障害と障害者をとりまく社会を考える機関紙 コスモス Letter ~私たちの「あたり前」を見直そう~ 創刊号 < 発 行 > コスモ ス共 生 社会 研 究所 〒 5 31 - 0 0 7 3 大 阪市 北 区 本庄 西 2 丁 目 1 5 番 9 号 T EL : 0 6 - 6 1 3 6 - 3 3 7 1 F AX : 0 6 -6 1 3 6 - 33 7 2 U R L: h t t p : / / j ob c osm os. j p Em a i l: c osm os@j obc osm os. j p あなたの障害者のイメージは? もくじ 1-2 あなたの障害者のイメージ は? 3 <コスモス>ケアサービス とは? 社長からのあいさつ 4 コスモスのカリキュラムと取 り組みについて 先日、白杖をついた視覚障害者を、女子中学生が駅の改札口まで誘 導していました。その光景を見て、障害者に対して優しい社会に変 化してきたなと、うれしく感じました。あなたの町でも、このよう な光景はありますか? 内閣府が平成 19 年に「障害者に対する世論調査」をしました。「障 害のある人と気軽に話したり、障害のある人の手助けをしたことが あるか」という質問に対して、「ある」が 68.4%で、「ない」が 31.6%でした。前回の平成 13 年の調査と比べてみても、「ある」は 58.8%→68.4%と、9.6%上昇しました。逆に「ない」は、41.2%→ 31.6%と、9.6%下がりました。また、会話や手助けをした時の気持 ちは、「困っているときはお互い様という気持ちから」が 54.3% で、他に「将来,自分も障害をもつ可能性があるから」が 15.6%で した。 障害のある人と気軽に話したり、障害のある人の手助けをし たりしたことがある 平成19年 68.4 平成13年 31.6 58.8 平成9年 55.5 0% 20% ある ない 41.2 44.5 40% 60% 80% 100% 本当に社会は変わった? 障害者とふれ合った経験がある人が年々増えていることは、障害者が 社会に出る機会が増えてきたためでしょうか。困っている時はお互い 様という意見からも、社会の障害者に対する意識は、年々良い方向に 向かっているように感じられます。しかし、相変わらず「障害者は働 けるの?」や「何もできない存在では?」などの、「かわいそうで不 幸な存在」というイメージはいまだ根強く残っているように思えま す。私たちの、障害者に対する意識の根源にあるものは何なのでしょ う? 次のページで一緒に考えてみたいと思います。 2 ページ 障害者差別はなくなった? あなたは、現在、日本の社会には障害のある人に対して、 障害を理由とする差別があると思いますか。 内閣府が平成 21 年に行った「障害を理由とする差別等に関する 意識調査」によると、「日本の社会には、障害を理由とする差 別がありますか?」という質問に対して、「ある」と思う人が 8~9 割で、「障害を理由とする差別は、無意識的に行われてい る」と思う人も、ほぼ 6 割となっています。残念ながら、根本 的に健常者の「障害」・「障害者」に対する意識は、あまり変 わっていないようです。困った時はお互い様という意識とは、 相反した結果です。私たちは「障害者」という言葉を聞いて、 「健常者のようには生活ができない人」という一方的なイメー ジを持ったり、「かわいそう」と思ったり、自分たちにあまり 関係のない話と思っているのかもしれません。 日本の障害者はどのくらい? あなたは、障害を理由とする差別が行われている場合、 差別を行っている人の意識についてどう思いますか。 日本の障害者の自立と社会参加を促す法律として、「障害者基 本法」があります。ここでは、障害者とは、「身体障害 、 知的障害又は精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会 生活に相当な制限を受ける者」と定義されています。ま た、「障害者白書」(平成 22 年度)によると、全国には 約 744.3 万人の障害者がいます。手や足が自由に動きづらかっ たり、目が見えにくかったり、耳が聞こえなかったり、心臓 や内臓に重い病気を持っているなどの身体障害者が 366.3 万 人。難しい文字が読めず状況を理解することが苦手などの知 的障害者は 54.7 万人。精神疾患で病院などの医療機関にかかっ たことのある精神障害者は 323.3 万人となっています。これを 人口千人当たりの人数で見てみると、身体障害者は 29 人、知的障害者は 4 人、精神障害者は 25 人となり、複数の障害 をあわせもっている者もいるので、国民の約 5%があると いえます。 人の能力って? 生産能力を重視した社会では、「仕事の速さ」(仕事が納期まで に仕上げられる)を高く評価します。たとえば同じ時間 内 で、Aさんは 1000 個仕上げ、障害者のBさんは 100 個しか仕 上げられないとすると、Aさんは、「生産力の高い、すばらしい 人」という評価を受けます。一方、Bさんは誰かのサポートがな いと働けない、「仕事のできない人」というレッテルを貼られま す。生産力の高い人は、人としての評価も高く、そうでない障害 者は自分たちよりも「下」の存在、という価値観には根強いもの があります。