公開特許公報 特開2015

〔実 6 頁〕
公開特許公報(A)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許出願公開番号
特開2015-173631
(P2015−173631A)
(43)公開日 平成27年10月5日(2015.10.5)
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A23L
2/00
(2006.01)
A23L
2/00
T
4B017
A23L
2/38
(2006.01)
A23L
2/38
A
審査請求
(21)出願番号
特願2014-52532(P2014-52532)
(22)出願日
平成26年3月14日(2014.3.14)
未請求 請求項の数5 OL (全9頁)
(71)出願人 306019030
ハウスウェルネスフーズ株式会社
兵庫県伊丹市鋳物師3丁目20番地
(74)代理人 100092093
弁理士
辻居 幸一
(74)代理人 100082005
弁理士
熊倉 禎男
(74)代理人 100084663
弁理士
箱田 篤
(74)代理人 100093300
弁理士
浅井 賢治
(74)代理人 100119013
弁理士
山崎 一夫
(74)代理人 100123777
弁理士
市川 さつき
最終頁に続く
(54)【発明の名称】スターアニス抽出物を含む容器詰炭酸飲料
(57)【要約】
【課題】炭酸感が強化された容器詰炭酸飲料の提供を目
的とする。
【解決手段】本発明は、20℃における炭酸圧が2.2
kg/cm
2
以下の容器詰炭酸飲料であって、スターア
ニス抽出物を原生薬換算量で0.01重量%以上含む容
器詰炭酸飲料を提供する。
【選択図】図1
( 2 )
JP
1
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A
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2
【特許請求の範囲】
【特許文献】
【請求項1】
【0003】
2
20℃における炭酸圧が2.2kg/cm 以下の容器
【特許文献1】特開2006−166870号公報
詰炭酸飲料であって、スターアニス抽出物を原生薬換算
【特許文献2】特開2010−068749号公報
量で0.01重量%以上含む容器詰炭酸飲料。
【特許文献3】特開2013−121323号公報
【請求項2】
【発明の概要】
スターアニス抽出物の含有量が、原生薬換算量で0.0
【発明が解決しようとする課題】
1重量%以上2重量%以下である請求項1に記載の容器
【0004】
詰炭酸飲料。
【請求項3】
しかしながら炭酸感を強化するために辛味成分を配合す
10
ると、余計な辛味が付与されて所望する風味が得られな
スターアニス抽出物が、水及び/又は親水性有機溶媒を
い問題があり、また微細ゲルなどの特殊な原料を使用す
抽出溶媒として抽出されたものである請求項1又は2に
ると製造コストが上昇してしまうなどの問題があった。
記載の容器詰炭酸飲料。
また炭酸飲料を封入する容器の耐圧性や製造性等により
【請求項4】
、設定できる炭酸圧には限度がある。よって本発明は、
さらにカフェイン、アルギニン及びビタミンB類を含む
制限された炭酸圧においても所望する強めの炭酸感を感
請求項1から3のいずれか1項に記載の容器詰炭酸飲料
じることができる炭酸飲料及び炭酸感強化剤の提供を目
。
的とする。
【請求項5】
【課題を解決するための手段】
容器詰炭酸飲料のための炭酸感強化剤であって、スター
【0005】
アニス抽出物を含む炭酸感強化剤。
20
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を行った
【発明の詳細な説明】
。その結果、スターアニス抽出物を用いることにより上
【技術分野】
記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに
【0001】
至った。
本発明は、炭酸感が強化された容器詰炭酸飲料及び炭酸
具体的には、本発明は、20℃における炭酸圧が2.2
感強化剤に関する。
kg/cm 以下の容器詰炭酸飲料であって、スターア
【背景技術】
ニス抽出物を原生薬換算量で0.01重量%以上含む容
【0002】
器詰炭酸飲料に関する。ここで「原生薬換算量」とは、
炭酸飲料は、飲用時に炭酸ガスの刺激によって特有の清
抽出物を得るために必要な生薬の乾燥重量を指す。以下
涼感が得られ、広く普及している清涼飲料である。その
でも「原生薬換算量」をこの意味で用いる。さらに本明
特有の清涼感をもたらす炭酸感を強化するためには、炭 30
細書においては、炭酸圧とは20℃における炭酸圧を表
酸ガスの注入圧を高めればよいが、容器の耐圧性や噴き
