パイオニアスピリットセミナー - 国立江田島青少年交流の家

平成21年度
中国ブロック統合のメリットを活かした事業
パイオニアスピリットセミナー実施報告書
【趣
旨】様々な分野でリーダーとして活躍している人々との出会いやコミュニケーション能力・自
己表現能力などの演習等を通して,様々な場面でリーダーシップを発揮できる基礎力や実
践力を養う。
※
本事業ではリーダー像を,「自己肯定感をもった自律的人間として社会に参画できる態度を持つ
者」とし,「リーダーシップ」とは,その態度を修得するのに必要な要素をさす。
【主
催】独立行政法人国立青少年教育振興機構
【期
日】
国立江田島青少年交流の家
江田島市教育委員会
リーダーシップ養成編
平成21年
8月22日(土)~23日(日)
リーダーシップ実践編
平成21年10月
【会
2日(金)
高校生準備会議
平成21年10月15日(木)
全体会議
平成21年10月25日(日)
フェスティバル江田島ステージ発表
場】国立江田島青少年交流の家・広島県立江田島高校
【参加者数】22人(高校生6人・中学生16人)
【主な内容】高校生オリエンテーション,講演・演習,グループワーク
【講
師】江田島市内コミュニティ誌『Bridge』編集長
広島市内などでライブ活動を実施しているグループ
国立江田島青少年交流の家
岡本
礼教
ブレーメンの音楽隊
職
員
【企画・運営のポイント】
(1)リーダーシップを養成するみちしるべとして,「ロールモデル(具体的な行動技術や行動事例を
模倣・学習する対象となる身近なモデル)の発見・接近」「ロールモデルとして活躍」が考えら
れることから,参加者一人一人に,ロールモデルとなる存在を意図的に位置づける手法を用いた。
とりわけ,高校生には,中学生のロールモデルとなるように意識化させた。具体的には1日目の
午前中,高校生のみを対象にした高校生オリエンテーション「高校生にとって必要なリーダーシ
ップ」を行い,午後から中学生を迎える際自ら率先して進行を行わせ,中学生に対して,リーダ
ーとしての役割を果たさせた。
(2) リーダーとして大切な要素である「社会への参画意欲」を高めるために,地域を見つめ,地域
貢献活動につながる研修内容となるよう講師を選定した。具体的には江田島に愛着を持ち,江
田島の魅力を発信しているコミュニティ誌を発行する編集長や,交流の家でボランティアをし
ていたメンバーもいる,年齢の近い若者のバンドを講師とした。
(3) 社会参画体験を行う機会として,10月末に交流の家である「フェスティバル江田島」のステ
ージ発表を位置づけ,過去2年行ったような研修をリーダーシップ養成編とし,今年度はその
発展としてリーダーシップ実践編を設けた。
(4) 本事業は,国立青少年教育振興機構の「中国ブロック統合のメリット事業」として「中国ブロッ
ク4施設(三瓶・江田島・山口徳地・吉備)が連携して役割を分担し,リーダーシップを育む
プログラムを企画事業と連動して開発する」ことを目的とした事業である。その際,4施設とも
共通して,
「自己認識」
「対人関係」
「社会参画」をリーダーの重要な要素として,プログラム設
計をした。また本施設の事業は江田島市教育委員会と共催・連携し運営を行った。
【活動の実際①(リーダーシップ養成編)
】
8月22日(土)
高校生として積極的に行動しよう
最初はあたたかい雰囲気づくりから!
(班長・司会・挨拶などの分担決め)
(高校生によるアイスブレイクの進行・運営)
あなたを取材します
(ミニ地域新聞に掲載する写真の撮影)
江田島の自慢できる場所は?
(自分たちの地域を見つめ直す参加者)
8月23日(日)
私たちの歌声を聴いて下さい!
(グループで歌を作り披露)
江田島のすばらしさ発見!
(江田島の歌づくり)
江田島の歌の完成
(完成した江田島の歌を歌う参加者)
これから私がチャレンジすることは…!
(閉講式で今後の自分について発表する参加者)
【活動の実際②(リーダーシップ実践編)
】
「フェスティバル江田島」の広報
(9月17日)
フェスティバルに向けての高校生準備会議
(10月2日)
フェスティバルで自
分たちの作った歌を披
露する受講生
ボランティア活動を
する江田島高校生
(10月25日)
中学生も交えての全体会議
(10月15日)
【成果と課題】
(成 果)
(1) リーダーシップ養成編終了後,参加者に,リーダーシップを考える上で重要な要素の「自己発
見」
「対人関係の見直し」
「社会参画意欲」について,以下の質問で4段階(大いにできた,でき
た,少しできた,あまりできなかった)の自己評価を行ったところ,全ての項目において90%
前後の肯定的な評価をしている。特に高校生の「自己発見」と「社会参画意欲」については,1
00%であり,中学生のロールモデルとなることを意識させた成果が出たと推測される。
● 新しい自分の一面を見つけることができたか(自己発見)
● 自分を取り巻く環境や周囲の人たちとの関係を見つめなおすためのヒントを得る
ことができたか(対人関係の見直し)
● 今後社会の一員として活動する意欲や自信が湧いてきたか(社会参画意欲)
【 肯定的に自己評価を行った参加者】
自己発見
対人関係の見直し
社会参画意欲
中学生
16人中14人(87.5%)
16人中15人(93.7%)
16人中14人(87.5%)
高校生
6人中6人(100%)
6人中5人(83.3%)
6人中6人(100%)
全 体
22人中20人(90.9%)
22人中20人(90.9%)
22人中20人(90.9%)
(2) 講師の指導のもと活発に意見を出し合い参加者全員で江田島のよさをアピールする歌を作るこ
とができた。完成した歌を発表する際に,全力で歌えたと答えた参加者が86.4%(22人中
19人)いた。
(3) 4名の事業参加者が通うA高校では,毎年,総合的な学習の時間の一環で「フェスティバル江
田島」に,生徒がボランティア活動をしている。リーダーシップ実践編終了後,全てのA高校の
生徒に(1)で示した自己評価をお願いしたところ,次のとおりすべての項目において事業参加
者の平均値が他の高校生より高く,本事業での取り組みの成果がでたと考えられる。
【 肯定的に自己評価を行った事業参加者とその他の高校生】
自己発見
対人関係の見直し
社会参画意欲
事業参加者
4人中4人(100%)
4人中4人(100%)
4人中4人(100%)
その他
21人中18人(85.7%)
21人中17人(80.9%)
21人中16人(76.1%)
全 体
25人中22人(81.8%)
25人中21人(84%)
25人中20人(80%)
(4) 「中国ブロック統合のメリット事業」としたことで,他施設のよさを取り入れたり,助言をも
らったりしながら企画することができた。また江田島市教育委員会との共催することで,地元の
中学校・高校や講師と連携でき,地域おこしにつながる事業となった。
(課
題)
◎「養成編」終了後のアンケートで,リーダーシップを考える上で重要だと考えられる「自己発見」
「対人関係の見直し」「社会参画意欲」の3項目のうち,2項目について「あまりできなかった」
と低い自己評価を行った中学生の参加者が2人いた。今後,継続的な連携を図るとともに,プログ
ラムの充実を図っていく必要がある。
◎参加者確保の観点から,市内の中学校で他の事業と重なったことが理由で,参加できなかった学
校があり,江田島市教育委員会と更なる連携が必要である。
◎成果を普及していくため,具体策を検討する。