H27.9.19 医療事故調査制度に関する講演会 資料

平成27年9月19日(土)
青森県医師会
医療事故調査制度に関する講演会
医療事故調査制度の実施に向けての
日本医師会の取組み
日本医師会
常任理事 今村 定臣
医療安全をめぐる約15年間の主なできごと
平成 9年 7月
10年 3月
日本医師会 医療安全対策委員会 発足
同 報告書
「医療におけるリスク・マネジメントについて」
11年1月
2月
13年
15年12月
16年 4月
10月
17年 4月
18年 2月
20年 6月
8月
22年 4月
23年 6月
24年 2月
25年 5月
6月
横浜市立大 患者取り違え事故 発生
医療安全元年
都立広尾病院 消毒薬誤注射事故 発生
日本外科学会 声明
日本医師会医療事故防止緊急対策合同委員会
都立広尾病院事故 医師法21条の最高裁判決
医療事故報告制度(日本医療機能評価機構) 開始
診療行為に関連した調査分析モデル事業 開始
「大野病院事件」医師逮捕
厚労省「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」公表
「大野病院事件」医師に無罪判決
日本医療安全調査機構 発足
日本医師会 委員会 「医療事故調査制度の創設に向けた基本的提言」
厚労省医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会設置
厚労省検討会とりまとめ
日医委員会「医療事故調査制度の創設に向けた具体的方策」
26年 6月
27年10月
医療介護一括法として、医療事故調査制度の法案、国会で成立
医療事故調査制度 開始
1
医療事故調査制度
医療機関
①事故発生報告
(予め遺族に説明)
医療に起因しまたは起因が疑われる死亡・
死産であって管理者が予期しなかったもの
院内事故調査委員会の設置
↓
②院内調査
センター調査の依頼
=第三者機関
【日本医療安全調査機構を厚労大臣が指定】
・遺族、医療機関の求めによる事故調査
・院内調査の結果報告の整理・分析
・整理・分析結果を医療機関管理者に報告
・事故調査に従事する者に対する研修
・事故調査に関する相談・情報提供・支援
・再発防止に関する普及啓発 ・・・・
センター調査の
結果報告
センター業務の一部を委託可
医療事故調査等支援団体
基幹病院
職能 団体
等
医学関係学会
大学 ・
大学病院
・院内調査に関する相談、情報提供、支援など
都道府県 医師会
の説 明
③ 院内調査結果
患者の遺族
④院内調査結果の報告
医療事故調査・支援センター
医療介護一括法の附帯決議(抜粋)
-平成26年6月17日参議院厚生労働委員会-
2 医療事故調査制度について
ア 調査制度の対象となる医療事故が、地域及び医療機関毎に恣意的に
解釈されないよう、モデル事業で明らかとなった課題を踏まえ、ガイドラ
インの適切な策定等を行うこと。
イ
院内事故調査及び医療事故調査・支援センターの調査に大きな役割
を果たす医療事故調査等支援団体については、地域間における事故調
査の内容及び質の格差が生じないようにする観点からも、中立性・専門
性が確保される仕組みの検討を行うこと。また、事故調査が中立性、透
明性及び公正性を確保しつつ、迅速かつ適正に行われるよう努めるこ
と。
ウ 医療事故調査制度の運営に要する費用については、本制度が我が国
の医療の質と安全性の向上に資するものであることを踏まえ、公的費
用補助等も含めその確保を図るとともに、遺族からの依頼による医療
事故調査・支援センターの調査費用の負担については、遺族による申
請を妨げることにならないよう最大限の配慮を行うこと。
3
医療事故調査制度
法案成立以降の主な動き
平成26年6月
7月
10月
11月
平成27年3月
4月
5月
10月
医療・介護一括法成立
厚労科研「西澤研究班」検討開始
日本医師会 医療安全対策委員会の検討開始
「西澤班」 中間的な「議論の整理」
厚労省 医療事故調査制度の施行に係る検討会
の検討開始
厚労省検討会「とりまとめ」
→省令案のパブリックコメント(~4/21)
日本医師会 医療安全対策委員会中間答申
厚労省から省令、通知等公表
「西澤班」最終報告書
医療事故調査制度 開始
4
厚生労働省 医療事故調査制度の施行に係る検討会
有賀 徹
今村 定臣
