平成 26 年度 第 2 回新潟市歴史博物館運営協議会 【日 時】 平成 27 年 2 月 24 日(火) 【場 所】 新潟市歴史博物館セミナー室 【出席委員】 池田 哲夫 会長 15:00~16:45 (新潟大学人文学部教授 (BSN新潟放送事業局) 佐藤 勝則 委員 (新潟日報社) 佐藤 秀彦 委員 (入舟小学校長) 関本 守 委員 (公募委員) 玉木 浩 委員 (白根北中学校長) 橋本 博文 委員 (新潟大学人文学部教授 星名 泉 (公募委員) 三邨 佳之 委員 (日本旅行業協会 新潟県地区委員会委員長) 本井 晴信 副会長 (新潟県立図書館) 和氣 彰 (新潟市小中学校PTA連合会 副会長) 委員 委員 渡辺 幸子 歴史文化課長 【 事 務 局 】 小林 昌二 館長 田代 雅春 副館長(旧小澤家住宅館長) 伊東 祐之 副館長 倉地 一則 副館長(企画普及課長) 小林 隆幸 学芸課長 石田 孝子 企画普及課主任 吉田 和菜 企画普及課職員 1.開 民俗) 井上 美保子委員 【オブザーバー】 【 次 会議録要旨 考古) 第 】 会 2.館長あいさつ (小林館長) 〇 今年度は館発足 10 周年ということで、新潟の歴史に密接なテーマを掲げた企画展 を開催した。『大新潟湊展』あるいは『新潟地震展』の中で、 「新潟市とどう関わって どんな風にこの地で生きていたのか」というテーマを掲げ、 『むかしのくらし展 にいがた』、『沼垂展』にも取り組んだ。 1 / 10 冬の 幸いに各企画展は、市民の「この地で生きてきた」という実感にこたえたところも あって入館者数を伸ばし、良い結果を出すことが出来た。 常設展、体験の広場も含め、入館者が昨年度は 9 万人台に落ち込んだが、今年度は 現時点で 11 万人を超え、復調しているところである。 旧小澤家住宅の方も、3 年目に入り、前年度を上回る多彩な取り組みの中で、入館 者数も前年度を超えて伸びている。よく健闘してきたのではと思う。 そういう中で、市民の皆様の目には、当館はどのような博物館に映っているのか。 その一端は【議事(3)次期指定管理期間の運営方針】の中にいくつか出てくる。かな り存在を知られてきたとは思うが、 「どうしても無くてはならない館か」と問われた時 に、そこまで言い切れるのか。真摯に、シビアに、見落とさないように現状を把握し ているところである。 次期指定管理期間の運営方針を考える上での大きな課題として、委員の皆様にご審 議いただきたい。 来年度から次の指定管理を獲得し、もっと魅力的な博物館として運営できるように、 いっそう委員の皆さまのお力を頼りたい。それは一番大切なことだと思っているが、 予算財政が絡んでいることであるため、館からは思いの丈も述べながら、台所事情も 含めて説明をしていく。 忌憚のない率直な意見をいただきたい。 3.議事 (1)平成 26 年度の館運営状況 1)博物館 2)旧小澤家住宅 資料 1~4 に沿って、事務局から説明。 (本井委員) 〇 企画展のテーマについて。 「このテーマは一回やったからもうやらない」という傾 向はどの館もかなりあるらしいが、何度もやってはいけないということは無い。主催 者が主体的に、 「もっといろんな角度から知ってもらおう」という考えで行うのは良い ことだと思う。田代副館長から話があった通り、現在同じテーマで複数回開催してい るものも、成果が出ているのだから、他のテーマでも複数回開催すると良いのではと 感じた。 2 / 10 (2)平成 27 年度の運営計画 1)博物館 2)旧小澤家住宅 資料 5~6 に沿って、事務局から説明。 (橋本委員) 〇 平成 27 年度に予定されている企画展『越後平野の古墳』について。当館(新潟大 学旭町学術資料展示館)も協力したいと思っている。 4~6 月に、秋葉区の古津八幡山古墳の史跡整備が終わり、オープンする予定である。 市の文化財センターから、 「古墳整備と古津八幡山古墳」といった展示を、弥生の丘の ガイダンス施設と、隣の新津美術館の施設も使って展示すると聞いている。講演会も 予定されているとのこと。また古津八幡山古墳の近くには豪族居館・舟戸遺跡がある が、6~8 月頃には「古墳と豪族居館の関連」というテーマの企画展を考えているとの ことで、私の方にも協力してほしいと話があった。 同じ時期にみなとぴあでも古墳関連の企画を考えているようなので、その辺りをう まく連携させるといいかなと。 具体的に、『越後平野の古墳』とはどのような展示を考えているか。 (小林学芸課長) 〇 おっしゃるとおり古津八幡山古墳のことも明らかになってきたので、それも踏ま えて牡丹山神社古墳、城の山古墳、古くからわかっている菖蒲塚古墳、山谷古墳等を、 新潟平野に長岡あたりまで含めて総括的に紹介する。その中でも、 「最近調査されて明 らかにされた所」を基本のテーマに設定する予定。 