法令実務B「条例の立案【講義・演習】」の事前課題について

法令実務B「条例の立案【講義・演習】」の事前課題について
九州大学・田中孝男
平成 27 年 8 月 12 日
講義内容を充実したものとするため、講義レジュメ中に出てくる予定の【質問】につい
て、事前に検討しておくものが良いものを用意しました(研修中の質問は、下記のほかに
も数題あります)。予習して、回答を準備してください。指名又は手挙げを予定しています。
質問の番号とか、○市といった表記は、研修当日用の教材では変わる可能性があります。
(順不同)
【質問 1】次の行為は自治体の事務として実施することができるか?
1-1)都道府県警察の警察力では対処できないようなテロなどの危険に対処するために、
自衛隊で使用していた旧式の武器の払下げを受け、知事の指揮監督の下、所要の対テ
ロ・防衛活動に従事し、さらに非常時には知事の権限により自衛隊の下部組織として
当該組織を組み込むこととする「県土防衛警察」を創設する。
1-2)行政上の紛争のうち、入札終了までの手続に係る当事者の不服(例、指名競争入札
の指名停止措置)について、現在の裁判所は、行政事件訴訟として裁判所で審理判断
することはなくこれを却下している。そこで、こうした不服に対処するために、県が、
県及び県内市町村における入札紛争手続について解決する「入札争訟審判所」を創設
する。
【質問 2】次については、A 市の事務として条例を制定することができるか?
2-1)A 市と隣接する B 市の区域における A 市の住民の路上喫煙を禁止する条例を制定
する。(自分の市の区域での路上喫煙禁止条例制定は適法になし得るものとする。)
2-2)A 市職員が歓楽街のある B 市の区域で飲酒をすることについて自粛する条例を制
定する。自粛の努力が見られない職員に対しては、上司が、職務命令を発することが
できるものとする(職務命令違反に対する懲戒処分による実効性担保をねらいとす
る)。
【質問 3】近年、例えば乾杯条例のように、具体的な規制を伴わない、理念だけを定め
たような条例が各地で散見されるようになった。しかし、この種の理念的条例は、地方
自治法 14 条 2 項に違反しないのか?。もし、現在の条例が存在するという自治体の実
務を擁護しようとするならば、「理念的な内容しかない条例も 14 条 2 項に違反しない」
ということに関して、「法的に合理性のある理由」を用意しておいてください。
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【質問 4】C 市では、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営
法」という)の規制の及ばない、新たな形態の性風俗営業により、生活環境、教育環境
に悪影響が出ていることから、良好な生活環境の維持形成と青少年の健全育成を目的
に、ホテル等建築の適正化に関する条例(以下「条例」という)を制定することを検討
している。当該条例では、条例に違反したホテルの建築に着手した者に対して、C 市市
長が中止を命ずることができる旨の規定を置くとともに、中止命令の実効性を確保する
ための規定を設ける予定である。当該規定に基づく次のアからエまでの各措置のうち、
法令又は最高裁判所の判例に照らし、適法になし得る余地のないものはどれか、選びな
さい(複数あり得る)。なお、解答に当たり、条例は旅館業法、風営法に矛盾抵触しな
いことを前提とすること。(質問 7 で改めて検討します)
ア.中止命令に従わない場合には、中止命令に従わない者に対して罰金 20 万円を科す
るものとすること
イ.中止命令に従わない場合には、C 市職員が建築工事現場の入口を封鎖することがで
きるものとすること
ウ.中止命令に従わない場合には、C 市が建築続行禁止の仮処分を申し立てることがで
きるものとすること
エ.中止命令に従わない場合には、C 市市長が除却を命ずることができるものとして、
行政代執行法に基づく行政代執行を可能にすること
※
平成 21 年・新司法試験・短答式〔公法〕〔第 27 問〕の解答選択方法をアレンジ
なお、質問は、「アは適法になし得るか否か、その理由は・・」というふうに進める。
【質問 5】健康増進法 25 条は、
「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、
百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、
これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人の
たばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努
めなければならない。」と規定している。これに対して、自治体が、条例で上記に該当
する(民間の)施設について、受動喫煙防止措置の実施を義務付けることは、健康増進
法 25 条に違反しないのか?
【質問 6】研修時間中に、原田大樹『演習行政法』
(東京大学出版会、2014 年)91~100
頁(ラブホテル規制条例の違法性に関わる例題)の検討をグループ討議で行います。可
能な範囲で、この原田著の該当ページをご覧ください。研修時間中に、その 94 頁、マ
イルストーン7と8の問題を検討します。(著作権の関係で事前には配布しません)
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