大磯 義一郎
小田原 良治
葛西 圭子
加藤 良夫
河野 龍太郎
堺 常雄
鈴木 雄介
瀬古口 精良
髙宮 眞樹
田邉 昇
土屋 文人
豊田 郁子
永井 裕之
西澤 寛俊
福井 トシ子
松原 謙二
宮澤 潤
柳原 三佳
○ 山本 和彦
山本 隆司
米村 滋人
和田 仁孝
全国医学部長病院長会議、「大学病院の医療事故対策委員会」委員長
公益社団法人日本医師会常任理事
浜松医科大学医学部教授
一般社団法人日本医療法人協会常務理事
公益社団法人日本助産師会専務理事
南山大学大学院法務研究科教授・弁護士
自治医科大学メディカルシミュレーションセンターセンター長
一般社団法人日本病院会会長
鈴木・村岡法律事務所弁護士・医師
公益社団法人日本歯科医師会常務理事
公益社団法人日本精神科病院協会常務理事
中村・平井・田邉法律事務所弁護士
公益社団法人日本薬剤師会相談役
新葛飾病院医療安全対策室セーフティーマネージャー
患者の視点で医療安全を考える連絡協議会代表
公益社団法人全日本病院協会会長
公益社団法人日本看護協会常任理事
公益社団法人日本医師会副会長
宮澤潤法律事務所弁護士
ノンフィクション作家
一橋大学大学院法学研究科教授
東京大学大学院法学政治学研究科教授
東京大学大学院法学政治学研究科准教授
早稲田大学法科大学院教授
5
厚労省検討会「とりまとめ」 ~ 省令公布、通知発出
○平成26年11月
厚労省 「医療事故調査制度の施行に係る検討会」設置
[ 計6回の会議を開催 ]
○平成27年3月20日 とりまとめを公表
○平成27年3月23日
27 5 8
○平成27年5月8日
◯
◯
8月6日
17日
検討会「とりまとめ」をもとに厚労省から
「医療法施行規則の一部を改正する省令案」公表
→ 4月21日までパブリックコメントを募集
厚生労働省令公布(省令第100号)
(
100 )
施行通知発出(医政発0508第1号)
厚生労働省告示
「支援団体」を定める
厚生労働省告示
「支援センター」を指定
6
「医療事故」の定義
(本制度の対象事案)
【改正医療法第6条の10 第1項】
・・・当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑わ
れる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものと
して厚生労働省令で定めるものをいう。
→ 厚生労働省令の定義(要旨)
※施行規則1条の10の2
以下のいずれにも該当しないと管理者が認めたもの
1 管理者が、当該医療の前に、医療従事者等により、当該患者等に対して、当該死亡又は死産
が予期されていることを説明していたと認めたもの
2 管理者が、当該医療の提供前に、医療従事者等により、当該死亡又は死産が予期されている
ことを診療録その他の文書等に記録していたと認めたもの
3 管理者が当該医療の提供に係る医療従事者等からの事情の聴取及び、医療の安全管理のた
めの委員会からの意見聴取を行った上で、当該医療の提供前に、当該医療従事者等が当該
7
死亡又は死産が予期されていたと認めたもの。
院内調査で調査すべき事項、方法
【改正医療法第6条の11 第1項】
病院等の管理者は、医療事故が発生した場合には、厚生労働省令で定める
ところにより、速やかにその原因を明らかにするために必要な調査(以下この章
において「医療事故調査」という。)を行わなければならない。
→ 厚労省令で示された調査方法(要旨)
※施行規則1条の10の4
病院等の管理者が次の中から必要な範囲で選択し情報の収集、整理を行う
1
2
3
4
5
6
7
診療録その他の診療に関する記録の確認
当該医療事故に係る医療従事者からの事情の聴取
「2」以外の関係者からの事情の聴取
解剖
死亡時画像診断
使用された医薬品、医療機器、設備その他の物の確認
血液又は尿その他の物についての検査
8
医療事故調査の方法等
→ 厚労省通知で示された「医療事故調査の方法」
○ 医療事故調査は医療事故の原因を明らかにするために行うものであること。
※原因も結果も明確な、誤薬等の単純な事例であっても、調査項目を
省略せずに丁寧に調査を行うことが重要であること。
○ 調査の結果、必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること。
