HPLC 用3.5 µmエチレン架橋型 ハイブリッドパーティクル(BEH)カラムによる 高分子量タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィーの向上 Stephan Koza, Susan Serpa, Hua Yang, Edouard Bouvier, and Kenneth J. Fountain Waters Corporation, Milford, MA, USA アプリケーションのメリット ■■ ■■ サイズ排除 HPLC による高分子量タンパク質 2010 年にウォーターズは初めて UPLC ® ベースのポアサイズ 200 Åのサイズ排 の分離向上 除クロマトグラフィー(SEC )カラムを発売しました 1。これらサイズ排除 UPLC 卓越したカラム耐久性と信頼性高いカラム 間再現性 ■■ ■■ はじめに (SE-UPLC )カラムは、粒子径 2 µm 以下のエチレン架橋型ハイブリッド(BEH) パーティクルで構成されますが、BEH は 100% シリカベースのパーティクルに 比べて構造的にも化学的にもずっと安定です。SE-UPLC の誕生を実際に可能に ポアサイズ 200 Åおよび 450 Åはどちらも したのは、BEH の高い構造的強度です。しかしながら、粒子径が小さく、内径 幅広いサイズのタンパク質分離を提供 の小さい 4.6 mm の SE-UPLC カラムは、HPLC システムでの使用には最適では 従来の HPLC 分離と比較して分離度はほとん ど損ねずにサンプルスループットを 2 倍に 向上 ありません。そのため、ウォーターズは頑健な BEH ケミストリーを採用した HPLC で使用できる粒子径 3.5 µm、内径 7.8 mm のサイズ排除 HPLC カラム(SEHPLC )を発売しました。これにより、シリカベースの SEC パーティクルに比べ て高い耐圧性などの特性をもつ独自のパーティクルテクノロジーの利点を利用 できる手段を HPLC システムをご利用のラボに提供します。本アプリケーション ノートは、分離、カラム間再現性、カラム耐久性に関して高分子量タンパク質 分離のためにデザインされたこのカラムのポアサイズ 200 Åおよび 450 Å両 方の性能特性に焦点を当てます。さらに、高分子量タンパク質の分離において、 従来の大きい HPLC 粒子径(5-8 µm)の充塡剤に対して粒子径 4 µm 以下の充塡 剤が提供する分離とサンプルスループットに関しての明白なメリットについて も紹介します。 ウォーターズのソリューション XBridge ® Protein BEH SEC 200 Å & 450 Å、 3.5 µm カラム Alliance ® HP LC システム Auto•Blend Plus™ テクノロジー Waters ® BEH200 & BEH450 SEC Protein Standard Mixture キーワード サイズ排除クロマトグラフィー、SEC 、 HPLC 、タンパク質、SE-HPLC 、 ゲルろ過クロマトグラフィー、IgG 、IgM 1 実験方法 サンプル詳細 特に記載の無い限り、サンプルは全て移動相に溶解しました。タンパク質は個別のスタンダードもしく は混合物として購入しました( Waters および Sigma-Aldrich )。特に記載の無い限り、サンプル濃度は 1.0 mg/mL(公称値)。 分析条件 カラム温度: サンプル温度: 10℃ LC 条件 システム:Waters Alliance HPLC または ACQUITY UPLC ® H-Class Bio システム (30 cm カラムヒーター付) 注入量: 10 µL 流速: 0.84 mL/min 移動相: 25 mM リン酸ナトリウム、 150 mM 塩化ナトリウム 検出器: Alliance HPLC UV 検出器 pH7.2(Auto • Blend Plus ACQUITY UPLC TUV 検出器 Technology で調整) (5 mm チタンセル) 波長: 室温 280 または 214 nm グラジエント: アイソクラティック スタンダード: BEH200 SEC Protein Standard Mix カラム: XBridge Protein BEH SEC、 (製品番号 :186006518) 200 Å、3.5 µm、7.8 × 150 mm BEH450 SEC Protein Standard Mix (製品番号:176003595) (製品番号 :186006842) または 7.8 × 300 mm Intact mAb Mass Check Standard (製品番号:176003596) XBridge Protein BEH SEC、 450 Å、3.5 µm、7.8 × 150 mm (製品番号 : 186006552) サンプルバイアル:不活性ガラス 12 × 32 mm スクリューネック (製品番号:176003598) トータルリカバリーバイアル、 または 7.8 × 300 mm キャップ&プレスリット (製品番号:176003599) PTFE/ シリコンセプタム、1 mL (製品番号 : 18600385DV) 比較 検出: Alliance HPLC TUV 検出器 ACQUITY UPLC TUV 検出器 カラム: Silica-DIOL SEC、 (5 mm チタンフローセル) 250 Å、5 µm、7.8 × 300 m Silica-DIOL SEC、 450 Å、8 µm、7.8 × 300 m データ管理 クロマトグラフィーソフトウェア: Waters Empower® 2 および 3 HPLC用 3.5 µmエチレン架橋型ハイブリッドパーティクル(BEH)カラムによる高分子量タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィーの向上 2 結果および考察 ペプチドやタンパク質分析に向けたサイズ排除 UPLC (SE-UPLC )充塡剤に使用する BEH テクノロジーによる メリットについては以前に報告しています 2,3。ただし、UPLC 充塡剤の粒子径は、HPLC システムに適用できる カラムサイズでは使用できません。タンパク質など高分子の HPLC システムによる分離に BEH パーティクルテ クノロジーの化学的および構造的性能を利用するために、ポアサイズ 200 Åおよび 450 Åで粒子径 3.5 µm の BEH パーティクルを充塡した内径 7.8 mm のカラムを発売しました。この 2 種類のカラムにより約 10 kDa から 2 MDa 近くまでの大きなストークス半径(Rh)をもつ生体高分子を含む幅広い分子量範囲を SE-HPLC 分 離で実施できます。この評価においては、粒子径の大きい(5 および 8 µm)HPLC 充塡剤と比較した本充塡 剤の分離効率のメリット、カラム間再現性およびカラム耐久性の重要な特性について実証します。さらに、 本アプリケーションノートでは 200 Åおよび 450 Åの 2 種類のカラムによるタンパク質のサイズ分離の 範囲についても示します。 BEHパーティクルの粒子径低減のメリット UPLC システムに比べて HPLC システムではカラム外拡散容量が顕著に大きく、耐圧性が低いために、UPLC サイズ排除カラムにより得られる分離のメリットを HPLC システムを利用するラボでは実現できませんでし た。タンパク質の SE-HPLC 分析で最適な分離を実現できるように、BEH パーティクルテクノロジーを採用 した一連のカラムを発売しました。このカラムの性能を実証するためタンパク質分子量スタンダードおよ びモノクローナル IgG スタンダードをポアサイズ 250 Åのシリカベース SEC カラム(5 µm、7.8 × 300 mm) とポアサイズ 200 Åの BEH ベース SEC カラム(3.5 µm 、7.8 × 300 mm )で Alliance HPLC システムと水系 移動相条件を用いて分離しました(図 1)。 0.14 0.050 A 4 0.12 UV Absorbance (280 nm) 0.10 0.08 2 1 0.06 3 0.02 0.14 B 0.12 C IgG monomer 0.80 0.60 0.40 0.20 0.030 5 0.04 0.00 0.16 0.040 UV Absorbance (214 nm) 0.16 0.10 IgG dimer 0.020 6.00 8.00 10.00 12.00 8.00 10.00 12.00 0.000 0.070 0.060 D 1.20 1.00 0.80 0.60 0.050 0.40 0.20 0.00 4.00 0.030 0.06 4.00 0.010 0.040 0.08 0.00 6.00 0.020 0.04 0.010 0.02 0.000 0.00 -0.010 6.00 7.00 8.00 9.00 10.00 11.00 12.00 13.00 14.00 15.00 Minutes 5.00 6.00 7.00 8.00 9.00 10.00 11.00 12.00 13.00 Minutes 図 1. Waters BEH200 SEC Protein Standard Mix ( 製 品 番 号:186006518)お よ び Intact mAb Mass Check Standard ( 製 品 番 号: 186006522、1 mg/mL に希釈)を 250 Åシリカベース 5 µm(A および C)と 200 Å、BEH 3.5 µm(B および D)SEC カラムで分離し た比較を示しました。どちらのカラムも同じサイズ(7.8 × 300 mm)で、同じ流速(0.84 mL/min)かつ同じサンプル量で分離を行 いました。クロマトグラム A および B のピーク:1)thyroglobulin(669 KDa)、2)IgG(150 KDa)、3)BSA(67 KDa )、4)myoglobin (14 KDa)、5)uracil(112 Da)。クロマトグラム C と D では、IgG のモノマーおよびダイマーの分子量はそれぞれ約 150 KDa および 300K Da。 