す。
こぼれ等の製造性の問題からその注入圧には限度がある
また本発明は、容器詰炭酸飲料のための炭酸感強化剤で
。さらに、配合する原料によっては、同じ炭酸圧でも炭
あって、スターアニス抽出物を含む炭酸感強化剤に関す
酸感が弱く感じられることや、容器充填後に必要とされ
る。
る加熱殺菌工程によって炭酸圧を高く設定できないとい
【発明の効果】
った問題もある。
【0006】
炭酸飲料においては、その特有の清涼感をもたらす炭酸
本発明により、本来の炭酸圧に相当する炭酸感よりも強
感を強化するためのさまざまな試みがなされている。特
い炭酸感を有する炭酸飲料を得ることができる。これに
開2006−166870には、スピラントール(キク
より所望する炭酸感を得るために必要とされるレベルよ
科オランダセンニチ、キバナオランダセンニチ等に含ま 40
りも炭酸圧を下げることができるため、製造時や容器を
れる辛味成分)又はスピラントールを含有する植物抽出
開封する際の噴きこぼれを抑制することができる。さら
物若しくは植物精油の添加によって炭酸飲料の炭酸感を
に本発明の炭酸感強化剤は、炭酸飲料製造時の中間原料
増強又は維持する方法が開示されている。特開2010
として任意の段階で希釈して使用することができる利便
−068749には、カプシカム抽出物等に由来する辛
性に優れたものである。
味成分を有効成分として含有する炭酸感増強剤が開示さ
【図面の簡単な説明】
れている。また特開2013−121323号には、メ
【0007】
ジアン径で300μm以下の増粘安定剤の微細なゲルを
【図1】スターアニス抽出物の配合量による炭酸感の強
含有することを特徴とする炭酸感付与剤が開示されてい
さを示す図である。
る。
【発明を実施するための形態】
【先行技術文献】
2
50
【0008】
( 3 )
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3
4
以下本発明について詳細に説明する。なお本発明は以下
量を指し、例えば50∼500mLがその量である。以
の態様に限定されるものではない。ここで別に記載され
下でも「一回の経口摂取量」をこの意味で用いる。
る場合を除き、量、比又はその他の値が、範囲、下限値
アルギニンとしてはL−アルギニンを用いることが好ま
及び上限値のいずれかで示されているとき、開示される
しく、塩の形態で用いてもよい。市販のアルギニンを使
範囲にかかわらず、いずれの下限から形成される範囲、
用することができ、例えば、糖源から発酵法により製造
いずれの上限から形成される範囲又はいずれの下限及び
された高濃度(例えば98.0重量%以上)のアルギニ
いずれの上限の任意の対から形成された全ての範囲を具
ンを使用することができる。アルギニンは、併用される
体的に開示していると理解されるものとする。
カフェインの自発運動興奮作用を増強する量で使用する
本発明の容器詰炭酸飲料は、スターアニス抽出物を含む
。
ことができる。本発明の容器詰炭酸飲料におけるL−ア
10
スターアニス(学名:Illicium
ルギニンの含有量は、一日の経口摂取許容量以下であれ
verum、
ば求められる効能に応じて適宜調整すればよく、例えば
別名:八角、ダイウイキョウ、トウシキミ、ハッカクウ
一回の経口摂取量当たり50∼1,000mgとなるよ
イキョウ)は、中国、台湾、ベトナムなどに分布するシ
うに配合することができる。
キミ科の常緑高木である。果実や果実からとれるオイル
ビタミンB類としては、チアミン(ビタミンB1)、リ
は薬用や香辛料、香味料として利用され、八つの果実(
ボフラビン(ビタミンB2)、ナイアシン(ビタミンB
袋果)が集合している形状からスターアニスと呼ばれる
3)、パントテン酸(ビタミンB5)、ピリドキシン(
。アニスやウイキョウに似た香りがあり、主に中華料理
ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)
に使われ、豚の角煮などの煮込み料理やデザートに使わ
及びそれらの誘導体から選択される1種以上が挙げられ
れる。果実には約3%の精油が含まれており、その主成
る。本発明においては、ビタミンB1を用いることが好
分はアネトール(約85%)であり、その他にエストラ 20
ましい。
ゴール、ピネンなどが知られている。スターアニスは摂
ビタミンB1を用いる場合、その塩の形態で使用しても
食により、興奮作用を与えると言われている。スターア
よい。本発明の容器詰炭酸飲料におけるビタミンB1の
ニス抽出物は、果実を乾燥させたものを熱水または有機
含有量は、求められる摂取量、風味又は容器の容量に応
溶媒により抽出して得られる。本発明の容器詰炭酸飲料
じて適宜調整すればよく、例えば一回の経口摂取量当た
におけるスターアニス抽出物は、原生薬換算量で、0.
