古 代 銅 コ イ ン の ケ イ光 X線 分 析 (第 2報 ) 一 古 銭 材 質 の 年 代 変 化― 三 辻 利― ・円 尾 好 宏 ・ 大 鎌 淳 正 (物 理化学研究室 ), *古 ダ1研 * 究家 ■ 「菫 自然科学 的方法 で古代青銅 の材質 を研究 す るこ との意味 は ,古 代技術研究 ,産 地推 定 な どを含 めて , 種 々 ,考 えられ る。 これまでに も ,種 々の 目的 で青銅鏡 ,鏃 な どの考古遺物 の分析 デ ータが ,若 千 , 報告 されている。 しか し ,そ の化学組成 の意味す るところの こ とは未解明である と云 って も過言 では な い。筆 者 らは ,古 代青銅 の材質研究 を始 めるに 当た り ,古 代青銅 は時代 によって ,そ の化学 組成が 変遷す るので あろ うか ,そ れ とも ,そ の化学組成 は ,時 代 には全 く無関係なもの で あるの だろ うか とい う問題 を実験的 に証 明 してみ よ うと考 えた。 この観点 か らは ,分 析対象 と して ,古 代銅 コイ ンが , 適 当 であると考 えられ よう。 人類 が コイ アを使用す ることを知 って以来 ,現 代 に至 るまで ,銅 コイ ン は連綿 と して鋳造 され て来 たか らである。 さ らに ,古 銭は他 の青銅器 と違 って ,比 較 的容易に入 手す ることが出来 ,か つ ,表 面 を研磨 した り ,小 片 を再溶解 した り ,自 由に処理 出来 る点 で ,材 質 を研究 す る立 場 か らみれば ,最 も取扱 い易 い青銅器 の一つで ある と考 え られよう。 しか し ,逆 に ,欠 点 もあ る。古銭 には ,幾 度 も改鋳 された り ,ぃ ろ いろの意味 で偽 金 が混入 している可能性 が十分考 えられる こ とである。筆者 らも ,こ の点 を十分考慮 に入 れて ,最 善 の方法 を考 えた。す なわち ,長 年 ,古 銭 の 鑑定 に従事 して来た共同研究者 の一 人 ,大 鎌 に依頼 し ,多 数 の古銭 の中か ら ,分 析試料 を厳選 した。 さらに ,偽 金 の混 入に よるデータの変動 を小 さ くす るため ,出 来 るだけ多数 の古銭の分析結果 か ら , その材質 の もつ特性 を求 めるこ とに した。 これ らの注意 を払 った上 で ,古 銭 のケイ光 X線 分析 を行 いリ (1獅 コイ ンの主成分 は何 か。 (2)他 の副成分は何 か。(3)こ れ らの諸成分 に年代変化 が認 め られ るか ,否 か ,と い う観点 か ら ,デ ータは整理 された。 2実 験 方 法 試料 の古銭 は ,古 銭研究家 の大鎌 が選別 した。 康熙通宝 ,順 治通宝 な どの比較的 近年 の古銭 は鋳造 地 の みな らず ,鋳 造年 も鑑 定 出来 る。 これ ら古銭の裏面 (1贋 治通宝 な どの文字 の刻 印 されて いな い面 ) を小型 自動研磨機 で ,地 金 が表 われるまで研磨 したの ち ,試 料 の表面全体 にX線 を照射 し ,発 生す る 試料 のケイ光 X線 スペ ク トル を観測 した。分析装置 は 監 Vex― 理学電機製 エ ネル ギー分散型 ケイ光X 線分析装置 である。 X線 管 の操作条件 は ,6 0KV,1 0mAで ,2次 ターゲ ッ トと しては ,Od を 使 用 した。各 ピークの面積計算 には ,通 常 ,Kα 線 を使 用 したが ,Znの みは ,Cu,Znの 配合比 に よっては ,mの Kβ 線 に よ り ,Znの Kα 線 が妨害 さ れ る 場合 もあるため ,Kβ 線 を 使 用 した。 -21- データ解析 には ,主 成分である Q■ に対す る ,各 元素の相対 ピーク面積比 ,お よび ,亀/sbを 使用 57)を 古銭標準試料 として選択 し ,試 料の測定の前後に挿入 し て ,分 析値 の変動 をチェ ックした。標準試料 として ,順 治通宝 を選択 した理由は ,cu,sn,Zn, Po,Sb,共 ■ 腸 な ど ,古 銭に含まれる全成分 を ,各 々 ,適 当量含有 したか らである。 60回 に亘 って測定 した標準古銭の ケイ光X線 因子 の変動係数 を表 1に 示 してある。zn/Cu,Sn/∝ ,Fo/m した。 また ,順 治通宝 (試 料番号 表1 Zn/m Fo/Cu 種 々のケイ光 X線 因子 の変動係数 (%) Pb/m Arcu Sn/Cu Sb/Cu Arsb sb/mの 精度は良好であるが ,ピ ークの小さい■/m,ArCu,堤/sbの 変動係数は大きい。 標準古銭 の ケイ光 X線 スペ ク トル を図 1に 示 してお く。 分析 した全試料 は表 2に まとめ られている。 表 2 図 古 1 銭 首 刀 (漢 )(1) ll.嘉 祐通宝 鉄 (漢 )(1) 半 両 (漢 )(2) 鉄 (漢 )(5) 大 泉五 十 (漢 )(1) 6.貨 泉 7.開 元通宝 8.至 道 元宝 9.天 聖元宝 10.皇 宋通宝 (漢 )(1) (漢 )0 12.熙 寧元宝 13.元 豊通宝 14.元 祐通宝 15.紹 聖元宝 16.聖 宋元宝 17.政 和通宝 18.宣 和通宝 1.方 2.六 3.四 4.五 5。 (北 宋 )(3) (北 宋 )(3) (北 宋 )0 標 準 古 銭 (順 冶 通 宝 試 料 (北宋 )(3) ) 21.慶 元通宝 (南 宋 (北 宋 )00 22.開 稽通宝 (南 宋 )(3) (北 宋 )09 23.永 楽通宝 (明 )(1) (北 宋 )α 〕 24.万 暦通宝 (明 )(5) (北 宋 )(5) 25.洪 武通宝 (明 )(8) (北 宋 )0 26.順 冶通宝 (清 )(4) 27.康 熙通宝 (北 宋 )(1) 28.乾 隆通宝 19.淳 熙 元宝 (南 宋 )(5) 20 皇宋元宝 (南 宋 )は 29.嘉 慶通宝 (北宋 ) ( ) -22- )(5) 30.道 光通宝 )0 (清 )00 (清 )03 (清 )00 (清 )00 内の数字 は試料 の枚数 を表わす 。 , 逮ィ コい量ォれま ︲ 上 , 図 は 布 値 分 析 元 分 次 の 有 が 方 の 示 表 部 ェ と 造 鋳 省 :1 干 若 , り あ で , さ 古 銭 の 均 質 性 │ 10° 任 , く な 係 関 し :1日 々 各 , で 省 部 に 全 さ , 示 く に 2 : :日 ' 銭 古 ”¨ [ 軸 ] 鉾 。 た で 盛 の 日 る 眼 図 , は 分 し 較 比 。 る あ鳳 で ︲︲ †︱ ︱ ¨ !σ lo・ 1 よ 1 日 冶 代 順 現 ,敵蘇醐翻は新 び l を を る で の , 2 こ 図 朝 ︲ ま 一 一 れ ¨ ¨ ¨ 清 ︲ 果 そ , こ 結 ︲ , 質 , 喘 中 際 材 一 の釉 のい ン そ 」 `… …l.1… 11 ・ :σ ` :Sn/Cu Zn/Cu ″ ・ “ も%ま “ ・ ユ ・ :σ 図3 ‐ 崚 瀾 !0・ :0‐ : 古 銭 の 均 質 性 :2 ロ 材質 か らみて ,全 く同 じであるこ とが判 る。 図 2に は ,日 本 の 10円 コイ ンの結 果 も プ ッ トしてあ る。順冶通宝 は 日本現代 コイ ンと同 じ程度 に均質性 が 良いこ とも判 る。 