HPLC用 3.5 µmエチレン架橋型ハイブリッドパーティクル(BEH)カラムによる高分子量タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィーの向上 3 流速および注入量は同じで、Protein Standard Mix の分離範囲に渡って BEH 3.5 µm では分離の向上と幅の狭 いピークが観測されました。IgG モノマー(150 KDa )とダイマー(300 KDa)の分離について計算した USP 分離度(半値幅法)は、粒子径 5 µm のカラムに対して BEH 3.5 µm では 40% 以上向上しました。この分離度 の向上は、カラム長さを 2 倍にした場合に予想される向上(RS ∝ √ L)に匹敵します。ポアサイズ 450 Å、 シリカベース SEC カラム(8 µm、7.8 × 300 mm)とポアサイズ 450 Å BEH ベース SEC カラム(3.5 µm、7.8 × 300 mm)を用いてクロマトグラムを比較した場合にも同様の結果が得られました(図 2)。しかしながら、 この比較において、IgG モノマーとダイマーの分離で見られた相対的な向上は約 75 %でした。これはポア サイズの小さな 250 Åシリカベース(5 µm)と BEH 200 Å(3.5 µm)の充塡剤との比較と比べ、両カラム間 で粒子径の違いが大きい( 8 µm と 3.5 µm )ためです。一般的な観測として、注目すべきは IgG サンプルの ダイマーおよび多量体どちらの分離についても、 BEH 450 Å SEC カラムにより卓越した分離が得られて いる点です。 0.16 0.14 A UV Absorbance (280 nm) 0.12 0.10 2 3 0.08 4 5 1b 0.06 UV Absorbance (214 nm) 0.18 0.04 1a 0.02 0.00 0.18 0.16 0.14 B 0.12 0.10 0.020 0.015 IgG monomer C IgG dimer Buffer IgG monomer D IgG dimer Buffer 0.010 0.08 0.06 0.005 0.04 0.02 0.00 0.020 0.018 0.016 0.014 0.012 0.010 0.008 0.006 0.004 0.002 0.000 IgG multimer 0.000 6.00 8.00 10.00 12.00 Minutes 14.00 16.00 9.00 10.00 11.00 12.00 13.00 14.00 Minutes 図 2. Waters BEH450 SEC Protein Standard Mix(製品番号:186006842 および Intact mAb Mass Check Standard(製品番号:186006522、 1mg/mL に希釈)を 450 Åシリカベース 8 µm( A および C )と 450 Å、BEH 3.5 µm(B および D)SEC カラムで分離した比較を示し ました。どちらのカラムも同じサイズ(7.8 × 300 mm)で、同じ流速(0.84 mL/min)かつ同じサンプル量で分離を行いました。クロマ トグラム A および B のピーク:1)thyroglobulin(669 KDa )、2)IgG(150 KDa )、3)BSA(67 KDa )、4)myoglobin(14 KDa )、5)uracil (112 Da)。クロマトグラム C と D では、IgG のモノマー、ダイマー、多量体の分子量はそれぞれ約 150 KDa、300 KDa ≧ 450K Da。 HPLC用 3.5 µmエチレン架橋型ハイブリッドパーティクル(BEH)カラムによる高分子量タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィーの向上 4 BEHパーティクル強度のメリット BEH SEC パーティクルは従来のシリカベースパーティクルに比べて機械的強度が向上しているため、従来の SE-HPLC カ ラムよりも速い流速で分析が可能です。 SEC に お い て、 流 速 を 上 げ る こ と で 比 例 し て 分 析 時間を短縮できますが、流速を上げると SEC 分離度は低減することに留意する必要があります。これらの特性 を考慮した上で、 SE-HPLC でより高いサンプルスループットが必要な場合は、 3.5 µm BEH SE-HPLC はこの 要求に対応できます。この検討では、従来の 250 Å、5 µm シリカベース SE-HPLC カラム(7.8 × 300 mm) と 200 Å、3.5 µm BEH SE- HPLC カラム(7.8 × 300 mm)で比較を行いました(図 3)。5 µm シリカベース SE-HPLC カラムの流速は 1.0 mL/min(最大流速:1.2 mL/min)に、3.5 µm BEH SE-HPLC カラムは 2.0 mL/min (最大流速:2.7 mL/min)に設定しました。