職員のための自治体民法講座(余白ノート)

事例から民法の基本を学ぶ−職員のための自治体民法講座(余白ノート)
(2015 年 10 月 22 日一部増補版)
田中孝男
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民法改正と自治体法務(1)−このテーマを取り上げる意義
(1)目的
平成 27(2015)年春、施行されれば 120 年ぶりとなる民法大改正関連法案が、国会に
上程された。
「民法の一部を改正する法律案」及び「民法の一部を改正する法律の施行に伴
う関係法律の整備等に関する法律案」である。前者を、民法改正法案と、後者を民法改正
整備法案という。同法案は、2015 年通常国会では可決されなかったが、国家レベルではイ
デオロギー的に対立する法案ではないので、それほど時を置かずに可決されると予想され
る(学説や弁護士等の法律実務レベルでは、そもそも基本法制を大きく変える必要性があ
るのか疑問されているほか、個別条項への批判も多数ある)。
ここでは、これら2法案がそのまま制定・施行された場合における、次のテーマに関し
て検討を行う。第一点目は、同改正による地方自治行政実務への影響を明らかにすること
である。第二点目は、当該影響から派生して、民法改正整備法案では措置されなかったが、
今後、新たに必要となる法制度改革の論点と改革の方向性を提示することである。
(2)学術的意義
上記(1)は行政実務に対する意義といえる。また、もしかすると、この検討に、学術
的な意義があるかもしれない(このコーナーを観ている関連分野の研究者は多くないと思
うので、わざわざ述べなくてよい事項かもしれないが…)。
行政法学では、近年、行政活動における行為形式としての契約について、その意義が重
視されている。であるならば、これらの法改正が、行政活動における諸理論、特にいわゆ
る行政契約法の理論にも影響を与えることは、必定のはずである。
また、例えば、行政主体が締結する契約やその金銭上の債権債務については、民法の特
則が多々定められている。そこで、民法大改正関連法案の制定・施行により、こうした特
則の存置等についても改めて見直しが必要になると考えられる。だが、こうした見直しは、
法務省の所管事項ではないから、民法改正整備法案では対応していない。そうすると、こ
の度の民法大改正関連法案の制定・施行を受けて、今後、自治体や国の財務会計における
関連制度の適切な見直しが、求められるようになる。このコーナーは、その論点を先取り
することを目指している。
(3)用語の意義
ここでは、民法改正法案による改正後の条文を「改正民法○○条」の要領により、民法
改正整備法による改正後の関係法律の条文を「改正○○法××条」の要領により表示をす
る。改正のなかった条文については単に「民法○条」と表示し、民法改正法による改正が
あった条文につき改正前の条文を表記するときは「旧民法○○条」の要領により表示する。
また、成立していない法律なので、正確には「法案」と表記すべきものを、成立した法
律のように「改正民法…」と表記することを一般的な表記とする。
その他の用例は、民法改正整備法に関する各法律についても同様とする。法律の略称は、
有斐閣六法全書の例による。年号表示は、「元号(西暦)○○年」の例による。
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(4)議論の順序
改正民法の内容は多岐にわたり、一つの制度であっても長大な条文により構成されるも
のと、比較的短い条文で構成されるものがある。以下では、筆者が関心を持ち、能力的に
書き記すことのできるものから順に紹介することとしたい。
なお、このコーナーでは、改正民法法案の内容の検討に関わる経過については、扱うこ
とがない。これについては、民法学の研究成果を参考にしてほしい。
また、泥縄式に検討をしているため、説明が不正確・誤りであったり、不十分であった
りしている箇所も見られると思われる。おわびするとともに、各自において関係文献など
を参照して内容の確認をされることをお願いする。
2
民法改正と自治体法務(2)−改正民法の施行期日
改正民法法案の施行期日は、基本的には、公布の日から起算して3年を超えない範囲内
において政令で定める日である(同法案附則 1 条本文)。平成 27(2015)年中に可決され
たとしても、平成 30(2018)年4月が、直近の施行期日になると思われるので、注意を要
する。
ただ、改正民法の施行に伴って、自治体における各種制度の改正を要することになるが、
その準備のための猶予期間は、年度でいえば、2箇年度しかないことになる。つまり、改
正法が公布された年度の次の年度(平成 27(2015)年度に公布の場合、平成 28(2016)
年度)までには、対応すべき制度の改革内容を固めなければ、平成 29(2017)年度に印刷
を済ませた契約書の約款を用意したり、電算システムを改修するといった予算を伴う制度
改正のための予算を確保したりすることが、できないことになる。法改正までの準備期間
は、決して長くはない。
3
民法改正と自治体法務(3)−意思能力
(1)意思表示の一般法理と自治体法務