同様 に して ,異 なる場所 で鋳 造 された康熙通宝 の分析結 果 を図 3に 示 してある。寧夏省 ,臨 清 省 ,山 東省鋳造 の もの は ,そ れぞれ よ くまとまっているが ,漸 江 省 と雲南省 で鋳造 された もの は ,ば らつ きが大 きい。 また ,雲 南省鋳造 の康熙通宝 は Znの 合有量 が少 な く ,他 の康熙通宝 とは組成 が少 し異な ることも判 る。 この ように現 代 コイ ンは均質性 がよ く ,逆 に ,近 世 以前 の歴史 上 の コイ ンには ,同 一種 コイ ンで も ,材 質 に相異 の み られる こ とがある。 した がって ,一 枚 の古銭の分析結 果 か ら ,同 種古銭の化学組 成 を特 徴づ け るこ とは危険 である。 そのため ,通 常 ,5∼ 10枚 の同種 コイ ンを分析す ることに した。 -23- , 1), これ らを点 中国歴代 コイ ンの ケイ光 X線 スペ ク トルのい くつ かの例 は既 に報告 きれて い るが 検 して も判 るよ うに ,主 成分元素 は ,古 代 ,中 世 では ,m,sn,POで あるが ,近 世 に入る と ,∝ ,zn,Sbに 調べるため ,Sn/cu, および ,Zn/mの 年代変化 を図 4に 示 してある。 Sn/Q・ は漢代から明朝 なる。 そ こで ,中 国銅 コイ ンの材質 が時代 によって ,ど の よ うに変化す るのか を詳 しく に至るまで ,多 少の増減はあっても ,ほ ば ,一 定であるが ,清 朝に入ると減少することが判る。これ / n 1 s Cu。 睡 J→ 世 職 ,Zn/Cu o 図4 sn/cuお 〓 . 宋 二 川 言響 ・ ・ ´ ! よび Zn/Cuの 時代 に よる変化 に 対 し ,Znは 明朝 に至 るまでは 検 出 されず ,清 朝 に 入 る と ,Sn量 の 減少 に 入 れ 代 って混 入 され て くる。云 い 換 えれば ,漢 代 か ら明 朝 に 至 る歴 代銅 コイ ンは mと mを 主成分 と した青銅 銭 で あ り ,清 朝 に 入 る と ,mと Znを 主 成 分 とす る黄銅 銭 に な るこ とを図 4は 示 して い る。 も う少 し詳 し くこの 図 を点 検す る と ,助 /mは 漢代 か ら唐 にか け て少 し増 加 し ,唐 か ら北 宋 に か けて ,や や ,減 少 す る。 日本に輸入された莫大な量の中国古銭の うち ,北 宋銭がとくに ,量 においても ,種 類においても多い。 今回は11種 の北宋銭が分析された。その多くは ,Sn/Q■ の値がよくそろう。ただ,例 外として , 元豊通宝 の中 には ,Snの 含有量 の少 な い ものが混 ってお り ,こ れ ら一部 の元豊通宝 は青銅銭 とい う よ りも ,む しろ ,鉛 銅 銭 とい った方 が よい。 しか し ,Snの 少 な い元豊通宝 で も ,znは 全 く検 出 さ れず ,こ の点 で清朝銭 とは全 く異な る。南宋銭 は北宋銭 に比 べ て ,い ずれ も ,sn量 が少 な く ,Pb量 が多 いこ とは ,図 4と 図 5を 比較 す れば判 る。 また ,明 銭 は南宋銭 よ りも北宋銭 に材質 と しては近 い ことも判 る。清朝銭 になる と ,主 成分 は Cuと znに な り ,snは 副成分 とな り ,量 的 に も ,ば らつ き は大 きくな る。 この ように ,主 成分 の ば らつ きは小 さく ,副 成分 の ば らつ きの大 きいこ とは ,古 銭 に -24- の れ で み られ る二般的傾向 であ り ,こ の こ とは ,精 錬 された主成分 金属 は稀 量 され ,一 定 比率 混和 さ て混入 して の て ぃた こ とを示唆す る。 