Protein Standard Mix について同様のプロファイルが得られ、予想通り、 thyroglobulin ダイマー(1.3M Da)ピークについては、ポアサイズの大きい(250 Å)5 µm シリカベースパーティ クルで 200 Å、3.5 µm BEH ベースパーティクルに比べて良好な分離が得られました。流速を 2 倍にして分析 時間を比例して低減すると、同時に分離度も低減します。例えば、流速 1 mL/min で 250 Å、5 µm シリカベー スカラムで観測された IgG と BSA の分離度は 2.0 に対し 3.5 µm BEH ベースカラムでは 2.5(データは記載無し) ですが、流速が 2.0 mL/min では 3.5 µm BEH ベースカラムでの分離度は約 25% 低減して 1.9 でした。 Flow Rate= 1.0 mL/minute 4 0.050 2 3 0.040 5 1 0.030 UV Absorbance (280 nm) 0.020 0.010 0.000 0.0 0.060 18.0 Flow Rate= 2.0 mL/minute 0.050 0.040 0.030 0.020 0.010 0.000 0.0 Time (minutes) 7.0 図 3. Waters BEH200 SEC Protein Standard Mix (製品番号:186006518)を 250 Åシリカベース 5 µm SEC カラムで流速 1.0 mL/min で分離(A)および 200 Å、BEH 3.5 µm SEC カラムで流速 2.0 mL/min で分離(B)。クロマトグラムの時間軸は標準化。 クロマトグラム A および B のピーク:1)thyroglobulin(669 KDa)、2)IgG(150 KDa)、3)BSA(67 KDa)、4)myoglobin(14 KDa)、5) uracil(112 Da)。 注:Protein Standard Mix に関して同様の結果が得られた。thyroglobulin ダイマーピーク(1.3 MDa)の分離のみポアサイズの大きい (250 Å)5 µm シリカベースパーティクルで 200 Å、3.5 µm BEH ベースパーティクルに比べて向上。thyroglobulin やそのダイマー など XBridge Protein BEH SEC 、200 Å、3.5 µm での推奨範囲を超える分子量については XBridge Protein BEH SEC 、450 Å、3.5 µm の 使用を推奨。 HPLC用 3.5 µmエチレン架橋型ハイブリッドパーティクル(BEH)カラムによる高分子量タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィーの向上 5 XBridge Protein BEH SEC 200Å&450Å、3.5 µmカラム:再現性および耐久性 分析法開発やバリデートした分析法に SEC カラムを選択する際の大きな懸案事項は、カラム間および バッチ間の再現性と、分析法に使用した際のカラム寿命です。図 4 には 7.8 × 300 mm の 200 Åおよび 450 Å、3.5 µm SEC カラムで各 Protein Standard Mix を分析したクロマトグラムの重ね書きを示しています。 それぞれのポアサイズについて、3 つの異なる充塡剤バッチを充塡した合計 6 種類の SEC カラムの再現性 を示しています。流速は 0.84 mL/min でポアサイズ 200 Å SEC カラムでは保持時間の標準偏差は最低 0.037 分 から 0.084 分で、図 1 で表示した全ての化合物の平均標準偏差は 0.064 分でした。ポアサイズ 450 Å SEC カラムでは保持時間の標準偏差は最低 0.045 分から 0.068 分で、平均標準偏差は 0.060 分でした。 XBridge 200Å Batch 1, Column 1 0.05 1a 1b XBridge 450Å 4 3 0.10 5 2 2 3 5 1b 0.05 1a 0.00 0.00 0.10 Batch 1, Column 2 0.05 Batch 1, Column 2 0.05 0.00 0.00 UV Absorbance (280 nm) 4 Batch 1, Column 1 Batch 2, Column 1 Batch 2, Column 1 0.05 0.05 0.00 0.00 Batch 2, Column 2 0.10 0.05 Batch 2, Column 2 0.05 0.00 0.00 Batch 3, Column 1 0.10 0.05 Batch 3, Column 1 0.05 0.00 0.00 Batch 3, Column 2 0.10 0.05 Batch 3, Column 2 0.05 0.00 0.00 6.00 8.00 10.00 Minutes 12.00 14.00 7.00 8.00 9.00 10.00 11.00 12.00 13.00 14.00 15.00 Minutes 図 4. Waters BEH200 SEC Protein Standard Mix (製品番号 :186005618)および BEH450 SEC Protein Standard Mix(製品番号:186006842)をそれぞれ 200 Åと 450 Å BEH 3.5 µm SEC カラムでの分離重ね書きです。