り遊離塩基換算で0.1∼50mgとなるように配合す
01、0.02、0.04及び0.1重量%のいずれの
ることができ、0.2∼25mgとなるように配合する
下限から、0.4、1及び2重量%のいずれの上限の範
ことが好ましく、0.3∼10mgとなるように配合す
囲で含有させてもよい。例えば、原生薬換算量で、0.
ることがより好ましい。例えば、本発明の容器詰炭酸飲
01重量%以上、0.01重量%以上2重量%以下又は
料におけるビタミンB1の含有量は、遊離塩基換算で1
0.01重量%以上1重量%以下の範囲で含有させるこ 30
×10
とができる。このような割合でスターアニスを含有させ
ができる。または、以下のスターアニス抽出物の含有量
ることにより、20℃における炭酸圧が2.2kg/c
との比を満たすように含有させてもよい。
2
- 5
重量%以上0.1重量%以下の範囲とすること
m 以下の容器詰炭酸飲料において、本来の炭酸圧に相
ビタミンB1は、他のビタミンB類にはない苦味やえぐ
当する炭酸感よりも強い炭酸感を有する炭酸飲料を得る
味又はケミカルな風味を有するものとして知られるが、
ことができる。
本発明の発明者らは、このような好ましくない風味を有
【0009】
するビタミンB1を配合することにより、スターアニス
本発明の容器詰炭酸飲料は、さらにカフェイン、アルギ
抽出物が有する独特の生薬感を抑制できることを見出し
ニン、ビタミンB類及びその他の植物原料からの抽出物
た。本発明の容器詰炭酸飲料における、スターアニス抽
を含んでいてもよい。
出物の原生薬換算量に対するビタミンB1(遊離塩基換
カフェインは市販のカフェインを使用することができる 40
算)の含有量は、重量比で0.001、0.002、0
。例えば、コーヒー豆から熱水抽出して製造される高濃
.005及び0.01のいずれの下限から、0.1、0
度(例えば98.5重量%以上)のカフェインを使用す
.15、0.5及び1のいずれの上限の範囲とすること
ることができる。カフェインは、摂食により自発運動興
ができる。例えば0.001以上1以下、0.005以
奮作用を奏する。本発明の容器詰炭酸飲料におけるカフ
上0.5以下又は0.005以上0.15以下の範囲で
ェインの含有量は、一日の経口摂取許容量以下であれば
含有させることができる。このような割合でスターアニ
求められる効能に応じて適宜調整すればよく、例えば一
ス抽出物とビタミンB1とを配合することにより、スタ
回の経口摂取量当たり10∼400mgとなるように配
ーアニスが有する独特の生薬感が抑制され、かつビタミ
合することができる。ここで「一回の経口摂取量」とは
ンB1が有する苦味等も抑制された飲みやすい飲料を得
、本発明の飲料が短い時間間隔(例えば10分以下の時
ることができる。
間)をおいて断続的に、または連続的に経口摂取される
50
本発明の容器詰炭酸飲料におけるビタミンB1以外のビ
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タミンB類の含有量は、適宜設定することができ特に限
は、飲料中に十分に溶解された状態とするため、抽出溶
定されないが、総量で2×10
- 7
重量%以上0.5重量
媒として水及び/又は親水性有機溶媒を用いたものであ
%以下とすることができる。
ることが好ましく、水及び/又はアルコールを用いたも
【0010】
のであることがより好ましい。アルコールとしてはエタ
その他の植物原料からの抽出物としては、例えば高麗人
ノールであることが好ましい。アルコールと水を混合し
参抽出物、エゾウコギ抽出物、ナツメ抽出物及びショウ
て用いる場合、その混合比は特に限定されないが、例え
ガ抽出物(ジンゲロール)が挙げられる。
ば重量比で10:90以上90:10以下の範囲が好ま
高麗人参抽出物は、高麗人参(オタネニンジン)の地下茎
しく、20:80以上50:50以下の範囲であること
部分を熱水または有機溶媒により抽出して得られる。高
がより好ましい。これらの植物原料からの抽出物は、上
麗人参は摂食により滋養強壮効果を与えると言われてい 10
記のようにして得られる抽出液を乾燥させて粉末にした
る。高麗人参抽出物の含有量は、例えば一回の経口摂取
ものや、水やエタノールを用いて抽出されたものである
量当たり原生薬換算量で10mg以上となるように配合
場合には抽出液の形態で市販されているものを用いるこ
することができる。
とができる。
エゾウコギ抽出物は、エゾウコギの根及び根茎を乾燥し
【0012】
たものを熱水または有機溶媒により抽出して得られる。
本発明では、上記原料以外にも、必要に応じてさらに果
エゾウコギは摂食により、末梢血液循環改善や抗疲労作
汁、糖類、甘味料、調味料、酸味料、増粘剤、酸化防止
用による疲労回復を与えると言われている。エゾウコギ
剤及び乳化剤等の原料を含有させることができる。これ
抽出物の含有量は、例えば一回の経口摂取量当たり原生
らの原料は飲料製造の分野で通常使用されるものであれ
薬換算量で4mg以上となるように配合することができ