当館も、古津八幡山で展示を行うという話は耳にしている。城の山古墳も奥山荘歴 史館で展示をやると聞いたので、資料が思うように集まるかどうか微妙な所である。 ただ城の山古墳の資料が文化庁の方に行ってしまう可能性があるとのことで、やは り来年度実施する必要があると考えている。 橋本先生にも早めにご相談をと思っていた。近々またご相談させていただきたい。 (橋本委員) 〇 城の山古墳に関しては、遺跡・古墳そのものは国史跡指定に向けて、遺物は国の 重要文化財指定に向けて、胎内市がおそらく活動を進めている。遺物の方は保存修復 がある程度進んでいるというところで、今年は新たな発掘調査として、前方後円墳か どうかの駄目押しの調査を計画するようである。発掘報告書を作って、その上で現地 の国史跡指定に向けて手続きに入るのが基本の流れである。 3 / 10 たしかに、国の重要文化財になると遺物を動かすのが厄介になるというのはある。 しかし、地元胎内市の方でフォーラム・シンポジウムを開催した際に、市民に遺物を 見せた例もあるので、新潟市の方に快く貸してくれると思う。 牡丹山神社古墳も初回の発掘調査があった。しかし、専門家向けには成果があった ものの、見栄えとしてはあまり絵にならないかもしれない。うまく見せるには、埴輪 等の比較資料を近隣から借りてきて、併せて展示するというのも良いかなと思う。 私の郷里は群馬なのだが、埴輪がたくさんある。知り合いの相川考古館という私立 博物館は、埴輪を売りにしていて、重要文化財の埴輪も所蔵している。この3月に理 事会があるが、そういう所も観賞していただければ。 また、イベントについて。最近古墳ブームである。先日、大阪府高槻市の今城塚古 墳という、継体陵の本物の可能性が高い古墳を見学した際、イベントが開催されてい た。 「まりこふん」というテレビにもよく出ている若いシンガーソングライターがステ ージに出演しており、その周りでは非常に経済効果が高く、キャラクターがたくさん 出ていたり、グッズ販売があったりとすごい人出だった。群馬でもそんな催しがあっ たようである。 まじめなシンポジウムや講演会ももちろん必要だが、一般にアピールするような機 会も設けると良いのかなと思う。 (3)次期指定管理期間の運営方針 1)博物館 2)旧小澤家住宅 運営方針資料 1~2 に沿って、事務局から説明。 (関本委員) 〇 私の自治会の縄張りになっているので、博物館からパンフレットをいただいて、 町内で回覧している。以前も言及したが、門前町なので皆さん自宅の前の清掃をこま めにやり、美化に努めている。 (佐藤勝則委員) 〇 いつも思うがスピードが大切かなと。先ほどから話に出ている年間パスは、 「検討 したい」ではなく、既に取り組んでいなければならない問題だと思う。市の行政が関 わってくるのでどうしても制限がかかってくると思うが、早めにクリアして年間パス 実現に取り組んでほしい。 4 / 10 また旧小澤家住宅の活用を見ると、季節ごとではなく毎週末に何かイベントをやっ た方が良いのではと感じる。週末ちょっと酒が出るくらいの所が良いのだろうが。週 末の夜に旧小澤家住宅に行くと、そういったイベントというか雰囲気を味わえるとい う風にしていかないと、今まで旧小澤家住宅に行ったことが無い人がほとんどだと思 うので、話題になるのは大切だと思う。 企画展について。博物館だから学術的な研究成果の発表というのは十分に必要だと は思うが、その中でいかに市民に広く知ってもらうかを考え、間口の低い、誰でも楽 しめるものをまず初めにやってはどうか。全て高尚なものではなくて、もっとゆるい 企画をやることで、ファンを増やしていかなければいけないと思う。 展示の見せ方について。博物館というと、どうしても研究成果と資料の大切さを前 面に押し出す傾向があるが、美術館のように「どのように見せたらもっと美しいか」 という意味合いを含めて考えていかなければいけないと思う。歴史文化課と文化政策 課の担当になるが、美術館学芸員との交流といった人材の交流を進めることで、見方 を変えることに繋がるのではないかな、といつも思っていた。 (星名委員) 〇 自主財源の話が頻繁に出てきたが、来年、特にそれを使ってやりたいことは既に 決まっているか。 (伊東副館長) 〇 来年、自主事業として挙がっているのが、古文書講座の中級編・演習編。従来、 講演会や講義は「資料代」として実費相当しか貰っておらず、収益があがらないシス テムになっていた。来年は、その自主事業で高めのお金をいただいて、資金を貯める ことを試そうと計画している。 また子供向けの歴史講座・体験などを定期的に行って、その会員募集をしようかと 考えている。しかし子供向けの体験というのはほとんどお金をとれる代物ではないの で、先ほどお話した補助金等で実施するものである。 