意思表示の一般的法理は、私法関係だけではなく、行政上の法律関係にも適用されると
考えられる。到達主義に関する規定(旧民法 97 条 1 項)であるが、最 3 小判昭和 29( 1954)
年 8 月 24 日刑集 8 巻 8 号 1372 頁【★】 1がその旨を示す 2。
そうすると、民法改正法案における意思表示関係の法改正は、単に自治体における私法
上の法律関係にとどまらず、自治体と私人の間の法律関係全般に影響を及ぼすものと考え
られる。
最高裁の小法廷でなされる判決・決定について、当該小法廷名を記す(例、最 1 小判…)。ま
た、【★】は、裁判所のホームページ(http://www.courts.go.jp/)で見ることのできる判例であ
る。
2 この事件は、傷害窃盗詐欺罪が問われた刑事事件である。同事件で、被告人(弁護人)は、公訴
を提起した検察官が資格を喪失しているから公訴は無効と主張した。当該検察官は、国会議員に
立候補すべく辞職願を出したものの、その後、適法な期間内に撤回したところ、事務手続に間に
合わず辞職が官報に登載されたが、検察官本人には辞令が到達していなかった。最高裁は、本文
中の判断を示し、辞職の処分は未発令として、被告人の上告をしりぞけた。民法の規定が行政上
の法律関係の形成に適用され得るのかという論点について、刑事事件で判断されたという点で、
やや筋の悪い事件といえる。
1
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(2)意思能力関係規定の新設
改正民法は、新たに「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかった
ときは、その法律行為は、無効とする。」との意思能力の規定を新設した(3 条の 2)。この
新条文の内容自体は、確立した判例であったと思われる(大判明治 38(1905)年 5 月 11
日民録 11 輯 706 頁)。私人による行政上の意思表示について意思能力を有することは一般
論として肯定されていたが、新民法 3 条の 2 は、これについても明文で裏付ける意義を有
するだろう。
これに対して、主として納税の申告と、登記申請について、意思能力がない者も有効に
なし得るのではないかとの主張が見られる 3。
前者の納税の申告については、意思能力がない者も租税要件の充足という事実により抽
象的納税義務を負うことがあり、意思能力のない者も有効な申告をなし得るとするのであ
る。だが、法人税の修正申告が争われた事件において、申告者につき意思能力がない場合
は無効であることを前提として、意思能力があったことを理由として原告の請求を斥けて
いる事件がある(大阪地判平成 11(1999)年 3 月 25 日 LEX/DB28071211 及びその控訴
審大阪高判平成 12(2000)年 7 月 21 日 LEX/DB28091346) 4。
後者の意思無能力者の名義による登記申請について、古くは大審院大正 5(1916)年 12
月 26 日大審院民事判決録 22 輯 2521 頁が、「 不動産登記法第四十九条第一号及ヒ第二号
ノ場合ヲ除クノ外ハ意思無能力者カ登記ヲ申請シタル場合ト雖モ登記官吏カ一旦登記ノ手
続ヲ完了シタル後ハ抹消登記ノ登記権利者ハ其登記義務者ト共同スルカ又ハ之カ意思表示
ニ代ルヘキ裁判ヲ提出シ又登記上利害関係ヲ有スル第三者アルトキハ尚ホ其承諾書又ハ之
ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ヲ提出スルニ非サレハ登記ノ抹消ヲ申請スルコトヲ得サルモ
ノニシテ登記ニ対スル抗告ノ方法ニ依ルコトヲ得サルモノト解スルヲ相当トス 」と述べて
いた。戦後早い時期の裁判例にも、満 3 歳であり意思能力を欠く者の名義による登記申請
を無効としなかったものがある(福岡高判昭和 27(1952)年 11 月 29 日下民集 3 巻 11 号
1712 頁)。しかし、近年は、意思無能力の場合は登記申請意思を欠き、それが無効である
(場合がある)ことを前提とした判示をすると読める判決もある(福岡高裁那覇支判昭和
58(1983)年 11 月 22 日判例タイムズ 530 号 169 頁) 5。
筆者は、「新民法 3 条の 2 は、法律又は条例に基づく行為については条例で特別な例外
規定を明確に設けない限り、行政上の法律関係に一般的に及ぶ(適用又は類推適用される)」
と考えるのが妥当と解する。
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民法改正と自治体法務(4)−法定利率制度の改革
(1)改正民法の内容
現在の民事法定利率は年 5%であるが(旧民法 404 条)、当該利率は、年 3%となる(改
正民法 404 条 2 項)。この利率は固定されるわけではなく、改正法施行後、3 年周期で、法
務省令において、変動利率を設定する(同条 3 項)。この変動法定利率は、大まかに言え
3
石井昇『行政法と私法』(ぎょうせい、1998 年)294∼298 頁を参照した。
両判決は、いずれも、原告の自由意思による修正申告を認めたため、他の論点に対する判断も含
め、原告の請求を斥けた。