○ 再発防止は可能な限り調査の中で検討することが望ましいが、必ずしも再発
防止策が得られるとは限らないことに留意すること。
9
院内調査の結果の報告と説明
【改正医療法第6条の11 第4項】
病院等の管理者は、医療事故調査を終了したときは、厚生労働省令で定める
ところにより、遅滞なく、その結果を第6条の15第1項の医療事故調査・支援セン
ターに報告しなければならない。
【同 第5項】
5
病院等の管理者は、前項の規定による報告をするに当たっては、あらかじめ、
遺族に対し、厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。
→ 厚労省通知で示された「遺族への説明方法」
※別添12頁
1
遺族への説明については、口頭(説明内容をカルテに記載)又は書面(報告
書又は説明用の資料)若しくはその双方の適切な方法により行う。
2
調査の目的・結果について、遺族が希望する方法で説明するよう努めなけ
ればならない。
※ 説明する事項は、「センターへの報告事項」と同じ内容
10
センターへの報告事項・報告方法
→ 厚労省通知で示された「報告事項・報告方法等」
○ 本制度の目的は医療安全の確保であり、個人の責任を追及するためのもの
ではないことを、報告書冒頭に記載する。
○ 報告書はセンターへの提出及び遺族への説明を目的としたものであることを
記載することは差し支えないが、それ以外の用途に用いる可能性については、
あらかじめ当該医療従事者へ教示することが適当である。
○ センターへは以下の事項を報告する。
・日時/場所/診療科
・医療機関名/所在地/連絡先
・医療機関の管理者の氏名
・患者情報(性別/年齢等)
・医療事故調査の項目、手法及び結果
・調査の概要(調査項目、調査の手法)
・臨床経過(客観的事実の経過)
・原因を明らかにするための調査の結果
※必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること。
・ 調査において再発防止策の検討を行った場合、管理者が講ずる再発防止策
については記載する。
・ 当該医療従事者や遺族が報告書の内容について意見がある場合等は、その
旨を記載する。
○ 医療上の有害事象に関する他の報告制度についても留意すること。
○ 当該医療従事者等の関係者について匿名化する。
○ 医療機関が報告する医療事故調査の結果に院内調査の内部資料は含まない。
11
センター調査の遺族及び医療機関への
報告方法・報告事項について
→ 厚労省通知で示された「報告方法・事項」
○ センターは調査終了時に以下事項を記載した調査結果報告書を、医療機関と遺族に
対して交付する。
・日時/場所/診療科
・医療機関名/所在地/連絡先
・医療機関の管理者
・患者情報(性別/年齢等)
・医療事故調査の項目、手法及び結果
・調査の概要(調査項目、調査の手法)
・臨床経過(客観的事実の経過)
・原因を明らかにするための調査の結果
※調査の結果、必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること。
※原因分析は客観的な事実から構造的な原因を分析するものであり、個人
の責任追及を行うものではないことに留意すること。
・再発防止策
※再発防止策は、個人の責任追及とならないように注意し、当該医療機関の
状況及び管理者の意見を踏まえた上で記載すること。
○ センターが報告する調査の結果に院内調査報告書等の内部資料は含まない。
12
センター調査結果報告書の取り扱いについて
→ 厚労省通知で示された「センター調査結果報告書の取り扱い」
○ 本制度の目的は医療安全の確保であり、個人の責任を追及するためのものでは
ないため、センターは、個別の調査報告書及びセンター調査の内部資料について
は、法的義務のない開示請求に応じないこと。
※証拠制限などは省令が法律を超えることはできず、立法論の話である。
○ センターの役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、調
査等業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
13
26 27
平成26・27年度
