INFORUM とは？ 平成 27 年 3 月 11 日 ITI ○INFORUM ウェッブサイト1の要約 INFORUM（Interindustry Forecasting project at the University of Maryland）はメ リーランド大学名誉教授、クロッパー・アーモン博士によって設立された非営利法人で、 民間企業事業計画の立案資料提供、政府政策分析、一般経済環境分析、分析エコノミス トの養成などを目的とする。 クロッパー・アーモンはハーバード大学にて産業連関表の生みの親であるレオンチェフ から産業連関分析について学び、自ら産業連関ダイナミック・モデルを創案、産業部門 別の投入・産出状況を積み上げ推計することにより総合的なマクロ経済の状況を再現す る独自のモデル（LIFT、ILLIAD）を作り上げた。このモデルを応用した経済分析を行 うために自ら研究所をメリーランド大学内に設立、2008 年で 40 周年を迎えている。 その経済予測および分析は、産業部門ないし商品レベルに降りたデータを積み上げて計 算するところに特徴がある。また、このモデルは性格上、特定の理論に偏することなく、 一般的な経済理論、計量経済分析手法を柔軟に受け入れることができ、公共経済政策、 あるいは民間の経営戦略の分析に広く応用することが可能である。 産業連関表をベースに構築したこのモデルは、各産業部門の実態を反映したうえで、マ クロ経済指標の変動が個別産業部門に与える影響（たとえば為替変動あるいは租税政策 の個別産業への影響）、あるいは個別産業の他産業への影響、あるいは消費、投資、輸 出入のそれぞれが相互に及ぼす影響、あるいはその逆を推計できる。 INFORUM は米国経済の詳細データ（EconData と命名）を収集整理して公開するとと もに、またそれらの分析手法、方法論に精通していることから、さまざまな調査分析の コンサルタント業務を営む。とくに個別産業部門レベル、商品レベルに下りた分析に特 徴を持ち、政府あるいは民間企業のサポート（年 1 回サブスクライバー・ミーティング） のもとにさまざまな調査を受託して成果を挙げている。 ○INFORUM 国際会議 現在、世界の主要国にこのモデルのパートナー2が存在する。INFORUM のソフトおよ http://inforumweb.umd.edu/ Austria*, Australia, Belgium*, Canada*, China*, Denmark, Estonia, France*, Germany*, Hungary, Italy*, Japan*, Korea*, Latvia, Mexico*, Poland, Russia, South Africa, Spain*, Switzerland, Thailand, Turkey, U.S.A* 1 2 1 http://www.iti.or.jp/ びノウハウを使って各国モデルを構築し、それを世界貿易モデル3（BTM；Bi-lateral Trade Model）にリンクすることにより、世界的な経済相互波及のシミュレーションが 行える体制（国際産業連関リンク・モデル）を構築するプロジェクトを推進し、年１回 の会議を持ち回りで開催している。 （→INFORUM 国際会議） ○ ITI との関係 ITI と INFORUM の関係は、1991 年に米国の特定産業の資本ストック推計を依頼した ことに始まる。ワシントン D.C.に近いメリーランド大学にあるこの研究所は、連邦政 府と密接なつながりを持ち、米国の産業連関表作成においてアドバイザー的役割を果た している。連邦政府が 5 年ごとに発表する基本表に対し、それを延長・補完する形で毎 年の米国産業連関表を独自に作成している。日本の経済産業省の作成公表してきた「日 米接続産業連関表」についても、米国側の協力者として携わってきた。 1992 年、INFORUM サイドより ITI にたいし、ノウハウおよびソフトを提供するので、 INFORUM 方式に基づく日本産業連関モデルを作成してはどうかとの勧誘4があった。 上記の「国際産業連関リンク・モデル」の日本におけるパートナーとなることの要望で あると共に、INFORUM としては、日本の産業経済分析のために自ら Nippyou1005と いう日本モデルを作成していたが、この維持･更新に苦労していたという事情があった。 INFORUM と ITI の永続的な契約は存在せず、INFORUM とパートナーとの関係につ いての覚書が存在する。すなわち、INFORUM は無償でそのソフト、ノウハウを提供 し、ITI は出来上がったモデルのコピーを INFORUM に提供する。INFORUM を中心 としてパートナー諸国は相互にモデル、データを提供すると共に、モデル構築のノウハ ウ、分析手法などについて互いに協力する、という内容である。 JIDEA モデル作成にあたり、上記 BTM モデルより、品目別対日輸出価格、および世界 の対日需要データの提供を受けるとともに、日本の対世界輸出価格、対世界需要を提供 する。 ITI は INFORUM 国際会議（「国際産業連関リンク・モデル」）の重要メンバーとして 毎年、この国際会議に参加し、JIDEA モデルの構築ノウハウおよびそれによる分析成 果を発表している。 上記パートナー諸国のうち、モデルを完成させた 1３カ国（*を付した国、英国は参加国ではなく INFORUM が独自にモデル構築）およびその他 OECD、その他世界の 16 カ国地域間の輸出入を 120 商品 部門に分けてマトリックス化したモデル。日本の輸出価格および輸入需要を BTM に与えることにより、 BTM から世界の対日需要および対日輸出価格が得られる。 4 ITI にコンタクトする前に、MITI、慶応大学、アジ研と接触を持ったが、うまくいかなかったという。 5 100 部門に圧縮した日本の産業連関表を基礎においたモデル。米国政府の依頼により日本の各産業の現 状とその経済に占める地位の分析をしたという。 