[東海大学] 卒業論文の要旨 - 情報ネットワークセキュリティ研究室

JT4-02 フローネットワークへの DDoS 攻撃対策技術の研究
発表者 1BJT1208 雨森 梓
指導教員 村山 純一 教授
1.
はじめに
データセンタ向けの通信基盤として、OpenFlowが
注目されている。OpenFlow は、フロー単位の転送を
行う OpenFlow スイッチ(OF-SW)と、高機能なスイッ
チ制御を行う OpenFlow コントローラ(OF-CTL)で構
成される。このうち後者は、セキュリティの脆弱性が
懸念されている[1]。そこで、本研究では、OF-CTL
への攻撃対策を施すことを目標とする。
経路通知機能
(3)経路変更依頼
長時間フロー
評価実験
図2のルータ機能のプロトタイプを実装し、その
フィージビリティ検証を行った。実験条件を表1に示
す。ログ等の確認により、実装した提案機能が動作
することを確認できた。
表1:実験条件
機能
パケット転送機能
(ルータ転送機能)
フロー識別機能
(ルータ転送機能)
経路通知機能
(ルータ転送機能)
経路通知機能
フロー判定条件
フロー粒度
OpenFlow スイッチ
OpenFlow コントローラ
クライアント
サーバ
アプリケーション
(3) 経路設定応答
ルータ
(1) パケット入力
カスタマ
サーバ
(4) パケット出力
送信元アドレスを偽り、毎回違えた送信
図1:OpenFlow のパケット転送モデルと攻撃モデル
4.
攻撃対策
提案の攻撃対策を図 2 に示す。この対策では、
OF-CTL の経路制御負荷を減少させるために、
OF-SW と OF-CTL の間に、ルータ機能を挿入する。
初期状態では、OF-SW に入力されたパケットを全て
ルータ機能に転送し、ルータ機能において、出力先
を決定し、パケット転送を行う。
ルータ機能は、パケット転送時に、フローとしての
継続時間を推定する。もし、フローが長時間継続す
ると判断した場合は、OF-CTL へ通知し、転送経路
をカットスルー経路に切り替える。この経路は、ルー
タ機能を経由せず、OF-SW が出力先を選択する。
(1)ルータ経由転送
5.
インターネット
OF- W
OF- W
(4)カットスルー転送
図2:OpenFlow コントローラへの攻撃対策
データセンタ
ホスト
パケット入力 パケット出力
カスタマ
サーバ
攻撃モデル
攻撃ホストは、OF-SW が入力パケットの出力先を
決められないようなパケットを、多数送信する。例え
ば、図 1 の点線部のように、送信元アドレスを偽り、
毎 回 違 え て 送 信 す る 。 こ の 結 果 、 OF-CTL の
OF-SW 負荷が異常増加する。また処理能力を超え
ると、転送処理に支障が生じ、サービス妨害される。
OF-C L
パケット転送機能
短時間フロー
3.
(2) 経路設定依頼
フロー識別機能
ルータ 機能
(4)カットスルー
転送経路設定
2.
パケット転送モデル
OF-SW は、任意粒度のフロー単位にパケットの
転送経路を設定できる。この設定は OF-CTL が次
の通りに行う(図1も参照)。
(1) フローの先頭パケットが OF-SW へ入力
(2) OF-SW が出力先を決定できず、OF-CTL へ
該当フローの経路設定を依頼
(3) OF-CTL が OF-SW に経路を設定
(4) OF-SWが設定経路に従い入力パケットを出力
経路制御信号
OF-C L
実装
CentOS6.4
Ruby
1.9.3p551
Mongo DB
2.6.7
手動
宛先/送信元 IP アドレス
10 パケット/分
Open vSwitch 1.10.0
Trema 0.4.4
CentOS6.4
CentOS6.4
ping
6.
おわりに
本研究により、OpenFlow コントローラへのサービ
ス妨害攻撃による影響の緩和が期待される。短時間
しか継続しないフローは、スループット要求よりは、
遅延要求の方が厳しいことも多く、ルータ機能による
転送は親和性が高いと考えられる。また、長時間継
続するフローは、スループット要求が厳しいことが多
いため、OpenFlow スイッチによるカットスルー転送
が有効であると考えられる。将来的な課題は、経路
切り替えタイミングの最適化と、ルータ機能への異常
フローの検出・遮断機能の追加である。
参考文献
[1] 宮田 他、「OpenFlow を用いたプロセスオートメーション
向け帯域制御セキュリティ確保の研究」、信学和文誌 D
Vol.J97-D No6 pp.1068-1081、2014 .