ば特に限定されない。具体的には、りんご、レモン及び
る。
20
オレンジ等の果汁、果糖、ブドウ糖、砂糖、果糖ぶどう
ナツメ抽出物は、ナツメの果実を乾燥させたものを熱水
糖液糖、デキストリン、蜂蜜及び水あめ等の糖類、カラ
または有機溶媒により抽出して得られる。ナツメは摂食
メルシロップ、スクラロース及びアセスルファムカリウ
により、強壮作用を与えると言われている。ナツメ抽出
ム等の甘味料、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、ク
物の含有量は、例えば一回の経口摂取量当たり原生薬換
エン酸、クエン酸三ナトリウム、リンゴ酸、酒石酸、乳
算量で10mg以上となるように配合することができる
酸及びアスコルビン酸等の酸味料、アラビアガム、カラ
。
ギーナン、カラヤガム、カルボキシメチルセルロース(
ショウガ抽出物は、ショウガの地下茎部分を有機溶媒、
CMC)、寒天、キサンタンガム、グアーガム、ジェラ
水、超臨界流体又は亜臨界流体である溶媒により抽出し
ンガム、ゼラチン、大豆多糖類、タマリンドガム、ペク
て得られる。ショウガ抽出物には、辛味受容体であるT
チン及びローカストビーンガム等の増粘剤、ビタミンC
RPV1受容体に作用して辛味を感じさせるジンゲロー 30
、トコフェロール(ビタミンE)、酵素処理レシチン及
ルが含まれる。ショウガ抽出物としては、溶媒による抽
びカテキン等の酸化防止剤ならびにグリセリン脂肪酸エ
出液、抽出液を濃縮又は希釈したもの、抽出液からジン
ステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
ゲロールを精製又は粗精製したもの、精製されたジンゲ
テル、レシチン、植物性ステロール、サポニン及びポリ
ロールを乳化して可溶化した製剤のいずれも使用するこ
ソルベート等の乳化剤が挙げられる。また、l-メント
とができる。抽出溶媒としては、ジンゲロールを抽出す
ール及びメントール類縁体等の香料やビタミンC等のビ
ることができる溶媒であれば特に限定されない。ショウ
タミン類をさらに添加してもよい。これらの原料は、本
ガ抽出物中にはジンゲロールが通常2.0重量%含有さ
発明の目的を損なわない範囲で含有させればよい。
れる。ジンゲロール濃度はHPLC法により測定するこ
本発明の容器詰炭酸飲料は、種々の炭酸飲料に適用する
とができる。ショウガ抽出物の含有量は、例えば一回の
ことができ、特に限定されないが、スターアニス抽出物
経口摂取量当たりジンゲロールが0.1mg以上となる 40
の他、さらにカフェイン、アルギニン及びビタミンB類
ように配合することができる。
を含む炭酸飲料とすることが好ましい。
【0011】
本発明の炭酸感強化剤は、上記のスターアニス抽出物を
スターアニス抽出物をはじめとする植物原料からの抽出
含んでいればよく、その形態は限定されないが、必要に
物の抽出方法は、特に限定されない。例えば、水、エタ
応じて乳化剤等とともに水に溶解させた形態とすること
ノール、メタノール、イソプロパノール、プロピレング
ができる。本発明の炭酸感強化剤は、容器詰炭酸飲料を
リコール、ジエチルエーテル、石油エーテル、ヘキサン
製造する際に、スターアニス抽出物が上記含有量となる
、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、動植物油脂
ように希釈して使用することができる。
及びこれらの2種以上の混合物から選択される溶媒を用
【0013】
いることにより、植物原料から溶媒可溶性成分を抽出す
本発明の容器詰炭酸飲料は、上記原料を水に溶解させた
ることができる。本発明における植物原料からの抽出物 50
調製液を5℃まで冷却し、炭酸ガスを溶解させた炭酸水
( 5 )
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と混合するか、又はこの調製液を5℃まで冷却して炭酸
ガスを圧入した後、容器に充填密封することにより製造
することができる。上記原料を水に溶解させた調製液は
、必要に応じて濾過・滅菌処理を施してもよい。容器に
充填密封後にさらに65℃で10分以上に相当する加熱
殺菌処理を施してもよい。
ここで上記原料を水に混合する際には、特に粉体形態の
原料を十分に溶解させる必要がある。溶解が不十分であ
ると、溶解しきらなかった原料の微粒子が炭酸ガスの気
泡の核となり、製造時や開封時の噴きこぼれの原因とな 10
りうる。十分に溶解させるためには、原料を蒸留水に加
えた後、40℃以上の温度で撹拌すればよい。また適宜
乳化剤を用いてこれらの原料を溶解させてもよい。
本発明の炭酸感強化剤は、スターアニス抽出物を含み、
必要に応じて乳化剤等とともに水に溶解させることによ
り製造することができる。
本発明の容器詰炭酸飲料における炭酸圧は、使用する容
器の耐圧性や製造性等を考慮して適宜選択できる。本発
明における炭酸圧は、20℃において、0.2kg/c
2
2
m 以上2.2kg/cm 以下とすることができ、0.
