ワークシェアリングについて 資料 4 ●日本大百科全書(ニッポニカ)の解説抜粋 1 ワークシェアリングは「仕事の分かち合い」とも訳され、従業員 1 人当りの労働時間を 減らし、その分で他の従業員の雇用を維持したり、雇用を増やしたりする試みである。 2 ワークシェアリングは、以下に大別される。 ①不況時に従業員の数を減らさないようにする「緊急避難型」 ②社会全体として個人の労働時間を減らす「雇用創出型」 ③主婦や高齢者に労働の機会を提供する「多様就業対応型」 3 オランダで 1982 年に合意したワッセナー合意が成功事例として有名。 経営者は雇用機会を提供し、労働組合は賃金抑制を受け入れ、政府は減税を断行し て 10%を超える高い失業率を克服。 1993 年にドイツの自動車大手フォルクスワーゲン社が労働時間を短縮して従業員 の解雇を避ける協定を労使で結んだ。(緊急避難型) 1998 年にフランス政府が法定労働時間を短縮。(雇用創出型) ●兵庫県では、阪神・淡路大震災の影響と長引く不況による雇用環境の悪化を受け、政労 使の3者により「兵庫型ワークシェアリング合意」(H11)がなされ、ガイドライン(H12)が取 りまとめられた。 □兵庫型ワークシェアリング ①緊急避難型:全従業員の所定内労働時間を短縮し、雇用者数を維持 ②所定外労働短縮型:恒常的に時間外勤務を短縮し、従業員を新規に雇用 ③長期休暇制度型:1年以上の長期休暇の取得と雇用増を両立 ④有給休暇取得促進型:有給休暇促進や付与日数増加により採用増を図る ⑤高齢者雇用促進型:高齢者の業務を分解し、雇用機会を創出 ⑥フル・パート転換型:フル・パートタイマーの互換性を強め採用増 ⑦在宅勤務型:在宅勤務の導入により労働時間を短縮 ⇒地元企業の約4分の1がいずれかのワークシェアリングを導入(H13) ●地方公共団体においては、以下の取り組みあり。 近年では推進しているとの情報は少ない。 1 不況対策として、時間外勤務手当を削減し、その財源を原資として非常勤職員・臨時 職員を雇用。(緊急避難型に集中) 2 新卒未就職者等の雇用対策の一環として雇用。 (国交付金活用→雇用期間1年等の制限、本採用までのつなぎ位置付け) ●地方公共団体で、職員の勤務時間短縮を伴うワークシェアリングの事例なし。 ●大分県姫島村は、過疎化・人口減対策としてワークシェアリング実施 ・職員給与水準は最下位(H26 ラス指数:74.9) ・人口1万人あたり普通会計職員数:386 人(88/2280×1万) 1 ・「官ができることは官がやる」との方針で、職員数191人のうち7割は現場職員である (H21)。(診療所、船、福祉センター、保育所・幼稚園、清掃センターなど134人) ⇒新上五島町の行革方針「民間でできることは民間へ」と方向性が異なる ●行政改革の一環として、正規職員を削減、非常勤職員・臨時職員を増員 全自治体正規職員 H17:304.2 万人→H24:276.9 万人 ▲27.3 万人 全自治体非常勤職員 H17:45.6 万人 →H24: 60.4 万人 +14.8 万人 新上五島町職員数 H23: 483 人 →H27: 408 人 ▲75 人 新上五島町嘱託 H23: 55 人 →H27: 73 人 +18 人 ■行革委員意見 高年齢職員の給与削減 ⇒ その財源で職員雇用 ⇒ 人口維持に寄与 ◆全国町村に比べ職員数はかなり多く、職員削減は継続の必要有り。業務量に応じ職員 数を管理していくことが基本であり、人口維持を目的とした職員数維持は困難。 ◆民間等への業務委託による町雇用→民間雇用のシフトあり 今後も可能な業務は民間委託を推進予定 ◆正規職員→嘱託職員のシフトあり(H23:55 人 → H27:73 人) 職員は専門的・非定型業務、嘱託職員等は補助・定型業務を担う方向。 今後も可能な業務は嘱託等へシフト想定。 ◆他の地方自治体で実施のワークシェアリングとしては、時間外勤務手当減額を財源とし た非常勤職員雇用が多い。 ⇒ 新上五島町時間外勤務手当(H26)は 12,202 千円であり、この手法は採用し難い。 ◆町職員給与の改定 国、県、近隣市町の状況を踏まえ、国・県に準拠して改定。 H17∼H21、H25 は財政状況等の理由で人事院勧告に基づかない給与削減 ※人事院勧告は、労働基本権制約の代償措置として、職員に対し、社会一般の情勢に適 応した適正な給与を確保する機能を有するもの。 ※地方公務員法第24条第3項(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準) 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従 事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。 2
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