2015 宿泊研修旅行

2015 宿泊研修旅行~被災地の方々の心に寄り添う旅~
7月1日~3日まで、2年生は宮城県、岩手県を訪ねて参りました。東日本大震災から4年目、日々変化して
いく被災地の様子を自らの目で見、心で受け止め、自分たちでできることを考え、実践できる心を育てる旅です。
2日間はしっかり学び考える時間、最終日は東北の人の心に触れ思いっきり岩手を楽しむ時間としました。
【被災地の今と向き合う】
1日目・・7月1日(水)宮城県松島市・南三陸町
≪松島を訪ねる 瑞巌寺≫
雨の松島でした。空を覆う雲は当時を思い起こさせるかのようでした。
瑞巌寺の参道には、ここまで津波が到達しました・・という文字があり、島々のお蔭で家屋の倒壊跡が、今は見
られない松島ですが、ここに住んでおられる方々のあの日の怖さが感じとれました。
≪石巻市立門脇中学校のみなさんとの交流≫
3年目になる交流活動です。今年は「青い鯉のぼりプロジェクト」に贈る手作り鯉のぼりを一緒に作りました。
事前にプロフィール交換をし、当日会えるのを楽しみにしていました。亡くなられた方のご冥福を祈り、一日で
も早く復興することへの願いを手形に込めました。
3匹の青い鯉は、来年5月に門脇中と作新中等部の子どもたちの願いを背に、東松島市の大空を泳ぎます。
鯉のぼりづくりの後は、ひよこじゃんけん大会を
レクリェーションチーム中心に行い、楽しい時間を
共に過ごしました。未来を創る者同士、力を合わせ
ることの大切さを学び、笑顔あふれる交流となりま
した。門脇中のみなさんの笑顔のエネルギーに、私
たちは復興を確信しました。
≪祈り・大川小学校≫
訪ねるにあたり私たちができること・・それは心を込めて亡くなられた方々の冥福を祈ること、思いをしっか
り受け止めること・・だから、気持ちを込めてみんなで鶴を折り持参しました。生徒会の代表生徒が献花とみん
なで折った鶴をお供えし、全員で黙祷を捧げました。
2日目・・7月2日(木)宮城県南三陸町・気仙沼市
≪南三陸プログラム≫
被災した方々が、この経験を伝えることで子供たちの未来に活かしてもらおうと辛い思いを抑え、あの日のこ
とを話してくれました。みんな言葉も出ませんでした。ホテル内でお話を伺った後は、各号車にボランティアガ
イドの方がお1人づつ乗り、南三陸町の震災の日の様子を話して下さいました。辛い気持ちを乗り越えてお話し
下さったことに、全員心から感謝でいっぱいです。目の当たりにする現実に向き合い、その重さを痛感しました。
何より、空の蒼さがとても辛く感じた時間です。
≪南三陸さんさん商店街≫
地元のみなさんが運営されている仮設の商店街で、お昼を頂き、お土産を購入しました。みなさん笑顔で迎え
て下さり、元気に話しかけてくれました。東北の方々の力強さと温かさに触れました。
≪気仙沼~地福寺での講話と「作新の森」つくり≫
南三陸町を後にし、気仙沼にある地福寺に向かいました。このお寺は県立向洋高等学校のすぐ近くにあり、周
辺に広がっていた集落は津波で流されてしまい、多くの方が犠牲になった地区です。皆で黙祷を捧げた後、和尚
様がお話を聞かせてくれました。優しく語りかけてくれるお話だからこそ、あの日東北のみなさんが経験された
つらい状況が心に沁みこんできました。
3年前から行っている「作新の森」づくりでは、28度越えの炎天下の下、育った木々が集落の皆さんの癒し
となり、もしもの時には集落と皆さんの命をしっかり守ってくれるように・・祈りながら大切に植樹をしました。
先輩方の思いを受け継ぎ、後輩たちに繋げていきたい活動です。
ご冥福を祈り、折鶴を献納
一本の苗の成長 に
復興への願いを
重ねて・・・
【温か~い東北を存分に楽しもう】岩手県花巻市
≪賢治の夕べ~花巻弁で聞く賢治わーるど~≫
2日目の夜からは、ずっとひっぱっていた緊張や心で受け止めてきた故の辛さから少し離れ、東北の人の心に
触れ、思いっきり楽しんでもらう時間にしました。花巻と言えばやはり宮沢賢治さん。ぜひ、賢治の世界を堪能
して欲しいということで、まずは“花巻ざしきぼっこの会”の語り部さんたちが、あったかーい花巻弁で「座敷
ぼっこの話」と「雨二モマケズ」を朗読して頂きました。最後には全員で「雨二モマケズ、風二モマケズ・・」
と大合唱をしました。
3日目・・7月3日(金)岩手県花巻市
≪宮沢賢治記念館・イーハトーブ館・童話村≫
最終日は思いっきり岩手県花巻市を楽しむことにしました。東北を代表する詩人・作家の宮沢賢治さんの世界
を班別行動で楽しみます。よだかの星、銀河鉄道の夜などの世界が広がっています。セロ弾きのゴーシュなどの
オブシェもあり一面の芝生の上では思いっきり羽根を伸ばしていました。
≪わんこそば体験~味覚で感じる花巻~≫
東北最後の食事は、わんこそば体験でした。みんな紙の裃をつけ、太鼓の音を合図にわんこそばを食べ始めま
す。「はい じゃんじゃん♪」の勢いにのせられ、ざる蕎麦2枚分の24杯のわんこ蕎麦を完食した子供たちも
多かったです。花巻の流儀はお殿様に差し上げるスタイルを踏襲しているとのことで、子どもたちは南部藩主気
分だったのではないでしょうか。お蕎麦が苦手な子供たちは、みちのく懐石を頂きました。お腹いっぱいに頂け
る幸せ、友達と笑いあいながら食事ができることの幸せをたくさん感じた時間でした。
頑張っている東北の方々にたくさんのことを教えて頂き
改めて今の自分を振り返ることができました。生きている
ことの幸せ、こうして笑い合いながら過ごせる幸せを実感
し、東北の方々にも早くそんな日々が戻るように・・・と
心から願い、この旅を締めくくりました。