経済産業政策の変遷 2015年7月31日 経済産業省 経済産業政策局 桑原 智隆 1. これまでの経済産業政策 戦後の日本経済の変遷 低成長 東日本大震災 人口 % リーマンショッ ク・金融危機 1.5% 1.0% 人口ボーナスによる成長の享受 69 67 65 63 61 59 57 55 2010 2000 不良債権処理 4.3% 5.0% 金融危機 バブル崩壊 1990 プラザ合意 日米貿易摩擦 10.4% 1980 石油ショック 7.7% 大阪万博 (実質) 1970 東京五輪 経済 年代平均 成長率 1960 朝鮮戦争 1950 安定成長 高度経済成長 戦後復興 (高齢化率:%) 25 (生産年齢人口比率:%) 生産年齢人口比率(左軸) 20 高齢化率(右軸) 15 10 就業人口減による成長の鈍化 5 0 1950 1955 就業構造 60% 1965 1970 32% 1980 48% 1985 1990 1995 2000 2005 2010 第一次産業 第二次産業 第三次産業 59% 23% 40% 20% 1975 製造業の拡大による成長の牽引 100% 80% 1960 34% 41% 26% 14% 0% 1955 1960 1965 1970 1975 5% 1980 1985 1990 (出所)総務省「国勢調査」、「労働力調査」、「人口推計」、財務省「法人企業統計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」 1995 2000 2005 3 産業政策の重点の推移 戦後復興期 ①供給制約の解消 供給サイドの統制 不足する資源をどう再配分するか。 ②外部不経済への対応 市場調整機能の補完 外部不経済をどう規制するか。 構造調整をいかに促進させるか。 傾斜生産方式 ③事業環境整備 企業の事業活動を促進、下支え する制度・環境をどう整えるか。 ④需要の創出 新たな需要をいかに開拓する か。 財閥解体、独禁法 高度経済成長期 産業合理政策 重化学工業化の推進 地域工業政策、列島改造論 過当競争の調整 バブル後の 調整期 安定成長期 石油危機への対応 公害、消費者問題への対応 産業構造調整 研究開発支援 通商政策(経済連携) 規制改革 年代以降 2000 事業再編、事業革新、ベンチャー支援 地球温暖化対策 エネルギー対策 エコポイント エコカー 戦略市場創造プラン 4 戦後復興期 ①供給制約の解消 供給サイドの統制 産業政策の関連法制の推移 ②外部不経済への対応 市場調整機能の補完 ③事業環境整備 ④需要の創出 企業合理化促進法(昭和27年) ・機械設備の特別償却、税制特例、財政投融資。 機械工業振興臨時措置法(昭和31年) 電子工業振興臨時措置法(昭和32年) 高度経済成長期 ・産業合理化の推進(開銀融資、合理化カルテル、特別償却)。 特定産業振興臨時措置法(昭和38年廃案) ・官民協調方式による産業再編成(税制特例、共同行為等)。 特定繊維構造改善臨時措置法(昭和42年) ・過剰設備処理促進。 バブル後の調整期 安定成長期 • 石油需給適正化法 • 国家生活安定緊急措置法 • 省エネ法 特定不況産業安定臨時措置法(昭和53年) 特定産業構造改善臨時措置法(昭和58年) ・特定不況業種の指定、債務保証、独禁法適用除外。 新事業創出促進法(平成11年) 年代以降 2000 ・ベンチャー支援(助成金、信用保険、ストックオプションの会社法特例)。 産業活力再生特別措置法(平成11年) ・事業再編成、ベンチャー支援(財投融資、機構設置、税制特例、会社法特例等)。 • 低炭素投資促進法 • 課題解決法(廃案) 産業競争力強化法(平成26年) ・生産性向上設備投資促進税制、企業実証特例制度・グレーゾーン解消制度、ベンチャー投資促進税制 5 産業政策の役割/特徴の変遷 ①重点産業の支援方法 • 特定産業に着目し、その産業に属する企 業を広く支援。 例 機振法 ○ 対象を特定の産業に限定。 ○ 政府の合理化計画に沿った企業を支援。 産業は特定せず、付加価値、生産性等を向 上させる企業のみを後押し。 例 産活法 ○ 対象業種を限定せず。 ○ 生産性向上基準(ROA、一人あたり付加価値額、 有形固定資産回転率)、財務健全化基準(有利子負 債のキャッシュフローに対する比率、経常収支)に照らし、 向上が見込まれる企業のみが支援対象。 ②供給制約の解消から需要の創出へ 特定の供給制約の解消が優先課題。 ○ 傾斜生産方式による資源・資金の優先配分 ○ 外貨、輸入枠の割り当て ○ 政府系金融機関による資金供給 ③ハード面からソフト面のビジネス環境整備へ インフラ投資などハード面のビジネス環境整 備 ○ 工業用水の整備。 ○ 交通インフラの整備。 ④国内立地政策からグローバルな立地政策へ 都市圏と地方圏との国内の最適配置。 需要の喚起、市場の創出と獲得。 ○ エコポイント、エコカー補助金 ○ インフラ、システム輸出の支援 企業がイノベーションを生みやすい事業環境を 整備。 ○ 規制改革の実施。 ○ 研究開発促進税制。 グローバルな立地競争への対応、空洞化対 策。 