多様な様
態を呈するマンガ世界においてマンガ
とは何かを1コマとその他という形式に
立ち戻って考える必要性を説いた。そ
の際、コミック研究を1コマの、またはそ
の逆の視点を通してマンガを問い直す
ことを試みた。3-17頁。 「政治漫画と
政治マンガ――カートゥーンとコミック
にみる政治を手がかりに――」政治を
「風刺する」マンガについて1コマとコ
ミックには「語り」という共通点があるこ
とを新聞1コマ漫画と雑誌コミックを例
にあげて検証した。259-283頁。(共著
者増田のぞみ、重吉知美、押山美知
子、秦美香子、藤本純子、雑賀忠宏、
池上賢)総ページ数291頁、四六判。
文化通信社
「Ⅳ出版社 34出版産業のメディア(書
評誌紙・PR誌)」書評誌紙・PR誌は、出
版に関心を既に持っている人々・組織・
業界向けのメディアであると規定し、そ
の現状(発行部数、価格、形態等)と課
題(読者を理解しその外の一般読者へ
意見喚起する存在へ)を提示した。
Pp108~109.日本出版学会編(共著
者代表 木下修、星野渉、吉田則昭)
著書、学術論文等の名称
発行又は発表の年月
情報社会とコミュニケーション 共
マスメディアの「極化」現象の
学術論文 考察――研究動向と応用可 単著
能性の検討
「00年代の雑誌研究」
単独
政治報道とマス・メディアー新
聞・雑誌・漫画が描く「橋下市 単独
政」――
その他
社会学と画像メディア
単
年度
発行所、発表雑誌等又は発表学会
概要
等の名称
「序章 コミュニケーション研究の現状」
マス・メディアの議題設定機能研究が
マス・コミュニケーション研究のみなら
ずウェブコミュニケーション研究、対人
コミュニケーション研究にも影響を及ぼ
していることを明らかにした。pp.1~15
「第1部 概説」社会情報とマス・メディ
アの関係の重要性を指摘し、特にマ
ス・メディアの効果研究が、人々の認知
作用に、人々からの働きと相俟って相
互作用の形で影響を及ぼしていること
を明らかにした。pp.18~24「第1章 感
情とマス・メディア」感情は個人だけの
ものではなく、メディアによっても構成さ
れることを、湖か研究の歴史とメディ
ア・イベント研究、フレーム研究の3つ
の視点から明らかにした。pp.25~43共
著者(編者)圓岡偉男、中島淳 総ペー
ジ数200頁
H22,4,30
ミネルヴァ書房
平26,7
メディアによる政治報道が、一定の方
向性を持って特定化した情報を供給し
ていることを、情報内容が集団におい
て特定方向にかたよる「極化」現象を
手がかりに明らかにしようとした。先行
日本法政学会『法政論叢』第50巻
研究を整理した結果、メディアの「極
第2号、1頁~13頁
化」はそれ自体で生ずるのではなく、伝
達内容(政党の極化、政府主導による
政治の「極化」)、受け手の情報・生活
環境の変化に伴う刹那的な欲求充足
による意識の「極化」が見出された。
H25,3
2000年から2012年までの12年間の雑
誌に関する学術雑誌掲載論文を内容
分析した。その結果、研究対象の多様
化、歴史研究の知見からの受容環境
日本出版学会『出版研究』第43号
への視点の深化、組織・産業研究の集
25頁-49頁
合・調査データ分析の精緻化などが見
られ、雑誌の「内容研究」は進展した
が、雑誌の本質についての議論はそ
れ以前と変化がなかった。
H24,11
一般週刊誌と全国紙が描く「橋下徹大
阪市長の政治」を、当該メディアの新聞
記事・論説・漫画・写真から明らかにし
ようとした。分析手法は、見出しと面積
における量的分析と記事と画像にはモ
日本法政学会『法政論叢』第49巻 ダリティ、レトリックを重視した質的分析
第1号187頁ー210頁
を用いた。その結果、記事において
は、「橋下市政」を雑誌では中央政界と
の関連で「中央志向」が、全国紙では
「地元志向」が見られた。画像について
は、特に漫画において橋下の人格に
リーダーシップを帰属させていた。
H26,6,29
映像・音響による社会の「記述」は、そ
れ自体を言語で語るがゆえに、それら
のみで語ることには限界がある。研究
の方向性として、文字情報を排除して
社会を語ることはもとられるべきだが、
日本社会学史学会2014年度大会
そこに文字、映像、音などのメディア属
(於尚絅学院大学)シンポジウム
性を再確認する視座が求められねば
「社会学と言語・メディア」
ならないことを報告者の報告に対して