また ,副 成分 は主 成分中 の不純物 と して ,か な り 任意性 をもっ 来 た と考 えられる。次 に ,FO/cuの 年代 曲線 を図 5に 示 してある。 Pb/cuの 年 代曲線 は何故 か , l γ l lt ll多 L ︲ 咋 │→ I F I F ﹂ ︱ ︱ ︱ I L I I I I 直 図 5 Pb/cuの 時 代 に よ る変 化 sn/mの 年代曲線のもつ傾向と類似している。相異点は ,Sn/mの 年代曲線は ,古 代にばらつき にば が少 な く ,中 世以後 でば らつ きは大き くな る。 これに対 し ,ヽ/mの 年 代曲線 は ,逆 に ,古 代 の らつ きは大 き く ,中 世 以後 に少 な い。 このことは何 を意味 す るの だろ うか ?。 恐 らく ,青 銅 鋳造技 術 に関連 す る こ とであろ う。 るこ と に Snや Znを 添 加 して合金 をつ くる こ との意味 の一 つ に ,融 点 を下げ て工作 を し易 くす 々 がある と考 えられる。す なわ ち ,Cuの 融点 は 1083℃ で あるのに対 し ,Snと Znは 各 ,232 が下 がることは図 6に 示 し つ ℃ ,420℃ であ り ,mが snや Znと 合金 を くる と ,相 当程度 ,融 点 2)か 2)か ら判 る。一方 ,Pbは ,図 7の 状態図 ら判 るよ うに ,mと は合 た sn― Cu合 金の状態 図 それに もかかわ らず ,青 銅 金 を作 らず ,そ のた め ,融 点 を下げ る役害1を 持 たな いこ とは明白である。 ている。 恐 らく ,加 工上 に 銭 ,黄 銅銭 を聞 わず ,古 銭中には ,必 ず と云 って いい位 ,動 が 混入 され Q■ 3)。 何 らかの利点 を持 つの であろ う。 この点 については ,別 報 で報告す る てみよ 次に ,不 純物と考えられる,比 較的含有量の少ないSb,Ag,FOの 年代変化について考え る う。図 8に は ,Sb/mの 年代曲線を示してある。漢→唐→宋という順に,時 代とともに減少す 傾 向を持つが ,そ れ以後は ,宋 →明→清 と,逆 に,増 加する傾向をもつ。各時代とも,Sl■/m,Zn/m Pb に比べて ,ば らつきが大きいのが特徴である。清朝銭には ,か なりの量のSbが 混入されている。 -25- 図 悩 算 Q βol 晟 N図 図 悩 ≦ Q 期 ぐ g lЛ つ図 “︻ 口の︲“ ´ 0 . 0一“ . ﹄ ””円 OLT ハ︶. 000 . , 一■ J 〓 U “〓 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,Sb/mの 場合と相異するのは , │ 図 1l Ag/cuの 時代に よる変化 m中 の 不純 物 時 代 が下 が るに つ れて 単調 に 減少 す る傾 向 を示 す こ とで ある。 Agは 主 成 分 元素 で ある 4)が ,当 時 の技 術者達 に は気 付 か れ な い位 の少 量 で あ り ,そ の た め ,特 に と考 え られ る 去 しよ う とす る技 術 開発 は な され なか った と考 えるの が常識 で あろ う。 また 沸点 は 2212℃ ,蛇 を除 ,Agの 融点 は 960℃ , で Snの 沸点 に近 く ,Q■ の 冶 金 ,お よび ,青 銅 鋳 造 の 過 程 で Agが 蒸発 した り ,濃 ,∝ 鉱石 中 に含 まれ る 不純物 と しての Ag含 有 量の 傾 向 で ある と考 え られ よ う。