樹木の成長を測る ICT デンドロメータ製品

樹木の成長を測る ICT デンドロメータ製品
2015 年 2 月 14 日
樹木の成長度合いを測る測定器デンドロメータ。主に樹幹の肥大成長を観察することを目的として利用されてい
ますが、二酸化炭素吸収による炭素貯蔵量や炭素固定量などの調査や気候変化による樹木の生理特性の観
察などにも利用されています。ICT 社ではお客様の調査目的やコストパフォーマンスに応じていくつか異なるタイプ
のデンドロメータをご提供しており、簡易で安価に利用できるマニュアルバンド式デンドロメータのほか、樹木の収縮
肥大の両方を自動計測するロギング式デンドロメータ、樹木の辺材成長を観察できる新しいデンドロメータなどが
ございます。
DBM80 マニュアルバンド式 デンドロメータ
マニュアルバンド式デンドロメータ/樹幹周囲長測定ゲージは商
業林や森林学研究に広く利用されている計測器です。樹幹に
スチールテープを巻きつけ、専用ゲージに通せば測定が可能で
す。低価格で非常に簡易に設置でき、また目視で実測できる
手軽さがあります。
DBL60 自動ロギンク式 デンドロメータ
DBL60 は配線不要な独立型の自動計測デンドロメータで
す。50,000 データ記録できるメモリとおよそ 4 年ほど稼動す
るバッテリーが搭載され、一般的なデータロガーを使ったもの
とは異なり、通信用の配線や供給電源用のケーブルが全く
ない、完全に独立して利用することができるデンドロメータで
す。スチールテープを樹幹に巻いて固定するマニュアルバンド
式に近い非破壊での設置ができます。
樹幹成長による幹周囲の肥大計測だけでなく、収縮膨張
を精確に測定できます。
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DBV60 データロガー用 デンドロメータセンサー
DBV60 は DEN1 データロガーに接続できるデンドロメータセンサーで
す。DBL60 が完全に独立した測定を実施するのに対し、DBV60 は
データロガーを介し、複数のデンドロメータセンサーや温度、湿度セン
サーなど他の計測センサーと共に利用する調査に適しています。
電圧値を読込む他社製のデータロガーにも利用することができます。
標準ケーブル長は 5m ですが希望により延長することは可能です。
樹幹成長による幹周囲の肥大計測だけでなく、収縮膨張を精確に
測定できます。設置方法は DBL60 と同じです。
右のグラフはDBL60(DBV60)を使い東欧のSpruce樹
を1年間観察したものです。樹幹の周囲長(太線)と外気
温度を示しています。全体として、およそ15mmの周囲長
増加をしたことがわかります。また冬季は気温が氷点下
10度以下になることもあり、低温により水分が凍結し、収
縮していることが観察されています。
左のグラフはオーストラリア シドニーのバナナを2週間観察
したものです。夏季に計測し、デンドロメータを設置した部
分の周囲長は当初42cmでしたが、およそ14mm増加し
ています。グラフの山谷を繰り返しているものは外気温
度、実線が周囲長の変化です。温度が山になる部分が
日中を示しているので、周囲長が日中に減少していること
がわかります。これは夜間に蓄えられた水分が日中に放
出されているためと思われます。
これらのデータが示すように DBL60/DBV60 は樹幹の増減変化をしっかりと捉えることができ、また高温・低温下
の環境でも十分測定が可能です。また樹木に負担をかけることなく測定でき、設置が非常に簡単なため森林調
査に適した測定器です。
<製品構成> 測定に必要なもの
DBM80
DBL60
 DBM80 スライドスケール
 DBL60 本体
 スチールテープ 15m
 IRCABLE(赤外線通信器)
 スチールテープ 15m
DBV60
 DBV60 本体
 スチールテープ
 データロガー(DEN1)
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DEN1 デンドロメータ用データロガー
DEN1 デンドロメータロガーは最大 10 台の DBV60 デンドロメ
ータセンサーもしくは 5 台の DEN5 デンドロメータセンサーを接続
し、同期計測することができます。無線機能により遠距離からの
設定やデータ回収の通信が可能です。
左図の下部にあるのが DEN1 本体です。DEN1 には制御に必