5 上告審最 3 小判平成元(1989)年 9 月 19 日判例タイムズ 710 号 121 頁は、原審判断を是認。
4
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ば、銀行の短期貸付け(貸付期間 1 年未満の貸付け)の平均利率に連動している(同条 4
項・5 項)。また、民法改正整備法により、商事法定利率(旧商法 514 条)が廃止され、民
事法定利率と一本化されている。
加えて、上記変動利率制の導入に伴い、金銭給付を目的とする債務不履行のときの遅延
利息の計算は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める
(改正民法 419 条 1 項本文)。
なお、改正民法の施行日前に利息が生じた場合におけるその利息を生ずべき債権に係る
法定利率については、なお従前の例による(改正民法附則 15 条 1 項)。商事法定利率につ
いても、同様である(民法改正整備法附則 4 条 3 項)。
(2)自治体財務への影響等
履行期限を過ぎた債権債務に遅延利息の発生はつきものであるから、民事法定利率改革
は、自治体財務活動に直接かつ(おそらく)比較的大きな影響を与える。
ア
国家賠償・不法行為損害賠償の遅延利息
国家賠償及び不法行為に基づく損害賠償に付される利息は、法定利率によっている。し
たがって、改正民法 404 条(及び 419 条 1 項本文)の規定は、自治体の賠償で支払うべき
こととなる金額の計算に影響を与える。
また、不当利得返還請求に関して、悪意の受益者は、利息を付して利益を返還する必要
がある(民法 704 条)。この場合の利率は、現行法でいえば、民事法定利率又は商事法定利
率となる 6。
自治体が賠償金等を支払うのではなく、違法な財務会計行為であるとして自治体が関係
者に対し不当利得や損害を請求する時もあり得る。そのときにもこの利息(利率)が関係
してくるので留意する必要がある。
イ
自治体が締結する契約
自治体が契約等に基づいて金銭の支払をすべきときに履行遅滞となり、遅延利息が生じ
たときには、契約で約定の利率の下限の定めについて、政府契約の支払遅延防止等に関す
る法律(支払遅延防止法)8 条の制限規定が準用される(同法 14 条による同法 8 条等の準
用)。支払遅延防止法 8 条の利率は、
「財務大臣が銀行の一般貸付利率を勘案して決定する
率」である(この利率を「支払遅延防止法の利率」という) 7。
自治体が公有地を売却する場合において相手方が金銭の支払義務を負い、期限までに支
払わないというときや、自治体が前払金を支払っている場合に当該契約が解除となったと
きなどにおいて生ずる遅延利息については、支払遅延防止法は適用されない。ただ、通常
は、契約書を交わす場合は、遅延利息の定めに関して、支払遅延防止法の利率をもって、
双方の遅延利息の利率としているものと思われる。
そうすると、改正民法の法定利率の規定は、自治体が締結する契約には、あまり影響が
ないかもしれない。
ただ、改正民法の法定利率も銀行の利率に連動する変動制に移行したことから、今後は、
民法 704 条の不当利得返還に付す利息について、商行為及びこれに類する行為によって生じた
ものではないもの(利息制限法により生じる過払金返還)について、民事法定利率の年 5%である
と判示した、最 3 小判平成 19(2007)年 2 月 13 日民集 61 巻 1 号 182 頁参照。
7 こうした変動金利制は、支払遅延防止法制定当初(昭和 24(1949)年)から採用されていた。
6
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一般の私経済取引をより円滑なものとするために、これらの利率の一元化が望ましいよう
に思われる(もっとも、民法の所管は法務省、支払遅延防止法の所管は財務省ということ
で、調整には時間がかかるかもしれない)。
5
民法改正と自治体法務(5)−消滅時効制度
(未完)
(1)問題の所在
地方自治法(以下「自治法」という)235 条 1 項は、自治体が有する債権債務(自治体
の債権債務)について、「時効に関し他の法律に定めがあるものを除くほか、」5 年で時効
により消滅する旨を定めている。今日、同項の「他の法律」に民法が含まれることが判例
上確立している 8。この結果、自治体の債権債務のうち、公法上の法律関係から生じる債権
債務は自治法 235 条が、私法上の法律関係から生じるそれは民法及びその特別法が適用さ
れることになる。このことは、民法大改正法案における消滅時効制度の変更が、自治体の
債権債務の消滅時効に直ちに重大な影響を及ぼすことを意味する。
(2)民法改正法案と民法改正整備法案の内容
ア
消滅時効の期間の変更
民法改正法案は、時効制度について大幅な改革を行っている。自治体の債権債務に関連
するとその内容は、消滅時効の期間変更に関わるものと、時効完成の手続に関わるものに
大別される。
前者に関しては、まず、一般的な債権の消滅時効に関し、①債権者が権利を行使できる
ことを知った時から 5 年間、又は権利を行使することができる時から 10 年間、行使しな
