2014.DEC.

;VR`V*P[`<UP]LYZP[`
─ 都 市 大 だ より─
'(&
東京都市大学
1R
平成26年12月20日発行
&217(176
02
特集 東京都市大学オーストラリアプログラム
04
学生と大学とのこんだん会
06
第3回 FD・SDワークショップ
07
王禅寺オープンラボ
08
第85回 東京都市大学世田谷祭
第6回 東京都市大学等々力祭
10
永年勤続表彰
11
大学と保護者との連絡会
12
研究紹介
13
PERSON/BOOKS
14
学生選書ツアー2014
15
NEWSラウンジ
18
追悼 北澤宏一 学長
20
Information
(TAP奨学生/平成27年度 入試日程)
広報委員会
東京都世田谷区玉堤1-28-1 TEL.03-5707-0104 http://www.tcu.ac.jp
特集
(TAP)
東京都市大学オーストラリアプログラム
2015年度入学生より、いよいよスタート
第6回 東京都市大学等々力祭(関連記事 P.8-9)
特 集
TAP
オーストラリアプログラム
東京都市大学
TOKYO CITY UNIVERSITY
AUSTRALIA PROGRAM
2015 年度 入学生より
協力:エディスコーワン大学[CRICOS IPC 00279B]
後援:西オーストラリア州政府
いよいよ スタート
オーストラリアのエディスコーワン大学(ECU)
での約5ヵ月間の留学を通して、国際的な視
野と高い教養、優れたコミュニケーション力を
育む「東京都市大学オーストラリアプログラ
ム(TAP)」が、いよいよ2015年度からスター
トします。本学の副学長[国際担当]であり、この
プロジェクトの総責任者を務める三木千壽教
授に、
TAPの概要や目的、プロジェクトの意義
などを伺いました。
東京都市大学オーストラリアプログラム(以下、
TAP)は、本学が推
進する「東京都市大学グローバル人材育成プラン」のひとつとして、
2015年度の入学生から始まる留学プログラムです。
このプログラムでは、
まず1年次に語学力強化と異文化理解のための
準備教育を実施し、
2年次には西オーストラリア州の国際都市パース近
郊にある州立エディスコーワン大学(以下、
ECU)
に約5ヵ月間留学しま
す。対象学部は、工学部全8学科、環境学部環境創生学科、
メディア情報
学部社会メディア学科、都市生活学部都市生活学科。毎年計200名の
学生がTAPに参加することができます。なお、オーストラリアのカレン
ダーに合わせて、留学期間は、原則前半1年次2月末〜7月(120名)、
後半2年次8月〜12月
(80名)
に分かれることになります。
十分な準備教育を経て、
5ヵ月の豪州留学で語学力と国際性を醸成
このプロジェクトを推進する三木千壽副学長は、
「今後、一層グローバ
ル化が進む世界の中で、あらゆる国の人たちと英語で議論し合い、自分
CHITOSHI MIKI
の意見をしっかり伝えることが必須となります。そのためのコミュニケー
TAP運営準備室長
三木
千壽 副学長
1970年東京工業大学工学部土木工学科卒業。
1972年同大学大学院理工学研究科博士課程土
木工学専攻退学、同年同大学大学助手。1979年
きる柔軟性を育むことがTAPの目的です」
と話します。
東京大学専任講師。1980年同大学助教授。1981
事前の語学講座や研修を含めて一つのプログラムとしたのも、十分
2003年同大学工学部長・理工学研究科長。2005
な英語力、
コミュニケーション力を育むため。ネイティブスピーカーによ
大学を定年退職し、
4月東京都市大学総合研究所
る準備講座は、約1年間にわたって、1日2時間ずつ、週に5日行われる
TAPプロジェクトの総責任者を務め、
グローバル人
予定です。
「まず日本で英語力を鍛えて、本番に備えます」と三木副学
年東京工業大学助教授。1990年同大学教授。
年同大学副学長(教育・国際担当)。2012年3月同
教授に就任。現在、国際化を担当する副学長の他、
材の育成に力を注いでいる。
2
ション能力と、異文化を理解できる国際性、変化し続ける時代に対応で
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
長。現地では、英語科目はもちろん、本学とECUとが共同で設置する教
特徴
4
特徴
3
特徴
2
特徴
1
1年次は準備教育
英語力をアップするため、学内で週5
日間、ネイティブスピーカーによる準
備講座と異文化理解のための研修
を提供。留学に備えます。
2年次の留学中に
英語と教養を学ぶ
オーストラリアに5ヵ月間留学し、英
語科目に加えて、教養科目も学びま
す。語学力と教養を高めます。
4年間で卒業可能
現地で学んだ科目は単位修得可能。
また、留学期間は在学期間に含まれ
るので、長期留学しても4年間で卒
業可能です。
自然なかたちで
異文化交流を実践
留学中は、
エディスコーワン大学の寮
(学部別定員あり)生活で異文化を
体感します。
TAPの特徴のひとつでもあります。
プログラム費用の総額は、授業料や、準備講座費用、寮費、航空運賃、
保険、
ビザ取得費用などを含み約120万円程度となりますが、大学側
がその一部を負担し、参加費用を90万円程度に抑える予定です。
養科目を受講するので、
こうした授業を理解できるだけの十分な英語力
さらに「一般入試(前期)の成績がきわめて優秀な学生の参加費用の
が必要となるからです。さらに英語力が秀でた参加学生は、
ECUが独自
全額を免除する
『TAP奨学生制度』や、本学を設置する五島育英会によ
に用意する専門性の高いカリキュラムを受講することも可能です。
る
『夢に翼を奨学金』により、できるだけ参加学生の経済的な負担を軽
オーストラリアは、日本との時差が1時間。温暖な気候も日本との
減する仕組みを設けています」
と言います。
ギャップが少なく、生活しやすい環境です。留学先の西オーストラリア州
本学では、
これまでも欧米や豪州、アジア各国の10を超える大学と
は、アジア・ヨーロッパ・アフリカなどさまざまな国の人が暮らし、中でも
協定・提携を結び、また学部ごとで各方面への海外フィールド研修を盛
パースは、海外出身者が人口の3割と、
とくに多様性に富んだところ。近
んに実施するなど、国際化の振興に力を入れてきました。また近年は、
イ
代的なビル群が織りなす現代的な景観と、美しいビーチなどの豊かな自
ンターンシップを海外で行うなど、在学生が世界を舞台に活躍できるよ
然が調和するこの街は、
『 英エコノミスト』の住みたい街ランキングで、
う様々な取り組みを行っています。
長くトップ10入りを続けています。
「過ごしやすい環境の中で、自ずと異文化を体感できます。加えて、
TAP導入をきっかけに、
これからさらにグローバル人材育成策を強化
したいと、三木副学長。本学のチャレンジはこれからも続きます。
ECUは、世界104ヵ国から約3,600人の留学生が学ぶ国際色豊かな
大学。
TAP参加学生は、その学生寮で過ごしますから、
この間、いやが応
◎対象学部・学科、人数 / 期間 / 留学先
でも英語づけとなり、準備教育とあわせて、英語力は格段に向上すると
サイクル
思います」
と三木副学長は胸を張ります。
費用負担を最小限にし、
4年間で卒業可能な長期留学を実現
対象
学部・学科
人数
よく長期間の海外留学をすると留年につながるのではないかという
声が聞かれますが、本プログラムの場合はそんな心配もありません。
ECUでの5ヵ月間は本学の在学期間に含まれ、
しかも、そこでの単位修
期 間
留学先
A
サイクル
環境学部
環境創生学科
メディア情報学部
社会メディア学科
30名
都市生活学部
90名
工学部 全8学科
2016年
3月1日〜7月8日
B
80名
2016年
8月16日〜12月23日
エディスコーワン大学 マウントローリーキャンパス
得が認められるため、最低修業年限の4年間で卒業することが可能で、
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
3
学 生と 大 学 とのこんだ ん 会 明日につなぐ、未来につなぐ
〜快適なキャンパスライフへの提案〜
毎年恒例の『学生と大学とのこんだん会』が、10月15日(水)に等々力キャンパスで、10月22日(水)には横浜キャ
ンパスで、それぞれ行われました。参加人数は、等々力が学生36名、教職員44名、学内出店業者8名の計88名。横
浜が学生25名、教職員45名、業者2名の計72名。
「明日につなぐ、未来につなぐ 〜快適なキャンパスライフへの提
案〜」をテーマに開催されたこんだん会では、前年度からの改善点が大学側から示された上で、
「 授業・研究」
「課外活
動」
「学生生活・生活環境」などについて話し合われました。その模様をダイジェストで紹介します。
等々力キャンパス
●授業・研究について
の使用状況を確認してか
学生からの意見(以下、学生)→製図室の授業配当表を分か
ら検討する。学生→校舎
りやすく掲出してほしい。大学側からの回答(以下、大学)→
の耐震強度は問題ない
教室や掲示板などに掲出する。学生→授業中に作成した模型
か。大学→1号館は体育