カラム間、バッチ間再現性の両方を評価するために、3 つの異なる充塡剤バッチを 2 本(7.8 × 300 mm)充塡しまし た。ピーク:1a)thyroglobulin dimer(1.34 MDa)1b)thyroglobulin(669 KDa)、2)IgG(150 KDa)、3)BSA(67 KDa)、4)myoglobin(14 KDa)、5)uracil(112 Da)。分離は ACQUITY UPLC H-Class Bio システムで実施。 HPLC用 3.5 µmエチレン架橋型ハイブリッドパーティクル(BEH)カラムによる高分子量タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィーの向上 6 200 Åおよび 450 Å、3.5 µm SEC カラム(7.8 × 300 mm)の耐久性はスタンダードをトータル 600 回以上 に渡って注入することで確認しました。シリカベースの SEC カラムは弱塩基性 pH 条件で劣化することを 考えて、リン酸バッファーの pH7.2 に移動相を設定しました。図 5 および 6 には、Protein Standard Mix と IgG スタンダードについて両カラムを用いて検討を行った結果のクロマトグラムを示しました。2 種類の重 要な分離の難しいピークペア、 IgG と BSA および IgG ダイマーと IgG モノマーの分離度を各カラムについ て求めました。図の説明に記載したように、両カラムとも若干の分離度の低下のみで優れた耐久性を示して いました。これらデータは粒子径 3.5 µm の XBridge Protein BEH SEC カラムが、信頼性の高い分析法を開発し、 品質管理環境下においてルーチンで分析を実施するために必要な再現性と耐久性を提供できることを示し ています。 0.08 0.06 Protein Standard Mix Injection #2 Rs=2.55 A 1 2 4 0.015 C 3 5 UV V Absorbance (214 4 nm) UV V Absorbance (280 0 nm) IgG monomer Rs=1.87 分離を行い、カラム寿命につい て検討した結果のクロマトグ ラム。クロマトグラム A およ び B のピーク:1)thyroglobulin (669 KDa)、2)IgG(150 KDa)、3) BSA(67 KDa )、4)myoglobin(14 KDa)、5)uracil(112 Da)。クロ マトグラム C と D では、IgG の モノマーおよびダイマーの分子 量はそれぞれ約 150 KDa および 300K Da。分離は ACQUITY UPLC H-Class Bio システムで実施。 0.005 0.02 0.00 0.06 図 5. W a t e r s B E H 2 0 0 S E C Protein Standard Mix(製品番号: 186006518)お よ び Intact mAb Mass Check Standard(製品番号: 186006522、1mg/mL に 希 釈 ) を 用 い て 200 Å、BEH 3.5 µm SEC カ ラ ム(7.8 × 300 mm)で IgG dimer 0.010 0.04 0.08 mAb Standard Injection #6 Protein Standard Mix Injection #610 Rs=2.42 B 0.000 0.015 0.010 mAb Standard Injection #611 D Rs=1.83 0.04 0.005 0.02 0.000 0 00 0.00 6.00 8.00 12.00 10.00 14.00 6.00 Minutes 0.08 Protein Standard Mix Injection #2 Rs=1.54 2 4 UV Absorbance (2 280 nm) 0.010 3 0.06 9.00 mAb Standard Injection #6 Rs=1.64 5 0.02 0.005 1 1a 0.000 0.00 Protein Standard Mix Injection #600 10.00 IgG monomer IgG dimer 1b 0.04 0.08 8.00 11.00 Minutes UV Absorbance (2 214 nm) 0.10 7.00 Rs=1.45 0.010 mAb Standard Injection #601 0.06 0.04 Rs=1.49 .49 0.005 図 6. Waters BEH450 SEC Protein Standard Mix(製品番号: 186006842)および Intact mAb Mass Check Standard(製品番号: 186006522、1 mg/mL に 希 釈 ) を 用 い て 450 Å、BEH 3.5 µm SEC カ ラ ム(7.8 × 300 mm)で 分離を行い、カラム寿命につ いて検討した結果のクロマト グラム。