いときは、債権は時効によって消滅するとした(改正民法 166 条 1 項 1 号及び 2 号)。
ただし、②人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効は、権利を行使す
ることができる時から「10 年間」という時効期間を、「20 年間」に延長している。
第三に、③短期消滅時効の制度が廃止された(改正後の関係条項は、「民法 170 条から
170 条の 4 まで
削除」となっている)。
次に、④不法行為に係る損害賠償請求権の消滅時効について、従前は、被害者とその法
定代理人が損害と加害者を知った時から 3 年間又は不法行為の時から 20 年間というもの
であった(旧民法 724 条)。改正民法法案では、この部分について、条文の体裁は変わった
が内容は変更がない(改正民法 724 条)。ただ、これに加え、人の生命又は身体を害する不
法行為による損害賠償請求権の消滅時効については、前記 3 年間とあるのを 5 年間に延長
している(改正民法 724 条の 2。新設)。不法行為時から 20 年間という要件は、人の生命
身体を害する不法行為にあっても変更されていない。これらによって、一般の債権の消滅
時効と同じ期間となるように思われる。
民法改正整備法関連では、まず、⑤商事消滅時効が、廃止された(改正商法 522 条が「削
除」となっている)。また、⑥製造物責任法における損害賠償請求権の消滅時効も、民法の
不法行為における損害賠償請求権の消滅時効と平仄をとった、人の生命身体を害するもの
の時効期間の延長(「3 年間」から「5 年間」へ)を行っている(改正製造物責任法 5 条)。
リーディングケースとされるのは、国有財産の売払に係る代金債権の消滅時効を旧会計法 30 条
の規定による 5 年とすべきでないと判示した、最 3 小判昭和 41(1966)年 11 月 1 日民集 20 巻 9
号 1665 頁【★】である。
8
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ただし、⑦これら以外の個別の法律で消滅時効の時効期間が定められている債権債務につ
いては、民法改正整備法による改正はなされていない(例えば、各種給付を受ける権利に
関する短期消滅時効を 2 年としているものが多いが、個別法のものの短期消滅時効に民法
改正整備法案による改正はなされていない)。
イ
時効完成の手続に関する改正
時効完成の手続規定については、次のような改正がなされている。
①時効の援用権者である当事者につき、消滅時効にあっては保証人など権利の消滅につ
いて正当な利益を有する者が含まれることが明記された(改正民法 145 条) 9。
次に、②「時効の中断」が「時効の完成猶予」に改められた(改正民法 147 条)。従前の
時効の中断事由等に関する規定は、時効の完成猶予制度に改められて、規定整備がなされ
た(改正民法 147∼154 条)。また、③時効の完成猶予の事由が終了した時から新たに時効
の進行は始まる(改正民法 147 条 2 項)。これを「時効の更新」と呼んでいる。
その他、民法改正整備法では自治法 236 条が改正され、④自治体の債権債務の消滅時効
の起算点につき「権利を行使することができる時」と規定した(改正自治法同条 1 項)。消
滅時効の起算点については、同内容が旧民法 166 条に定められていたし、民法改正法案も
同様となっている。これに平仄を合わせた改正といえよう。
(3)関係法解釈論上の課題
自治体の債権債務には、思いのほか民法の短期消滅時効が適用されるものが多い。水道
料金・2 年(最 2 小決 2003(平成 15)年 10 月 10 日・上告不受理。その控訴審・東京高
判 2001(平成 13)年 5 月 22 日判例集未登載・LEX/DB28100339)、公立病院・3 年(最
2 小判 2005(平成 17)年 11 月 21 日民集 59 巻 9 号 2611 頁【★】)がその典型である。
よって、民法改正法案の施行日の前後で、短期消滅時効に該当していた、自治体におけ
る私法上の債権債務は、取扱いを異にすることとなる。民法改正法案の施行日前に生じて
いた債権の消滅時効についてはなお従前の例によるとされているためである(民法改正法
案附則 10 条 4 項)。これは、会計年度の途中に同改正法の施行日が設定されると、同じ年
度に生ずる債権債務について、施行日をはさんで消滅時効の時効期間が異なることを意味
する。そうなると、財務会計処理は著しく混乱すると思われる。これは、国の有する債権
債務も同じと思われるため、民法改正法案の施行期日は会計年度の当初(4 月 1 日)に設
定されるであろう。
(未完)
従前の最高裁判例は、民法 145 条は「規定の趣旨は、消滅時効についていえば、時効を援用し
うる者を権利の時効消滅により直接利益を受ける者に限定したもの」としていた(最 2 小判昭和
42(1967)年 10 月 27 日民集 21 巻 8 号 2110 頁【★】)。その点で、「正当な利益」は、当事者の
範囲をやや拡大したようにも読める。
9
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