の置き場所を用意してほしい。大学→自己責任で管理できる
館側、
2号館はプレーコー
なら棚を設置するなど検討したい。学生→横浜キャンパスの
ト側の外壁に耐震ブレー
ように廊下に教員や学生の研究実績をパネル展示してはどう
スを設置しており、
3号館
か。大学→非常に良いアイデアなので、設置場所や美観の問
は現建築基準法改正後
題も含めて検討したい。学生→学生と教員との距離を縮める
の 施 工 で あるの で 耐 震
ため、ランチ会や勉強会を行いたい。大学→学生ホールや学
基準を満たしている。学
生食堂などに教員と学生が自由に話のできる時間を設けるな
生→学費の使途を示す
ど検討するが、まずはオフィスアワーの制度を利用したらどう
資 料を提 示してほしい 。
か。学生→産業能率大学が自由が丘と協定を結び商店街の
大学→本学HPで財政
フィールドワークを行っているように、本学でも地域とのつな
状況を公開している。学生→他キャンパスのように休日利用申
がりをつくってほしい。大学→学園祭での地域交流などは行っ
請をネットでできるようにしてほしい。大学→ネットによる休日
ている。等々力祭実行委員会の様に玉川神社「例大祭」への
申請ができるのは横浜キャンパスのみ。世田谷、等々力は火元
参加など検討してみてはどうか。学生→隣の等々力中高と交
責任者である教員の申請に基づいて許可を出すこととなって
流するにはどうすればよいか。大学→具体的な企画を作って
いる。理解してほしい。学生→大学院生室の壁にヒビがあるが
から中高側に話をしたらどうか。
問題はないか。大学→本キャンパスの建築は耐震診断のうえ
で補強済み。学生→キャンパス内にATMを設置してほしい。
●課外活動について
大学→学内への導入は設置基準から見て困難。すぐ近くにある
学生→シャワー室を使えるようにしてほしい。大学→等々力中
コンビニのATMを活用してほしい。学生→学生証のPASMO機
高よりシャワー室利用を前向きに検討する旨の回答をいただい
能で学生食堂の支払いもできるようにしてほしい。大学→今後の
ている。学生→等々力中高の体育館利用について、許可を得て
検討課題とする。学生→平日20時までの退構時間を延長してほ
いても、急遽使用できないことがある。大学→重複がないよう
しい。大学→東日本大震災以来、安全対策として20時までの帰
に連携を強化したい。学生→学園祭の前までに3号館のシャッ
宅を促している。学生→携帯の充電スポットを設置してほしい。
ターを修理してほしい。大学→すでにその方向で動いている。
大学→各自バッテリーを持参してほしい。学生→横浜キャンパス
への直通シャトルバスを運行してほしい。大学→コストがかかる
4
●学生生活・生活環境について
ので現在の利用状況等を確認して検討する。学生→ポータルサ
学生→1号館に男子トイレの増設と、
ウォータークーラーの設置
イトを改善してほしい。大学→来年度ポータル更改の計画があ
をお願いしたい。大学→トイレ増設は、給排水の関係から難しい
る。学生→水の出ない手洗い場などがある。大学→毎日清掃時
面もあるが、検討していきたい。ウォータークーラーは2号館で
に点検を行っているが、
再度点検して対処する。
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
等 々 力 キ ャンパ ス / 横 浜 キ ャンパ ス
学 生 の 声
横浜キャンパス
●授業・研究について
現時点での技術的な解決は難しいが、使用不能な箇所につい
学生→定年を迎える先生の研究室について変更があるかもし
ては今後も情報基盤センターに連絡してほしい。学生→ヤマ
れないと聞いた。大学→定年を迎える先生の研究室について
ザキYショップの近くにATMがあれば便利。大学→この要望
早急に検討中。不安を払拭できるよう善処する。学生→1週
は毎年出ているので調査中。使用頻度がかなり高くない限り、
間単位での夜間休日申請の受付を、1ヵ月単位にしてほしい。
費用の観点から設置は難しい。
大学→防災・安全上は毎日行うべき。
1週間が最長と理解して
ほしい。学生→履修確認期間中の追加・変更ができないのはな
●その他
ぜか。大学→履修の追加・変更については、後で変更訂正する
学生→トレーニングルームのマシン等が錆びている。大学→
学生があまりに多かったため、安易な履修登録を防ぐ意味で、
今後、新規導入を検討したい。学生→Macのパソコンに対す
現在は削除のみ可能で対応している。履修科目はシラバスを
るソフトの更新がスムーズでなかった。大学→Macユーザー
熟読し、十分に検討してから決定してほしい。学生→1・2年次
にも遅滞なく対応したい。学生→学生証をPASMO付きにし
に担任教員と関わる機会をもっと設けてほしい。大学→もっと
た理由はなにか。大学→新たに学生証に機能付加して利便
もな意見。学生とクラス担任との関係強化を図りたい。
性向上を図る目的から。本学は東急グループであることから
PASMO付きとした。学生→就職ガイダンスについて、有料講
●学生生活・生活環境について
座の参加料をディスカウントできないか。大学→優遇措置の
学生→土曜日や休日でも集中して勉強ができるよう、学内施
導入は難しい。似た内容の無料講座もあり、積極的な参加をお
設の開放をお願いしたい。大学→図書館は試験期間の開館時
願いしたい。無料講座は参加人数が少ないと次年度以降の開
間延長をしているが、土曜日は17時に終了し、日曜祝日は閉
催が難しくなる。学生→学生食堂を夜間も開いてほしい。電子
館している。
(世田谷キャンパスは試験期間中の日曜日も開
レンジをもう一台増やしてもらいたい。大学→夜間の利用が
館。)図書館に限らず、教室やその他施設で勉強できるスペー
少なかったので開店時間を短縮し、学生食堂の定食をお弁当
スを新たに作ることができるか、大学側も問題意識を持って考
としてYショップで販売している。電子レンジは電源の容量な
えている。学生→学内にWi-Fiが使えない場所がある。大学→
どを調べた上で検討する。
スマートフォンの電波干渉を起こしやすいところが幾つかある。
その後、大学側が将来的なクォーター(4学期)制導入を見越
して、来年度から実施予定の14週・100分授業について学生
に意見を求めました。これに対し学生からは、
「5限が選択科目
の場合、授業終了時間によって、履修者が減る可能性がでてく
る」
「夜遅くまで授業が伸びると、帰宅時間が遅くなり、アルバ
イトにも支障が出る」
「夏休みなどの休暇が長くなるのは嬉し
い」
「課外活動への影響はでないか」など、多くの意見が出まし
た。最後に環境学部長から「皆さんの意見を真摯に受け止め
て、より良い学生生活を送れるように教職員一同、努力したい
と思います」
との言葉で締めくくりました。
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
5
第3回
東京都市大学
Faculty
Development
Staff
Development
FD・SDワークショップ
開催日 2014年8月26日
会場
(火)
〜27日
(水) リバブルスクエア南町田
主催
教務委員会FD専門委員会/学生支援センター/企画室
FDとは大学教員
(Faculty)
を対象とした、教育内容や方法などの改
善・向上を目的とする取り組み、Faculty Developmentの略。SDは
Staff Developmentのことで、
こちらは大学職員
(Staff)
を対象とし
た、管理運営から教育・研究支援までを含む組織的活動をいいます。
これからの大学運営では、両者が協力しながら改善に向けて努力して
いくことが不可欠。本学の教員と職員とが協力して実施したこのワーク
ショップは、
「教職協働」を先取りするものとして注目されています。
今年度も無事に、そして成果をもってFD・
たに「都市大クイズ」をつくりました。多くの
SDワークショップ(FD:教員による教育改
い多くの教員と職員とが協働して教育・研
教職員にクイズをつくっていただき、大学全
善、SD:職員による職場改善)
を終えること
究・運営に、一日も早く携われるようになる
体はもちろんのこと、各キャンパスの特色
ができました。第3回目を迎えたこの研修
ことと、キャンパス・学部・学科・職種、専門分
が出るようなクイズを集めました。さらに、
は、8月26日~27日の1泊2日、今回も会
野、職階・学内経験等が異なりながらも学内
この研修を企画・運営するスタッフからも積
場は南町田にある研修施設「リバブルスク
の共通する課題について互いに交流する機
極的にアイデアが出され、スタッフ自身に
エア南町田」で開きました。教職協働の大
会にすることは変わりません。さらにその結
とっても良い研修の機会になりました。
切さを教員・職員が具体的に共有する場とし
果として、教員・職員・学生からなる大学とい
運営もスムーズに進み、参加者の感想を
て重ねてきていますが、今年度は本学に今
う組織の構成員として、教員・職員の協働性
待つまでもなく、
これらの成果として、参加
年4月に着任された教員の新任研修の一つ
を互いに意識すると同時に、同じ学内の仲
者・スタッフ、それぞれのレベルで実り多い
と位置づけ、