日医 医療安全対策委員会
諮問 : 医療事故調査制度において
医師会が果たすべき役割について
▲ 医療事故調査制度の開始に向けて、
医師会組織として準備すべき対応について検討
→たとえば・・・
・院内調査の支援体制
・地域の「支援団体」の中での役割
・解剖、Ai等の調査手段の手配、調整
など
→検討結果は、適宜、日医から各都道府県医師会に伝達の予定
※4月30日、平松委員長から横倉会長に「中間報告」を答申
→さらなる検討を重ね・・・
8月21日、第二次中間答申を横倉会長へ提出
14
日本医師会 医療安全対策委員会 委員
【 委員 】
【 専門委員 】
石渡 勇
今川 俊一郎
○上野 道雄
大平 真司
岡 治道
小林 弘幸
種部 恭子
西田 芳矢
◎平松 恵一
細川 秀一
水谷 匡宏
和田 利彦
畔柳 達雄
奥平 哲彦
手塚 一男
茨城県医師会副会長
愛媛県医師会常任理事
福岡県医師会副会長
大阪府医師会理事
埼玉県医師会常任理事
東京都医師会理事
富山県医師会常任理事
兵庫県医師会副会長
広島県医師会会長
愛知県医師会理事
北海道医師会常任理事
岩手県医師会常任理事
日医参与・弁護士
日医参与・弁護士
日医参与・弁護士
※ ◎…委員長
○…副委員長
15
院内医療事故調査の試行①
医療安全対策委員会の活動の一環として
【概要】
実際に医師会組織として医療事故調査、院内調査の支援を
実施している医師会から、調査支援活動に必要な人的、物的
資源についての実証的なデータを得る。
調査結果は、医療安全対策委員会の具体的提言の基礎資料
とする。
調査への協力に対し、日医から院内調査費用の一部を補填
【対象地域】
茨城県医師会、東京都医師会、愛知県医師会、福岡県医師会、
愛媛県医師会、広島県医師会
→医療安全対策委員会で協議のうえ、現在、6医師会が参加
16
院内医療事故調査の試行②
【調査項目として想定されるもの】
・発生した医療機関の規模、人員態勢、診療科、事故の概要
・日時(平日、休日の別、時間帯等)
・医師会組織への連絡、相談等の態勢と、その有無
・初動時点における調査内容(Ai、解剖、カルテ等の確保)、遺体の搬送、
保存とそれらの費用、時間、人員等
・事故直後の患者本人または家族等への説明の状況
・医療施設内での初動における報告、意思決定の状況
・院内事故調査の有無、着手の程度
・警察、第三者機関等への届け出、報告の有無
・医師会による調査支援の具体的内容
・調査委員会、会議等の設置と運営状況 (人員、費用、時間等)
・調査結果のまとめ方(報告書の作成の有無等)と所要日数
・調査結果の患者もしくは家族への説明の態様
等
17
医療安全対策委員会 中間答申(平成27年4月)
「医療事故調査制度における医師会の役割について」
1 はじめに
(1) 諮問及び諮問の趣旨 (2) 日本医師会及び国等の取組 (3) 本委員会での取組
2 都道府県医師会が具体的に果たすべき役割
(1) 支援団体としての中核的な役割
(2) 病院等の管理者の責務
(3) 支援団体としての具体的な役割
3 都道府県医師会としての準備事項
(1) 地域での医療事故調査に活用できる資源の把握と連携関係の構築
(2) 医師会内での人材育成及び体制整備
(3) 会員、地域住民への周知
(4) 常設の医療事故調査制度支援組織の創設 (5) 各ブロックにおける広域的取組
4 「第三者機関(センター)」との連携・協力
5 日本医師会が具体的に果たすべき役割
(1) 日本医師会 医の倫理綱領の再徹底
(2) 都道府県医師会への要請
(3) 全国一定レベルの調査機能確保のための取組
(4) 「第三者機関(センター)」との協議・調整
(5) Ai、解剖等の経費をカバーできる保険制度の創設、周知
(6) 2年後の医療事故調査制度の見直し(法附則第2条)への対応
(7) 医療版裁判外紛争解決手続き等の検討
6 おわりに
18
日医 医療安全対策委員会 中間答申(27年4月)から
都道府県医師会の具体的な役割
2 都道府県医師会が具体的に果たすべき役割
“すべての都道府県医師会は、医療事故調査制度施行時から、「医療事故調査等
支援団体」としての中核的な役割を果たすべきである。”
・病院団体、大学病院、医学団体等の各支援団体間の総合的な連絡調整
・会員、非会員を問わず、医科、歯科、助産施設等からも要請があれば支援
