Document

28aPS-25
表面磁場測定による YBCO
A
大分大工 , 姫路工大工 ,
近藤隆司 , 重俊礼 ,
Observation of shielding current
Faculty of Engineering,
Department of Materials Science and
Department of Applied Physics,
Ryuji Kondo, Toshihiro Shige,
薄膜の反磁性電流の観測
東大工
B
A
深見武 , 為ヶ井強
B
in YBCO films used Hall probe Array
Oita University,
A
Engineering Himeji Institute of Technology
The University of Tokyo
A
B
B
Takeshi Fukami , Tsuyoshi Tamegai
概要
微小ホール素子列を用いて磁束混合状態における YBCO 薄膜の表面磁場測定
を行い、この磁場分布をもとに、超伝導体内の反磁性電流を決定した。試料内
の反磁性電流の分布は Bean モデルに基づいて考察される場合が多い。このモ
デルを薄膜の表面に垂直に磁場を加えた場合に当てはめるとき、いくつかの矛
盾が生じる。とくに比較的低磁場で、超伝導体内部に部分的に磁場が進入した
ときの表面磁場の分布をうまく再現できない。そこで、均一な電流の代わりに
Brandt 等によって提案された電流分布を用いたところ、比較的矛盾なく試料
表面の磁場分布を再現することが可能であった。この電流分布の場合、低磁場
から高磁場までの観測結果を再現可能であるが、パラメーターは唯一 "Jc
J "の
Jc
みである。
実験
H
サンプル:c 軸配向のYBCO薄膜
サイズ 0.6mm × 3.8mm × 0.8 μ m
Sample
ホール素子列
:Si をドープした GaAs を使用
:10 × 10 μ m2 の測定領域
:10 個のホール素子列
このサンプルをホール素子列の上に直接載
せ ( 図1)、測定温度まで冷却
H を 0[Oe] から 2400[Oe] まで上
外部磁場 Ha
昇させ、表面磁場を測定
図 2 ホール素子列とサンプルの写真
Hall Probe
図 1 サンプルの概要
表面磁場の測定
30K
0.25
2400Oe
2200Oe
2000Oe
1800Oe
1600Oe
1400Oe
1200Oe
1000Oe
800Oe
600Oe
400Oe
200Oe
0.2
0.15
0.1
0.05
・T=30K における観測例
H=0 ∼ 2400Oe まで変化
NO.3 のホール素子が試料の
中心に位置
NO.9 が試料端
・外場の増加と共に試料中心
0
-0.0006 -0.0004 -0.0002
0
0.0002
図 3 磁場の断面図
0.0004
0.0006 部まで磁場が侵入
・高磁場の測定よりホール素
子 と、 試 料 の 間 隔 は 8 μ m
と推定
上記の観測を T=12 ∼ 60K の温度領域で行った。
J[10 A/m ]
10
2
10
J の推定
超伝導電流 Jc
30K
5
J
Brandt 等の式 * にもとづいて、Jc
450Oe
0
を唯一のパラメータとし、電流分
-5
布を決定する。
-10
-0.0003
-0.0002 -0.0001
0
0.0001
0.0002
0.0003
Distance[m]
J の座標依存性
図 4 超伝導電流 Jc
* E. H. Brandt, M. Indenbom,Phys. Rev. B 48, 12893(1993)
0.1
30K
電流分布の違いによる磁場再現性
B[T]
電流分布を考慮した計算値
の比較
0.05
0
均一電流による計算値
・試料中心付近での再現性が良い
0.05
0
-0.0006 -0.0004 -0.0002
0.0002 0.0004 0.0006
Distance[m]
図 5 計算した磁場分布
10
2
J[10 A/m ]
10
5
電流分布の磁場依存性
30[K]
200Oe
400Oe
2400Oe
0
-5
・外場が強くなるにつれて漸近的
Ha=200~2400Oeまで増加
間隔 200Oe
-10
-0.0003 -0.0002 -0.0001
0
0.0001
0.0002
0.0003
Distance[m]
図 6 図 3 から計算した電流分布
に均一な電流分布へと変化する。
0.1
B[T]
0.08
550Oe
30K
0.06
450Oe
350Oe
0.04
250Oe
150Oe
0.02
50Oe
0
-0.0006 -0.0004 -0.0002
0
0.0002
Distance[m]
図 7 低磁場でのフィット
0.0004
0.0006
部分的に磁場が試料
に侵入している場合
の再現性がよい。
J の磁場依存性
Jc
��������
J の磁場依存性は、以下の式に従う。
Jc
��������
Jc�������
���
表 1 近似式の 1 次係数と 0 次係数
���
��
������
���
���
���
����
����
����
����
B��������
図8
����
����
A0
A1
B0
30 K
1.6E10
1.4E11
0.30717
40 K
2.6E10
9.5E10
0.18518
50 K
1.8E10
5.6E10
0.11643
60 K
1.1E10
4.5E10
0.06879
A0 の温度依存性は単調減少ではない。
まとめ
・Brandt 等の提案による超伝導体内の電流分布を用いると、磁
場が部分的に進入した低磁場から高磁場の測定まで、試料表面
の磁場分布を再現することが可能である。
J " のみである。
・この場合フィッティングパラメーターは唯一 "Jc
J " の磁場依存性は1次の指数減少関数に従う。
・"Jc