でも、誰でも齢を重ねると、記憶に自信が持てなく なったり、目や耳が不自由になったり、足腰も弱り、人の世話に なりますよね。すると働けない「子ども」や、生産能力の低い 「お年寄り」は人として価値のない存在ということになってしま います。人間の評価は、本来、年齢や性別、生産能力の高さや、 障害の有無にまったく関係ないこと、そう思いませんか?人の価 値観とは何だろう? そんな疑問を持つ人が増えてくれば、障害 者への見方は変わってくるのではないでしょうか。 3 ページ <コスモス>ケアサービスとは? <コスモス>ケアサービスは、2007 年より行っている就労移行支援事業所です。一般就労を希望 する障害のある方に、あいさつや面接の受け答えなどの就労に必要な知識の習得。人との関わり 方などの社会的スキルの向上を目的としています。とくに、「ジョブコーチ付き企業体験」に力 を入れています。生活体験や日々のカリキュラムを通して、利用者ひとりひとりの適性に合った 就労支援を約 2 年間行います。職場開拓はもちろん、就労後のアフターケア、家族への支援にも 力を入れています。 現在<コスモス>ケアサービスには、15 名の利用者様が通っています。身体障害・知的障害・ 発達障害・精神障害など様々な障害をもつ人がいます。スタッフ一同、利用者様の希望と個性を ベースとした経済的・社会的自立をしていただくため、福祉とその周辺の学習に励み、日々、自 己研鑽に努めています。 ◇社長からのあいさつ◇ 私は、47 歳の時に視覚障害を負いました。 私は視覚に障害をもったことで、障害がある人の 立場にたって、物事を考えられるようになったかと思います。 社会では障害者は、常に受身の存在であり、主体的に活動する ことが難しいです。しかし、そのような中でも、障害があっても 自ら社会の一員であること、ともに働けるとの思いから「就労移行支援事業」に取り組んでいます。 障害の種別で、できることと苦手なことを判断するのではなく、利用者様個人のできることを引き出 す姿勢を重視しています。 就労移行支援では、利用者様を中心に、ご家族・企業等の他機関との密な連携が不可欠です。 その中で、私は企業経営者ではなく、障害者の就労支援実践者として活動を続けていきたい と考えています。 代表取締役 伊藤 繁 4 ページ ~コスモスでのカリキュラムと取り組みのご紹介~ 利用者様は、次のような活動をおこないながら、日々就労に向けて力をそなえています。 <就労基礎> 自己理解を深め、自分の長所と短所を知り自己表現できるようにしていきます。身だしなみや面接の 受け方等の社会で働くためのマナーも習得します。 <SST(ソーシャルスキルトレーニング)> 出会う人に好感をもたれるように社会的スキルを発揮することは、社会人としての第一歩です。しか し、長期間、人との関わりをもたずにいると、対人場面でうまく社会的スキルを発揮することが難し くなります。グループ SST を通してスキルを習得しています。 <作業練習> 手先や体力を使う、さまざまな作業を体験していただく中で、利用者様の興味・関心や適性を発見し ながら、初めてのスキル習得にも挑戦していただけます。 <パソコン> パソコンスキルの習得は、障害者が社会や情報から取り残されることを防ぎ、生活や活動を大きく広 げます。また、仕事の選択はもちろん、在宅勤務などの多様なワークスタイルを得るための強力なツ ールです。利用者様ひとりひとりのペースにあった速さで、就労に必要なスキルや資格の習得をめざ せます。 これら就労への訓練と企業での体験・実習を通して、利用者様の就労意欲を高めます。また、ジョブコ ーチによる就労支援からアフターケアまでの支援体制で、職場の定着化にも力を入れます。 体験やお仕事をお待ちしております!! <コスモス>ケアサービスに関心をもってくださった方、ぜひ一度見学に来てみてください。 また、次のような皆様のご連絡もお待ちしています。 まずはお電話を!! ◆<コスモス>ケアサービスでの体験をしたい方。 ◆企業等で、障害者の働く場としての体験・実習を受け入れてくださる先。 <コスモス>ケアサービス ☎ 06-6371-1696 ◆利用者の作業訓練として、作業をお任せしてくださる方。 大阪市北区本庄西 2-10-16 (チラシの折作業や封筒詰め、シールはりなどをお願いします) ◆障害者とともに働こうと考えている企業の皆様。 編集後記 このコスモスレターを通して、障害者についてのこと・共生社会に関する ことなどを書こうと思います。私自身中途で視覚に障害を負いました。見 えない世界を知り、今までよりも、社会のさまざまな出来事を見つめるよ うになったと思います。私自身が感じてきた「あたり前」を問い直したと き、そこには新しい発見がありました。みなさんと一緒に、「あたり前」 について考え、新しい発見をしていきたいと思っています。これからのコ スモスレターづくりの励みにもなりますので、みなさんのご意見・ご感想 を楽しみにお待ちしています。(コスモスちゃん) <発行> コスモス共生社会研究所 〒531-0073 大阪市北区本庄西 2-15-9 (コスモス別館3階) TEL:06-6136-3371 FAX:06-6136-3372 URL:http://jobcosmos.jp Emai:[email protected]
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