Fe/∝ もば らつ き が 大 き い こ とは , 図 12 のFe/Chの 年代曲線から判る。漢 ,唐 ,北 ,南 宋の古銭には ,Feが 全く検出されなかったものも あるが ,Feを 含 有す るもの も多 い。 また ,今 回分析 した 明銭 には ,Feは 全 く検出 されなかった。 縮 された りす る こ とも考 え られ な いので ,蛇/mの 年 代 曲線 の この 傾 向 は これ とは逆 に ,清 朝銭 には ,全 ての古銭 に Feが 含有 され ていた とい う特徴 が上 げ られ よ う。清朝銭 の この特徴 は ,Snの 代 りに ,新 らしくZnを 主成分 と して使 用 したこ とに関係 があるのか も しれな ぃ。 いずれに して も ,■ の合有量 は少 な く ,故 意 に混 入 したもので はな く ,銅 鉱石中の 不純物 な ど として混 入 して来 た もの と考 えられ る。 そ して ,■ 含有量 の多少 は ,銅 鉱石 の種類 に も関係す るこ とであろ う。 も し ,そ うだ とすれば ,古 銭中 の Fo含 有量 の任意性 は ,あ る いは ,多 種類 の銅 鉱石 が 使 用された こ との反映 なのか も しれな い。上述 して来た よ うに ,古 銭 中に含 まれ る 主成分 ,お よび 副成分 の含有 量は年代 に よって変遷す るの である。 -28- , , C 慶 υキー ーー 十1 1 1 咋︱︱︱ 黄鋼 餞 Ir rfi *11 噺I I蔦 図 12 Fe/Cuの 時代による変化 古銭 の材質 の組成 が ,出 鱈 日に変化 しな いこ とを裏づ けるも う一 つ別の データを示 そ う。 図 13に は ,主 成分 である Cu,Sn,znを 使 い ,(Zn/m)― (Sn/cu)の 分布 図 を示 してある。古代・ 中世 コイ ンにZnを 含有 している もの は一 つ もなか った。 一 方 ,近 世以後 の コイ ンに は ,す べ て ,Zn は含有 されてお り ,こ の相異 は図 13に 明瞭 に示 されている。 Snは 近世 に入 って ,減 少 の傾向 がみ られ ,清 朝末期 の コイ ンで ある嘉慶通宝 と道光通宝 に至 っては ,殆 ん ど ,Snを 含有 しない。現代 コ イ ンも世界的 にみて ,Snは 使 用 しない傾向にあ り ,仮 に使 用 して も (た とえば ,日 本 の 10円 コイ 13で ,矢 印で指示 されているよ うに ,古 代→ 中世→近世→現代へと,一 つの材質の変遷の流れがあることが判る。図 14に は ,(FD/m)一 ン ),ご く少量 の Snを 添加 しているに過 ぎな い。図 ( sn/m)の 分布図を示 してある。 σ 0 なに﹂ F ´ lr←卜FF ﹂・ lσ 8 ・ ‐ ¬ ¬ 古 銭 の 材 質 の変 化 -29- つ いてい ることが判 る。 これは ,技 術 の発 べ 漢代 の コイ ンは ,そ れ以後 の コイ ンに比 て ,大 き くば ら が大 きか つた と考 えられ る。唐 ュ 達 の程度 に関係す る と考 え られ 未熟 な古代 では ,そ れだけ任意性 る また,清 朝 コイ ンの 中 で も 宋 ,明 の コイ ンに比 べ て ,清 朝 コイ ンには ,Pbが 少 ないこ ともよく判 。 , , 醐 ︰ ・ ・ ︲ ・ lσ 10‐ : lσ・ 図 14 lσ 古 銭 の材 質 の変 化 :2 末期 の 道光通宝 ,嘉 慶通宝 は特異的 で ,現 代 コイ ンに近 く ,他 の清朝 銭 とは離 れて分布す るこ とも図 14か ら判 るであろ う。 