この方々と若手の職員を対象
間としての関係性が育まれることを期待し
本学独自の研修になりました。
に、実施致しました。
ています。
本ワークショップは、連携しております室
過去2年間のテーマ「多様化する学生に
蘭工業大学のFDワークショップをひな型に
どう向き合うか」
(2012年度)、
「学生を育
一昨年度から企画・運営をしております。運
てる ─教員と職員がともにつくる都市大の
営スタッフが室蘭工大ワークショップに参加
大学教育─」
( 2013年度)を踏まえ、教職
し、その研修力の高さに感服し、是非本学で
員の共通の課題は学生を育てることにあり
もそのようなワークショップをもちたい、
と
ます。そこで、今年度の大テーマは昨年度
WS1「都市大を知る」
いう感想を抱いたことからこの企画が始ま
に引きつづき「学生を育てる」とし、教育の
「学生が成長するために
WS2
私達はどの様に考え、行動するか」
りました。
したがって当初は、ほとんど室蘭
中身の具体性を高めることを意識し、サブ
工大のものを「真似る」というところから始
テーマを変え、
「学生を育てる ─学生の期
まりました。
しかし3回目を迎えた今年度は、
待に応える都市大の教育─」
としました。そ
全員の意気込みから、
スタート致しました。
学について知ってもらうという狙いから、新
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
オリエンテーション
アイスブレイク / 解説「FD・SDとは」
WS3「“都市大の魅力”を発信する」
2日目(8月27日)
午前
して、学生たちの期待を育てるためにも本
1日目(8月26日)
午後
「自前の研修をつくりたい」というスタッフ
●研修内容
午前
6
もちろんこの研修の意図は、着任間もな
WS3「“都市大の魅力”を発信する」
(続き)
まとめ・総評
Ozenji Open Labo
原子力研究所
公開イベント
王 禅 寺
原子炉の見学
オ ー プ ン ラ ボ
7月26日(土)、本学原子力研究所(王禅寺キャンパス)にて、
廃止措置中の原子炉施設の現在の状況、また研究所のこれ
までの歩みと最近の研究活動を知っていただくための公開
原子炉シミュレータ、燃料棒(模型)の見学
イベント「王禅寺オープンラボ」を開催しました。
イベント当日は猛暑にもかかわらず、小学生から年配の方まで多くの見学者
にご来場いただきました。原子力研究所の歩みと最近の研究を紹介する「講
演会」、廃止措置中の原子炉を詳しく説明を受けながら見学するコースや原
子炉シミュレータに触れてみるコースなどの「実験室見学ツアー」、子ども向
原子力安全工学科 松本教授による講演会
けの「工作・実験教室」、日頃の原子力、放射線、放射能に関する質問や疑問に
答える「質問・相談コーナー」など多くのイベントが用意され、熱心に説明に聞
き入る参加者の姿に関心の高さが窺われました。また、参加者から原子力や
放射線などについてさまざまな質問が相次ぎ、教員や本研究所で卒論・修論
の研究を行っている学生たちがわかりやすく説明するなど、原子力の平和利
用への理解を深めることができた有意義なイベントとなりました。
工作・実験教室「見えるかな!
? 霧箱の実験」
東京都市大学 原子力研究所 (川崎市麻生区王禅寺)
我が国の原子力の平和利用が始まった1960年、本学では原子力の
平和利用と技術開発を目的として、日本の学校法人としてはいち早く
研究所を開設し、小型の研究用原子炉を導入しました。開所以来、原
工作・実験教室「放射線を測ってみよう」
子炉の中性子を利用した癌治療や、放射化分析法による極微量元素
分析など、国際的にも注目を集める成果を上げ、全国の大学の共同
利用や受託業務を通じて社会に貢献してきた歴史があります。多くの
成果を上げた本原子炉は、2003年に原子炉施設の廃止を決定し、
安全の確保に万全を期して永久停止処置を行い、2006年にすべて
の使用済み燃料を搬出、製造元の米国に返還が終わっています。現
在は、これまでの経験と実績に基づいて、教育・研究活動を継続し、社
会が求める原子力・放射線技術者の育成を継続して行っています。
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
7
な ら で は の学 園 祭
多 く の来 場 者 を迎 え た
都市大
月1日( 土 )、2日( 日 )
の両 日 、「 第
第6回 東京都市大学等々力祭
回 東 京 都 市 大 学 世 田 谷 祭 」と「 第6回 東 京 都 市
85
開 発によるまちの未 来 、保 育 を 通 した 子 どもたちの未 来 。学 園 祭 も 、明 るい未 来 を 提 示できる 場で
すのは 、未 来の 創 造です 。最 先 端 技 術による 工 学の 未 来 、環 境 と 情 報 を 駆 使 した 地 球の 未 来 、都 市
大 学 等 々 力 祭 」が 同 時 開 催されました 。共 通テーマは「みらいを 、
つくる 。」。本 学の学 生 たちが 目 指
2014年
11
ありたいとの思いを 込めました 。2つの学 園 祭の実 行 委 員 会 委 員 長に感 想 を 聞きました 。
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
8
第85回 東京都市大学世田谷祭
東京都市大学
世田谷祭・等々力祭
SETAGAYA
都市大生とお客様の
好奇心を楽しく
つなげることができました
第85回 東京都市大学
世田谷祭実行委員会 委員長
片山 潤三
工学部 機械工学科 3年
東京都市大学の学園祭は、昨
じ取っていただくと同時に、お
でいただきました。今年は、
7・8
年度から引き続き、共通テーマ
客様の好奇心を形にできる場に
号館が使えず、教室が増えた新
として「みらいを、つくる。」を掲
したいと考えました。
しい1号館に企画を集中させた
げています。これを受け、私た
その思いを込めた企画はさま
ため、メインステージがあるプ
ち実行委員会では「好奇心を、
ざまありました。例えば「都市大
レーコートから1号館への動線
形に。」を2014年度世田谷祭
Town Making」は、建物や樹
にも配慮しました。
テーマにしました。
木など建築模型の部材を揃え、
例年より開催が3週間早まり、
人間はいつの時代も、知らない
ひとつのまちを来場者たちが
外部団体にもご迷惑をおかけし
ことを知りたい、わからないこ
自由に作っていくもの。
2日間
た上、スケジュール管理も大変
とを解 決したいという強 い 好
かけてできあがったまちは、皆
でしたが、運営委員も79人と
奇心をもとに、想像を形にして
さんの好奇心が詰まったユニー
昨年より増員し、皆の団結力で
進化してきました。世田谷キャ
クなものになりました。
「SETA
乗り切りました。近隣の幼稚園
ンパスで学ぶ私たち工学部、知
宇宙食開発都市大機関」では
や小中学校、商店街の皆さまの
識工学部の学生にとって、好奇
宇宙についての展示と、宇宙食
ご協力にも心から感謝しており
心は最も大切なこと。エンジニ
の販売が好評。来場者からは未
ます。初日は雨天だったにもか
アとして自由な発想をもとに取
来の宇宙食のアイデアを募りま
かわらず、多くの方にいらして
り組む“ものづくり”が、いつか
した。また子どもたちに大人気
いただき、本当にうれしく思い
人々の暮らしを豊かにし、明る
だったのが「トシダイスイッチ」
ます。来年度は私もОBとして
い未来の創造につながっていく
です。車やパソコンなど学科の
現役の学生を応援していきま
のだと思います。学園祭では、
特色を組み込んだピタゴラ装置
す。次年度の世田谷祭もご期待
本学学生の多様な好奇心を感
を教室いっぱいに作って楽しん
ください。
TODOROKI
皆様のご協力のおかげで
夢のある学園祭を
開催できました
第6回 東京都市大学
等々力祭実行委員会 委員長
武石 謙
都市生活学部 都市生活学科 3年
第6回目の開催となった今年の
ましたが、当日はその心配が吹
会」です。クラフトアニメーション
東京都市大学等々力祭、私たち
き飛ぶほど、子どもたちの笑顔
とは何かを聞き、実際に作って、
が掲げたテーマは「とどろけ! 広
に溢れていました。また今回か
ソウゾウ力を刺激する内容でし
がるソウゾウ力」です。
ら身分証明、飲酒時間、場所な
た。
「ハッピーハロウィン」では仮
等々力キャンパスには2つの学
どの制限を設け、アルコール類
装用の帽子や仮面、マントなど
部があります。都市生活学部で
の販売を認め、大人も楽しめる
をお客様が作り、身につけて学
は、文化・経営・居住の3つの視点
仕組みを考えました。
内を歩いてもらいました。これ
から都市を「創造」することを学
昨年6月から世田谷祭実行委員
は子どもたちに大好評でした。
び、人間科学部では、遊びや体
会や先生方と検討を重ねて、こ
また、中庭に据えたツリーの横
験を通して子どもたちの将来を
れまで11月下旬だった開催を、
には、中身が何か想像してもらう
「想像」できる力を育んでいま
3週間早め、今回の日程になり
大きな箱を置きました。フィナー
す。クリエイティブとイマジネー
ました。いつもより準備期間が