2
2
2
2
20
2kg/cm 以上2.0kg/cm 以下、さらには0.
2kg/cm 以上1.8kg/cm 以下とすることがで
きる。本発明の容器詰炭酸飲料においては、これらの炭
酸圧で通常得ることができる炭酸感よりも強化された炭
酸感を得ることができる。
本発明に使用する容器は、アルミ缶、スチール缶、ペッ
トボトル、瓶など、炭酸飲料に使用される材質、形状の
容器の中から、製品の特性により適宜選択することがで
きる。本発明の容器詰炭酸飲料に使用する容器において
は、アルミ缶、ペットボトル、瓶が好ましく、アルミ缶 30
がより好ましい。
【実施例】
【0014】
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。
なお、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるもの
ではない。
実施例1から5及び比較例1から3の容器詰炭酸飲料を
【0016】
表1に示す配合量で調製した。
調製した容器詰炭酸飲料の炭酸感について官能評価を行
スターアニス抽出物は日本粉末薬品株式会社製(商品名
った。官能評価は、20歳以上50歳以下の健常な男女
:スターアニスエキスパウダー)を用いた。表中の各原 40
7名のパネラーにより、0∼10段階(0:炭酸感が弱
料の数値は重量部を表し、スターアニス抽出物について
い∼10:炭酸感が強い)で評価した。結果を図1に示
は原生薬換算量での配合量を表す。各原料を水に添加し
す。なお統計処理は、実施例と比較例との群間比較に対
、撹拌しながら95℃達温まで加熱して十分に溶解させ
応のあるt−検定を用いて行った。いずれも両側検定で
た。この溶液を5℃まで冷却後、炭酸水で割り込み、直
有意水準を危険率5%とし、10%以下の場合は傾向あ
ちにアルミ缶に封入した。
りとして判断した。
【0015】
スターアニス抽出物を含む実施例1から5は、スターア
【表1】
ニス抽出物を含まない比較例1と比較すると、同じ炭酸
2
圧(20℃)(1.8kg/cm )を有するにも関わ
らず、より強い炭酸感が得られた。スターアニス抽出物
50
を原生薬換算量で0.043重量%含む実施例3では、
( 6 )
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10
2
より高い炭酸圧(20℃)(2.0kg/cm )を有
と同等の炭酸感が得られた。また、スターアニス抽出物
する比較例2と同等の炭酸感が得られた。スターアニス
を含む実施例の容器詰炭酸飲料は、比較例と比べて炭酸
抽出物を原生薬換算量で0.108重量%含む実施例4
ガスの気泡がより細かく感じられ、清涼感を有しつつも
及び0.43重量%含む実施例5では、さらに高い炭酸
炭酸ガスの刺激による辛味が抑制された、のどごしのよ
2
圧(20℃)(2.2kg/cm )を有する比較例3
い飲みやすいものであった。
【図1】
────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(74)代理人
100179925
弁理士
(72)発明者
伊藤
窪田
真紀
真由美
兵庫県伊丹市鋳物師3丁目20番地
(72)発明者
石川
兵庫県伊丹市鋳物師3丁目20番地
(72)発明者
鈴木
ハウスウェルネスフーズ株式会社内
健太
ハウスウェルネスフーズ株式会社内
朋樹
兵庫県伊丹市鋳物師3丁目20番地
Fターム(参考) 4B017 LC09
LP15
LE10
LG15
LK04
ハウスウェルネスフーズ株式会社内
LK06
LK08
LK11
LK14
LK16
LL09