この 図で も ,古 銭 の材質 に一つの時代的変遷 があるこ とが判 る。図 15に は , (FD/m)一 (Sb/m)の 分布図 が示 され ている。 この図 でも ,漢 代 コイ ンは ,試 料数 が少 な いに 図 15 古銭 の材質 の変化 :5 銭と は もか かわ らず ,比 較 的広が りが大 きいこ とがよ く判 る。 Fo/mに よって ,清 朝銭 唐 ,宋 ,明 が である。清朝 末 は ,キ ヨゴ ,完 全 に識別 され るこ とも判 る。 この図 でも ,時 代的変遷 の ある こ と 明白 ペ ル 期 の嘉慶通宝 ,お よび ,道 光通宝 の ケイ光 X線 ス ク ト を図 16,17に 示す。 の方向に 上述 して来 た よ うに ,古 銭 の材質 は ,主 成分 ,副 成分 とも ,時 代 に無関 係 ではな く ,一 定 1)で は ,ヶ ィ光X線 スペ ク トルの定性分析 か ら ,中 国 沿 って変遷す る とい うことが出来 よ う。前報 -30- 銅 コイ ンの組成 に年代的変化 があるこ とを述 べ たが ,今 回は ,定 量分析 の結果 か ら ,さ らに詳 しく , 古銭材質 の年代変化 を実証 した。 今後 ,こ こに得 られたデ ータを支持す る洛時代の cu,Sn,Zn等 の生産 高 ,さ らに ,実 験考古学 に よる古代 の冶金 ,鋳 造技術の考証 が必要 となろ う。 図 16 4結 道 光 通 宝 の ケ イ光 X線 ス ペ ク トル 図 17 嘉慶 通宝 のケ ィ光 x線 スペ ク トル 論 (1)ケ イ光X線 分析法 に よ り ,約 20o枚 の中国歴代銅 コイ ンが定量分析 された。 ,sn,Zn,動 の 4成 分 であ り ,副 成分 としては ,Sb,Ag, (2)中 国歴代銅 コイ ンの主成分 は 鈍 ■ な どを含 む。 131 Sn/∝ ,zn/m,PO/m,地 /m,Sb/mの ケイ光X線 因子に年代変化がある。 )Sn/Q・ ,Zn/Q■ の年代曲線より,清 朝に入ってから,m,snを 主成分とする合金か ら,Q, “ Znを 主成分 とする合金に変わった。言 い換えれば ,青 銅銭から黄銅銭に変わった。 151 年代曲線において ,主 成分 (Sn/Q・ ,あ /cu,PD/m)の ばらつきは小 さく, 副成分 Q,共/t■ (Sb/ ,■/cu)の ばらつきは大きかった。その理由は ,精 錬された主成分金属 ぬ ,sn, Zn,POは 一 定 の比率 で混 和 され る こ とに よる と考 え られ た。 (6)龍 /mの 年代曲線は ,時 代が下るにつれて単調に減少 した。この傾向は ,Q■ 鉱石中の不純物 亀 の年 代変化 と考 え られた。 (7)中 国銅 コイ ンの材質 には ,主 成分 ,副 成 分 を含 めて ,時 代的変遷 がある。 (8)POは 青銅 ,黄 銅 の鋳造 工程 にお いて ,加 工補助剤 と して使 用 された。 -31- 5文 献 1報 。 ・ 子 :古 代銅 コイ ンの ケイ光 X線 分析 (第 (1)三 辻利 一・山 口さ と子 上村由美子 赤 阪賀世 古文化 財報告 ,47,(1977). ο ο β′ ″ノ 4′ ′οユ Mε Gγ α″ (2)M.″ α"Sθ π :CO"S′ ′′“′′ " ノ "α コ ンの ケイ光 X線 分析 (第 4報 )。 (3)三 辻矛1-。 円尾好宏 ・松 下録 治 :古 代銅 イ ,(1978),(印 古文化財報告 。 刷中.) -32- ). 〃 J′ ′Cο 。(1958).
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