クロマトグラム A およ び B のピーク:1)thyroglobulin (669 KDa)、2)IgG(150 KDa)、3) BSA(67 KDa)、4)myoglobin(14 KDa)、5)uracil(112 Da)。ク ロ マトグラム C と D では、IgG の モノマーおよびダイマーの分 子 量 は そ れ ぞ れ 約 150 KDa お よび 300K Da。分離は ACQUITY UPLC H-Class Bio システムで実施。 0.02 0.000 0.00 6.00 8.00 10.00 Minutes 12.00 14.00 10.00 Minutes 12.00 HPLC用 3.5 µmエチレン架橋型ハイブリッドパーティクル(BEH)カラムによる高分子量タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィーの向上 7 分子量範囲 XBridge Protein BEH SEC 450 Å & 200 Å、3.5 µm カラム間で一連の規定のスタンダードについて分離能力を 比較しました。タンパク質分子量の較正曲線を図 7 に示しました。タンパク質については、ポアサイズ 200 Åカラムの分子量の直線範囲は約 10K Da から 450K Da であると推定され、一方のポアサイズ 450 Åカラムで は約 50K Da から 1.3M Da を超える範囲であることが推定されました。このポアサイズ 450 Åカラムの上限は、 thyroglobulin(669 KDa)とそのダイマー(1.3 MDa)において見られたクロマトグラフィー分離(図 2)に基づ いています。IgM pentamer(900 KDa)と IgM dipentamer(1.8 MDa)が 450 Åカラムで部分的に分離している(図 8)のは、dipentamer の到達できるポアボリュームが限られるため、1.8M Da がこのカラムにおける分子量の直 線範囲を超え、実用的な分子量上限に近いことを示唆しています。このより高い分子量範囲は、タンパク質 の多量体や、長鎖のポリエチレングリコールなど比較的大きいストークス半径をもつ化合物と結合したタン パク質などを分析する際、また変性 SEC 条件下でタンパク質を分析する際に役立つ可能性があります。 XBridge Protein BEH SEC 450Å, 3.5 µm, 100K – 1,500K Daltons XBridge Protein BEH SEC 200Å, 3.5 µm, 10K – 450K Daltons 10,000,000 IgM(900KDa) Protein Molecular Weight (KDa) 1,000,000 Thyroglobulin (669KDa) IgG(150KDa) Amyloglucosidase (97KDa) 100,000 Conalbumin (75KDa) Ovalbumin (44KDa) Myoglobin (17KDa) RNAse A (14KDa) 10,000 Aprotinin (6.5KDa) 1,000 Uracil (112Da) 100 10 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 Normalized Retention Volume (Vr/VC) 0.9 1 図 7. 様々なタンパク質、ペ プチドおよび uracil を用いて 作 成 し た BEH200 Å お よ び 450 Å、3.5 µm SEC カ ラ ム の較正曲線 UV Absorbance (280 nm) IgM Dipentamers 0.10 IgM Pentamer 0.05 IgM Multimers 0.00 6.00 8.00 Minutes 10.00 図 8. IgM pentamer、IgM dipentamer お よ び IgM pentamer の 多 量 体 の BEH、450 Å、3.5 µm SEC カラムにより分離。タンパク質分子量は IgM pentamer(900 KDa)、IgM dipentamer(1.8 MDa)、IgM 多量体(≧ 2.7 MDa)。分離は ACQUITY UPLC H-Class Bio システムで実施。 HPLC用 3.5 µmエチレン架橋型ハイブリッドパーティクル(BEH)カラムによる高分子量タンパク質のサイズ排除クロマトグラフィーの向上 8 結論 参考文献 信頼性が高く、高分離なサイズ排除クロマトグラフィー分析法は 1. Fountain KJ, Hong, P, Serpa, S, Bouvier, ESP and Morrison, D. Analysis of Biomolecules by Size-Exclusion UltraPerformance Liquid Chromatography. Waters Corporation, Application Note [serial on the Internet]. 