6 今後の産業政策の基本的方向性 需要サイド 供給サイド 新たな供給制約への対応 ・少子高齢化、社会保障問題 ・エネルギー制約・環境制約 グローバル化に対応した立地 環境の整備 新たな内需の喚起/創出 イノベーションの促進 海外需要の取り込み ① 雇用システムの改革(女性 、高齢者、若者、学び直し) ① 円滑な事業再構築と産業再 編の環境整備 ② 立地環境整備(法人税、 物流インフラ等) ② 規制改革とイノベーションシス テムの改革 ③ 戦略的な研究開発の促進、 設備投資支援 ③ ベンチャービジネスを創出する ビジネス生態系の構築 ① 東アジアの活力の活用 ② ブランド戦略、知財戦略 (クールジャパン) ③ 課題解決型の市場創造 7 (参考1)戦後復興期 戦後~1950年代半ば • • • GHQにより財閥が解体され市場の寡占化が解消。あわせて、独禁法、証券取引法が制定され、公 正な競争秩序、経済的民主主義が確立する。 大戦の影響により鉱工業生産は戦前の20%まで低下。これに対し傾斜生産方式が実施され、鉄 鋼、石炭に限られた資金、資源を、重油を重点配分。重要物資の生産量を回復する。 海外権益を喪失し資源を輸入に依存することになったことから、貿易立国を志向し通産省を設置。 輸出競争力強化のため幼稚産業を保護し、産業合理化を推進する。 鉱工業生産の推移(1946~53 年) 国内総生産と成長率(名目ベース) 8.00 25% 7.00 20% 6.00 15% 5.00 10% 4.00 5% 3.00 0% 2.00 1.00 -5% 0.00 -10% 1943 1944 1945 1946 1947 1948 1949 1950 1951 1952 1953 名目GDP(兆円) ※1945年はデータなし。 200.00 180.00 160.00 140.00 120.00 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 名目成長率 8 (参考2)戦後復興期 戦後~1950年代半ば 昭和20年 ○ 財閥解体、農地改革、労働改革 (1945年) ・軍需省から商工省に復帰 昭和21年 (1946年) ・傾斜生産方式 昭和23年 ○ 経済安定九原則(GHQ) (1948年) ○ ドッジ・ライン ○ 固定相場制移行 ・通商産業省の設置 昭和24年 (1949年) ・産業合理化に関する件(閣議決 定) ・外為法制 ○ シャウプ勧告 昭和25年 ○ 朝鮮戦争 (1950年) ・日本輸出銀行の設立 ・外資法 ○ サンフランシスコ講和会議 ・わが国産業合理化方策について 昭和26年 (1951年) (産合審答申) ・日本開発銀行の設立 昭和27年 ○ IMF加盟 (1952年) GHQによる改革と経済的民主主義の確立 ①財閥解体 :集中排除法、企業再建整備法及び独占禁止法により、財閥の持ち株会社に集中 していた株式を一般に開放し、生産体制の過度集中を排除。 ②農地改革、労働改革 :農業所得、雇用者所得の向上と消費拡大をもたらすとともに貯蓄形成を促進。 ③証券取引法の制定 : 民間からの資金調達を促進。 傾斜生産方式(46~48年) :鉱工業生産の迅速な回復を目指し、石炭、鉄鋼、次いで肥料、電力などの重点産 業に資源(輸入重油)、資金(復興金融公庫)を優先配分。 :終戦直後、戦前の20%に落ち込んだ鉱工業生産は48年末で6割超、50年には 戦前の水準まで回復。 通商産業省の設置(49年) :戦中、統制経済遂行のために改組された軍需省から商工省に復帰。 :国内中心経済から貿易立国を目指すため、輸出産業の飛躍的振興を図る組織と して、戦後設置された外局の貿易庁とあわせて通商産業省を設置。 産業合理化政策の推進(49年以降) :単一為替レートの決定を背景に、輸出競争力を向上するため、重化学工業を中心 に資源の効率的利用、生産合理化、輸出増進を促す一連の政策を展開。 ① 企業合理化審議会の設置。(産業ごとの企業合理化方針の策定) ② 外為法・外資法による外貨の優先割り当て。(外国技術の導入促進) ③ 高い関税率の設定、輸入割当による幼稚産業の保護。 ④ 企業合理化促進法・傾斜税制(設備投資の特別償却、) ⑤ 政府系金融機関による融資。(日本開発銀行、日本輸出銀行の低利融資) 9 (参考3)高度経済成長期 1950年代後半~1970年代初頭 • • • 重化学工業化を政策的に推進、製造業、とりわけ重化学工業中心の産業構造に転換。 輸出が順調に増進し、59年には対米収支が黒字化。国際収支の改善に伴い貿易自由化、資本 自由化を段階的に実施。 貿易自由化、資本自由化の中、外資に対抗するという観点から国内の過当競争による弊害が指摘 され、生産調整、産業再編成が進められる。 産業構造の変化(名目生産額ベース) 国内総生産と成長率(実質ベース) 250.00 14% 12% 200.00 10% 150.00 8% 6% 100.00 4% 50.00 実質GDP(兆円) 実質成長率 1973 1972 1971 1970 1969 1968 1967 1966 1965 1964 1963 1962 1961 1960 1959 1958 1957 1956 1955 0.00 2% 0% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 第一次産業 第二次産業 第三次産業 10 (参考4)高度経済成長期 1950年代後半~1970年代初頭 昭和30年 ○ GATT加盟 (1955年) ○ 経済自立五カ年計画 昭和31年 ○ 国際連合加盟 (1956年) ・機振法 昭和35年 ○ 所得倍増計画 (1960年) ・貿易為替自由化計画大綱決定 昭和37年 (1962年) 昭和38年 (1963年) 昭和39年 (1964年) 昭和42年 (1967年) ・第一次全国総合開発計画 ・「産業構造調査会答申」 (新産業体制論) ○ OECD加盟 ○ IMF8条国に移行 ○ 四大公害訴訟 ・第一次資本自由化 昭和43年 ○ GNP世界2位 (1968年) 昭和44年 (1969年) 昭和46年 (1971年) 昭和47年 (1972年) 昭和48年 (1973年) ・第二次全国総合開発計画 ○ ニクソンショック ・「70年代の通商産業政策」 (産構審中間答申) ○ ハイパーインフレ ○ 日米繊維協定 ・列島改造論 ○ 変動相場制への移行 ○ 第一次石油ショック 産業構造の重化学工業化 :産業合理化政策を継続するとともに、重化学工業化を推進、「所得弾力性基準」 、「生産性上昇率基準」を満たす産業として、乗用車、石油化学、機械、電子機器 等を特に支援。 :政策金融支援や特別償却制度、合理化カルテルなどを支援内容とする特定の産 業を支援する個別振興法が制定。 ① 機械工業振興臨時措置法(機振法、昭和31年) ② 電子工業振興臨時措置法(電振法、昭和32年) ③ 航空機工業振興法(昭和33年) 貿易自由化・資本自由化 :重化学工業を中心に輸出が増進し、59年には対米収支が黒字化。これに伴い、 当初の保護貿易から転換、貿易為替自由化計画を決定し、国際競争力の高まった 品目から数次に分けて自由化を実施。 :63年のOECD加盟、IMF8条国(為替輸入制限の撤廃義務)への移行を契機 に、数次に分けて段階的に資本自由化を実施。 貿易自由化に対する新産業体制論 :貿易自由化、資本自由化に伴い重化学工業が外資に対し競争力を失うのではな いかという懸念より、過当競争に陥っていた企業を集約、寡占化し、産業の再編成を 促進することが提唱される。 :官民協調方式により、生産調整、産業再編成を促進する「特定産業振興臨時措 置法(特振法、昭和38年)が国会に提出されるが、自主調整方式を主張する産業 界の反対により廃案となる。 :以降産業再編成は行政指導などの誘導・呼び水的なソフトな手段を軸に実施。 11 (参考5)安定成長期 1970年代初頭~1980年代 • • • • 公害、消費者保護、貿易摩擦、寡占企業の弊害、人口集中等などの新たな弊害が顕在化。従来 の国際競争力強化の一本槍の路線から転換し、社会的問題の解決が優先課題となる。 従来の重化学工業から知識集約型産業、創造的知識集約型産業などのハイテク産業、高度サービ ス産業に産業政策の重心がシフト。 また、2度の石油ショックを受けて、省エネの推進と構造不況業種の調整が進められる。 経常収支の恒常的黒字化に伴い、対米摩擦が激化。輸出の自主規制や国内市場の開放が米国 側より求められる。 国内総生産と成長率(実質ベース) 産業構造の変化(名目生産額ベース) 500.00 10% 80% 400.00 8% 60% 6% 300.00 4% 200.00 2% 100.00 実質GDP(兆円) 実質成長率 1990 1989 1988 1987 1986 1985 1984 1983 1982 1981 1980 1979 1978 1977 1976 1975 1974 1973 0.00 0% -2% 40% 20% 0% 第一次産業 第二次産業 第三次産業 12 (参考6)安定成長期 1970年代初頭~1980年代 昭和46年 (1971年) ○ ニクソンショック ・「70年代の通商産業政策」 (産構審中間答申) ○ ハイパーインフレ 昭和47年 ○ 日米繊維協定 (1972年) ・列島改造論 昭和48年 ○ 変動相場制への移行 (1973年) ○ 第一次石油ショック 昭和49年 ・「産業構造の中期ビジョン」 (1974年) (産構審中間答申) 昭和54年 ○ 第二次石油ショック (1979年) ・「80年代の通商産業政策」 (産構審答申) ○ 土光臨調(第二次臨時行政調 昭和56年 査会) (1981年) ○ 日米自動車協議 昭和60年 ○ プラザ合意 (1985年) 昭和61年 ○ 前川リポート (1986年) 平成元年 ○ 日米構造協議 (1989年) 平成2年 ○ バブル崩壊 (1990年) 昭和55年 (1980年) 70年代の通商産業政策(「70年代ビジョン」) :貿易立国が達成されたこと、公害、消費者問題等の新たな問題が発生したことなどを 受け、従来の成長追求型から福祉国家を目指した産業政策に転換。 ① 「重化学工業」から「知識集約型産業」へ。 :従来の基準に加え、「環境・過密基準」、「勤労内容基準」を採用し、研究開発集約産 業、高度組立産業、ファッション型産業の3つの産業への転換を推進。 →80年代ビジョンでは技術立国を目指し、よりハイテク分野へ特化する「創造的知識 集約型産業」に転換。 ② 公害規制の推進(公害対策基本法、水質汚濁防止法、大気汚染防止法 等) ③ ハイテク産業育成に向け研究開発投資を促進。 (研究開発共同組合方式、大型研究開発プロジェクト) 石油ショックへの対応 :原油価格の高等を受け、価格安定施策や省エネ法等による省エネの促進策。 :あわせて高エネルギー消費型産業(鉄鋼、非鉄金属、紙、パルプ、木材等)を構造 不況業種として、特安法(特定不況産業安定臨時措置法)や産構法(特定産業構 造改善臨時措置法)などの特別法により産業調整支援を実施。 日米貿易摩擦 :経常収支が恒常的に黒字化。対米輸出の自主規制や国内市場開放を実施。 72年 日米繊維協定(対米輸出の自主規制) 77年 鉄鋼、カラーテレビの輸出自主規制。 