懇談会報告はこちらをご覧ください。

平成 26 年度
○
趣
学長等と学生との懇談会(グローバル・リソーセス)実施報告書
旨: 「skipwise プログラム」の特色的な短期留学プログラムの一つとして、平成 25
年から「BOOT(Begin Ones’Overseas Trial)プログラム」(以下、「BOOT
プログラム」)を開始したところ。
この度、学長等と「BOOT プログラム」に参加した学生との懇談会を開催し、各
学生が当該プログラムへの参加体験を振り返るとともに、学長等から各学生に対し
て、当該プログラムや関連する事項について率直な意見を求め、今後のプログラム
運営等に活かしていくことを目的として実施したもの。
○
日
時:
平成 26 年 11 月 26 日(水)14:30~16:00
○
場
所:
アカデミック・リンク・センター(3 階)セミナールーム・きわみ
○
出席者:
徳久 学長、渡邉 理事(教育・国際担当)、
小澤 副学長(教育担当)、竹内 副学長(教育担当)
[司会]安藤 園芸学部 教授
[学生]
<留学先:ソウル国立大学(韓国)(平成 26 年度)>
山本
渉美
佐々木尚美
教育学部 小学校教員養成課程(1 年)
法政経学部 法政経学科(1 年)
<留学先:インドネシア大学(インドネシア)(平成 26 年度)>
黒川
真仁
教育学部 小学校教員養成課程(3 年)
橘田
駿一
工学部 機械工学科(2 年)
<留学先:マヒドン大学(タイ)(平成 26 年度)>
渕上栄実香
教育学部 中学校教員養成課程(2 年)
植松
法経学部 法学科(4 年)
久宜
<留学先:マヒドン大学(タイ)(平成 25 年度)>
西尾
洋祐
園芸学部 応用生命化学科(2 年)
江口
一世
園芸学部 応用生命化学科(2 年)
[陪席]佐々木 特任講師(普遍教育センター)、岩本 エグゼクティブ・アドバイザー、
織田 学務部長、市川 教育企画課長、大山 学術コンテンツ課長、中村 総務課秘
書室専門員、河野 教育企画課副課長、高尾 留学生課副課長、大熊 教育企画課特
任専門職員、佐藤 教育企画課特任専門職員、石川 教育企画課教育企画係一般職
員、渡邉 教育企画課事務補佐員
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○
懇談概要: [以下、□:学長等、◆:学生]
[懇談に先立ち、安藤教授から「BOOT プログラム」の概要について説明。]
□
留学先において、同年代の学生の英語力の高さに驚いたことと思いますが、その理由は何
であると感じましたか。それは、教育システムの違いなのか、海外留学経験によるものなの
か、あるいは、帰国子女であるのかなど、気付きの点を聞かせてください。
◆
マヒドン大学でアテンドしてくれた学生の一人は、飛び級してマヒドン大学に入学した人
でした。別の学生は、何度も来日している人で、来年にはデザイン会社を自ら起業する予定
であるとの大変意欲的な人でした。
◆
マヒドン大学で学んでいる学生は、裕福な家庭の人が多いように感じましたが、彼らが言
うには、英語、日本語、中国語を話すことができれば、海外の企業に雇ってもらうことも可
能となるが、タイ語しか話せなければ、タイの中でしか生活していけないため、裕福にはな
れないとのことでした。こういったことが、言語をマスターしようとする大きな動機となっ
ているようでした。
◆
現地の日本語教員によれば、タイの教育を受けてマヒドン大学に進学した人は、学生全体
の半数もおらず、多くは、インターナショナル・スクールなどで独自の教育を受けて進学し
た人であり、彼らは、大学進学前に海外の言語をすでに学んでいるとのことでした。
□ 「BOOT プログラム」をはじめとして、海外留学プログラムは、次年度以降も続けていき
ます。今後、よりよいものとしていくため、皆さんが思ったところを聞かせてください。
◆
リーダーの役割として携帯電話を持たされましたが、現地では通じず、連絡が取れない状
況が何日間か続きました。幸いにして大きなトラブルはありませんでしたが、何か起こって
いたらと考えると怖かったです。
→(教育企画課特任専門職員)携帯電話は、危機管理の観点から、平成 26 年度に初めて導
入したものですが、この度の反省を踏まえ、改善に活かしていきたいと思います。
◆
現地で Wi-Fi がつながるものだと思い、海外安否サービスを利用していましたが、つなが
らず、安否確認が出せませんでした。
◆
このプログラムは、ビギナーズ向けの難易度とのことでしたが、日本の高校でのオーラル
コミュニケーションのレベルと大差がなく、易しく感じました。もう少し難易度が高いもの
でもよいのではないでしょうか。
◆
留学先における日常生活では、英語ではなく現地語を使用しており、また、現地語を英語
で学ぶというものでしたが、留学先の国の言語をもう少し広げて学びたかったと思います。
◆
グローバルインターンシップにおけるカルチャーアクティビティの中で、具体的な内容が
一切決まっておらず、自由時間となってしまったということがありました。その時間を使っ
て、いろいろな所を観て回り、結果的には有意義に過ごせましたが、改善が必要です。
◆
インドネシアでのホームステイにおいて、中には、英語が全く話せないホストファミリー
があり、そこにホームステイさせてもらった学生は、コミュニケーションがまったく取れず
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に困ったとのことです。そのような情報は、事前に把握できていないと困ると思います。
□ 「BOOT プログラム」は、英語のスキルアップが一番の目的ではありますが、今後、学生
の皆さんにこのプログラムを PR していくに当たっては、英語のスキルアップそのものと、