要な電子部品が含まれ、データを記録するメモリが搭載されてい
ます。また外部からの供給電源やパソコン等への有線通信はこ
こで行います。
画像中央の黄色いケースはブレイクアウト・ボックスとよばれ
DEN1 に含まれるアクセサリーです。ここには拡張基盤があり
DBV60 センサーを接続するためのソケットが用意されています。
そして上部にあるのが DBV60 です。DBV60 には標準 5m 長
のケーブルがあるのでブレイクアウト・ボックスから周辺の樹木また
高木の異なる位置にセンサーを設置することができます。
<DEN1 製品構成> 購入時に含まれるもの
 DEN1 本体
 ブレイクアウトボックス(拡張器)
 MicroSD メモリ(4Gb)
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DEN5 樹幹/辺材成長 同時計測デンドロメータセンサー
DEN5 は、これまでの樹木周囲長/樹幹肥大成長
の測定器にはなかった、木部と篩部の変化を別々
に同時計測できる革新的な計測器です。
DEN5 デンドロメータは高精度な樹木成長測定
器で、中木・高木の樹木樹幹肥大成長を連続的
に長期間の計測をしながら、日中の樹幹の収縮と
膨張も精確に測定できる計測器です。
測定原理
DEN5 ラジアルデンドロメータは植物組織の収縮と膨張を
観察するために樹木の単一軸に沿って(樹木の中心に向
かって)ロッド(固定軸)を挿入し固定ます。そしてこのロッドに
二つのセンサーを固定し、ひとつは樹皮、もう一つは形成層
下の辺材表面に接触させ、樹木の成長を比較観察。
ロッドが樹木成長に影響しない心材もしくは樹木中心に到
達し、ロッド先端にあるネジでしっかりと固定することで、ロッ
ドが樹木の成長に関係なく、常に同じ位置に固定されるた
め、計測に必要な判断基準を作ることができます。
それから組織液圧の反応(糖分、水流動、状態などの情
報)を示す木部と篩部組織の直径変化を比較計測するた
め二つのセンサーをロッドに固定します。
この二つのセンサー(デュアル置換変換)を使い反応を比較
し、辺材の膨張収縮また樹幹の全体変化の両方を精確
に計測します。
樹皮をはがすことで木部組織は露出されるため、人為的な
乾燥を防ぐため辺材表面に真空グリースを塗布します。
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DEN5 樹幹/辺材成長 同時計測デンドロメータセンサー
DEN5 デンドロメータセンサーは DEN1 データロガーに接続できるデンドロメータセンサーです。
基本的なセンサー出力は、樹幹変化をミリメートル
(1µm または 0.001mm 解像度)で表現します。
実験者から提供された樹木の開始直径と挿入深さなど
の情報は設定パラメータとして装置に記録され、また全
体の樹幹周囲長、樹幹直径、木部直径、篩部直径、
一日の最大直径および最小直径、そして自動的に計
算された一日の最大収縮幅などがデータとして記録され
ます。
データは EXCEL などの表計算ソフトウェアで利用できる
CSV ファイルで出力されます。
右グラフは高木ユーカリ樹のデータです。およそ1
ヶ月間の計測を実施し、樹木の放射方向(幹
の中心から外に向かって)0.6mmの増加があり
ました。(DBL60/DBV60とは異なり周囲長変
化ではありません)。
日中の水分損失のパターンは、このDEN5デンド
ロメータのデータによく反映されます。
ひとつの山が一日を示しており、下の時間軸と比
べるとわかるように、夜間は樹幹が肥大し日中に
収縮しており、樹幹に完全に水が満たされた後
の早朝の樹幹は最大直径になり、最小直径は
だいたい日中から夕方にかけ(樹幹の水ポテンシ
ャルが低いときに)よく記録されました。
樹幹成長/周囲長計測は、連続的に植物水ポテンシャルを計測できる PSY1 ステムサイクロメータや蒸散との関係を測る
SFM1 樹液流計測器などを共に利用することで、樹幹の成長測定だけでなく、樹幹肥大が降雨による水分状態の影響な
のか気候によるものか、また樹幹の収縮が蒸散活動によるものなのかなどより明白に区別がつくことでしょう。
告 知
2015 年 5 月に日本国内でワークショップを開催します。参加を希望される方は下記メールアドレスにご連絡ください。
[email protected]
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