CN ニュース~心不全便り~ 慢性心不全看護 ニュースレター NO.4 2015 年 6 月 10 日発行 心拍出量を決めるもの それは心筋収縮力、心拍数そして前負荷・後負荷 新東京病院、クリニック、ハ の薄い)管であることが必要で 正常な心臓では、前負荷が増え ートクリニックで働く看護師の す。またポンプが強力でないと るにしたがい拍出する量が増え 皆さん、こんにちは!慢性心不 いけません。放水ホースの先は ます。ところが弱った心臓では 全看護の世界を皆さんと共有す 細く抵抗の大きいノズルがつい 拍出する量はさほど増えませ る心不全便り第 4 号です。 ています。皆さんはホースの先 ん。 をつぶして、勢いよく水を出し 一方、正常な心臓では後負荷が た経験があると思います。ホー 増えるにしたがい静脈還流量を スの先を細くすると抵抗が高く 増やすことで拍出量を増やしま 心臓は全身に血液を送り出す なり圧がかかりますね。心臓が す。しかし弱った心臓では、血 ポンプでしたね。心臓が血液を 血液を送り出す時にもこのよう 圧上昇に対して静脈還流量を増 送り出す量、つまり心拍出量を に抵抗を受けます。 やせず、十分な心拍出量を保つ 今回は、心拍出量について考 えてみましょう。 決めるものは何なのでしょう ことができません。これを後負 か。 荷不適合(アフターロードミス マッチ)といいます。 心臓ポンプを消防車のポンプ 心拍出量を決めるものは… に例えて考えてみましょう。 消防車は消火栓から水を引き、 ポンプを使って放水します。消 火栓から消防ポンプに水を流入 させるホースが心臓に血液を戻 す大静脈です。消防ポンプから 放水するためのホースは心臓ポ ンプから血液を全身に送り出す 大動脈です。 高台の火事のように消火栓の水 ① 水量=静脈還流量(前負荷) ② ポンプの強さ=心拍数、 圧が不足しポンプばかりが強力 に働くと、壁の薄い流入ホース がペチャンコになって、十分な 心臓の収縮力 ③ 送り出す時の抵抗=血圧(後負 荷) 放水ができなくなります。脱水 や出血性ショックでも同じこと 心拍出量の標準値 成人男性の安静時 およそ 5L/分 が起こり、大静脈は圧平した状 女性ではこれより 15%ほど少ない。激 態になります。この場合には血 しい運動で 5~6 倍に増加。心不全で 圧は下がりますが、心拍数を増 はこの増加の程度が極端に少ない。 やす(頻脈になる)ことで拍出 量を増やそうとします。 左室にたくわえられる血液量を 前負荷(プレロード)といいま 図① す。また、心臓から血液を送り 心拍出量調節の水力学的モデル 放水するためには、十分な水 量と水圧を確保すること、流入 ホースは太く弾力性のある(壁 発行責任者 新東京病院 出す時の末梢血管抵抗を後負荷 (アフターロード)といいま *図①と解説は す。これは一般的に動脈の収縮 学書院 期血圧が指標となります。 ました。 慢性心不全看護認定看護師(CHFCN)細村 標準生理学 第7版 医 P.582~583 より引用、参考にし 恵子(ハートクリニック)加瀬 美樹(CCU)
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