0 平成27年度第7回JOGMEC金属資源セミナー ペルー鉱業の現状 平成27年11月24日 リマ事務所 所長 迫田昌敏 ペルーは資源が豊富な国 -主要非鉄金属資源が豊富- 1 ・ペルーは、鉱産物資源が多様 ・埋蔵量では銀(2位)・銅(3位)・亜鉛(3位)・鉛(4位)・モリブデン(4位)等、世界の五指に(MCS2014) (写真提供:エネルギー鉱山省) ペルー第1の鉱山 Antamina銅・亜鉛鉱山 ペルーの鉱山生産量の世界ランク -銅、亜鉛が世界3位- 2 ・ペルーは、多くの鉱種で世界の主要な生産国 ・銅・亜鉛:3位、鉛:4位など(世界順位は2013年と変わらず) ペルーの鉱山生産量と世界ランク(2014年) 鉱種 2012年(千t) 2013年(千t) 2014年(千t) 対前年増減比(%) 世界シェア(%) 銅 1,298.7 1,375.6 1,379.6 0.3 7.5 3 亜鉛 1,281.2 1,351.3 1,318.7 -2.4 9.4 3 249.2 266.5 278.5 4.5 5.0 4 ビスマス - 578.0 196.0 -66.1 4.0 5 金(t) 160.0 150.0 140.0 -7.4 4.7 7 26.1 23.7 23.1 -2.3 6.6 3 6,609.2 6,680.7 7,192.6 7.7 0.2 20 16.8 18.1 17.0 -6.2 5.6 4 0.4 0.0 0.0 0.0 0.0 16 鉛 錫 鉄鉱石 モリブデン タングステン ランク ペルーの鉱山生産量の推移 -銅生産量は増加傾向、金は減産傾向- 3 ・90年代のフジモリ政権時代の民営化政策、外資促進政策で、ペルー鉱業は大きく成長 ・主要鉱種である銅生産量は10年前の1.6倍に伸び、2014年は過去最高の生産量(1,380千t) ・2009年以降、金生産量は長期低下傾向 ペルー・銅、亜鉛、金の鉱山生産量の推移 銅、亜鉛 (千t) 1,800 500 銅(千t) 亜鉛(千t) 金(t) 1,600 1,400 1,374 1,513 1,276 1,200 1,000 800 600 1,470 1,247 1,299 1,281 1,256 1,235 1,376 1,351 450 1,380 1,319 400 金(t) 350 300 250 843 184.0 172.6 164.1 166.2 161.5 151.5 200 140.0 150 400 100 200 50 0 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 出典:エネルギー鉱山省 ペルーの総輸出額の推移 4 -鉱業部門が貿易の主役- ・鉱産物の輸出額が総輸出額の50%を占め、ペルー経済のけん引役 ・鉱業の比率は年々低下傾向(2010年:61%、2011年:59%、2012年:57%、2013年:55%) ペルーの総輸出額の推移 (十億US$) 50 46.268 45.639 41.872 40 5 農産物 5 3 繊維製品 5 5 20 22 その他 化学品 35.565 30 10 38.162 27 畜産物 水産物 26 23 19 石油・天然ガス 鉱産物 0 2010 2011 2012 2013 2014 出典:国税庁(SUNAT) ペルーの鉱産物輸出額の推移 5 -金属価格のピークを過ぎ減少傾向- ・銅、金が鉱産物輸出額の75%を占める ・金属価格のピークを過ぎた影響が鉱産物輸出額に反映 ・2014年は金属価格高騰の影響で過去最高を記録した2011年に対し、30%減(対前年16%減) (十億US$) 30 鉱産物輸出額の内訳 27.361 26.308 その他 22.955 21.723 銀 19.245 20 モリブデン 錫 10 10 8 鉄鉱石 8 6 10 亜鉛 鉛 4,690 11 10 9 2 0 11 9 金 銅 1 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 出典:国税庁(SUNAT) 我が国のペルーからの銅精鉱輸入量 - ベースメタル供給国として重要なポジション - 6 ・銅精鉱輸入相手国としてペルーは第3位で、2014年は533千tを輸入 (百万t) 6 日本の銅精鉱輸入元と輸入量の推移 5 4 3 ペルー2014年:533千t 2 1 0 2000 2002 チリ 2004 ペルー 2005 2006 豪州 2007 カナダ 2008 2009 インドネシア 2010 2011 2012 パプアニューギニア 2013 2014 