論評し、その例として、画像内(「吹き出
し」)でも、画像外でも(新聞掲載という
点)文字と関連して説得性を持つ新聞
漫画を挙げた。
著書、学術論文等の名称
日本と欧米の風刺漫画にみ
るこの100年の社会(学)
発行又は発表の年月
単
「マス・メディアの「極化」現象
の考察――2012年12月「政
単独
権交代」後の新聞・雑誌にみ
る――」
「メディアの中のカートゥーン」 単独
年度
発行所、発表雑誌等又は発表学会
概要
等の名称
H26,7,12
掲載媒体の「効果」研究の流れと照ら
し合わせて、この100年の欧米と日本
の政治漫画による社会の位置づけとそ
れが表象する社会を描き出そうとした。
効果研究を概観すると、強力効果から
日本大学社会学会2014年度大会 限定された強力効果に変化する流れ
(於日本大学文理学部)
が見られたが、政治漫画は諷刺による
説得性の発揮という性質は変らなかっ
た。むしろ、大衆社会の進展により、諷
刺の対象が大衆にも広がったことに十
分な解決策を見出しえない状況にある
ことが示された。
H25,11.30
マス・メディア報道が特定の価値判断
に傾いている「極化」現象を、使われて
いる語句とその配置から量的に、また
日本法政学会第119回総会および 新聞各紙と雑誌の比較から明らかにし
研究会,(於東洋大学)
ようとした。今回の事例では「極化」現
象は明確には把握できなかったが、そ
の要因がメディアの「客観報道」信念に
あることが推測できた。
H25,10,13
カートゥーンの研究史を日本と西欧と
に分けて概観し、歴史学、ジャーナリズ
ム論のの色彩が濃かった研究が、コ
ミュニケーションないしメディア効果研
第86回日本社会学会大会,於慶應 究(説得研究)として位置づけられ、分
義塾大学
析方法もより心理学的実証性を付与す
るものとなった。反面、掲載媒体の新
聞・雑誌の視点、読者の受容環境と
いった「コンテクスト」への考察に課題
を残したことが指摘できた。
「週刊誌にみる近現代のたば 共同(大阪市立大中村健との共
H25,8,1
こ表現の考察」
同研究)
「サンデー毎日」の創刊(1922年)から
2012年までの「たばこ表現」を抽出し
て、その傾向を明らかにした。戦前を中
平成24年度公益財団法人たばこ
村が、戦後を茨木が担当した。研究期
研究総合センター 助成研究報告
間の関係から、1995年以降の広告に
会 於
限定したなかでも、女性読者の比率広
告掲載頻度に相関がみられ、非掲載
前後では質的な変化が見られた。
「新聞マンガ研究の動向」
H25,6,23
新聞マンガの登場は幕末の新聞創生
期にあるが研究は戦後の米国を中心
としたカートゥーン研究に付随する形で
日本マンガ学会海外交流部会第6
登場した。最近は価値の多様化に伴っ
回例会報告,於京都国際マンガ
て諷刺を主眼とするカートゥーン研究
ミュージアム
の停滞があるが、4コマ漫画を媒介にし
たコミック(雑誌マンガ)との連続性も再
検討され始めている。
H25,6
日本マス・コミュニケーション学会
2013年度春季研究発表会(於松山
大学)ワークショップ1「メディア・コ
ミュニケーションとマンガ研究ーー
「メディアの中のマンガ」「メディアと
してのマンガ」を考える――
単独
「メディアの中の(としての)マ
ンガ」を考えるーー新聞・雑誌 単独
マンガとメディア――
問題提起者として報告 掲載媒体のテ
クストにより密接に関わる時事・社会的
テーマを扱ったマンガと掲載媒体との
関係を探った。画像とコンテクストとの
関係を辿った批判的言説分析の先行
研究を手がかりに、マンガ作品が作品
内の文字情報を媒介として掲載媒体テ
クストと関わっていることを示した。
著書、学術論文等の名称
週刊誌と政治
発行又は発表の年月
単独
「マンガ研究と社会学研究の
接点ーーマンガにおける「ひ
単独
と」を考えることを手がかり
にーー」
政治報道とポピュリズム――
2011年大阪府知事・市長選
単独
挙におけるメディア報道の分
析を中心に――」
「新聞漫画とポピュリズム―
―「橋下大阪市政」にみる―
―」
単独
「政権交代前後(2009年)の
新聞・雑誌マンガにみる政治
単独
――政治批判としての諷刺の
可能性――
「マンガ研究と現代社会」
単独
年度
発行所、発表雑誌等又は発表学会
概要
等の名称
H24,11,4
橋下徹大阪市長に関する一般週刊誌
