『支えること』の大切さ - 社会医療法人 城西医療財団

『支えること』の大切さ
もし、あなたの大切な家族が「認知症」になってしまったら・・・
認知症になると本人ばかりでなく、周りの人も戸惑い、悩んでしまいます。特に家族ともなれば、それ
までその方が歩んで来られた人生、家族の為に働き、生活を支えて来られた姿が崩れていく様に思え、
見ていても辛いものです。時にはどう接したら良いかわからず、苦しんでしまう事も多いでしょう。
「認知症」になってしまったら、果たしてその人の人格全てが崩れ、失っていくのでしょうか?
いいえ決してそうではありません。
これはある認知症高齢者の方が書いた文章です。
今日はとてもいやな日だった 何かあったのかも知れない日だった
きっといやな日であった きっと何かあったのかも知れない
きっときっと何かあったのかも知れない
早く○○(ふるさとの地名)にかえりたいA子(自分の名前)だよ
どこのA子知りたい 早く早く知りたい
なにかきっとあるのかも知れない きっと何かあるのかも A子知りたい
今日、自分の身に何があったのか忘れてしまったのですが、とても悲しくて嫌な思いをしたという感
情だけが残ってしまい、不安が押し寄せている A 子さんの辛さがわかります。
「認知症になれば何もかもわからなくなる」のではありません。認知症により日常生活に支障が出たり、
一人では出来なくなることが増えたりしていく中で、自分の変化を一番に感じ不安に思っているのはま
ず、本人なのです。そして、その不安や困難を自分でどう対応したら良いのかわからず戸惑い、混乱し
てしまう事で更に症状を悪化させてしまいます。
認知症になっても感情面はとても豊かな方がいます。特に人への感受性は私たちの予想を遥かに超え
る事があります。今、自分のそばに居る人が誰だったか忘れてしまったけれど、自分にとって大切な人
であるとか、この人は安心できる人だなとかを感じることができるのです。また、自分を理解してくれ
ない人、侮辱する人、一緒に居て不安な気持ちにさせられてしまう人もわかっていることが多いのです。
認知症の多くは治すことが困難と言われています。しかし本人を理解し、適切に支えてあげる事で不
安、混乱を小さくし症状を軽くする事は出来ます。まずは否定せず、その方の「心の世界」に付き合う
ことが大切です。
けれど大切な人であればあるほどに受容に苦しみ、葛藤してしまう事も当然あります。
辛い時は、抱え込まずに専門職に相談することをお勧めします。
かたくりの郷 認知症介護指導者 柴田 みや子
編集・発行
特別医療法人
城西医療財団 白馬広報委員会
城西医療財団
かみしろ
∼編集後記∼
黄金色のじゅうたんが一枚ずつ刈り取られ、四ヶ庄平も晩秋の装いになりつつあります。
食事療養部では「地産地消」を始めて2年になります。地域の方々にご協力いただき、30種近い野菜や山菜
を使わせていただいています。食事時に、「今日の夕顔は白馬の○○で採れたものです。」などと紹介すると、
どこからともなく「ほぉ∼」という声が聞こえてきます。この野菜たちがご利用者や私たちに温もりと元気を
与えてくれていることを感じています。この地で採れた新鮮な野菜をいただけることに日々感謝しながら食事
作りをしています。
鎌倉
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神城醫院(内科・心療内科・皮膚科・精神科)
‘S’ウェルネスクラブ神城(厚生労働省認定健康増進施設)
しろうま
白馬メディア(介護老人保健施設)
かたくりの郷(認知症対応型共同生活介護)
北アルプス訪問看護ステーション
北アルプス訪問介護ステーション
しろうま(居宅介護支援事業所)
〒399-9211
長野県北安曇郡白馬村大字神城 22844
TEL 0261-75-7100(代)
FAX 0261-75-7120
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立ち止まることの大切さ
白馬メディア 介護部
すみれ棟 山本 桂子
私はメディアの介護職員として勤務して早6年、来年は7年目を迎える。
「おっかぁ、この宿題どうするの?」「まだ書いてないの?」と机の上に置いた真っ白な原
稿用紙を見て、小学生の娘達は、まるで鬼の首を取ったかの様に、毎日騒いでいる。メディ
アでの仕事を終えて家に帰るとペンを持たず、ついビールに走ってしまう私。反省!!
最近、常に立ち止まらず業務を優先してしまうあまり笑顔も少なく、もくもくと仕事をし
ている自分がいる・・・それを気づかしてくれたのが、冒頭の娘である。原稿が進まない私
に、そっと学校での作文を出してくれた。「毎日笑顔で誰にでも優しく出来るナースになり
たい」と将来の夢を書いた作文の宿題であった。その中で、「病気がある人も、頑張れない
人も、職員が笑顔でゆっくり接すれば、皆頑張って『生きたい』と思う、だから一分一秒で
も時間を大切にし、笑顔で病気を治してあげたい」と書いてあった。正直、毎日忙しい日を
送っていると、時折私達職員も、心が折れそうになる時がある。「なぜ介護の道に進んだの
か・・・」をも忘れてしまう。私には、娘の作文が「おっかぁ、そんなに走って仕事したらダ
メだよ。笑顔のおっかぁでいないと」と言っている様な気がした。
この私の宿題を通して、自分にとっての「原点、初心」を振り返るきっかけになったと思
う。
そして娘にも感謝したい。立ち止まる事の大切さを気づかせてもらったから。
9月13日(日)に104名のご家族・白馬
村村長・小谷村副村長と共に敬老会をお祝いし
ました。
今年は『きっと誰もが主人公』をテーマにし、
ご利用者の名前を詩に織り込んだ記念品を贈
りました。
涙あり笑いありの充実した時間を過ごせま
した。
ありがとうございました。
□ 居宅介護支援って何だろう?
簡単な説明をすると、病院や施設ではなく自宅で生活をする介護が必要な方に
対して、心身の状態などに応じた適切なサービスが受けられるようにサポート
することです。
□ 介護が必要となったとき・・
要介護認定を受けて介護保険サービスを使う場合、一般的に指定居宅介護支援
事業所に依頼して居宅サービス計画(ケアプラン)を作成してもらいます。 居
宅介護支援事業所には介護支援専門員(ケアマネージャー)がいて、介護保険
法に従い利用者が心身の能力を生かし、可能な限り自立した日常生活が営める
よう、ご本人・ご家族の方と相談しながら計画を作成します。
□ 介護支援専門員(ケアマネージャー)の仕事
● サービス利用の相談・アドバイス
● 要介護認定などの手続きの代行
● ケアプランの作成・見直し
● 介護サービス提供機関との連絡・調整
● 介護保険施設への紹介
などがあります。
□ 「居宅介護支援事業所しろうま」の紹介
「しろうま」には、徳武・古郡 二人の介護支援専門員がおります。 施設の
中に事業所があるので区別が難しいのですが、主に白馬村・小谷村の自宅で生
活されている高齢者の方々を対象とした支援をさせて頂いております。加齢と
共に身体機能が衰えたり認知症・病気・怪我など誰もが多かれ少なかれ抱えて
いく問題を、共に悩み考え、お役に立てるプランを創らせていただきます。
敬老おたっしゃ会実行委員会
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と く たけ
ふるごおり
ケアマネージャー・徳武
ケアマネージャー・古郡
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