・必要に応じて、隣県、ブロック内での県医師会相互の応援体制も検討
→具体的な支援の内容としては・・・
(ア) 相談窓口機能
(イ) 院内事故調査委員会への支援
・医師会の紹介、斡旋による外部委員の参加 →地域の学会、医会との連携
・Ai、解剖、遺体搬送、遺体保管等を実施可能な施設、業者との連絡体制
(ウ) 院内調査結果の第三者機関(センター)への報告の支援
・報告書の作成など
(エ) 遺族への説明の支援
19
日医 医療安全対策委員会 中間答申(27年4月)から
都道府県医師会がなすべき準備
3 都道府県医師会としての準備事項
“都道府県医師会は、これ(医療事故調査制度の施行)に向けた準備として、早急に
次の事項に取り組むべきである。”
(1) 地域の医療事故調査に活用できる資源の把握と連携関係の構築
協力が期待できる大学・学会・医会等の病理医、診療専門医、Ai・解剖施設、
基幹病院等の施設の規模、能力、マンパワー等の正確な情報を早急に把握
(2) 医師会内での人材育成及び体制整備
・センターへの報告、院内調査の要否等に関する相談に迅速・的確に対応でき
る役職員の育成と継続教育
・ 院内調査を遂行できる病理医、診療専門医の専門チームを複数編成
(3) 会員、地域住民への周知
・ 制度の概要、相談窓口の設置などについてのアナウンス
(4)常設の支援組織の設置
・医師会内の支援組織 → 調査支援に派遣する委員の選定、支援の検証
・県内の支援団体間の連携組織 → 支援組織相互の支援内容、基準等の統一
(5)各ブロックにおける広域的取組
・自県単独では支援団体として不足する機能を検討
・近隣県、ブロック内で応援要請等の体制を検討する協議の場を設置 20
日医 医療安全対策委員会
制度開始に向けての今後の検討
【中間答申(27年4月)より】
(27 4 )
6 おわりに
・・・さらなる検討が必要な課題等について検討を重ね、適切な
時期に改めて答申を行うことを予定している。
特に今後検討すべき課題としては、
・ 院内調査の標準的な手法、体制と支援の具体的あり方
・ 院内調査報告書の作成のあり方
・ 医療事故調査に関する専門的知識、技能を備えた人材の
育成
などが重要な論点となりうる。
・・・・
8月21日第二次中間答申の完成
21
医療安全対策委員会 第二次中間答申 (平成27年8月)
「院内事故調査の手順と医師会による支援の実際」
1 はじめに
2 基本的な考え方
(1) 院内事故調査の基本的視点
3 院内事故調査のあり方
(1) 医療事故の判断
(2) 支援団体(都道府県医師会)の体制
(
)
(2) 医療事故の調査
4 院内事故調査報告書
(1) 調査報告書の作成について(医療機関と支援団体の協力作業)
(2) 調査報告書の取り扱いに関して
(3) 事故調査結果の遺族への説明の支援
(4) 医療事故調査・支援センターへの報告の支援
(5) 調査報告書の具体例
5 院内事故調査を支えるための取組み
(1) 医療事故調査に関わる人材の確保・育成について
(2) 地域の「医療事故調査等支援団体連絡協議会(仮称)」の設置・運営
(3) 「日本医師会 医療事故調査費用保険」のしくみ
(4) 患者・国民に対する啓発活動
6 おわりに
22
医療安全対策委員会 第二次中間答申 (平成27年8月)の要点
▲ 特徴
1 医療機関と支援団体の双方にとっての具体的なマニュア
ルとなること
→各項目中ごとに「a 医療機関が行うこと」「b 支援団体が行うこと」
を分けて明記
2 具体的な事例をもとにした院内調査の流れを、一連の作成
資料とともに記述
→福岡県医師会で実施された事故調査の手法を土台
3 「院内事故調査報告書」の具体例を提示
▲ポイント
・ 院内調査の主体は医療機関。支援団体、外部委員は共に
調査し、自由に議論できる雰囲気を作ることが重要
・ 医療事故調査の成否は、「初期対応」の如何で決まる
・ 院内調査委員会の委員長、主領域委員は外部委員とする
ことが望ましい
23
医療事故調査にかかる費用(一つの試算として)
初動の調査 (外部施設への依頼)
・死亡時画像診断(Ai)
5万円前後~10万円
・解 剖
25万円~50万円
・遺体の保管、搬送
数万円~2,30万円
院内事故調査
・調査委員会の開催(外部委員3名・2時間×3回)
