知的財産システムのグローバル化 と特許庁の取組 平成27年11月4日 特許庁 伊藤 仁 【目 次】 ○ 知的財産システムのグローバル化 ○ 世界最速かつ最高品質の特許審査への取組と海外発信 ○ 特許情報の普及活用 1 ○ 知的財産システムのグローバル化 ○ 世界最速かつ最高品質の特許審査への取組と海外発信 ○ 特許情報の普及活用 2 知財活動のグローバル化 新興国市場の成長による輸出先の拡大、生産や研究開発に関する海外拠点の設置など企業 活動のグローバル化が進むことで、海外における知的財産権取得の意識が高まっており、世界 における出願件数は急増。 我が国から海外への出願件数も年々増加し、2013年は、2004年の1.4倍の約20.1万件に増加。 我が国企業の知財活動もグローバル化。 (万件) 300 (万件) 居住者による特許出願 非居住者による特許出願 250 200 【世界の特許出願件数の推移】 256.8 万件 86.0 157.5 万件 150 140 120 3分の1が 非居住者 100 による出願 80 60 60.2 100 50 40 170.8 20 97.3 0 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2013 (出願年) (万件) (年) WIPO statistics database を基に特許庁作成 特許行政年次報告書2015年版を基に特許庁作成 800 【世界の意匠出願件数の推移】 【我が国から海外への特許出願件数の推移】 【世界の商標出願件数の推移】 700 25 600 20 (万件) 20.1万件 500 400 15 300 10 14.2万件 200 5 100 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (年) WIPO statistics database を基に特許庁作成 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (年) 特許行政年次報告書2015年版を基に特許庁作成 3 日米欧出願人によるグローバル出願 企業活動のグローバル化を背景に、我が国企業の海外への特許出願件数は増加傾向。 欧米の出願人は、五庁(日米欧中韓特許庁)以外の国・地域への出願が多い。 【日米欧出願人のグローバル出願率】 (%) (万件) 55 50 45 48 46 46 46 52 47 53 47 51 52 47 52 48 49 40 30 30 20 15 10 35 25 20 24 23 14% 2007 2008 25 2009 日本 31 32 5 27 45% 2010 米国 36% 2011 2012 0 2013 欧州 <上図の説明> ※グローバル出願率: 国内へ出願される特許出願のうち外国にも特許出願される件数の比率。外国に 出願した国の数は、グローバル出願率に影響を及ぼさない。なお、特許出願に は、国内出願に基づかず直接国際出願の受理官庁としての日本国特許庁に出願さ れたPCT 出願を含む。 2009 2010 2011 2012 2013 2009 2010 2011 2012 2013 三極内(自国除く) 中国 韓国 2009 2010 2011 2012 2013 五庁以外 <上図の説明> (出典)WIPO(世界知的所有権機関)統計(2015年1月現在) (注)欧州:EPC(欧州特許条約)加盟国。 ・欧州からの出願件数は、各年末時点のEPC加盟国の出願人による出願件数。 (注)「五庁以外」及び「その他」には、台湾への出願は含まれていない。 4 ○ 知的財産システムのグローバル化 ○ 世界最速かつ最高品質の特許審査への取組と海外発信 ○ 特許情報の普及活用 5 日本再興戦略における特許審査関連施策 国際的に遜色ないスピード・質の高い審査の実現 審査官の確保などの審査体制の整備・強化等により、今年度中に審査順番待ち期間を11か月 とし、その後の権利化までの期間を2015年度中に36か月以内とする。複数技術等の一括審査( まとめ審査)を今年度から開始する。今後10年間で特許の「権利化までの期間」を半減させ平均 14月以内とするとともに、外部有識者による客観的な品質管理システムの導入等の取組により 「世界最速・最高品質」の審査を実現する。 