また平成 27 年度の企画展『みなとの仕事いまむかし』 は、市の指定管理料を使わず、 補助金と自主事業で稼いだ資金のみでの開催を試そうとしている。 色々試しながら、実際に「こういう企画を立てればこれくらい収入が入るんだ」と いうところを見ていって、再来年度以降、本格的に方針として打ち出したいと考えて いる。 5 / 10 (星名委員) 〇旧小澤家住宅の体験プログラム『沈金体験』は、内容の割に料金がとても安いと感 じた。これに限らず、お役所の体験プログラムは参加費がとても安い。 子供のワークショップではあまりお金をとれないとのことだが、それなりに運営に はお金がかかることと思う。 また私も子供がいるが、体験させてあげたいと思っても、 自分ではなかなか体験させてあげられないことを取り扱っている。 逆に少し値段が高い方が、価値があるということを同時に伝えられるのでは。少し くらい実費が高くなったとしても、素材の値段の高さ等も大切なこととして一緒に教 えられたら良いのではないか。 費用を博物館が少し負担してくれれば、参加する人としては確かにありがたい。け れど、ちゃんと中身があることなので、 「どこでもできることを安い値段で」ではなく 「ここでしかできないことを少し高い値段で」ということで、体験をする人からもっ と高い料金をとるのも悪くないのではないかと思った。 (橋本委員) 〇 当館も似たような状況で、少子化のため大学の予算がとても減らされている。毎 年 7%マイナス、次の年度に関しては半分にするという話も出ていて、立ち行かなく なる可能性が高くなってきている。 大学で博物館を応援するとしても、大学にお金が無いとなると、外部資金を取って くることになり、企業回りや日本財団へ応募する等の方法になる。 これはもう遅いと思うが、 「東アジア文化都市関連事業」という事業がある。新潟市 の方で「水と土の芸術祭」の準備が進んでいて、そちらの市民プロジェクト枠に「私 と砂丘展」という企画を出した。しかし「東アジア文化都市関連事業」というのが、 音楽やフェスティバル関係が非常に強く、学問的な部分はあまり無いということを聞 いた。 もし国からも補助金をもらい、何か事業を行えるということであれば、こういうイ ベントの中で財源確保して企画を行うという手もあるかなと。最近、朝鮮半島で前方 後円墳や埴輪が発見され、12 月末には人物埴輪や馬型の埴輪が初めて発見されたりと、 多くの動きがあった。朝鮮半島・中国・日本の埴輪等を比較して見せる等の展示も考 えられる。 しかし、なかなか事前にこういう話題があることを知ることができない。うまく行 政の中で早期に察知して、手を挙げられるものは手を挙げて、少しでも足しにしては どうだろうか。 6 / 10 (田代副館長) 〇 「東アジア文化都市関連事業」について。旧小澤家住宅で今開催しているもの、 たとえば『新潟漆器展』については、新潟市の企業立地課と漆器同業組合と組んで、 予算的な交渉をしながら、どのように新潟の漆器と歴史的建造物を一緒に紹介してい けるかというテーマに向かって、共同主催をしている。何百万単位の資金を漆器同業 組合には用意していただき、また助成金ももらい、旧小澤家住宅の自己資金も出せる 部分は出している。お金が無い中でも一緒に組んでやれるようにしていく必要がある。 どう事業を行っていくか、今組み立てている構想を実現していきたい。 また星名委員から「お金を高く取ってもいいのでは」というご意見があったが、高 い料金の催しも既に行っている。今の仕組みでは、そうして儲けたお金を私どもで使 うことはできない。そこのシステムを直していければ、今度はそのお金を使っていく 形にシフトできる。それが今回提案している自主事業、あるいは共同主催という形で ある。 当館の共同主催は「相手を利用する」のではなく、 「相手と一緒になって文化を作っ ていく」という形である。相手に「そのためにお金を出しても良い」と思ってもらえ た時に、初めて共同主催ができる。そのように考えている。 委員の皆様からそんな相手先のご紹介があれば、もしくは皆様と組めたら、また良 い事業にしていけると思っているので、ぜひお願いしたい。 (和氣委員) 〇 27 年度の企画展「戦後 70 年 戦争とくらし展」について。非常に期待している。 もし可能なら、戦争を体験された方が子供に語り継ぐような企画があると良いかと思 う。 ただ開催期間が 9 月以降とのことなので、8 月 15 日前後に何かあると、社会的にも 燃え上がっている時期だと思うので、子供たちにも関心をもたれるのではないか。 また、先ほど佐藤委員の方から「もっとゆるいイベントがあると良い」という意見 があった。皆様ご存じの通り、AKB48 のグループが新潟で立ち上げられるという話 が出ているので、その辺りの可能性を探って見られてはどうか。 