レではツリーに点灯し、箱からは
ションという両 方 の「ソウゾウ
短くなったことにより苦労もあり
風船が空に舞うという、夢のあ
力」を感じていただき、お客様方
ましたが、実行委員メンバーと多
る閉幕になりました。
にも日々の生活の中で何かを
くの皆様のおかげで、楽しい学
近隣の皆様や等々力小学校PT
考え、
ソウゾウを広げていただく
園祭になりました。
Aなどのご協力なしではできな
きっかけになればと考え、あえて
スペシャルプログラムとして企
いことでした。本当に感謝して
カタカナ表記を選びました。
画したもののひとつが、粘土で
おります。次回も、来場くださる
等々力祭にはお子さん連れのお
できたイモ虫のアニメ「ニャッ
方々の期待に応えるべく、
「ソウ
客様が多く、気温の冷え込む中
キ!」の製作者伊藤有壱さんによ
ゾウ力」を磨き、次の代に引き継
来場いただくことに心配してい
る「クラフトアニメーション講演
いでいきたいと思います。
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
9
学事通信
永年勤続者の表彰行われる
去る10月17日は、本学創立85周年の記念日にあたり、次の方々が永年勤続者として表彰されました。
表彰式は、
10月23日
(木)
12時25分より五島記念館メモリアルホ-ルA室にて行われました。
■ 勤続30年[理事長表彰]
所 属
職 名
氏 名
工
学
部
電気電子工学科
教
授
江 原 由 泰
工
学
部
機械システム工学科
技
士
森 光 康 隆
工
学
部
医用工学科
技
士
柴 田 浩
工
学
部
電気電子工学科
技
士
鎌 形 清
ものつくり支援センター
技
士
秋 元 聡
機器分析室
技
士
新 藤 恵 美
事
務
局
総務グループ総務課キャンパス事務センター[横浜C担当]
係
長
徳 植 久 子
事
務
局
原子力研究所
係
長
住 吉 美 紀
事
務
局
教育研究支援グループ学術情報センター[世田谷C図書館担当]
事 務 員
村 田 高
■ 勤続20年[学長表彰]
所 属
職 名
氏 名
工
学
部
建築学科
教
授
天 野 克 也
工
学
部
建築学科
教
授
近 藤 靖 史
環 境 学 部
環境マネジメント学科
教
授
中 原 秀 樹
事
務
局
国際部
課
長
程 田 昌 明
事
務
局
総務グループ総務課[経理担当]
事 務 員
川 合 美 樹
事
務
局
教育研究支援グループ学生支援センター[世田谷C担当]
事 務 員
井 手 口 静 香
事
務
局
教育研究支援グループキャリア支援センター[世田谷C担当]
事 務 員
遠 藤 眞 木 子
事
務
局
教育研究支援グループ学術情報センター[世田谷C図書館担当]
事 務 員
針 谷 美 穂 子
永年勤続者表彰記念
なお、同日勤続15年の非常勤講師の方に感謝状が贈呈されました。
■ 学長感謝状贈呈者(3名)
所 属
10
職 名
氏 名
共通教育部
人文・社会科学系
非常勤講師
大 野 晃 徳
共通教育部
自然科学系
非常勤講師
鈴 木 理
共通教育部
外国語共通教育センター
非常勤講師
伊 藤 千 里
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
「 大 学 と 保 護 者 と の 連 絡 会 」全 国 2 0 会 場 で 開 催
平成26年度「大学と保護者との連絡会」
が9月6日より、全国20会場で開催されました。
この連絡会は本学と本学後援会の共催行事
で、世田谷キャンパス、横浜キャンパス、等々力キャンパスはもちろんのこと、主に在籍者が多い都市で開催されております。今年度は、
各会場あわせて1,662世帯の参加がありました。連絡会では担当の教職員より大学の近況、学修関係、学生生活関係、就職関係の
話題を中心に進行し、参加した保護者の皆様より熱心な質問が多数寄せられました。
世田谷キャンパス
横浜キャンパス
等々力キャンパス
■会場別出席者数(対象県以外からの出席者含む)
開催地
開催日
会場名
■都道府県別出席者数
出席者数
(世帯数)
都道府県名
札
幌
9月13日
(土)
札幌全日空ホテル
10
北海道
仙
台
9月14日
(日)
ウェスティンホテル仙台
26
青
郡
山
9月13日
(土)
チサンホテル郡山
宇 都 宮
9月13日
(土)
チサンホテル宇都宮
22
水
戸
9月 7日
(日)
三の丸ホテル
41
さいたま
9月13日
(土)
ラフレさいたま
35
高
崎
9月13日
(土)
高崎ワシントンホテルプラザ
新
潟
9月14日
(日)
ホテルオークラ新潟
世 田 谷
等 々 力
10月 4日(土)
滋
賀
0
0
森
2
2
京
都
0
1
岩
手
0
1
大
阪
2
5
宮
城
26
15
兵
庫
2
1
秋
田
1
3
奈
良
0
0
山
形
3
6
和歌山
0
1
福
島
12
11
鳥
取
0
1
15
茨
城
66
72
島
根
0
0
10
栃
木
38
46
岡
山
1
2
群
馬
19
26
広
島
11
9
埼
玉
104
103
山
口
1
5
千
葉
62
63
徳
島
0
0
東
京
368
347
香
川
1
2
神奈川
695
676
愛
媛
4
3
7
東京都市大学 等々力キャンパス
154
東京都市大学 横浜キャンパス
292
甲
府
9月13日
(土)
アーバンヴィラ古名屋ホテル
長
野
9月 6日
(土)
ホテル国際21
金
沢
9月 6日
(土)
金沢都ホテル
沼
津
9月14日
(日)
静
岡
浜
前年度
出席者数
出席者数
(世帯数)
(世帯数)
14
872
浜
都道府県名
12
東京都市大学 世田谷キャンパス
横
前年度
出席者数
出席者数
(世帯数)
(世帯数)
9
13
新
潟
16
14
高
知
0
0
8
富
山
5
2
福
岡
10
10
沼津リバーサイドホテル
38
石
川
7
7
佐
賀
1
2
9月13日
(土)
ホテルアソシア静岡
40
福
井
1
2
長
崎
1
0
松
9月 6日
(土)
オークラアクトシティホテル浜松
25
山
梨
14
20
熊
本
0
0
名 古 屋
9月 7日
(日)
ホテルキャッスルプラザ
24
長
野
23
29
大
分
0
1
岐
阜
4
4
宮
崎
0
0
広
島
9月 6日
(土)
ホテル広島ガーデンパレス
13
静
岡
125
141
鹿児島
1
2
福
岡
9月 7日
(日)
ホテルセントラーザ博多
8
愛
知
19
18
沖
縄
0
0
1,662
三
重
5
6
合
計
1,662
1,673
合 計 TCU QUARTERLY No.194 2014.12
11
病 気 の 早 期 発 見・治 療 に 役 立 つ 夢 の テクノロジ ー
医学の進歩には目覚ましいものがありますが、それで
もなお発見することの難しい病気や、治療のできない疾
工学部 医用工学科 教授
平田 孝道
PROFILE
身体に埋め込む場合には、免疫系がチップを異物と認
ローチを駆使し、
これまでにない診断、治療法を確立しよ
識しないよう、生体との親和性を高める必要があります
うとしています。
が、平田先生はプラズマと多能性幹細胞を用いてチップ
休みなく健康を見守る
埋め込み式バイオセンサー
平田先生の研究の柱は大きく二つ。その一つが、身体
が発するさまざまな信号を感知、計測して、異常がない
か探索するバイオセンシング(生体計測)です。先生は、
といいます。
プラスチックとガラスの
性質を併せ持つ新素材
もう一つはプラズマを用いた新規治療法の開発。物
質は、固体から、液体、気体へと変化しますが、プラズマ
皮膚に直接貼り付けたり、あるいは人体に直接埋め込む
とは気体が電離した状態のこと。通常は数十万度もの高
「これを実用化できれば、24時間365日、
たえず健康
状態を自動的にモニターできるようになります。健康の
学専攻修士課程修了。1993年東北大学大
と神経とを融合するなど、独創的な方法を模索している
カーボンナノチューブという極微な物質を用いて、人の
同年東北大学工学部電子工学科研究生。
1992年岩手大学大学院工学研究科電気工
先生。いわば究極の病気発見システムといえるでしょう。
患は多くあります。平田孝道教授は、新たな工学的アプ
ことのできる超高精度バイオチップを開発しています。
1989年東北工業大学電子工学科卒業。
異常が即分かり、速やかに治療に繋げられます」と平田
温ですが、先生は室温程度でプラズマを再現。これをや
けどやけがをした部分に直接照射すると、
「 細胞組織を
活性化させ、治癒につながる」と話します。さらに「プラ
ズマを呼吸とともに肺に送り込むことで、肺や心臓など
学院工学研究科電子工学専攻博士課程後
期3年課程退学。同年東北大学工学部助手。
循環器の病気、脳血管の病気、さらにはがん治療などに
2001年博士(工学)の学位を取得(東北大
も効果があるとの可能性が浮上しています」とその驚く
透明な管内でプラ
ズマを発 生させ 、
病気やけがを治療
する「プラズマ治
療装置」
学)。2003年東北大学工学部講師。2005年
武蔵工業大学(現:東京都市大学)工学部准
教授。2013年東京都市大学工学部教授。第
13回応用物理学会講演奨励賞などを受賞。
紹介