85年 プラザ合意により円高誘導。自動車メーカーの米国現地生産開始。 89年 日米構造協議(公共投資拡大、土地税制見直し、大店法の規制緩和等) 93年以降 日米包括経済協議→年次改革要望書。(米の部分開放、規制緩和) 13 (参考7)経済停滞期 1990年代~ • • バブル期の過剰投資、過剰設備投資が重荷となって企業の成長が低迷。デフレ経済の進行、人口 減少の影響もあり、失われた20年と呼ばれる低成長の時代に。 企業の新陳代謝を促進する観点から、事業革新法、産活法等の支援法が制定され、過剰設備投 資の処理や事業転換、ベンチャー起業が促進される。 また、地球温暖化対策や、エネルギー制約など、新たな供給制約への対応が重要な課題となる。 国内総生産と成長率(実質ベース) 6% 520.00 4% 500.00 2% 480.00 0% 460.00 -2% 440.00 -4% 420.00 -6% 400.00 -8% 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 540.00 実質GDP(兆円) 実質成長率 産業構造の変化(名目生産額ベー ス) 80% 60% 40% 20% 0% 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 • 第一次産業 第二次産業 第三次産業 14 (参考8)経済停滞期 1990年代~ 平成2年 ○ バブル崩壊 (1990年) 平成7年 (1995年) ・事業革新法。 平成9年 ○ アジア金融危機 (1997年) ○ 京都議定書採択 平成11年 (1999年) ・産業活力再生特別措置法 ・新事業創出促進法 ・日本政策投資銀行に改組。 平成13年 ○ 小泉構造改革 (2001年) ・中央省庁改革 経済産業省発足 平成15年 ・産業再生機構設置。 (2003年) 平成17年 ・新産業創造戦略 (2005年) 平成20年 ○ リーマンショック (2008年) 平成22年 ・新成長戦略 (2010年) 平成23年 ○ 東日本大震災 (2011年) ・経済社会ビジョン 平成24年 ・日本再生戦略 (2012年) 平成25年 ・日本再興戦略 (2013年) 構造調整、事業革新の推進 :90年代の長期不況の中、産業空洞化、雇用環境に悪化に対する産業構造の転 換と雇用対策の推進が課題に。 :事業革新法により、個別企業を対象として過剰設備の処理、事業転換を支援。( 財投融資、債務保証、特別償却等) :03年には産業再生機構が設置され、破綻企業の経営再建が進められる。 産業活力再生特別措置法による事業再編、ベンチャー支援 :バブル期の非効率な投資や過剰設備によって日本企業の成長が低迷している自体 に対し、過剰設備の処理や事業体制の見直し、企業再編を促進するため、産業活力 再生特別措置法を制定。 【支援措置】 ① 事業再構築の円滑化(商法特例、財投融資、債務保証) ② 創業・新規事業の開拓支援(商法特例、債務保証) ③ 研究活動の活性化(日本版バイドール条項) :同法は、2011年に至るまで4次にわたって改正。ベンチャー企業等への出資を行う 産業革新機構の設置や、支援措置の強化が行われ。2000年代を通じて産業政策 の主要ツールとして機能。 地球温暖化対策、エネルギー制約への対応 :地球温暖化問題に対する対応が国際的な課題に。地球温暖化対策推進法に基 づき、国際的取り組みの推進、再エネ、省エネの研究開発、導入促進、低炭素投資 の促進などを実施。 :原発事故を契機とする原子力利用の見直し、原油価格高騰による電力の安定供 給、電力価格上昇への対応などエネルギー制約への対応が課題に。 15 2. 日本経済の中長期的な課題 日本企業の競争力の低下 ○ 国際的な投資競争の中で、投資意欲の乏しい日本企業は国際競争力を失い、技術で 勝っていた半導体や液晶といった分野で世界シェアを縮小。 ○ 企業の収益性も国際的に見て低迷している。 利益率の比較(4業種) 主要製品の日本企業の世界シェア推移 25 日本企業の利益率は、海外企業の半分以下 (利益率) (2011年度) 20 15 (半導体) 10 欧州企業 北米企業 日本企業 5 0 (出所)小川 紘一「製品アーキテクチャのダイナミズムと日本型イノベーション・システム ―プロダクト・イノベーションからビジネス・モデル・イノベーションへ―」 情報・… 自動車 家電 重電・… (出所):日本機械輸出組合「日米欧アジア機械産業の国際競争力の現状」を基に経済産業省作成 17 国内の競争環境と国際比較 ○ 国際的には業種毎に主要企業が集約されているが、日本では同一業種内に多くの企業が 存在し、国際競争力が分散。技術や設備投資等の面で優位性が低下する懸念あり。 ○ 国際競争に勝ち抜くためには、海外企業と同等の事業規模の確保が重要。 【各産業における各国の企業例】 【日韓エレクトロニクス企業の投資比較】 研究開発費 設備投資 T 資料:経済産業省作成 備考:「日系3社」はパナソニック、ソニー、シャープ 資料:各社公表IR資料より経済産業省作成 18 消極的な設備投資、停滞する雇用者報酬 ○ バブル経済崩壊後、我が国企業による債務圧縮の過程で、国内の設備投資は大きく落ち 込み、減価償却の範囲内でしか行われていない状況が継続。 ○ 新興国の台頭や企業のグローバル競争激化を受けたコスト競争の中で、近年、交易条件 (輸出物価/輸入物価)は米国などと比べて悪化の傾向。 ○ こうした中、一人当たり給与はバブル経済崩壊以降、停滞。 