新興国を含めたグローバルな権利保護・取得の支援 アジア新興国への人材派遣・研修受入れを強化するとともに特許審査ハイウェイ(他国で特許と なった出願を、早期に審査する制度)の対象国を拡充する。 地域中小企業の知財戦略強化 審査官が地方に出向いてユーザーニーズを踏まえた迅速かつ的確な面接審査を実施するなど 地方における権利化支援の推進に必要となる審査体制の整備・強化を行い、2020年度までに 1年あたりの面接審査件数を倍増させ1,000件(2014年度は約500件)とする。 (出典) 日本再興戦略 (2013年6月)、改訂2014 (2014年6月)、改訂2015 (2015年6月) 6 世界最速・最高品質の特許審査の実現に向けて 「日本再興戦略」の指摘を受けて、特許庁では、「世界最速・最高品質の審査」の実現に向けた 取組を実施。 特許審査の基本方針 1.迅速性を堅持する 「権利化までの期間」に ついても世界最速水準まで迅速化 特許審査をとりまく課題 審査請求から権利化までの期間の短縮 急増するPCT出願の着実な処理 英語・中国語等の外国語文献検索 審査基準の記載の抜本的な見直し 2.質の高い権利を設定する 品質管理体制の整備 「強く・広く・役に立つ特許権」を設定 出願人ニーズに対応した審査 文献検索ツール(分類)の刷新 3.海外特許庁との連携・協力を 強化する 海外での権利取得の「予見性」を向上 アセアン諸国をはじめとする新興国等の 知財システム構築(審査官の海外審査協力) 我が国の制度・運用(審査基準等)や 審査官の見解(拒絶理由等)の英語での発信 早期に、信頼性の高い特許審査を行い、その審査結果を諸外国へ提供。 日本の審査結果は諸外国に参照され、我が国ユーザーによる安定的でグ ローバルな権利取得を促進。 7 世界最速・最高品質の特許審査の実現に向けて 【特許審査官の推移】 【参考:五大特許庁の特許審査官の推移】 (人) 8,466 9,000 USPTO SIPO EPO JPO KIPO 8,000 7,000 8,457 6,000 5,000 4,221 4,000 3,000 1,702 (492) 2,000 1,000 733 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 (年) (備考) 値は年度末定員。括弧内は任期付審査官の内数。 審査官定員の確保 登録調査機関による 下調査の拡充 一次審査通知までの期間及び権利化までの期間の短縮 特許審査の質の維持・向上 8 「世界最速」に向けて 審査の迅速化・効率化:2004年に定めた目標(=2013年度末に「FA11」)を達成。 新たな目標: ① 2023年度までに特許の「権利化までの期間※」(標準審査期間)を「平均14か月以内」 ② 一次審査通知(FA)までの期間を「平均10か月以内」 ※出願人が制度上認められている期間を使って補正等をすることによって特許庁から再度の応答等を出願人に求めるような場合を除く。 【我が国における一次審査期間と権利化までの期間】 審 査 請 求 FA (First Action ) 一次審査期間 【これまでの目標】 11か月 一 次 審 査 通 知 権 利 化 権利化までの期間 (出典)特許庁調べ 9 外国語文献への対応 世界の特許文献のうち、日本語で読める特許文献の比率も大幅に減少(90年代の5割超から現在の1割強)。 世界で通用する安定した権利を設定するためには、英語以外の外国語文献の調査も必要。 中韓文献等の先行技術調査の効率化のため、中韓文献サーチシステムや特許分類の整備が必要。 【世界の特許文献の内訳】 外国文献サーチシステムの整備 (万件) 220 その他 200 中韓文献65% 180 中韓文献に対応できるよう、中韓文献サーチシステム を整備 (2015年1月に稼働開始)。 後ほど紹介 160 発 140 行 件 数 120 世界共通の特許分類の整備 中韓文献の急増 中国 100 五大特許庁を中心に国際特許分類の詳細化を推進。 中韓文献17% 80 60 韓国 欧州 40 米国 20 日本文献13% (暫定値) 日本 登録調査機関による先行技術文献調査の拡充 2013年度 0.6万件 2014年度 7.7万件 2015年度 10.1万件 0 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 暫定値 10 「世界最高品質」に向けて 【特許審査に関する品質ポリシーの設定】 「強く・広く・役に立つ」特許権を設定する。 ①「強く」:グローバルな知的財産保護を支援すべく、後に無効にならない強さを備える。 ②「広く」:発明の技術レベルや開示の程度に見合う権利範囲の広さを備える。 ③「役に立つ」:世界に通用する有用な特許権。 ACT: 検討・修正 CHECK: 審査業務の評価 継続的 改善 PLAN: 方針決定 DO: 審査業務の実施 審査長単位 審査品質管理 小委員会 (外部有識者により構成) 特許審査の品質管理の 実施状況、実施体制等 の客観的な評価 11 「特許・実用新案審査基準」の改訂 「特許・実用新案審査基準」等を全面改訂し、和文・英文で公開。2015年10月より運用開始。 他国での審査環境整備にも活用される、グローバルスタンダードとなることを目指す。 改訂「特許・実用新案審査基準」の特徴 基本的な考え方や審査官の判断手法をより明確な論理構成で説明 充実した事例(372件)及び裁判例(193件) 図表を活用し、一文を短文化した、簡潔かつ明瞭な記載 審査基準 審査の基本的な考え方をより深く理解できる 特許権取得の高い予見性が得られる 特許法等の関連する法律の適用 についての基本的な考え方をまと めたもの。 審査ハンドブック ○ 審査結果の国際的な信頼感の醸成 ○ 「審査基準」等のグローバルスタンダード化 国内の制度ユーザーの他国における権利取得 が容易になる。 審査業務を遂行するに当たって必 要となる手続的事項や留意事項 をまとめたもの。 審査基準で示された基本的な考 え方を理解する上で有用な事例・ 裁判例・適用例も掲載。 12 面接審査 審査官と代理人等との間の意思疎通を円滑に行い、安定した権利の付与に資することを目的に 面接審査を実施。 特許庁において行う面接審査に加え、全国各地に審査官が出張して行う「出張面接審査」、Web 会議システムを利用して行う「テレビ面接審査」、電話を利用して行う「電話応対」も実施。 面接審査の実施 実績(平成26年度) 審査官 審査官との 円滑な意思 疎通 的確な審査に繋がる ・出願の内容 ・技術説明 審査官は出願 のポイントを的 確に把握可能 面接記録に、面接の 内容や結果を、具体 的に記載 ・補正案に対する回答 ・補正の示唆 出願人が真に求める 適切な権利の取得 面接審査 : 3,950件 出張面接審査 : 442件 (備考)面接審査の件数は、出張面接審査とテレビ面接審 査の件数を含む。 平成26年10月以降、代理人等 から面接要請があった場合、審 査官は、原則一回は面接を受諾 することとした。 出願人・代理人等 13 出張面接審査 中小企業、大学等の方々への支援のため、全国各地の面接会場に審査官が出張し面接を実施。 今後も、出張面接審査を積極的に行っていく予定。 全国各地の面接会場に 審査官が出張して面接 実績(平成26年度) 開催場所 出張回数 案件数 全国 41回 442 件 中部 20回 221件 関西 15回 195件 東北 2回 14件 関東 2回 3件 四国 1回 6件 九州 1回 3件 (内) 特許庁 14 「事業戦略まとめ審査」の展開 企 事業 事業戦略 業 必要な知的財産の権利化 出願の内容 装置制御 製造技術 モータ 電池 電気自動車 素材 審査官が企業の事業戦略を理解 各分野の審査官による協議 車体デザイン(意匠) ロゴ(商標) 特許 特許庁 意匠 商標 さらに、2014年10月から、以下の要件緩和を実施 異なる出願人による出願をまとめた申請を認める (共同開発による成果についても一括申請を可能とする) 一次審査通知後の出願も対象に追加する 15 日米協働調査試行プログラム (US-JP CSP) 2015年8月1日から日米協働調査試行プログラム(日米協働調査)を開始。 日米両国に特許出願した発明について、日米の特許審査官がそれぞれ調査を実施し、その調査 結果及び見解を共有した後に、早期かつ同時期に最初の審査結果をそれぞれ送付する。 これにより、我が国企業等は、日米両国に特許出願した発明についてより強く安定した権利を、日 米両国それぞれにおいて早期に得ることが可能となる。 1.日米協働調査の申請 2.両庁による サーチ結果・見解の共有 3.