中高生の科学コンテスト参加のバックアップを 植松祐輝 京都大学理学研究科 先日,私立中学で英語を教えている妻から「科 学の甲子園ジュニア」の京都府代表選考に参加す る生徒たちに何か講義のようなものができないか と相談があった.現在,博士後期課程 3 年の私は 高 校 時 代 に「 物 理 チ ャ レ ン ジ 2005」で 入 賞 し ,国 際物理オリンピックの代表候補になったのだが, 最終選考で落ちたという経験を持つ.自分の教育 経験にもなるだろうと,前向きに検討している. 以前,教育実習で卒業した高校を訪れたとき, 理科教員の方々と雑談する機会があったのだが, やはり自校の生徒が「〇〇オリンピック」などの 科学コンテストに参加するとなると,バックアッ プや引率など,仕事が増えるという.私が中高生 だった頃は,まだまだ無名だった科学コンテスト も,今では大会の数も増え,また大学入試への優 遇などもあり,参加者が増加しているようだ. これまでも日本代表選考レベルでは,それぞれ の OB/OG が 後 輩 た ち を 指 導 し 、 応 援 す る と い っ た体制があったと思うが,予選参加レベルでは, 生徒が独学するか、もしくは科学系クラブの顧問 や理科教員が対応してきたのだと思う.実際のと ころ,現場では,そういった科学コンテストに参 加する生徒のバックアップに困っているのが実情 ではないだろうか. 科学コンテストが国内で開催されるようになっ てから数十年以上経った.こういった才能教育に 批判はあろうが、科学コンテストの参加者(優秀 成績者のみならず、私のような落選組も含む)の 多くが,大学院生やポスドク,スタッフとなり研 究の現場で活躍されているのではないかと想像す る.生徒の自発的な科学コンテスト参加に,バッ ク ア ッ プ し よ う と 思 う 科 学 コ ン テ ス ト の OB/OG 諸氏は多いと思う. 現状では,大学院生が科学コンテストを目指す 中学生・高校生をサポートする機会は少なく,ま た地方ではこういったサポートを行うのは難しい かもしれないが,大学院生の教育的ポテンシャル を是非とも活用すべきではないだろうか.
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