【国内設備投資の推移】 (兆円) 70 【各国交易条件の推移】 (交易条件=輸出物価/輸入物価) (万円) 500 90年代以降投資に消極的 (2005年=100) 110 60 改善 105 設備投資 50 350 95 90 300 ドイツ 250 85 30 80 20 10 150 70 100 2011 2006 2001 1996 1991 1986 1981 1976 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 2013 (出所)財務省「法人企業統計」より経済産業省が作成 2010 2012 2005 2011 2000 2010 1995 2009 1990 2008 1985 2007 1980 2006 0 1975 2005 (備考)日本銀行、ブンデスバンク、韓国銀行、BEAより作成 悪化 1970 1971 50 1965 1966 60 韓国 1960 1961 65 (出所)財務省「法人企業統計」より経済産業省が作成 200 日本 75 減価償却費 停滞 450 400 米国 100 40 0 【一人当たり給与の推移】 19 高まる貯蓄率、伸びない消費、デフレの進展 ○ 我が国では、将来に対する先行き不安から、貯蓄率が上昇傾向。 ○ 給与の伸び悩みや先行き不安の増大を受け、国内消費も伸び悩み、デフレの大きな要因の 一つとなっている。 【勤労者世帯の貯蓄率と 「老後の生活不安」の関係】 3.0 170.0 貯蓄率(%) 29 2.8 2.7 2.6 2.5 160.0 28 【消費者物価指数(生鮮食品除く総合) の推移(前年度比)】 【民間最終消費支出】 米国 2.2 2.0 2.1 12年度:▲0.2% 1.8 150.0 1.5 140.0 2008年 130.0 0.0 -0.8 -0.2 -0.9 -1.5 -1.6 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1993 1992 -2.0 1991 (出所)内閣府「国民経済計算」、OECD statより作成。 0.0 0.3 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 (出所)総務省「家計調査」、内閣府「国民生活に関する世論調査」 1.家計調査は2人以上の世帯(農林漁家世帯を除く勤労者世 帯)。 2.横軸は、「国民生活に関する世論調査」で「悩みや不安を感じてい る」人にその理由を聞いたとき、「老後の生活設計について」と回答した 人の割合(複数回答)。 3.「国民生活に関する世論調査」は各年実施だった時期があるため、 調査のなかった年はその前年の結果と同じとした。 2002 40 50 60 90.0 老後の生活設計に不安を感じる人の割合(%) 2001 30 2000 20 -0.9 -1.0 1990 22 100.0 -0.2 -0.2 0.1 -0.5 -0.5 1989 1985年 -0.1 日本 1988 23 -0.2 2003 110.0 0.4 0.0 0.0 1987 24 0.5 0.3 2002 120.0 0.5 1986 25 0.7 0.5 ユーロ圏 1985 26 1.2 1.1 1.0 1994 27 出所:総務省「消費者物価指数」 20 貿易収支・経常収支の大幅な悪化 ○ 2011年以降、貿易赤字が定着。輸出は回復傾向にあるものの、鉱物性燃料や工業製品 輸入の高止まりにより、2014年の貿易収支は▲12.8兆円と過去最大の赤字に。 ○ 2014年の経常収支は4年連続で黒字幅が縮小し、1985年以降では最少の経常黒字。所 得収支の黒字幅は拡大したものの、貿易収支の赤字幅が拡大したことが影響。 貿易収支の推移 (兆円) 経常収支の推移 (兆円) 90 30 (兆円) 40 80 25 70 20 60 15 20 50 10 10 40 5 30 0 20 -5 10 0 貿易収支(右軸) 輸出額 輸入額 2005200620072008200920102011201220132014 資料:財務省「貿易統計」から作成。 30 貿易収支 第一次所得収支 経常収支 サービス収支 第二次所得収支 0 -10 -10 -20 -15 (年) 資料:財務省「国際収支状況」から作成。 (年) 21 中長期の経済財政に関する試算(平成27年7月) ○ 「経済再生ケース」では2015年度の国・地方の基礎的財政収支(PB)を対GDP比▲3.0%程度と見込んで おり、同年度の財政健全化目標(2010年度(▲6.6%)を半減)を達成できる見通し。 ○ 他方、2020年度の国・地方の基礎的財政収支は対GDP比▲1.0%程度と見込まれており、2020年度黒字化 目標の達成のためには、更なる収支改善が必要。 <国・地方の基礎的財政収支> ※1 経済再生ケース:今後10年(2014~2023年度)の平均成長率が実質2%程度、名目3%程度となるシナリオ (ベースラインケース:今後10年(2014~2023年度)の平均成長率が実質1%程度、名目2%程度となるシナリオ) ※2 財政健全化目標:国・地方の基礎的財政収支について、2015年度までに2010年度に比べ赤字の対GDP比半減(▲3.3%)、2020年度 22 までに黒字化、 その後の債務残高の対GDP比の安定的な引下げを目指す目標 人口減少・高齢化は更に進展する見通し ○ 日本の総人口は、現状の出生率の水準が続けば50年後には約8,700万人(現在の2/3)まで減少 し、人口の約4割が65歳以上という著しい超高齢社会になる見通し。 ○ こうした問題は地方でより顕著となっており、2040年までに自治体の半数が「消滅」する可能性との試算 もある。 (%) (資料)「選択する未来」委員会 資料より 23 3. 足元の経済情勢と成長戦略 「日本再興戦略」改訂2015の基本的考え方 これまで 着実に 回り始める 「好循環」 デフレからの脱却に向け、何よりも「需要不足」の解消が重要 ⇒第一の矢(大胆な金融政策)、第二の矢(機動的な財政政策)、 第三の矢(岩盤規制改革) 「企業収益:過去最高水準」と「雇用拡大」 ⇒政労使を通じた「賃金上昇」 ⇒ 「消費:持ち直しの兆し」 しかし、「投資伸び悩み」 ※製造業の設備年齢は20年間で 11年→16年に高齢化 労働需給は更にタイト化、GDPギャップも急速に縮小 ⇒デフレ脱却が現実のものへ 揺るぎない 「好循環」へ 人口減少社会による生産年齢人口の制約 ⇒ 消費が拡大しても、供給制約が新たな課題 ⇒ 成長には、生産性の向上が不可欠 民間投資が生産性向上の最大のカギ:「今こそが行動の時」 アベノミクス 第2ステージ 1. 未来投資による生産性革命 人員削減や単なる能力増強ではない、「投資の拡大」と 「イノベーションの創出」による「付加価値の向上」を徹底的に後押し 2. ローカルアベノミクスの推進 25 GDP デフレからの脱却が期待され、経済は着実な回復基調へ 主な要因 • 金融緩和 GDP成長率 • 円安 4.0 2.7 3.0 2.1 2.0 1.0 1.0 0.0 1.6 1.8 0.4 1.5 ▲ 0.9 ▲ 1.3 2011年度 2012年度 2013年度 (%) 2014年度 2015年第1四半期GDP: 名目9.4%(実質3.9%)成長 2014年第4四半期GDP: 名目3.1%(実質1.2%)成長 0.1 ▲ 1.0 ▲ 2.0 • 原油価格の下落 (年率換算) 2015年度 →2四半期連続のプラス成長 見通し 実質成長率 名目成長率 (備考)「平成27年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(2015年2月12日閣議決定)、 内閣府「国民経済計算」よりグラフ作成 26 企業収益 企業業績は顕著に改善 経常利益 • 企業の円換算の海外収益が拡大 20 18 16 • 原油価格は2014年6月から12月 末までに50%下落 名目企業所得と名目雇用者報酬がそ れぞれ2~3兆円増の試算 14 12 10 8 6 4 2 0 ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠ 2008 9 10 季節調整値 11 12 13 14 15 後方3期移動平均 27 (備考)財務省「法人企業統計季報」よりグラフ作成。全規模全産業。季節調整値 賃金 企業の回復が賃金上昇を後押し • 経済界は、さらなる賃上げや中小企業の 原材料価格上昇などのコスト上昇を踏ま えた 価格転嫁や支援、協力を約束 (政 労使合意(2014年12月)) 総雇用者所得(前年同月比)の推移 4 3 2 1 • 春闘の結果、2015年の1人あたり平均 賃上げ率は2.20%* (2014年は 2.07%) * 2015年7月時点 サンプル数: 5,469組合 0 -1 -2 -3 -4 1 3 5 7 2012 9 11 1 3 5 7 9 11 1 13 名目総雇用者所得 3 5 7 9 11 1 14 3 5 15 実質総雇用者所得 *消費税率引上げは、物価を2%ポイント押し上げると仮定 (備考)総務省「労働力調査」、厚生労働省「毎月勤労統計調査」、内閣府「国民経済計算」よりグラフ作成 28 設備投資 設備投資は回復しているものの、やや低調 名目・実質設備投資の推移 (兆円) 78.5兆円 80 実質 15年1-3月期 75 73.3兆円 70.9兆円 70 65 名目 60 00 01 02 03 04 (資料)内閣府「国民経済計算」 ※季節調整値 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 1-3 7-9 55 1-3 59.9兆円 15 「日本再興戦略」改訂2015の概要 1.未来投資による生産性革命 (1)「稼ぐ力」を高める企業行動(≒前向投資)を引き出す ⅰ)「攻め」のコーポレートガバナンスの更なる強化 ・企業と投資家の建設的対話の促進(株主への情報開示促進) ・成長志向の法人税改革 ・民間投資促進に向けた官民対話 ⅱ)イノベーション・ベンチャーの創出 ・「ベンチャー・チャレンジ2020」の推進 -米・西海岸レベルの国際的拠点形成 (特定研究大学、卓越大学院) -シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト、エコシステムの形成 ・イノベーション・ナショナルシステムの本格稼働に向けた大学改革 -運営費交付金の重点配分導入による大学間競争の促進 ⅲ)アジアをはじめとする成長市場への挑戦 ・「質の高いインフラパートナーシップ」の展開 (2)新時代への挑戦を加速する(「第四次産業革命」) ・IoT・ビッグデータ・人工知能による産業構造・就業構造変革 の検討 -民間投資と政策対応を加速化する官民共有の羅針盤策定 ・セキュリティを確保した上でのIT利活用の徹底 -サイバーセキュリティ対策の抜本的強化 -IT利活用の推進、マイナンバー利活用範囲の拡大 (3)個人の潜在力の徹底的な磨上げ ・長時間労働是正による労働の「質」の向上、女性、高齢者等の 活躍促進 ・変革の時代に備えた人材力強化(雇用と教育の一体的改革) -個人主体のキャリア開発、実践的職業教育を行う新たな高等 教育機関の創設 2.