また、日本PTA連合の全国大会が、平成 30 年度に新潟県で開催されることが決定 している。8 月後半の 3 日間で約 8,000 人が全国から来る一大イベントである。メイ ンは今のところ長岡市だが、全国から来られる方々に新潟を知っていただく一つの要 素として、何か一緒に開催できるといいかなと。 7 / 10 (関本委員) 〇 観覧料のシニア割引は考えているか。東京へ行くと動物園も西洋美術館もシニア 割引をやっている。この下町は超高齢化地域として市から指定を受けているくらい、 高齢者が多い。もしシニア割引があれば嬉しい。 (伊東副館長) 〇 実は料金については市に決定権があり、年間パスポートもシニア割引も、私ども では決められない。シニア割引については市でたびたび話題になっていると聞いてい るが、なかなか進んでいない。当館としては年間パスを作って、条例改正をしていた だけるとありがたいなと思う。 皆様から見ると、今回の運営方針の転換の話には「そんなこと当たり前では」と感 じる点が多いと思う。というのも、博物館は社会教育法に基づく施設で、本来は博物 館法で「無料が原則」となっている。そこを「それでは運営していけないので」とお 金をいただいているという形である。 私どもとしては、いつまでも「博物館はお金を取ってはいけない」とは言ってられ ないということで、一大決心をして「お金を儲けたい」というお話をしている。その 点、かなり世間の常識からずれていると思う。 そういったことを承知でお話しているのだが、やはり社会教育機関としての役割を 捨てるわけにはいかないと考えている。その社会教育機関としての役割と見合いなが ら、どのように館運営をしていくか、というところで悩んでいるのだとご理解いただ きたい。 そういう意味で、本日お話をすることで、 「社会教育機関としての面を捨ててはいけ ない」というお叱りを受けることも有るかと思っていた。 (佐藤勝則委員) 〇 その点については理解している。しかし結果が1勝2敗、1勝3敗でも構わない が、全て負けるというのはおかしいと思っている。経営的な観点が博物館にも入って いかないと、行政の中での博物館が持つ意味合いがますます低下していくと、危機感 を持って捉えているので、むしろ応援しているものとして考えていただきたい。 (小林館長) 〇 矛盾した中ではあるが、 ひとつ高い理想というか、理念という問題も考えている。 資料の文中にあるように、市民の博物館として、市民の「無くてはならない」という 思いを作っていく一方で、 「そんなに困ってるんだったら…」という理解を得て、支え 8 / 10 ていただける方を増やしていこうという意図を含んでいる。 色々守らなければいけないものもあるが、未来を考えて行く。矛盾の上に立ちなが らだが、そういう道筋で進んでいきたい。 (本井委員) 〇 博物館も美術館も、常設の展示をメインにするべき存在かと思う。しかし、その ためには物がなければ話にならないし、物が豊富にあればそれに越したことはない。 色々な企画というのは物がベースになって、どんどん考え方が発展していくのだろう と思う。 博物館として、今後、物をコレクションしていく見通しはあるか。 市民の協力も大事なことである。 「これは既にあるからいらない」 「これは欲しい」 と選ばなければいけないこともあるかもしれないが。 「あの博物館で俺の物が大事にさ れているんだ」という考えというか蓄積というのも、 「市民の博物館」としての大事な 要素の一つになっていけると思う。 あまりこの資料の中には、コレクションしていく物や、収集やそれに関わる働きを していくことについては書かれていない。そのため、 「とにかくある物で」というニュ アンスで書いてあるように感じる。館がコレクションしていく見通しを一行記載して いただくといいかなと思う。 (4)その他 (伊東副館長) 〇次期指定管理期間の運営方針について。 今日お配りした【運営方針資料】 、そして皆様からいただいたご意見に基づき、運営 方針を具体的に作成する。市に提出するのは夏頃になる。それまで皆様に読んでいた だいて、「こういう観点が抜けている」「これは間違っているんじゃないか」等のお話 があれば、ぜひお電話なりご書面なりでいただきたい。 (倉地副館長) 〇 平成 27 年度予算について。 市の指定管理料の部分については固まっているが、館が独自でやる自主事業の分が まだ財団内部で調整している段階である。したがって今回の配布資料には含めなかっ た。 自主事業も含めた全体の予算が固まった段階で、また皆様にお送りしたいと思う。 9 / 10 4.閉会 10 / 10
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