その他 出典:財務省貿易統計 我が国のペルーからの亜鉛精鉱輸入量 - ベースメタル供給国として重要なポジション - 7 ・亜鉛精鉱輸入相手国としてペルーは第3位で、2014年は185千tを輸入 (千t) 1,400 日本の亜鉛精鉱輸入元と輸入量の推移 1,200 1,000 800 ペルー2014年:185千t 600 400 200 0 2000 2002 2004 2005 2006 豪州 ボリビア 米国 2007 2008 2009 2010 2011 ペルー メキシコ カナダ 2012 2013 その他 2014 出典:財務省貿易統計 銅鉱山生産量 -メジャー企業が主導- 8 ・上位5鉱山で全生産量の78%を占め、いずれも外資系企業が所有 ・ペルー最大のAntamina鉱山はストと品位低下で減産、第2位のCerro Verde鉱山は拡張工事の影響で減産、2012年 稼働のAntapaccay鉱山が生産を順調に伸ばす。 ペルー・上位10銅鉱山の生産量(2014年) 銅鉱山の供給構造 (上位5鉱山が占める割合) 亜鉛鉱山生産量 -中小のペルー企業が担い手- 9 ・民族資本系の企業が操業する小・中規模クラスの鉱山が大半 ・ペルー最大のAntamina鉱山はストと品位低下で減産 ペルー・上位10亜鉛鉱山の生産量(2014年) 亜鉛鉱山の供給構造 (上位5鉱山が占める割合) 金鉱山生産量 -Yanacocha鉱山など大手が減産- 10 ・大手減産傾向により、全体の生産量も縮小 ・最大手Yanacocha鉱山では、反鉱山運動の影響で、過去最大104t(2005年)の1/3以下に ・M.D.D.は違法採掘取締、ボリビア等への輸出禁止措置などで、再び減産 ペルー・上位10金鉱山の生産量(2014年) 金鉱山の供給構造 (上位5鉱山が占める割合) 地金生産量 -Ilo製錬所、拡張工事を実施- ・前年に拡張し、生産量を3割伸ばしたIloは、ほぼ前年並み ・2009~2011年にかけて拡張したCajamarquillaも生産を順調に伸ばす ・資金繰りの悪化などから2009年6月以降断続的な生産に留まっているLa Oroyaは資産売却決定 ペルーの地金生産量(2013年) 11 年間鉱業投資額の推移 ・2014年の鉱業投資額は2013年の97.2億US$から86.5億US$と減少に転じた ・2013年に対前年比14.5%の減少に転じた探鉱費はさらに19.5%減となった ・環境影響評価や地元対策費とみられる準備費及びその他の増加が目立つ 12 今後の主要鉱山開発プロジェクト (1/2) 13 ・エネルギー鉱山省発表によると、現在47件の主要プロジェクトが実施あるいは計画中で投資額は計590億US$ ・47プロジェクトのうち、銅又は銅主体は28件 ・国別では中国36%、米国16%、カナダ16%、ペルー7%、メキシコ7%、豪州6%、ブラジル4%、日本3%など 各種資料よりJOGMEC作成 今後の主要鉱山開発プロジェクト (2/2) 14 主な鉱山・製錬所と鉱山開発プロジェクト位置図 15 ペルーの鉱業関係争議 16 -依然鉱業関係争議は多い- Tia Maria銅プロジェクト 当事者:Southern Copper(SCC、メキシコ系) 原因:農業用水の汚染・枯渇懸念 ・2009年地元住民投票で開発反対80% ・2010年道路封鎖等でEIAやり直し ・2011年抗議で死者、EIA却下 ・2013年SCC社EIA再提出 ・2014年8月EIA承認 ・2015年3月抗議活動再燃 ・ 5月死者発生により非常事態宣言60日 Las Bambas銅・モリブデンプロジェクト 当事者:MMG(中国系) 原因:操業計画変更に伴う環境懸念 ・本年9/25労働者スト・道路封鎖 ・9/29地元住民抗議活動に発砲、死者 ・同日より非常事態宣言30日 ・10/6解決に向けた合意 写真引用:http://larepublica.pe/politica/334-dia-de-violencia-extrema-y-polarizacion-de-la-protesta-contra-elproyecto-minero-tia-maria、http://larepublica.pe/politica/706865-todo-lo-que-debes-saber-sobre-el-conflictoen-las-bambas ペルーの鉱業関係争議 17 -依然鉱業関係争議は多い- Eduardo Vega Luna オンブズマン(Defensoria del Pueblo) 1993 年に憲法に基づき設立された独立・自立的監査官並びに 機関であり、憲法が国民や共同体に対して保障する権利の保護、 行政の監査、市民への支援サービスの提供等を行う。