施設介護現場での歯科検診(アセスメント)Part1

エラック口腔ケアNEWS
29
Vol.
口腔ケアが介護保険の対象となって以来、多くの施設介護現場で口腔ケアを積極的に導入している
昨今ですが、良好な結果を得るには施設介護ならではのノウハウがあるようです。介護付高齢者住宅ヒ
ルデモアでご活躍の吉尾恵子歯科衛生士にご解説いただきます。
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施設介護現場での歯科検診(アセスメント)Part 1 ・・・・・・・・・・・・・・・
適切な口腔ケアの実施には、ご入居者の口腔機能の状況を把握することが必要となります。ヒルデモアでは年に一回歯科検
診を実施しています。開始した当時は契約歯科医院が提示していた帳票を使用していました。その後検討を重ね、現在の検
診内容にたどりつきました。今回は歯科検診内容と現場での検診結果の活用方法についてお話しいたします。
【歯科検診】
歯科検診内容(チェック項目)
・口腔内審査内容・・・・・虫歯の有無、虫歯の症状
・歯周病の状態・・・・・・・歯肉炎、歯槽膿漏の症状
・入れ歯に関して・・・・・義歯の有無、試適、口腔内粘膜・歯肉の状態、噛み合わせ
・口腔内の衛生状態・・・汚れ(口腔内、入れ歯、舌)
、口臭、口腔乾燥
・咀嚼の状態・・・・・・・・・奥歯の状態(両方噛める、片方噛める、噛めない)
・噛めない理由・・・・・・・入れ歯の状況、虫歯、歯槽膿漏、噛む力など
・嚥下機能評価・・・・・・・首の運動、頬の膨らまし、流涎、舌の動き、軟口蓋の動き、
声の評価、咳払い、反復唾液テスト
【歯科検診結果により対応】
飲み込みに関する調査票
・現在の栄養摂取方法・
・
・・・経口摂取(食形態)
、経管と経口(各割合)
、経管(胃瘻、経鼻、静脈など)
・既往歴
・現状調査・・・・・肺炎の既往、体重の変化、食事中・後のむせの有無、痰の量
声の変化(ガラガラ声、かすれ声など)
、発熱の有無、食事摂取時間の変化
・その他・・・・・・・口腔内の食物残渣、食べ物が口唇からこぼれる、鼻から出てくるなど
【検診結果の活用】 検診結果報告書(チェック形式)
検診の結果はご本人あるいはご家族に報告します。
・虫歯治療の必要性・・・・・・虫歯の状況に応じた治療内容の簡単な説明
・歯周病治療の必要性・・・・歯周病の進行状況による対応方法を簡単に説明
・入れ歯治療の必要性・・・・入れ歯の調整、修理、新しく作成するなどの提案
・口腔ケア・リハビリ・・・・・・歯磨き、入れ歯の清掃法指導。口唇、舌などのストレッチなどの指導
・嚥下検査の検討など
検診結果により、歯科受診対応や口腔ケア・リハビリの方法をケアスタッフに指導し、
必要に応じ歯科衛生士が週一度口腔ケア・リハビリを行います。この場合ケアプランとも連合する
ように調整します。次回は調査結果の運用に関してお話したいと思います。 制作協力:東京海上日動サミュエル㈱ www.tmn-samuel.co.jp
介護オーラルケア事業室