留学先の言語や文化も学べるということのいずれを前面に出して行ったほうがよいと思いま
すか。
◆
実際に参加してみて、思った以上に、現地語や文化を学べたような気がします。留学先の
言語や文化も一緒に学べることを前面に出したほうがよいと思います。
◆
その国だから行きたいというよりは、英語を学びたくてエントリーする学生が多いように
思います。したがって、現地のことも学べるという程度とし、英語を重点的に学べるという
ことを前面に出したほうが、多くの学生の興味を引くと思います。
□
イングリッシュコミュニケーションの授業と比べて、留学先での授業はいかがでしたか。
◆
イングリッシュコミュニケーションでは準中級クラスを受講しています。プリントの教材
に沿って授業が進みますが、マヒドン大学における英語の授業では、約半分がプレゼンテー
ションの準備で、パソコンを使って作業することが多かったです。このように、授業の方法
は異なりますが、難易度は同じ程度に感じました。
◆
年度当初に、イングリッシュコミュニケーションを受講しようと思い、クラス分けのテス
トを受けましたが、所属学部の履修登録上限単位の関係で受講できませんでした。受講可能
となるよう検討していただきたいです。
→□
CAP 制(履修科目の登録上限の設定)については、学部ごとに設定が異なるため、当
該学部の教員とも相談してみたいと思います。ただし、制度の中で履修可能となるよう
努力したいと思いますが、現状においても、本気で学びたいのであれば、単位の有無に
関わらず履修すればよいのではないでしょうか。
→□
学部によって教育方針が異なるため、なかなか難しいかもしれません。しかし、学生
の皆さん各々が自由な発想を持って学んでよいのだとのガイダンスは行うべきです。
□
イングリッシュ・ハウスを利用していますか。利用していない場合には、その理由を聞か
せてください。
◆
一人で入る勇気がありません。入口から英語で話しかけられるのが少し怖いです。
◆
イングリッシュ・ハウスについて、そもそもよく知りません。学部掲示板への掲示、SNS
での発信、ガイダンスなど、更なる周知を行うのがよいと思います。
◆
参加しやすいプログラムやイベントを実施してほしいと思います。
◆
英語があまり話せないので行きません。
◆
イングリッシュ・ハウスに行けば、留学生と知り合うことはできると思いますが、日本人
学生の利用が少なく、なかなか知り合えません。一緒に学ぶ仲間ができれば行きやすくなる
と思います。
→□
イングリッシュコミュニケーションを履修している学生の皆さんは、英語をもっと学
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びたいと思っているはずですので、最後の授業をイングリッシュ・ハウスで行ったり、
イベントの際は教員が学生の皆さんを連れて参加して、まずは雰囲気を味わってもらう
など、もっと教員に協力を仰いではいかがでしょうか。
[「BOOT プログラム」今後の展開について(安藤教授)]
「BOOT プログラム」は、始めてからまだ 1 年も経っておらず、現段階では試行錯誤の中で
実施しているプログラムです。今後、フィールド研修等も増やしていくなど、留学のための様
々なメニューを提供できるようにして、国際的な学部生・大学院生を輩出していけたらと思い
ます。
また、実際に体験してきた学生のポートフォリオをどのように作っていくのかが大事で、そ
のためには、学部の教員・事務、国際教育センター、学務部など関係者の連携によるシステム
を作っていければよいと思います。
[講評(徳久学長)]
マヒドン大学の学生は英語が大変上手ということで皆さん驚いていましたが、英語が上手だ
からといって、それだけで人格までもが優れているというわけではありません。アメリカやイ
ギリスに行けば、100%の人が英語を話しています。英語はコミュニケーションを取るための
手段の一つでしかないのです。
人の言語中枢は 10 歳前後でできあがってしまうと言われています。そのため、今、一生懸
命、英語の発音をよくしようとしても、ネイティブの発音を完璧にはできません。それでも私
が話す英語は通じます。意思を通じさせることはできるのです。皆さんが学ぶべきはそのよう
な英語であると思ってください。英語を外国人と同じように話そうと思ったら、10 歳前後で
外国に行っていないとできません。
皆さんに学んでほしいのは、外国人とのコミュニケーションです。韓国に行ったら韓国語で
学び、中国に行ったら中国語で学ぶのがよいのですが、現代の利用範囲が広域な英語で学ぶよ
うにしているのです。
繰り返しになりますが、コミュニケーションが鍵です。コミュニケーションは、紙に書いて
もよいし、パントマイム、あるいは、日本語で通じさせることも素晴らしいことなのです。自
分の思うことを日本語で相手に理解させられるだけの技量があれば、それは日本語の天才で
す。そういうふうに考えて、英語を学んでほしいと思います。技術の一つでしかないのです。
例えば、TOEFL でよい点を取ったとしても、実際に現地で使えなければ、あまり意味がない
のです。このような視点に立って、留学をたくさん利用して、自分の視野を広げ、どのような
人に対しても恐れずに対等に話をして、意思を通わすことができるという自信を持てるように
なることが大変重要です。そしてその先に文化の理解が深まってきます。
この「BOOT プログラム」は入口に過ぎません。これから先、こうした経験をもとに、そ
の後も次々と、長期留学、短期留学、インターンシップなど、ためらうことなく外国に行って
みてください。皆さん、ぜひ、がんばってください。
(了)
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