西川 満則 氏

Journal of The Sugiura Memorial Foundation
Vol.4 July 2015
地域包括ケアにおける
アドバンスケアプランニングと
意思決定支援に関する
多職種連携に係る研究
西川 満則 氏
国立長寿医療研究センター
緩和ケア診療部 エンドオブライフケアチーム 医師
1.背景と目的
2.計画
厚生労働省は、人生の最終段階まで、住み慣れた地域
相談員研修を受講した医療者は、相談支援を行った内
で、
その人らしい生活をおくることができるよう、本人・
容をシートに記入する。また、希望者には、患者の意向に
家族の選択と心構えを土台に、住まい・生活、医療・介
そったアドバンスケアプランを作成する。記入された相
護・予防が一体的に提供される地域包括ケアシステム構
談内容シートや、アドバンスケアプランを、多職種でつな
築を推進している。
ぎ、承諾の得られた全例について追跡する。相談内容シー
ト記入率、アドバンスケアプラン作成率を評価項目とし
た対照群のない研究を行う。また、有識者会議を実施し、
ランダム化比較試験のプロトコール案を作成する。
3.期待される成果
直接成果は、アドバンスケアプランニング、意思決定支
援のエビデンス構築である。相談員による意思決定支援
介入の実現可能性や、表明された患者・家族の意思をつ
なぐ方法が明らかになる。また、次のステップとして、質
の高い研究デザインのプロトコール案が作成される。
・地域包 括ケア
(平成 2 5 年 3 月地域包括ケア研究会報告書
より引 用)
・本人・ 家族の選択と心構えは、地域包括ケ
ア(住 まい・生活、医療・介護・予防)の
土台で あることが、示されている。
間接成果は、エンドオブライフケアや在宅医療の推進
であり、QOLの向上である。社会的意義も大きく、地域
包括ケアの、土台部分である、本人・家族の選択と心構え
に資する成果が期待される。
本活動の目的は、地域包括ケアにおける多職種連携の
中で、患者家族の難しい医療選択を支援する相談員によ
る介入を実施し、
相談内容シート記入率、
アドバンスケア
プラン作成率を評価項目とした支援の実現可能性や、表
明された患者・家族の意思を多職種につなぐ方法を明ら
かにし、相談員を介入群とするランダム化比較試験のプ
ロトコール案を作成することである。
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