3 2 http://www.iti.or.jp/ ＜参考＞ ―INFORUM ウェブサイトより― INFORUM 実施調査 U.S. Impact Studies, and Studies Relating to Particular IndustriesThe Economic Costs of Disruptions in Container Shipments Clean Energy and Jobs Local Impacts of Electricity Industry Restructuring The Digital Economy The Asian Crisis and the U.S. Economy Fundamental Tax Reform U.S. Jobs Supported by Exports The Impact of Foreign Trade on the Demand for Electricity: 1977-2010 Demand Side Management in the Broader Economy: The Economic Impacts of Utility Efficiency Programs The Impacts on the U.S. Economy of the Construction, Operation and Decommission of the International Thermonuclear Experimental Reactor Plastics and the U.S. Economy Forecasting the Demand for Copper Scrap Using an Input-Output Model The Impact of the Electric Car on the U.S Economy Policy Studies and Tools The Long-Term Economic Impacts of Implementing the Energy Security Leadership Council's Recommendations to the Nation on Reducing U.S. Oil Dependence Macroeconomic and Industrial Effects Of Higher Oil and Natural Gas Prices Macroeconomic and Industry Impacts of Currency Valuation: A Global Modeling Analysis The Defense Economic Purchases and Projections System Health Care Spending and the Rest of the Economy: A Short Look at the Long Term Health Care Prices, The Federal Budget, and Economic Growth Effects of Future Demographic Changes on the U.S. Economy: Evidence from a Long-Term Simulation Model LIFT 2050: A Framework for Making Very Long-Term Economic Projections, with Illustrations Beyond Ten Years: The Need to Look Further STATUS: An I-O Calculator for the U.S. Economy International Studies 3 http://www.iti.or.jp/ The Impact of Defense "Offsets" in Hungary The Impact of Deregulation on the Japanese Economy Jobs and Production Requirements Needed for Exports of the G-7 Countries and EU 12 Japanese Regional Input Output Modeling System (JARIOMS) Should Austria Join the European Union? Data Development Updates of I-O Tables INFORUM の報告書リスト（抜粋） 2007-04-01 The Long-Term Economic Impacts of Implementing the Energy Security Leadership Council's Recommendations to the Nation on Reducing U.S. Oil Dependence 2005-09-01 Economic Impacts of Hurricane Katrina 2005-06-01 Macroeconomic and Industry Impacts of Currency Valuation: A Global Modeling Analysis 2004-08-01 Dollar Exchange Rate and the U.S. Current Account Adjustment: Macroeocnomic and Industrial Impacts 2002-12-01 Personal Consumption at 92 Categories, in Current and Constant Dollars 2002-11-01 Consumption Equations in IdLift: Extension and Revision 2002-10-01 A Sustainable Economy: Analysis of a Comprehensive Approach to Climate Change and Energy Policy 2002-09-01 Embodying Embodiment in a Structural, Macroeconomic Input-Output Model 2002-07-01 Investment in Structures in IDLIFT 2002-07-01 Solution Methods for Structural Models 2002-04-01 Economic Implications of Future Years' Defense Purchases: An Illustration of DEPPS 2002-03-01 The NRECA Policy Simulator 2001-09-01 Experience with Optimization in Inforum Models 2001-09-01 The Fundamental Input-Output Identities with Heterogeneous Prices and Imperfect Economic Accounts 2001-07-01 An Analysis of Historical and Projected Cost Deflators for Budget Components 2001-06-01 The LIFT Model 4 http://www.iti.or.jp/
© Copyright 2024 ExpyDoc