2010; (WA64226 ). バイオ医薬品の品質評価において非常に重要で、また他の研究領 域でもタンパク質サンプルの評価において重要な手法の一つと なります。 HPLC で使用可能な粒子径 3.5 µm パーティクルを充 塡した XBridge Protein BEH SEC 200Å および 450Å カラムでは、 粒子径 5 µm のシリカベースパーティクルを充塡した従来の SEC カラムと比較すると、LC ベースの SEC 分析での分離が向上します。 さらに、採用している BEH パーティクルの構造的強度から SEC に おいてもハイスループット分析が可能となり、この特徴あるパー ティクルに安定なジオール基を結合させたことで、極めて優れた 長いカラム寿命をもたらします。ウォーターズの厳格な品質管理 2. Paula Hong, Stephan Koza, and Kenneth J. Fountain. Advances in SizeExclusion Chromatography for the Analysis of Small Proteins and Peptides: Evaluation of Calibration Curves for Molecular Weight Estimation. Waters Corporation, Application Note [serial on the Internet]. 2012; (720004412EN). 3. Stephan Koza, Matthew Lauber, and Kenneth J. Fountain. The Analysis of Multimeric Monoclonal Antibody Aggregates. Waters Corporation, Application Note, [serial on the Internet]. 2013; (720004713EN). 4. Stephan Koza, and Kenneth J. Fountain. Successful Transfer of Size-Exclusion Separations between HPLC and UPLC. Waters Corporation, Application Note, [serial on the Internet]. 2014; (720005193EN). 体制の下、このカラムは厳しい許容値で製造され関連化合物によ る品質管理を行っています。このアプリケーションでは紹介して おりませんが、この HPLC による SEC 分析メソッドは、粒子径 1.7 µm および 2.5 µm パーティクルを充塡した内径の小さい(4.6 mm I.D.)、UPLC Protein BEH SEC カラムへ容易に分析法を移管できます。 UPLC システムと UPLC Protein BEH SEC カラムを使用すれば、さら なる高分離と分析時間の短縮が可能となります 4。 XBridge Protein BEH SEC 200 Å& 450 Å、3.5 µm カラムは以下を 提供します。 ■■ 10 -1,500 KDa のタンパク質の HPLC SEC 分離に対応し、ハイス ループット分析も可能 ■■ 卓越したカラム寿命 ■■ シリカベース SEC カラムに比べて望ましくないタンパク質と カラムの相互作用が低減 ■■ 広範囲にわたる試験実施により、比類ないカラム一貫性を提供し、 バリデートした分析法の信頼性を向上 ■■ ACQUITY UPLC Protein BEH SEC カラムと同じケミストリー採用に より、アプリケーションのニーズに応じてシームレスな分析法 移管が可能 日本ウォーターズ株式会社 www.waters.com 東京本社 ࠛ140-0001 東京都品川区北品川 1-3-12 第 5 小池ビル TEL 03-3471-7191 FAX 03-3471-7118 大阪支社 ࠛ532-0011 大阪市淀川区西中島 5-14-10 サムティ新大阪フロントビル 11F TEL 06-6304-8888 FAX 06-6300-1734 ショールーム 東京 大阪 テクニカルセンター 東京 大阪 名古屋 福岡 札幌 富山 Waters、ACQUITY UPLC 、UPLC 、Allience、XBridge、Empower および The Science of W hat ’s Possible は Waters Corporation の登録商標です。Auto•Blend Plus および BEH Technology は Waters Corporation の商標です。 その他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。 ©2015 Waters Corporation. Produced in Japan. 2015 年2月 720005202JA PDF
© Copyright 2024 ExpyDoc