研究
R e s e a r c h
べき効能を説明します。すでにプラズマ治療器の試作品
も完成。バイオセンサーと併せて、早期発見から治療ま
でを一貫して行える夢の医療を目指します。
I n t r o d u c t i o n
無 線 L A N でネットワ ーク の 世 界 を 変 える
山本尚生教授は、四半世紀にわたってNTTの通信研究
で、広範囲の通信網を確立できると言います。
「これを無線
所で情報通信ネットワークの未来を見据えながら、その進
LANメッシュネットワークと言い、すでに災害などで通信機
化のため一身を捧げてきたこの分野のエキスパートです。
能がダウンしたときなど、非常時においては、
こうしたネット
電気通信事業者(キャリア)の立場から、本学の教授となっ
ワークがきわめて有効であることが実証されています」と
た今、山本先生が目指しているのは、キャリアによるインフ
山本先生。これを平常時から普段使うことができる社会を
ラに依存しない新しいネットワークシステムの構築です。
実現するのが、山本先生の目標です。
無線LANを用いた
自律型ネットワークを構築
技術的な課題を克服し
後進とともに研究を完遂
山本先生が現在進めているのは、Wi-Fiなどの無線LAN
(ローカルエリアネットワーク)
システムを活用することで、
キャリアが所有する大規模な基地局などを必要とせずに通
信を可能とする自律分散型ネットワークの構築です。Wi-Fi
キャリアの基地局に異常が起きると、ネットワークそのも
のに障害が及びますが、
このシステムの場合は、一部に生じ
システムを構築する上で、現時点で大きな課題となって
は通信可能域が狭い代わりに免許がいらないフレキシビ
いるのは、遅延時間の発生と通信品質が不安定なことで
す。私たちが普段使っている電話のように、遅滞なく言葉
のやりとりをする状況を安定的に提供するには、まだ無線
LANによる自律型ネットワークでは困難なのだそうです。
「技術開発が進み、信頼性と通信品質が向上すれば、普段
12
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
山本 尚生
た問題が全体に影響することはありません。
リティに富んだデバイス。これを複数個リレーしていくこと
研究室の学生に指
導する山本先生。
PC上で無線通信
網のシミュレーショ
ンを実行中。
知識工学部 情報通信工学科 教授
PROFILE
1974年慶應義塾大学電気工学科卒業。
1976年同修士課程修了。1976年日本電信
電話公社(現:NTT)入社。武蔵野電気通信研
究所基礎研究部第5研究室に所属。1984年
工学博士(慶應義塾大学)。1987年同通信
網総合研究所主幹研究員。通信網トラヒック
研究部研究室長、サービス生産本部担当部
使うだけでなく、新しい生活スタイルを生むような適用領
長、株式会社ATR環境適応通信研究所非常
域も出てくるでしょう」。今後はこうした課題の克服に加え、
勤取締役、通信網総合研究所研究部長などを
「この研究を引き継ぐ後進を育てて、自律型ネットワーク研
究のバトンをつなげたい」
と山本先生は力強く話しました。
経て、2001年武蔵工業大学(現:東京都市大
学)工学部システム情報工学科教授。2012
年知識工学部学部長。
PERSON
# 039
経営システム工学科の大久保寛基准教授の研究テー
マは、生産性向上のために生産システムや流通システム
研 究 、教 育 に 全 力 で チ ャ レ ン ジ
知識工学部 経営システム工学科 准教授 大 久 保 寛基
問することの面白さに目覚め、大学院に進んでもっと研究
を突き詰めたいと思い始めたのです。
における新たな管理技術を探求すること。博士論文では、
「うちの父親は、実直なサラリーマンで、大学を出たら
あらかじめ厳密な生産スケジュールを決めることなく、そ
即就職すべきという考え。大学院なんてとんでもないと
の場に応じて臨機応変に最適な方途を選択し、結果として
猛反対されました」。結局、経済的な支援を受けないと約
高効率・短納期を実現する自律分散型生産制御システム
束して、大学院に進んだ大久保先生。授業料は全額奨学
について研究を深めました。41歳の若さながら、すでに
金でまかない、
やがて修士課程から博士課程へ。自身の研
学会での各種受賞経験もある気鋭の経営工学者ですが、
究をどんどん深めていきます。ちょうどその頃、
プライベー
学位取得後の研究、教育者としての歩みは、決して平坦な
トでも大きな変化が訪れます。友人の紹介で知り合った
ものではありませんでした。
女性に一目惚れし、真剣な交際がスタートしたのです。
大学3年生の時に研究活動の醍醐味を発見
ポスドクの期間中に教育の楽しさに開眼
大久保先生の生まれは埼玉県の春日部市。今では、住
その後、大久保先生は、かなり時間がかかりましたが、
宅街になっていますが、先生が子どもの頃は、
まだ田んぼ
博士号を取得でき、取得後は、母校早稲田の研究員や、さ
や畑が数多く残っていたそうです。小学生時代は、
『 キャ
まざまな大学の非常勤講師として、ポスドク
(博士号を取
プテン翼』が大人気で、放課後は毎日、友達とサッカーの
得後、正規の研究職、教育職に就いていない状態)の日々
練習に明け暮れたそうです。スポーツが大好きで、運動神
を過ごします。
経抜群の先生は、中学に入ると今度はテニスに熱中し、春
「非常勤講師は1年契約なので、交際中だっ
日部市の大会で優勝するほどの腕前に。進学校として知
た今の妻にも、なかなか結婚を切り出すこと
られる県立春日部高校に進むと、硬式テニス部に所属し、
ができませんでした。ものづくりの効率化を
「勉強よりも部活」の3年間を送ります。
「おかげで受験し
前向きに生きていれば
人生は豊かになる
研究していながら、自分の生活は効率的とは
た大学すべてに落ちた」と苦笑しますが、
「 本当にやりた
いきませんでしたね」
と笑う大久保先生。岡山大学自然科
い、学びたいことは何かじっくり考え、
ものをつくること、
と
学研究科に助教として正規採用されるまで、博士号取得
くにその工程に興味のあることが分かってきました」と言
から3年間かかりました。
しかしその間、
さまざまな大学の
うように、
1年間の浪人生活は決して無駄にはなりません
教壇に立ったことで教育の奥深さも発見したそう。人生に
でした。そして早稲田
無駄なことなどない、
と言う先生は、何ごとも前向きに捉
大学理工学部に進学
えながら、一歩一歩前進し続けるのです。
後は、学業に重きを置
「採用が決まって、
すぐ妻にプロポーズしました」
と、
はに
いたキャンパスライフ
かむ大久保先生。2012年には岡山県を離れて、都市大
へ。苦労した分、今ここにあることを喜びつつ、研究と教育
を過ごします。
「それでも、まさか
自分が大学の教員に
テニスに熱中していた大学時代。今で
もコートで汗を流すのが最良のリフレッ
シュだそうです。
研究面では、工場などのものづくり現場が対象でしたが、
なるとは思いもよりま
昨年からはサービス業の生産性向上を図るためのリサーチ
せんでした」と述懐す
もスタート。教育面では、主体的に考える力を身につけても
る先生に転機が訪れ
らえるよう、学生に授業やゼミのありようを工夫していると
たのは3年生の時。新
言います。
「サービス業の店舗でのフィールド学習を行うな
しく設 置された生 産
ど、研究と教育のリンケージも積極的に行いたい」
と大久保
システム研究室で、学
先生。柔和な微笑みの中に、
熱い思いが秘められています。
BOOKS
先生の著書紹介
《世田谷》
に十二分に力を発揮したいと語ります。
湯本 雅恵 教授
澤野 憲太郎 准教授
(工学部/電気電子工学科)
演習と応用 電気磁気学
湯本雅恵・澤野憲太郎 共著/
数理工学社 2013.12/
2,268円(税込)
PROFILE
1997年早稲田大学理工学部工業経営学科卒
業。1999年同大学院理工学研究科機械工学専
攻経営システム工学専門分野修士課程修了。
2005年同博士(工学)取得。清真学園女子短期
大学非常勤講師、早稲田大学理工学部経営シス
テム工学科助手、東洋大学経営学部非常勤講師、
職業能力開発総合大学校非常勤講師などを経
て、2007年岡山大学自然科学研究科産業創生
工学専攻知能機械システム学講座助教。2012年
東京都市大学知識工学部経営システム工学科准
教授。現在に至る。
ここで紹介された著作物は《 》内に表示されたキャンパスの図書館に所蔵
されています。閲覧を希望される方は、各図書館で配架場所をお尋ねください。
《横 浜》
吉田 国子 准教授
(共通教育部/外国語共通教育センター)
《等々力》
近藤 雅雄 教授
(人間科学部/児童学科)
Exploring Japan :
コンパクト臨床栄養学
吉田国子・日高正司・
Harry Kearns・山本梓 著/
三修社 2014.4/2,160円(税込)
長浜幸子・中西靖子・近藤雅雄 編/
朝倉書店 2014.11/
3,456円(税込)
Visiting and Talking about
World Heritage Sites in Japan
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
