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2015 年 3 月 12 日
宣伝・対話・学習資料版 No.5
大阪憲法会議・共同センター
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特集
美しい日本の憲法をつく
る国民の会
美しい日本の憲法をつくる国民の会設立宣言(抜粋、下線は編集部)
日本国憲法は制定以来、一度も改正されたことがなく、現実との乖離はますます拡大 している。大規模
自然災害の恐れや地球規模での環境破壊、中国による軍事的脅威を始め我が国をとりまく安全保障環境の
劇的な変化、崩壊する家族など、我が 国は憲法が想定しなかった危機的事態に直面している。(中略)
私たちは、国会が発議可能な議席数を確保しているこの 2 年の間に改憲の発議がなされ、平成 28 年の参
議院選挙にあわせて国民投票が実施されることを目指して、以下の活動を開始する。

一. 憲法改正の早期実現を求める国会議員署名及び地方議会決議運動を推進する

一. 全国 47 都道府県に「県民の会」組織を設立し、改正世論を喚起する啓発活を推進する
(現在、神奈川県、高知県、栃木県、「熊本女性の会」を設立)

一. 美しい日本の憲法をつくる 1,000 万人賛同者の拡大運動を推進する
安倍自民党と新改憲団体 国民投票に照準 「草の根」から改憲策動(赤旗特報 1 月 6 日(火)抜粋)
「九条の会」に対抗
渡辺治一橋大学名誉教授(九条の会事務局)は
「新たな改憲組織『美しい日本の憲法をつくる国民
の会』、その中心にいる日本会議もそうですが、み
ん な地方・地域の組織を重視しています。彼らが
改憲がすすまなかった原因と考えているのが九条
の会の運動です。地方・地域でこれに対抗するだ
けでなく、最終 的には国民投票でいこうとしてい
る。国民の中にある平和主義への同調をそう簡単
には変えられないと思っているのです」と指摘しま
す。
国政・国会での安倍自民党の動きと、地方・地域
での運動との二人三脚で改憲運動を前にすすめ
る―。
「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、その
担い手として総選挙前の10月1日に結成されまし
た。右翼改憲団体の総本山・日本会議の三好達
会長が「国民の会」共同代表(3人)、椛島(かばし
ま)有三事務総長が同事務局長になるなど、日本
会議系列の運動組織です。
この会は「平成28年(=2016年)7月に実施さ
れる予定の参議院選挙で、『憲法改正国民投票』
の実現と、過半数の賛成による憲法改正の成立をめざ」
共同代表の一人、櫻井よしこ氏(ジャーナリスト)が
すと目的を明示しています。首相発言と軌を一にして
『週刊新潮』1月1・8日号で安倍首相と対談。そのなか
います。
で「総理はかねてより、『自分の歴史的 使命は憲法改
そのために、1000万人の賛同者署名の拡大、早期
正だ』と述べてこられた」「私たちは『国民の会』を設立
実現の国会議員の署名や地方議会決議の推進、全
し、2016年の参院選の頃に試案を提示しようといって
県に「県民の会」をつくるとしています。改憲内 容を紹
いる」と水を向けます。首相 は、時期は明示できる状
介するパンフ、リーフレット、賛同署名用紙、ポスター
態ではないといいながら「国民投票によって否決され
などを作製し傘下の団体に配布し、「草の根」の運動を
たら一巻の終わりになる。そうならないように国民的な
よびかけています。
議論を深めていく必要があ る」と並々ならぬ構えを見
地方議会での「憲法改正早期実現」意見書はすでに
せました。
24府県議会、25市町村議会で可決されています。
議連が押し上げ
改憲団体の動向にくわしい俵義文氏(子どもと教科書
「内閣の大臣19人のうち日本会議議連が16人、神
全国ネット21事務局長)は「安倍内閣のタカ派度・極
道議連が18人など8割、9割を占めます。首相自身が
右度が“来るところまで来た”といえるほ ど際立ってい
日本会議議連の特別顧問、神道議連の会長を務めて
ます。一度政権を投げ出した安倍晋三氏が政権に復
います」と指摘します。
帰することができたのは、反人権・反憲法、歴史修正
これらの議連は日本会議(東京都目黒区)と、全国の
主義の議員連盟に支えられたからです。第 2次政権
神社を傘下に置く神社本庁系列の政治団体・神道政
に至る自民党総裁選のときに、地方票で上回っていた
治連盟(同渋谷区)などを協賛し、選挙になれば支援
石破茂氏を議員票で逆転したのは、それら議連の押し
を受けて活動しています。
上げがあったためです」といいます。
俵氏はそうした議連に、日本会議国会議員懇談会、
さらに櫻井氏が理事長を務める「国家基本問題研究
所」(同千代田区)は、外交・安保問題で研究会や講
日本の前途と歴史教育を考える議員の会、神道政治
演会を開き、日本軍「慰安婦」問題の「河野談話」を攻
連盟国会議員懇談会、みんなで靖国神社に参拝する
撃する新聞意見広告をだすなどしています。
議員の会、創生「日本」(安倍首相を会長とする超党派
の議連)などをあげます。
これらの改憲団体が「美しい日本の憲法をつくる国
民の会」の中心に座っています。
国民意識との矛盾
国民投票に照準をすえたこうした改憲運動は、彼らの
思惑通りにすすむのか―。
1969年結成の古い改憲団体の一つ、神道政治連
渡辺氏は「改憲勢力にとって、まず閣議決定の法制
化という解釈改憲をすすめることが、アメリカの要請に
も応える焦眉の課題ですが、安倍首相やタカ派による
盟と密接な関係にある「神社新報」はその論説(昨年1
明文改憲の言説は国民の懸念を増しています」と述べ、
0月13日付)で「神政連は、この『国民の 会』と『県民
改憲派内の矛盾をこう指摘します。
の会』の中核となって、これから全力を挙げて国民運
「衆院東京12区で極右改憲派の田母神俊雄候補
動を展開していかねばならない」といい、「各神社にお
(「次世代」副代表)が最下位落選でした。世論調査に
いては、氏子や崇敬者の組織を動か し」賛同者の拡
見るように、国民のなかには戦前の日本のあり 方への
大を、と訴えています。
反発は根強いものがあります。一方、安倍首相の原動
しかし、関西地方の神社関係者の一人は「私たちの
力・エネルギーは明文改憲派、『靖国派』です。この人
ところではあまりそういう話は聞きません。総選挙のとき
たちを排除すると改憲運動を盛り上げること ができな
に神社系列で推薦候補というのがきていま すが…。
い。平和を志向する国民の意識を突破しなければなら
私の世代は戦後の民主主義の中で育っているから、
ないのですが、その馬力を担うのは主権者の国民をな
戦争をしないことはとても大事なことです。そうした多く
いがしろにする人たちです。ここに彼らの運 動の矛盾
の国民の願いを無視するようなことはして ほしくない」
、弱点があると思います」
といいます。