同時期に最初の審査 結果をそれぞれ送付 先行技術文献調査 特許性の判断 先行技術文献調査 特許性の判断 最初の 審査結果 出願 出願 最初の 審査結果 16 特許審査ハイウェイ(PPH)の拡大・改善 特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway)は、ある国で特許権を取得可能と判断された 出願につき、他の国での簡易な手続により早期に審査を受けられる制度。 (日本が提唱し、2006年に世界に先駆けて米国との間で開始。) 第1庁 特許可能 審査 出願 早期審査 第2庁 PPH申請 出願 【PPH参加庁数(36庁:2015年10月1日時点)】 【世界PPHの累積申請件数(約88,000件:2015年6月末時点)】 40 ポーランド、ユーラシア、 インドネシア、ニカラグア 35 P P H参加庁数 30 エジプト、 ルーマニア、 エストニア メキシコ、ポルトガル、スウェーデン、 イスラエル、北欧、台湾、ノルウェー、 中国、アイスランド タイ、 マレーシア 25 20 シンガポール、フィンランド、 露、オーストリア、 ハンガリー 15 日本提案により 10世界で初めて 日米間で始動 5 36 累 積 件 数 フィリピン、 コロンビア、 チェコ スペイン カナダ、独、豪、 デンマーク、欧 韓、英 0 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 17 国際調査機関の管轄国の拡大 これまでアセアン主要国等7か国の他国特許庁で受理したPCT出願について、国際調査等も実施。 7月1日から米国、10月1日からはブルネイにおけるPCT出願についても国際調査等を開始。 (米国に関して、対象分野はグリーン技術を優先して取り上げ、試行の対象案件は3年間で5000件を目処。) これによりユーザーの利便性が向上。 【特許に関する国際出願(PCT出願)における権利取得】 国際調査機関 各国での審査 日本 日本人国際出願 日本の国際調査 受託対象国の拡大 日本国特許庁 (JPO) B国 国際調査報告 A国人国際出願 B国人国際出願 A国 各国の審査で参照 各国出願人はJP Oによる国際調査 を選択可能 【JPOの国際調査受託対象国の拡大状況】 受理官庁 開始時期 実績件数(※3) 今年度 累計 韓国(※1) 2001年7月~(再開※2) 1 19 フィリピン 2002年1月~ 0 12 タイ 2010年4月~ 10 60 ベトナム 2012年7月~ 4 9 シンガポール 2012年12月~ 71 181 インドネシア 2013年6月~ 0 1 マレーシア 2013年4月~ 62 136 米国 2015年7月1日~ 24 24 ブルネイ 2015年10月1日~ - - ※1:1990年9月1日から日本語による出願の受付を開始。 ※2:1999年12月1日から実務上中止したものの、2001年7月から再開。 ※3:実績件数(今年度)については、2015年4月1日~10月13日の数値。 18 海外特許庁との連携・協力の強化(審査官等の派遣・受入) 我が国と海外特許庁相互に、審査官を派遣し、実際の出願についての特許要件等に関する議論を通じ、相手 国の審査手続や特許要件の判断基準をより深く理解し、審査実務の調和や施策・取組の推進を目指す。 アジア諸国等新興国で知的財産制度の整備を支援するため、特許審査官をはじめとする専門家の海外派遣 や受入を通じて、日本式の制度や審査実務等の知財システムの浸透、情報化支援などを行い、日系企業の 知財ビジネスを後押しする。 1200頁を超える英語版の研修用 スライドを作成し、新興国への実 務指導を強化していく予定。 <その他の派遣・受入事業例> シンガポール知的財産庁に日本の 審査官を上席審査官として派遣 ミャンマーに日本の審査官をJICA 長期専門家として派遣し、知財法整 備・知財庁設立を支援 アジア等の新興国向けに審査官の 能力向上のための研修を実施 アジア各国に専門家を派遣し、書 類の電子化や審査システムの導入 等の情報化を実施 平成12年4月から 平成27年9月末までの実績(延べ人数) 二庁間の取組 五庁(日米欧中韓)の取組 三極(日米欧)の取組 19 「世界最速・最高品質の特許審査」の海外発信 AIPNやOPDといったインターネットを利用したサービスを通じて、海外の審査官、一般ユーザー に向けて、我が国の「世界最速・最高品質の特許審査」を英語で提供。 