13
図書館
恒例企画
図書館の蔵書を
選書してきました。
3キャンパス合 同
各キャンパス代表の 31名 で
図書館では、
11月12日(水)
・13日(木)
・15日(土)に世田谷、横浜、
等々力の3キャンパス図書館合同で学生選書ツアーを開催しました。
この選書ツアーは、春はキャンパスごと、秋は3キャンパス合同企画と
して行っています。入館や資料の利用などキャンパス間相互利用を実
施している3館が、図書館の利用充実を進める取り組みとして蔵書構
築に学生皆さんのダイレクトな希望を活かそうと2009年度から実施
しています。都市大合同企画6回目となる今回は、キャンパス合計31名
(世田谷11名、横浜14名、等々力6名)の皆さんが参加しました。
今回の選書ツアーは初の試みとして、日替わり
られた時間の中で、真剣にたくさんの図書と向
書ツアーでは、重複などを除いた474冊(世田谷
で3つの異なる書店(紀伊國屋書店新宿本店・
き合い時間が足りないと焦りながらも、終わった
129冊、横浜252冊、等々力93冊)を蔵書として
MARUZEN&ジュンク堂渋谷店・三省堂書店神
後はとても満足そうな表情でした。また、参加者
受け入れました。
保町本店)で実施しました。選書金額は学部生
同士の交流も生まれていました。
なお、受け入れた図書は、選書した各自が図書を
30,000円分、大学院生50,000円分で、対象資
選書後のアンケートでは、開催時期の設定、実施
紹介したPOPとともに、各キャンパス図書館の
料は学習書を中心としました。
内容の広報などに改善の余地も伺えましたが、
特設コーナーに展示します。また、Web上の書
ツアー当日、参加者はスキャナーを受け取って選
それぞれの書店とも開催は概ね好評で、多くの
棚でも選書図書をご覧いただけます。
書に取りかかると、分野を絞ってじっくり選ぶ、フ
皆さんに選書の楽しさを味わっていただけたよ
書店で直接図書に触れて選ぶことができる選書
ロアを行き来していろいろな分野を見て回る、
うです。
ツアーでは、思いもよらない本との出会いや新
すでに決めてきた図書がどこにあるか検索端末
で調べる、友達と相談するなど自分のスタイルで
参加者のオリジナルPOPで
一推し図書を紹介します。
自由に図書を選んでいました。1時間半という限
今年もさまざまな図書が揃いました。今回の選
たな発見があります。図書館では、学生の皆さん
の視点で選ばれた魅力ある蔵書を増やすため、
これからも選書ツアーを継続していきます。
Web上の書棚(ブクログ)
http://booklog.jp/users/tcu
14
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
NEWS ラウンジ
ウクライナ建築視察団が
建築学科「建築100人展」を訪問
第85回東京都市大学世田谷祭期間中の11月1日(土)、工学部
倉田准教授が日本科学未来館
「“おや?”っこひろば」の監修に協力
人間科学部児童学科の倉田新准教授が、日本科学未来館(略称:
建築学科による「建築100人展」が開催され、
ウクライナの建築視
未来館)で6月13日(金)
にオープンした新コーナー『“おや?”っこひ
察団が見学に訪れました。
ろば』の運営・監修に携わっています。このコーナーは、
ワークショッ
「建築100人展」は工学部建築学科の同窓会組織である「如学
プや体験型の展示を楽しみながら、科学的な「モノの見方」を親子
会」が主催するイベントで、今年で第9回を数えます。卒業生100人
で一緒に養うための無料スペース。およそ600㎡の開放感にあふ
の社会での活動を紹介し、在学生との懇親を図る目的で、建築界の
れる広場内は、子どもが実験やものづくりを楽しむ4つのアクティビ
第一線で活躍する卒業生はもちろん、建築に関連する幅広い分野で
ティと、保護者のためのスペースで構成されています。
4つのアク
才能を開花させた卒業生の「今」を伝える展示となっています。
ティビティには、体を使って遊びながら不思議に思うことを自ら発見
ウクライナ建築視察団は、元副首相であるボリス・コレスニコフ氏
できるように、
さまざまな仕掛けが施されていて、子どもたちは次々
の財団により、若いエンジニアを育成するために企画されたもの。さ
遭遇する「おや?」
「どうして?」に対して、道具などを使って解決を試
まざまな大学で建築を学ぶ約20名の学生が、今回はコレスニコフ
みます。また保護者にとっては一緒に楽しみながらも、子どもたちが
財団の援助により、日本の高度な建築技術に触れさせたいという目
疑問と立ち向かっていく姿をきちんと見守る場となります。なお、本
的と、建築を学ぶ同世代との交流を深めたいという意図で、本学へ
学と未来館とは、2014年4月に包括連携協定を締結。未来館ボラ
の視察となりました。
ンティアへの本学学生の参加や、館内展示などへの協力、研究・教育
当日は、ウクライナのテレビ局も同行しており、日本の建築に対
活動での相互交流などが進められています。
する注目度の高さが窺えました。今回の視察団訪問は、本学建築学
科卒業生であり、視察団のコーディネーターとして同行している小
室大輔さんたちの尽力で実現したもの。また、本学建築学科の特
色は、都市型キャンパスであり、
この「建築100人展」のように在学
生と卒業生が出会える機会が用意されていること。今回のように海
外の同世代と交流ができたことは、在学生にとっても貴重な経験に
なったようです。短い滞在時間にも関わらず、双方にとって大きな刺
日本科学未来館
(東京都江東区)
激となったことは間違いありません。また、今回の「建築100人展」
は、2015年2月14日
(土)から2月22日
(日)
まで、
タチカワブライ
ンド銀座スペース「オッテ」でも開催予定です。
図書館企画展
「DISCOVER DOBOKU」を開催
世田谷キャンパス図書館では、10月4日(土)から11月2日(日)
に第7回企画展「DISCOVER DOBOKU ~画像で巡る鉄道・道路・
ダム・橋梁・空港~」を開催しました。今回の企画は工学部都市工学
科の吉川弘道教授と田中陽二講師によるもので、
さまざまな土木構
造物をパネルで紹介しました。ご来場の皆さまには、社会インフラに
土木工学が果す役割とともに土木構造物特有のダイナミックな景
観、構造美、自然との調和など印象も新たにDOBOKUの魅力を楽
しんでいただきました。また都市工学科の白旗研究室の協力を得て
11個のブロックで組むアーチ橋の構造模型の展示も行い、身近に
DOBOKUを感じていただきました。開催期間中は「大学と保護者と
の連絡会」、
「世田谷祭」が開催さ
れ、学生はもとより、保護者の皆
展示を見学するウクライナの学生
さま、
ホームカミングデーに来校
されたOB、一般の方など多くの
都市大生と建築について熱く語る場面も。
方々にご覧いただきました。
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
15
NEWS ラウンジ
総合研究所の研究成果を報告する
第85回 総研セミナーを開催
7月23日(水)、世田谷キャンパスで行われた感謝状の贈呈式には、
ヒートポンプ・蓄熱センターの理事長代理として東京電力渋谷支社
長が来学、本学の橋本事務局長に記念の盾が渡されました。
8月1日(金)、世田谷キャンパス小講堂にて、本学総合研究所の
平成25年度の研究成果を報告する
「総研セミナー」が開催されまし
た。開会挨拶に立った湯本雅恵工学部長は「社会のニーズに合致し
た素晴らしい成果があがっている」
と強調し、続く丸泉琢也所長によ
る概要報告では、平成25年度に総研セミナーを12回開催し、なか
でも学術交流協定を締結したタイのタマサート大学での実施は大
きなトピックだったと紹介しました。その後、総合研究所内のプロジェ
クトである、
「シリコンナノ科学研究センター」について、電子デバイ
東京電力渋谷支社長(左)
・本学橋本事務局長(右)
ス開発を推進する澤野憲太郎准教授と、光デバイス開発を行う徐学
俊講師がそれぞれの研究内容を説明し、
ゲルマニウムを用いた半導
体により世界最高移動度を記録したことが報告されました。高速道
路や鉄道など社会インフラの再生技術構築に取り組む「都市基盤施
設の再生工学研究センター」からは、三木千壽センター長が「高速道
橋本大二郎氏を講師に迎え
メディア情報学部主催の市民講座を開催
路における取替用高性能鋼床版パネルの研究」、
「 鋼道路橋のモニ
メディア情報学部が主催する市民講座『メディアの現在』第4回
タリングを活用した統合管理システム」、
「港湾鋼構造物の維持管理
が、橋本大二郎氏を講師に迎えて、本学の渋谷サテライトクラスで
に関する研究」の3つについて詳細を説明。さらに「広域型地震防災
開かれました。講演タイトルは「記者、知事、そしてキャスター 〜取
研究室」、
「地盤環境評価研究室」、
「水素エンジン研究室」から、それ
材する側、される側、伝える側の真髄」。題目通り、
これまでNHK記
ぞれ古屋治准教授、末政直晃教授、三原雄司教授による充実した成
者として、また高知県知事として、さらに現在はテレビ朝日『ワイド!