・謝金(1回2万円)
約 18万円
・交通費(平均1万円として) 約 9万円
・報告書作成謝金
10~数十万円
合計
約80万
~200万円
上記は過去の事故調査事例にもとづくものであり、一定の幅があることが現状。
そのため、費用の目安値を策定するべく、実態について現在調査中。
(ご参考)
支援委託 (支援団体による対応)
・電話による相談、助言(医師会役員が対応)
・Ai、解剖等の実施施設との連絡調整
・院内調査委員会の立ち上げ支援
数万~20万円
程度
24
医療事故調査制度に伴う「日本医師会 院内調査費用保険」
1.趣 旨
「医療事故調査制度」のもとで、院内事故調査の実施に
かかった費用を保険で補償する
(
) 日医A1会員のうち、すべての診療所と、99床以下の病院
A1
2.保険の対象者(被保険者)
の開設者及び管理者(開設形態の個人、法人は問わない)
対象会員は、約77,800名
3.保険金額、保険期間等
期間中500万円
500
平成27年10月1日から1年間、毎年更新
27 10 1
4.支払い対象となる費用
院内事故調査に際して医療機関が支払った費用のうち、
当該医療機関が外部に支払ったもの
例) 遺体の保管、搬送、Ai(死亡時画像診断)、解剖、
院内調査の外部委員に対する謝金、交通費 等
5.保険契約の形態
日本医師会が保険契約者となり、
対象となるA1会員を被保険者とする契約を、保険会社と締結
院内調査費用保険について
◯ 日医A1会員で、診療所、99床以下の病院の
開設者・管理者に該当する先生は、自動的に
500万円までの保険が適用されます。
→個別の手続きや保険料のお支払いはありません
◯ 100床以上の病院の開設者・管理者などの
先生に向けては、個別に低廉な価格で加入
できる保険を都道府県医師会からご案内しま
す。
26
医療対話推進者の業務内容
医療事故や、医療事故を疑った患者・家族からの申し出に関して
対応すること
→具体的には・・・
1. 患者・家族への事故の連絡や説明の実施
2. 管理者や医療事故に関与した職員から、患者・家族へ説明す
る場の設営のための調整活動
3. 説明の場での話し合いの進行上の配慮
4. 患者・家族及び医療事故に関わった職員(当事者・関係者)等
の精神的ケア等のサポート
平成24年度厚生労働科学特別研究事業
「医療対話推進者の業務指針及び養成のための研修プログラム作成指針」より抜粋
27
※厚生労働省作成の図に加工
「医療対話
推進者」の
活躍が期待
される
28
医療事故削減戦略システム~事例から学ぶ医療安全~
○日医「医療安全対策委員会」で作成
・平成21年10月に日医唐澤会長(当時)へ答申
→日医執行部で、冊子化して全会員への配布を決定
○主として診療所など小規模医療機関での安全対策に特化
・過去に発生した頻度の高い事故の原因分析から
9つの【重点項目】を設定
→医療安全全国共同行動の【重点項目】との関連性
○重点項目1~9の構成
【事例】+【本事例の問題点】と
【システムで実現する安全確保・再発防止のための取組】
1 緊急時の迅速対応
の3部形式を基本とした理解しやすい記述
○各地域の医師会、医療機関での活用
2
3
4
5
6
7
8
9
薬剤の誤投与防止
採血・注射の安全な実施
検査と処置の安全な実施
見落としを防ぐ
手術の安全な実施
感染防止対策
医療機器の安全な操作と管理
転倒・転落の防止
29
医療事故調査制度と医師法21条の見直し
【医療介護一括法 附則 第2条 第2項】
政府は、・・・・医療事故調査の実施状況等を勘
案し、医師法第21条の規定による届出及び・・新
医療法第6条の15第1項の医療事故調査・支援セ
6
15 1
ンターへの・・・医療事故の報告、医療事故調査
及び医療事故調査・支援センターの在り方を見
直すこと等について検討を加え、その結果に基づ
き、この法律の公布後2年以内に法制上の措置
その他の必要な措置を講ずるものとする。
※公布後2年 = 平成28年6月
28 6
30
日医 医事法関係検討委員会
委員長 :
副委員長 :
柵木 充明 愛知県医会長
大井 利夫 日本病院会顧問
臨時諮問(27.7.24) : 医療事故調査制度のもとにおける
医師法第21条の規定の見直しについて
▲ 政府与党における医師法21条見直しの検討に際して