ローカルアベノミクスの推進 ・中堅・中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」の徹底強化 -事業者にとっての成長戦略の「見える化」「よろず支援拠点」 の強化 ・サービス産業の活性化・生産性の向上 -地域金融機関等による経営支援、官民協同生産性向上運動 (5分野)、IT活用、経営支援の参考となる指標(ローカル ベンチマーク)の策定 ・農林水産業、医療・介護(ICT化含む)、観光産業の 基幹産業化 3.「改革2020」/ 成長戦略を加速する官民プロジェクトの実行 ・自動走行、水素社会、先端ロボット、観光地経営、対内投資 等 30 回り始めた経済の好循環 ◇1兆円規模の設備投資減税等、成長志向の法人税改革 2014 34.62%→2015 32.11%→2016 31.33% 今後早期に 20%台まで引下げ ◇設備投資 2012 64.9兆円→2013 68.2兆円→2014 69.3兆円(2年間で約5兆円/ 7%の伸び) 民間投資促進に向けた「官民対話」の場の創設 ◇企業収益 東証上場2,158社 純利益合計 2015年3月期 21.2兆円(史上初の20兆円越え) ◇雇用 2年半で就業者数100万人増加、有効求人倍率 1.19倍(23年ぶりの高水準) 完全失業率 3.3% ◇賃上げの実現 一人当たり平均賃上げ率 2015年6月 2.23% 特に大手企業は2.52% 平均回答額 8,235円(17年ぶりの水準) 31 <稼ぐ力の確立> コーポレートガバナンスの強化 ・「日本版スチュワードシップ・コード」を191機関投資家(生命保険、投資信託等)が受入れ、投 資先の経営監視を強化 ・本年6月より「コーポレートガバナンス・コード」が約2,400社の上場企業に適用 ・独立社外取締役を選任する上場企業|2013年:47%→2015年:85%(東証一部) ・上場企業のROE |2012年末:5.8%→2015年5月:8.5%(約5割増) ・株主総会プロセス見直し、企業情報の統合的開示 (四半期開示一本化等) ・金融機関のコポガバ・財務健全性・リスク管理強化 (独立社外取締役の選任・政策保有株式の縮小等の取組を注視、 株価変動リスクへの対応等) 32 <稼ぐ力の確立> イノベーション・ナショナルシステム、ベンチャーエコシステムの構築 ・大学と企業、基礎研究と実用化開発の間の橋渡し機能を産総研等で整備、研究者が大学や 研究機関など複数の機関に所属するクロスアポイントメント制度(既に28大学・機関が導入) ・国立大学改革(経営力戦略): 各大学はビジョン、目標を明確にし、 「地域貢献」、「特定分野」、「世界水準」のいずれかを選択。目標達成の度合 い、学内改革の実績に応じて運営費交付金を重点配分。財務の自由度拡大 ・高い経営力と自由度を持った「特定研究大学」を創設し、同時にベンチャー創出 のプラットフォーム機能を持たせる ・シリコンバレーと日本の「架け橋プロジェクト」 今年度秋を目途に20~30名の起業家・大企業内の新事業に挑戦する人・ベン チャー支援人材を米国西海岸に派遣、また、5年間で200社程度の中小・中堅・ ベンチャー企業を米国西海岸へ派遣 33 33 情報活用による未来社会の構築 ・パーソナルデータの適正な利活用を図るため、「匿名加工情報」の利活用規定、 第三者機関の設置(個人情報保護法の改正) ・書面・対面原則からIT利活用原則への転換、内閣サイバーセキュリティセンター (NISC) の監視・監査機能の強化 ・マイナンバー(全国民に付番される税・社会保障の共通番号)を2015年10月から導 入。医療費控除、納税証明の手続きを簡略 ・マイナンバーの利活用範囲を預貯金、特定健康診断に加えて、今後、戸籍、旅券、 在留届、証券にまで拡大(2019年以降) ・個人番号カード: 2016年度に住民票、印鑑登録証明書、戸籍謄本等のコンビニ交 付、2017年7月以降早期に健康保険証としての利用を可能に ・マイナポータル・電子私書箱: 2017年1月以降に引越・死亡等に係る、手続きの ワンストップサービスを提供 ・シェアリングエコノミー・小型無人機・自動走行システムに係る制度環境整備、 IoT/ビッグデータ/人工知能による産業構造変革の分析 34 国際展開・立地競争力 ◇インフラシステム輸出 受注額 2010年 約10兆円→2013年 約16兆円、2020年には約30兆円を目標 ◇PPP/PFI 公共施設等運営権方式を活用したPFI事業として、昨年6月に仙台空港、昨年11月に関西 国際空港及び大阪国際空港において、事業者の公募に関する手続きを開始 ◇対日直接投資 2013年の対内直接投資額は、2012年と比べて10倍以上に増加 ・日豪EPAの発効(2015年1月)に続き、 TPPの早期妥結、日EU・EPAの年内大筋合意 ・国家戦略特区・近未来技術実証、PPP/PFIの推進 ・「外国企業の日本への誘致に向けた5つの約束」: 副大臣による「企業担当制」、地方空港でのビジネスジェット受入等 35 <個人の潜在力の磨上げ> 女性・外国人材の活躍強化 ・政権交代後の2年半で、女性の就業者数が90万人以上増加 (2012年12月:2,653万人→2015年5月:2,747万人) ・育児休業給付を拡大(休業前賃金の1/2⇒2/3) ・経団連の会員約1,300社のうち、約3割となる約440社が女性役員や管理職を増やす 計画を作成、公表 ・2017年度末までに約40万人分の保育の受け皿を整備 (2014年度末で19.1万人分整備/ なお、 女性の就業希望者は約300万人) ・外国人技能実習制度を抜本見直し(管理強化、期間3→5年拡大、介護分野の追加に向けた検討) ・国家戦略特別区域において、外国人家事支援人材の入国・在留を可能とする特例措置 ・2012年からの「高度人材ポイント制」により2,799人の外国人を認定。