果の報告があり、会は盛況のうちに幕を閉じました。
スクランブル』のキャスターとして、それぞれ異なった立場でメディ
アに接してきた橋本氏ならではの貴重な意見やアイデアが提示され
ました。三部構成とされた講演第一部は、
「日航ジャンボ機墜落事故
が教えてくれたこと」をテーマに、NHK記者時代を振り返り、報道の
あり方、情報伝達のスピードなどについて熱く語られました。第二部
は「取材する側からされる側に」。社会部記者から一転、
4期5選16
年間にわたる高知県知事時代を回顧。
「行政手腕は未知数」との常
套句をメディアが使い続けることの不思議さについて、ユーモアを
交えながら話しました。続く
「キャスターとして、伝える側から見える
こと」
と題した第三部では、再びメディアの側、
とくに視聴者に伝える
立場であるキャスターとなって、現場で感じたことを紹介。講演後の
「都市基盤施設の再生工学研究センター」
三木 千壽 センター長
質疑応答では、報道関係者や一般の方々から、災害報道や、厳しくな
る一方の慣用句への規制など、様々な質問が寄せられ、最後まで熱
気に溢れたまま閉会を迎えました。
本学の電力使用削減に対し
感謝状が贈られました
本学の「氷蓄熱空調システム」による電力使用削減の貢献に対し
て、一般社団法人ヒートポンプ・蓄熱センターから感謝状が贈られま
した。受賞理由となった「氷蓄熱空調システム」は、2013年12月
に竣工した世田谷キャンパス新1号館の屋上に設置されたもので、
夏は氷、冬はお湯を電力使用量の少ない夜間に作って蓄えておき、
橋本 大二郎 氏
昼間の冷暖房に生かす空調システムのこと。新たな1号館は、
これに
加えて、自然換気窓を採り入れた通風システムや外部ブラインド、太
陽光発電、屋上緑化など、さまざまな工夫がなされた環境配慮型複
合施設であり、多角的にエネルギー消費の低減が図られています。
16
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
橋本氏は様々な質問に対し、
丁寧に自身の意見を返していました。
工学部機械工学科 三原教授と学生たちが
都市大塩尻高等学校で出張授業を開催
11月11日(火)、東京都市大学塩尻高等学校で「サイエンスリテ
学生が中心となり地域活性化を主導
「しんゆりマルシェ」を開催
本学と駒沢女子大学・昭和音楽大学・専修大学・田園調布学園大学・
ラシー」の授業があり、工学部機械工学科の三原雄司教授と学生
東海大学・日本映画大学・明治大学の首都圏8大学の学生たちと、地
フォーミュラカーの活動に取り組む学生たちが講義と車両の展示・
域まちづくり団体とがタッグを組み、地域活性化と多世代共生を目
説明を行いました。
的とするイベント「しんゆりマルシェ 2014」が、10月25日(土)、
初めに三原教授が、
「ハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車など
小田急線新百合ヶ丘駅周辺地区で開催されました。
に関するニュース報道を最近よく耳にするが、ハイブリッド車も内燃
このイベントは、2012年、本学都市生活学部 平本一雄特任教授
エンジンを持っており、内燃機関の研究はまだまだ可能性がある」
と
の指導のもと、
まちづくりのアイデアを探っていた本学学生たちが、
提言。本学がエンジンの損失を極限まで低減するための研究拠点と
新百合ヶ丘周辺の活性化のため、
フランス語で市場を意味する「マ
して、
これからの研究に取り組んでいくことを説明されました。
ルシェ」の開催を、地域団体に提案したことがきっかけとなっていま
続いて、機械工学科3年生の久保田寛明さんが、高校と大学の授
す。その後、
この提案のもととなった泉マルシェ
(仙台市泉区)
を主導
業の関連性について説明、また、
フォーミュラカーを作ることで、教
した宮城大学の学生たちとの交流も図りながら、企画内容をブラッ
室内の授業だけでは分からない技術的な気づきが得られることな
シュアップ、今回の実施にこぎつけたものです。本学学生の発案か
ど、実地で取り組むことの大切さについて語りました。参加した塩尻
ら始まった「しんゆりマルシェ」には、
8大学の学生100名以上が参
高校の生徒約30名は、本学学生の話を熱心に聞き入っていました。
加。当日は、
「アートと食の祭典」をテーマに80店舗が軒を連ねまし
講義終了後は教室の外に出て、東京から運搬したフォーミュラ
た。本学からは、人間科学部の学生が、透明傘に絵の具で自由に描く
カーを前に、久保田さんを初めとする学生がパネルを用いて技術的
「パラソルでアートを作ろう」を出展。数多くの親子連れが熱心にオ
な説明を行いました。実際にエンジンをかけ、
エキゾーストノート
(マ
リジナル作品を制作していました。さらに都市生活学部の女子学生
フラーから聞こえるエンジン排気音)が響くと、高校生たちは興味を
13名が、自らデザインしたユニフォームを着用し、
コンシェルジュと
持ちながらも少し緊張した面持ちに。
しかし、エンジン停止後の試乗
して来場者を案内。成功裏に終了したこのイベント後は、宮城大学と
体験では笑顔が見られ大いに盛り上がりました。
の交流を通じて、大学間連携を通じた地方創生のまちづくりモデル
今回の出張授業は学校法人五島育英会の学校間連携事業として
を提案し、全国への普及を目指す予定です。
開催されたもので、本学らしい授業内容でもあり、また説明や運営
をする学生たちの活躍が非常に意義深い学校間連携となりました。
「パラソルでアートを作ろう」
[写真右]三原雄司教授
[写真左]久保田寛明さん
学生自らデザインしたユニフォームを着用し、
アテンドする本学学生コンシェルジュ
TCU QUARTERLY/都市大だより No.194
機械工学についてわかりやすく説明する
久保田さん。
実物のフォーミュラカーを前に、
説明を熱心に聞く高校生。
平成26年12月20日発行
(季刊)
編集・発行:東京都市大学 広報委員会
連 絡 先:東京都市大学 入試広報課
〒158-8557 東京都世田谷区玉堤1-28-1
TEL:03-5707-0104 FAX: 03-5707-2211
E-mail:[email protected]
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
17
追悼
東京都市大学
北澤宏一 学長
2013年9月より東京都市大学を牽引して
きた北澤宏一学長が、2014年9月26日、
急性肝不全のため都内の病院で逝去され
ました。71歳でした。近親者による葬儀・
告別式の後、11月17日に、本学と科学技
北澤学長
卒業後、同大工学系研究科に進んで超
伝導を研究。1986年、当時の科学的常
識を覆す高温超伝導を証明して、世界中
に「超伝導フィーバー」を巻き起こしまし
た。東大教授として長く超伝導研究、後進の育成に注力し、退官後は、独
立行政法人科学技術振興機構の理事長・顧問などを歴任。iPS細胞で名
高い京都大学山中伸弥教授らの研究をサポートするなど、実効性の高い
科学研究支援を先導し続けました。2011年3月の東日本大震災の発生を
受け、
日本学術会議の分科会委員長として、再生可能エネルギーの導入
など、
日本のエネルギー政策について提言。さらに
『福島原発事故独立検
証委員会(民間事故調)』の委員長となり、有識者による客観的、科学的立
場からの報告書をとりまとめています。
世界的な学者、サイエンスの支援者、
また社会の木鐸であった北澤博
士が、本学の9代目学長となったのは、2013年9月のことでした。
北澤学長が教育モットーとしたのは、都市大グループの学園歌『夢に翼
術振興機構との共催による「お別れの会」
を』
に歌われているように、
「学生一人ひとりが夢を持ってそれを育み、夢
が執り行われました。謹んで哀悼の意を表
を翼に変えて実社会に羽ばたいてほしい」ということ。学生たちには、折を