日本医師会として適切な対応をとるため
→具体的に考えられる見直しの選択肢
・条文の改正(一部・全面)
・同条の解釈に関する行政通達で解決
・現状どおり
など
→ 秋頃までに横倉会長に答申の予定
31
異状死体の届け出義務
【医師法第21条】
医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めた
ときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。
→違反は50万円以下の罰金(医師法33条の2)
業務上過失致死傷罪
【刑法第211条 第1項】
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しく
は禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、
同様とする。
32
医師法21条のどこが問題か
1 規定の内容が曖昧であること
届け出るべき「異状」の内容が法令では示されていない
→曖昧な規定にも拘わらず罰則が設けられている
2 医療事故の刑事捜査の入り口に利用されている
24時間以内に警察届出をしなかったこと(医師法21条違反)を
理由に警察が捜査を開始
→
→これを入り口として医療行為の過失についての刑事捜査
(刑法211条:業務上過失致死傷罪)へ発展
※ただし、医師法21条違反から刑事捜査に発展した事例が
多いという指摘は当たらない。
3 医師が医療事故死を警察に届ける事は自白になりうる
→憲法38条Ⅰ:何人も自己に不利益な供述を強要されない
33
医師法21条をめぐる混乱の背景
◯日本法医学会「異状死ガイドライン」(平成6年)
(
6 )
【1】外因による死亡
【2】外因による傷害の続発症、あるいは後遺障害による死亡
【3】上記1または2の疑いがあるもの
【4】診療行為に関連した予期しない死亡、およびその疑いがあるもの
注射・麻酔・手術・検査・分娩などあらゆる診療行為中、または診療行
為の比較的直後における予期しない死亡
診療行為自体が関与している可能性のある死亡
診療行為中または比較的直後の急死で、死因が不明の場合
診療行為の過誤や過失の有無を問わない
【5】死因が明らかでない死亡
◯厚労省「リスクマネージメントマニュアル作成指針」(平成12年)
第7 医療事故発生時の対応
5(1) 医療過誤によって死亡又は傷害が発生した場合又はその疑いが
ある場合には、施設長は、速やかに所轄警察署に届出を行う。
34
医師法21条の見直しについて
◯主な論点
・「死体を検案して」の意義 (←最判平成16.4.13)
・「異状」の意義
(←法医学会GL、東京地八王子支判昭和44.3.27)
・診療関連死の取り扱い
◯考えられる方向性
1 条文改正し、診療関連死を除外する規定を新設
2 罰則に関する規定を削除する
3 条文改正をせず、行政当局が解釈通知を示す
4 現状のまま
35
刑法・刑事訴訟法の改正(公訴時効の見直し)
(
)
における附帯決議(抜粋)
○参議院法務委員会(平成22年4月13日)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段
の配慮をすべきである。・・・
3 医療事故に起因する業務上過失致死傷事件の処
理に当たっては、医療の萎縮効果を生じない運用
に努めること。
○衆議院法務委員会(平成22年4月27日)
5 医療事故に対する刑事責任の追及に当たっては、
医療行為が患者の生命、身体に一定の危険を及ぼ
す可能性を内包していることにかんがみ、これに十分
配慮した適切な運用に努めるとともに、その原因究明
の在り方について検討すること。
36
医療事故調査制度の実施に向けて
めざすべき価値基準
・医療提供者と患者・国民の信頼関係
・医療の質の向上
「対立」から「対話」へ
医療界、医師会の真摯な姿勢と
一丸となった取り組みが見られている!
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ご清聴ありがとうございました
平成27年9月19日(土)
青森県医師会
医療事故調査制度に関する講演会
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