研究、経営等の 「高度専門職」の在留資格を創設(5年の在留期間付与、3年の滞在で無期限化) ・「留学生30万人計画」、IT外国人材受入れを3→6万人に倍増 ・ITや観光分野(ホテル・旅館のフロント等)の在留認定要件の明確化 ・中長期的な在り方検討 36 <個人の潜在力の磨上げ> 働き方の改革・人材力の強化 ・労働時間ではなく成果で評価される「高度プロフェッショナル制度」、 働き過ぎ防止の取組強化、フレックスタイム制・裁量労働制の見直しなど、 多様な働き方を選択可能に ・定期的に自己の職務能力をチェックして、キャリアパスを形成する 「セルフ・キャリアドック(仮称)」制度の導入 ・専門職業大学たる「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」を新設 ・予見可能性の高い紛争解決システムの検討 <ローカルアベノミクスの推進> サービス産業の生産性向上 ・2020年までに労働生産性の伸び率2.0%を目標(2013年時点で0.8%) ・地域金融機関、中小企業団体が参画した経営支援体制の構築 ・製造業の「カイゼン活動」やIT利活用等のサービス業への導入を業種ごと(小売業・ 飲食業・宿泊業・介護・道路貨物運送業等)に推進 ・17の大学でサービス産業分野の人材育成プログラム 37 観光分野 1,341万人 2015年1~5月累計は前年同期比44.9%増(仮にこの伸び率が続くと、年間1,900万人突破) ・訪日外国人旅行者数:2014年 ・訪日外国人による旅行消費額も、2014年には約2兆300億円(前年比43.1%増)となり、 初めて2兆円を突破 ・ASEAN諸国を中心に13ケ国でビザ発給要件を緩和(2013年7月~2015年6月) ・羽田空港の国際線3万回増枠(6万回→9万回) ・全国の免税店が約1万9千店に増加 商店街や物産センター等における「免税手続カウンター」の設置を実現(2015年4月施行) ・ロングステイ制度の創設(観光目的の滞在期間 : 最長1年)(2015年6月施行) ・2,000万人が訪れる年に、外国人観光客による旅行消費額4兆円、日本全国で40万人の 新規雇用を目指す ・地方の免税店数を約6,600店(2015年4月)から2017年に12,000店規模、 2020年に20,000店規模へと増加させる ・訪日外国人旅行者「2,000万人時代」への万全の備えを速やかに進め、その早期実現を 目指すべく、日本版DMOの確立とその観光振興の取組への支援、空港容量や宿泊施設 などの受入環境整備 38 <岩盤規制改革> 農業分野 6,117億円(前年比11.1%増、過去最高) 2015年1~4月累計は前年同期比26.8%増 ・農林水産物・食品の輸出額|2014年 ・2020年の輸出1兆円目標を前倒し達成するため、伸びしろのある国、品目に重点化 ・60年ぶりに農業協同組合・農業委員会・農業生産法人を一体的に改革、地域の 農協は付加価値向上を目指して自律的に活動へ ・2018年産米を目途に、約40年以上続いた米の生産調整を見直し 農地中間管理機構を機能強化して農地の集積・集約化 エネルギー分野 ・約60年ぶりの抜本的な電力システム改革、ガスシステム改革、 2015年4月に電力の広域的運営推進機関創設 ・2016年4月目途に電力小売市場全面自由化、2017年目途にガス小売市場全面自由化 ・2020年4月の発送電の法的分離、2022年4月のガス大手3社の導管部門の分離 39 医療・健康分野 ・「地域医療連携推進法人」 地域の医療法人等を一体的に経営。効率的な医療介護サービスを提供 ・「患者申出療養」 国内未承認の医薬品等を保険外併用療養として使用可能に (審査期間:現状6ケ月を原則6週間に短縮) ・「先駆け審査指定制度」 画期的な医薬品について承認審査での優先的な取り扱い/ 先進医療(再生医療、医療機器)の評価の迅速化・効率化 (また、今後、国家戦略特区において、特区薬事戦略相談制度の創設等による 革新的医療機器の開発を迅速化) ・医療のICT化 重複検査・投薬を防止するため、2020年までに大病院での電子カルテ 普及率を9割に、2018年度までに地域医療情報連携ネットワークを全国普及 ・2017年7月以降早期に個人番号カードを健康保険証として利用、 2018年目途に電子お薬手帳の全国普及 ・個人の医療健康情報等を委託によって管理する情報管理の「代理機関」制度の創設 ・外国人患者の受入れを行う医療機関を「日本国際病院(仮称)」として構成し、 海外へ発信/ 外国人患者の受入れを一気通貫でサポートする企業を認証 40
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