の報道属性を新聞と比較し、その差異
を指摘することで活字メディアの政治
報道の布置状況を明らかにした。週刊
誌報道は掲載写真の見出しに端的に
日本社会学会第85回大会(於札幌
表れるように、内容と見出しに大きな齟
学院大学)一般研究報告Ⅰ
齬が見られ、より扇情的な属性を醸成
していたが、一般に言われるほど新聞
記事の見出しとの差異は、何を属性争
点として取り上げるかという点において
は、顕著ではなかった。
H24,11,3
マンガが描く多様性はその対象だけで
なく、描かれる人間像にも起因する。そ
れは社会学が目指していた人間像お
日本社会学会第85回大会(於札幌 よびそれが織りなす行為やその結果と
学院大学)一般研究報告Ⅲ(テー しての諸制度や現象の多様性とパラレ
マセッション)司会者
ルである。こうした問題意識に基づきマ
ンガに描写される「ひと」に着目した社
会学研究について8人の報告者に問題
を提起してもらった。
H24,6、10
ポピュリズムを「周縁メディア」の新聞
雑誌マンガと記事とを比較することで、
実態を明示することを目的とした。2011
年11月から翌年5月末日までの新聞記
事・論説・写真・漫画と雑誌マンガとを
素材にして、これらテクストが構成する
日本法政学会第116回大会(於志
世界を探索した。その結果、新聞・雑誌
學館大学)
の記事・論説には中央志向が見られ、
「橋下市政」から生ずるポピュリズムを
矮小化しようとする傾向があった。雑誌
マンガにおいては、それが「子供っぽ
さ」(=幼児性)として政治家パーソナリ
ティを描くことで体現されていた。
H24,6,3
ポピュリズムという民衆支持の高い政
治現象を、風刺の対象としてどの程度
描くことができるのかを、「橋下大阪市
政」を扱った新聞・雑誌の風刺漫画を
日本マス・コミュニケーション学会
内容分析して検討する。2011年11月か
2012年度春季研究発表会(於宮崎
ら2012年5月までに刊行された主要週
公立大学)ワークショップ9「政治・
刊誌の政治漫画を分析した結果、大衆
社会の多元性とマス・メディア研究
迎合を直接的に描くものは新聞漫画に
ないしマンガ研究――ポピュリズム
はなく、雑誌マンガにも希尐であった。
にマス・メディアはどう関わるか」
ここから、新聞・雑誌の風刺漫画は攻
撃主体である市民や庶民をさらにその
体現であるポピュリストを批判すること
は困難であることが推測された。
H24,5,20
2009年の「政権交代」前後で、新聞・雑
誌の風刺漫画の描き方に変化があっ
たかを考察した。いわゆる新聞の「三
大紙」と一般週刊誌6誌に掲載された
日本選挙学会2012年度大会(於筑 風刺漫画を内容分析した。その結果、
波大学)ポスターセッション
下野した自民党の政治家が政権交代
後も登場頻度が高いことから、役職(首
相・閣僚)に重点を当てつつも、政治家
のパーソナリティに着目する傾向も政
治漫画には見ることができた。
H23,9,17
マンガ研究が社会学・現代社会に及ぼ
す役割について、社会学者のマンガ研
究の動向、文学とマンガ研究、社会学
日本社会学会第84回大会(於関西
理論とマンガ研究の領域での報告をも
大学)テーマセッション(一般研究
とに討論を行なった。その結果、社会
報告3)「マンガ研究と現代社会」司
学におけるマンガ研究の役割はいまだ
会者
十分とは言えないが、新しいメディアの
登場とともに再認識の可能性があるこ
とが示唆された。
著書、学術論文等の名称
「オタク研究とマス・メディア」
発行又は発表の年月
単独
年度
発行所、発表雑誌等又は発表学会
概要
等の名称
H22,10,30
実在しない女性キャラクターを描いた
「二次元ポルノグラフィ」の消費者として
存在する「性的オタク」は、現代市民権
を得たように見える「オタク」中にあっ
て、依然として社会的な不適応者とみ
なされることが多い。本ワークショップ
日本マス・コミュニケーション学会
では、こうした「性的オタク」とマス・メ
2010年秋季研究発表会(於 東京
ディアとの関連を通じて、メディアの機
国際大学)ワークショップ1「オタク
能のみならず、「オタク」に関する情報
研究とマス・メディア」司会者
を受け取る人々の認識にどのような影
響があるのかを議論することを目的と
した。その結果、彼ら「オタク」の現実の
性欲と「二次元ポルノグラフィ」との間
には関連はないことを先行研究から明
らかになった。