Tax Consulting Firm EOS Firm News Vol.23 Sep`15 ~国外転出をする

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Firm News Vol.23 Sep’15
~国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等の創設~
平成 27 年度税制改正において、居住者が国外転出をする際に有価証券等を所有している場合には、
出国時にその含み益に対して所得税を課税する国外転出時課税制度、いわゆる出国税が導入されました。
含み益等がある有価証券等を有している者が国外に進出することで課税逃れを防止するために定めら
れたものです。今回はこの制度についての概要を紹介致します。
この制度は、平成 27 年 7 月 1 日以後に国外転出をする居住者が有価証券、未決済信用取引等又は未決
済デリバティブ取引(以下、
「対象資産」といいます)を有する場合には、その国外転出の時に、次に掲
げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額により、その対象資産の譲渡等があったものとみなして
所得税が課税されるものです。
(1).国外転出の日後に確定申告等をする場合
①その国外転出の時における有価証券等の価額に相当する金額
②その国外転出の時における未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引を決済したものとみ
なして算出した利益の額又は損失の額に相当する金額
(2).国外転出の日以前に確定申告をする場合(上記(1)以外の場合)
①国外転出の予定日から起算して 3 か月前の日における有価証券等の価額に相当する金額
②国外転出の予定日から起算して 3 か月前の日における未決済信用取引等又は未決済デリバティブ
取引を決済したものとみなして算出した利益の額又は損失の額に相当する金額
※国外転出とは、国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます。
居住者のうち、以下の要件のいずれも満たす者
(1)国外転出をする時に有している以下の対象資産の金額が1億
円以上であること。
①有価証券等の価額に相当する金額
②未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引を決済した
適用対象者 ものとみなして算出した利益の額若しくは損失の額に相当する金
額
(2)その国外転出をする日前10年以内に国内に住所又は居住を
有していた期間(出入国管理等の一定の期間を除きます。)の合計
が5年超であること。
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国外転出の時に有していた有価証券等又は契約を締結していた未決済信用取引等若しくは未決済デ
リバティブ取引の譲渡又は決済をした場合には、その対象資産の種類等に応じて、事業所得の金額、譲
渡所得の金額又は雑所得の金額として計算します。
国外転出の日の属する年分の所得税につき上記の課税を受けるべき個人がその国外転出の時に有し
ていた対象資産のうち、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定めるものについては、この制度に
よる課税を受けた居住者の国外転出の日の属する年分の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の
金額の計算上、そのみなされた対象資産の譲渡等の全てがなかったものとされ、課税を取り消すことが
できます。
この場合には、その国外転出をした年分の所得税を再計算することができます。
取り消すことができる場合
取り消すことができる対象資産の譲渡等
・個人が国外転出の日から5年を経過する日までに帰国
その帰国の時まで引き続き有している対象資産
をした場合
・個人が国外転出の日から5年を経過する日までにその
国外転出時に有していた有価証券等を贈与により居住 その贈与による移転があった対象資産
者に移転した場合
・国外転出の日から5年を経過する日までにその個人が
死亡したことにより、国外転出の時に有していた
有価証券等の相続(限定承認に係るものを除く。)又は
遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)によ その相続又は遺贈による移転があった対象資産
る移転があった場合において、同日までにその相続又は
遺贈により有価証券等の移転を受けた相続人及び受遺
者である個人の全てが居住者となった場合
ただし、その対象資産の譲渡等による事業所得の金額、譲渡所得の金額若しくは雑所得の金額につき
その計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し又は仮装した場合には、その隠蔽し、又は仮装
した対象資産の譲渡等に係る所得の金額については、課税の取消しの適用はありません。
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国外転出の時までに納税管理人の届出をした場合には、次のような特典があります。
確定申告期限
納税猶予
納税管理人の届出をした場合
納税管理人の届出をしない場合
国外転出をした年の翌年3月15日
国外転出をする日(準確定申告)
原則的には、所得税の確定申告期限
までにその確定申告に係る所得税を
納付しなければなりません。
しかし、納税管理人の届出をした場合
で、一定の書類を添付した確定申告 納税猶予を受けることはできません。
書を提出し、かつ、その納税猶予分
の所得税額及び利子税額に相当す
る担保を提供すれば、納税の猶予を
受けることができます。
※納税管理人とは、国内に住所を有していない又は有しないこととなる場合に、確定申告その他国税に
関する事項を処理する個人又は法人をいいます。
※納税猶予は国外転出の日から5年を経過する日(同日前に帰国をする場合には、同日とその者の帰国
の日から4月を経過する日のいずれか早い日)までです。しかし、一定の場合には、国外転出の日から
10年を経過する日までとすることができます。
国外転出をする場合の譲渡所得等の特例制度は、居住者が 2015 年 7 月 1 日以後に国外転出をする場合に
ついて適用されます。
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