オンブズ マンの代表は国会の3 分の2 以上の賛成をもって選出され、任 期は5 年である。オンブズマンは、係争案件に関して、憲法に よって定められた完全に中立的な立場から、民事的・刑事的責 任を負うことなく意見や推奨を提案することができる。ただし、裁 判官や判事、その他の権威機関の代理となるものではなく、判 決や刑罰、罰金等を定める役割は負わない。 写真引用:http://www.defensoria.gob.pe/defensor.php ペルーの鉱業関係争議 -依然鉱業関係争議は多い- 18 ・2015年9月現在、確認された社会争議は214件 ・争議件数はわずかに減少傾向にあるものの、顕著な減少は認められない 月刊「社会争議レポート」 2015年9月号 顕在状態と潜在状態 オンブズマンでは、争議全体を顕在状態、潜在状態に分けて把握している。この内、顕在状態は、争議の当事者あるいは第三者による抗議行動が公の場で発 生したケースを示す。一方、潜在状態は、一見隠れた状態又は静止状態にある争議であり、軋轢や対立が存在しているが、表立った抗議行動には至っていな い場合や、抗議行動が収まった後、一定の年月が経過しているケースをいう。 写真及びデータ引用:http://www.defensoria.gob.pe/defensor.php ペルーの鉱業関係争議 19 -依然鉱業関係争議は多い- ・鉱業関連争議は顕在争議数の約6割 ・やや減少傾向にあるが、大きくは減少していない データ引用:http://www.defensoria.gob.pe/defensor.php ペルーの鉱業関係争議 20 -依然鉱業関係争議は多い- ・2015年9月の主な争議発生場所は、Apurimac州10%、Ancash州9%、Puno州9%、Cusco州8%、Piura州 7%、Cajamarca州7%など 2014年9月の全争議201件 の要因比率 2015年9月全争議214件の 発生場所 データ引用:http://www.defensoria.gob.pe/defensor.php ペルーの鉱業関係争議 21 -依然鉱業関係争議は多い- ・鉱業関係争議は、社会環境問題を原因とする ・環境への影響としては、特に水資源の汚染、減少・枯渇を原因とする場合が多い。 2014年9月の鉱業関連争議の原因 2014年9月の顕在争議における鉱業関連争議の要因 データ引用:http://www.defensoria.gob.pe/defensor.php エネルギー鉱山省による社会啓蒙活動 -地域住民の鉱業に対する理解促進を目指して(Pasantía)- 22 鉱業影響下地域の自治体やコミュニティ代表者を招聘し、参加者の鉱業に対する正しい知識・理解を深める。 2011年10月からエネルギー鉱山省が大学の協力を得て実施。 対象者は、村長、村会議員、村役場職員、コミュニティ・青年組合・女性協会の代表者・有力者など 修了者は、地元に戻り、村内で同様の啓蒙活動を実施 研修内容は、社会・コミュニケーション能力開発、鉱業に関する基礎知識、鉱業・環境関連法規、鉱業や環境の 社会側面、鉱業プロジェクト形成、鉱山見学など 写真引用:ペルーエネルギー鉱山省ホームページより 2016年大統領選挙 23 -Keiko Fujimori候補が一歩リード- 世論調査会社A社の2015年8月調査結果 Q)もし明日大統領選挙投票日なら誰に投票する? Keiko Fujimori Pedro Pablo Kuczynski Alan García Daniel Urresti César Acuña Alejandro Toledo 34% 17% 6% 5% 4% 3% 写真引用:https://es.wikipedia.org/wiki/Keiko_Fujimori、http://latintrade.com/pedro-pablo-kuczynski-former-economy-minister-of-peru/、 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A2、 http://perunews.jp/perunews/、https://twitter.com/cesaracunap、 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%88%E3% 83%AC%E3%83%89
© Copyright 2024 ExpyDoc