するとともに、超伝導研究の世界的な学者
として、
また約1年と短いながら本学学長と
して着実な足跡を残された北澤学長の面
影をここに偲びます。
18
研究者の枠を超えて
社会の変革者であった
北澤宏一学長は、東京大学理学部を
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
見つけて、
「一隅を照らす
(自分が今いるその場所を、精一杯の力で明るく
照らす)存在になってください」と語られていました。
刺激的な学びの機会を通して、夢を発見し、その達成を目指して歩んで
いけるようにと、北澤学長は就任直後からさまざまなアイデアを現実のも
のにしています。2013年12月16日には、電気を通すプラスチックの発見
により、2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士を迎えて、本
学で特別公開講演会を実施。2014年2月からは、昨今話題の様々なテー
学技術振興機構の中
マについて、講演とディスカッションを行い、専門家や企業人、行政、NPO
村道治理事長、ご友
メンバー、
そして市民がともに知的好奇心を満足できるようにと企画された
人の東京理科大学総
『渋谷カフェ』
を定期に開催。これまでに本学前学長の中村英夫先生や、
合研究機構福山秀敏
ノーベル賞の実状に詳しいクリスチャン・フォスハイム氏らが演台に立ちま
機構長、学生代表の
した。
また、全12回3部構成で実施された環境学部開設1周年記念プログ
久保玲奈さんの弔辞
ラムもこの渋谷カフェの一環として行われました。同年4月16日には、
オバ
と続き、奥 様 の 北 澤
マ米大統領の来館でも話題となった
『日本科学未来館(未来館)』
と包括
邦子様が謝辞を述べ
連携協定を締結。世田谷キャンパス14号館アリーナで、2度の宇宙飛行に
られ、会は厳かに幕を閉じました。北澤学長の突然の訃報は、
まことに無念
参加した未来館の毛利衛館長と、大勢の学生や関係者が見守る中、協定
であり、本学のみならず、
日本にとって大きな損失ですが、常に本学の未来
書の調印式に臨みました。この包括連携協定により、本学学生の未来館
を思い、学生の夢が実現されるようにと願い続けたその遺志は、翼を持っ
でのボランティア参加や、教育・研究活動における相互協力などが進めら
てさらに力強く羽ばたくことでしょう。
ご冥福をお祈り申し上げます。
れることになりました。大学が学部・大学院生のボランティア活動を全面的
にバックアップし、未来館側もこれを積極的に受け入れるのは全国初の試
片田敏行学長代行による追悼の辞
北澤 宏一 学長 〈プロフィール〉
み。
「社会での実践を通じて、夢を翼にする力を養ってもらいたい」という
1943年 4月17日生[出身地]長野県飯山市
北澤学長の強い思いが結実したかたちです。
1966年 東京大学理学部化学科卒業
2014年11月17日午後1時からセルリ
「お別れの会」に
多数の関係者が参列
アンタワー東急ホテル
(渋谷)
ボールルー
ムで行われた「お別れの会」には、ご遺
1968年 東京大学工学系大学院工業化学専攻修士課程修了
1972年 マサチューセッツ工科大学冶金および材料科学専攻博士課程修了
1987年 東京大学工学部工学系研究科工業化学専攻教授
1989年 同超伝導工学専攻教授(兼担)
1999年 同大学院新領域創成科学研究科物質系専攻教授(兼担)
族はじめ、ご友人、教職員、学生など関
2002年 特殊法人科学技術振興事業団専務理事
係者多数が参列。都市大グループ学園
2007年 独立行政法人科学技術振興機構理事長
歌『夢に翼を』が本学吹奏楽団によって演奏されると、会場は一気に哀し
2011年 同顧問
みに包まれました。その後、本学の片田敏行学長代行による追悼の辞、科
2013年 東京都市大学 学長に就任
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
19
I n f o r m a t i o n
入試結果による給費
交付額
TAP 奨学生
採用人数
参加200名の内、100名以上が奨学金の対象!
対象
一般入試(前期)
受験者対象
●一般入試(前期)の成績が極
めて優秀で本学に入学しTAP
に参加する学生を「TAP奨学
生」として選定いたします。
●TAP参加可能学部学科のみ
が選定対象です。
●「TAP奨学生」として選出され
た方には、その旨を合格通知
書に同封し通知いたします。
参加費用免除(概算90万円)
約55名
工学部8学科:約40名、環境創生学科:約5名
社会メディア学科:約5名、都市生活学科:約5名
TAP参加学部の一般入試(前期)受験者
夢に翼を奨学金(TAPアワード)
結果により参加費用が免除となる「TAP
交付額
奨学生」を選出いたします。また、TAP
帰国後の成績などの成果に対して学校
採用人数
法人五島育英会より「夢に翼を奨学金
対象
(TAPアワード)」の給費もあります。
TAP参加学生
対象
●夢に翼を奨学金「顕彰」
:学校法人五島育英会による
奨学金制度。留学中の成績、準備教育の成績及び
英語能力テストの結果から総合的に判断し、サイクル
(前半・後半)ごとに参加学生の成績順位を決定。成
績上位者には成績順位により15~30万円(予定)の
奨学金を給費いたします。ただし、上記の「TAP奨学
生」は対象外となります。
●上記に加え、留学期間中、学生自身(個人又はグルー
プ)による自発的な活動に対して経済的な支援が必
要な場合、事業計画書を提出し採択された場合は
奨学金を給費する夢に翼を奨学金「LBA(Let’s be
Active in TAP)」があります。
15〜30万円
(成績順位による)
約40名
TAP参加学生
(TAP奨学生を除く)
詳細は本学ホームページをご覧ください。
お問い合わせ
国際センターTAP(タップ)担当[世田谷キャンパス] 〒158-8557 東京都世田谷区玉堤1-28-1 TEL:03-5707-0104(代) E-mail:[email protected]
入試要項が完成しました。
2015年度入学試験に関する「入試要項」が完成しました。
詳しくは、インターネット出願ページをご覧ください(http://www.tcu.ac.jp/entrance/internet/index.html)。ご不明な点については、下記までお問い合わせください。
試験日
センター利用入試
(大学入試センター試験)
工 学 部
知識工学部
情報科学科
情報通信工学科
経営システム工学科
自然科学科
環境学部
環境創生学科
環境マネジメント学科
一般入試(前期)
一般入試(後期)
2 2 [月]
2 3 [火]
2 4 [水]
機械工学科
機械システム工学科
原子力安全工学科
医用工学科
電気電子工学科
エネルギー化学科
建築学科
都市工学科
メディア情 報 学 部
1 17 [土]
1 18 [日]
社会メディア学科
情報システム学科
月
日
月
日
2 1 [日]
月
日
都市生活学部
2
2
2
2
2
2
2
月
日
月
日
月
日
月
月
月
月
月
月
月
2 [月]
3 [火]
3 [火]
4 [水]
2 [月]
3 [火]
4 [水]
日
日
日
日
2 28 [土]
月
日
日
日
都市生活学科
人間科学部
2 2 [月]
月
日
児童学科
お問い合わせ
20
全学統一入試
入試広報課[世田谷キャンパス] 〒158-8557 東京都世田谷区玉堤1-28-1 TEL.03-5707-0104(代) FAX.03-5707-2211(直)
TCU QUARTERLY No.194 2014.12
日
1R
TAPに参加し、その成果に対する給費
ログラム)に参加する学生に対して、入試
'(&
本誌特集ページ(P.2-3)でご紹介いたし
ました、TAP(東京都市大学オーストラリアプ
─都市大だより─
TAP奨学生制度
東京都市大学
オーストラリアプログラム