AIPN 世界67カ国・地域へ日本の審査結果を提供 (日→英機械翻訳) 外国庁 日本特許庁 欧州特許庁 ワン・ポータル・ドシエ One Portal Dossier (OPD) 韓国特許庁 サーチ結果・審査結果に関する情報をリ アルタイムに五庁間で相互参照可能 (日→英機械翻訳) 米国特許商標庁 中国国家知識産権局 ※平成27年3月より順次五庁の各ホームページから一般ユーザへも提供 20 新しいタイプの商標の保護(平成27年4月1日から出願受付) 平成26年5月に商標法を改正し新しいタイプの商標の保護を決定。企業の多様なブランド戦略を支援。 法律の施行に向け商標審査基準を改訂し、説明会を全国29都市で34回開催。 本年10月27日に、初めて登録と判断した出願例についてプレスリリースを行ったところ。 【今回登録の判断を行った出願例】 <音商標> 商願:2015-29806 出願人:久光製薬(株) 商願:2015-29889 出願人:花王(株) <動き商標> 商願:2015-30273 出願人:(株)ワコール <位置商標> <ホログラム商標> 商願:2015-30198 出願人:三井住友カード(株) 商願:2015-30361 出願人:(株)エドウィン ※ 色彩からのみなる商標については、10月27日時点で、登録の判断を行った出願例は存在していません。 21 ○ 知財システムのグローバル化 ○ 世界最速かつ最高品質の特許審査への取組と海外発信 ○ 特許情報の普及活用 22 特許情報と知的創造サイクル 特許情報とは、特許、実用新案、意匠、商標の出願や権利化に伴って生み出される情報。 特許情報は、企業や研究機関等が、研究開発活動や技術の動向、デザインの動向、商品やサービス などの動向等を把握し、事業戦略等を検討する上で重要な役割を果たしており、特許情報の有効活 用は、知的財産の創造、保護及び活用を図る知的創造サイクルにおける重要な鍵。 ◎競合会社の出願動向の把握(技術開発動向の 保護 監視 企業動向調査 無駄な出願の防止 権利化戦略の検討 研究開発 紛争の回避 発明創出 特許情報 創造 重複投資の防止 イノベーションの推進 技術動向調査 技術参考調査 活用 設 計 出願前・ 審査請求前調査 製造前 他社権利調査 侵害警告 公知例調査 ライセンスの検討 事業戦略の検討 把握、自社の障害となる出願の早期発見と 今後の対応策の検討等)(定期的に監視) ◎技術レベルの把握(過去の存在技術、今後開発 すべき技術の参考→技術変化、商品需要予測) ◎無駄な研究、重複研究の回避(研究開発投資の 効率化、技術導入・共同研究先の可能性検討) ◎発明の手がかり(特許網の隙間、代替技術の 検討、課題に直面した場合の解決手段を探る) ◎無駄な経費の抑制(権利化見込みのない発明 に要する審査請求料や外国出願等の経費の抑制) ◎明細書作成の参考、先行技術文献開示の義務化 への対応 ◎他社権利との抵触関係調査(侵害の未然防止) ◎他社からの技術導入・技術提携の検討 ◎他人の権利阻止、無効化 (他社権利の出願前の公知例調査) 23 我が国特許庁に求められる特許情報提供サービス 産業構造審議会 知的財産分科会 とりまとめ(平成26年2月) ・世界最高水準の知的財産権情報提供サービスの実現 官民の役割分担に留意しつつ、世界知的所有権機関や欧州特許庁など 諸外国の同様のサービスを超える世界最高水準のサービス提供を目指し 新たな情報基盤に刷新する。 産業財産権情報を広く一般公衆に提供することは、 産業財産権制度を実施している特許庁として果たすべき義務。 国の役割 ・法律に基づき公表が義務づけられてい る情報を含む基本的な情報を、利用者を 限定することなく、広く一般公衆に対して インターネットを通じて無料で提供。 民間の役割 ・高い付加価値を付けた情報を提供。 国と民間の ベストミックス 多様なユーザーニーズ に応えていく。 24 特許情報サービスの全体像 特許庁・INPIT 外国庁 公報 各種サービス ・公開公報 ・特許・実用新案公報 ・意匠公報 ・商標公報 ・審決公報 ・特許庁公報 等 (国内) (海外) ・公報情報 ・公報情報 ・審査書類情報 欧州特許庁 米国特許商標庁 中国国家知識産権局 韓国特許庁等 ・経過情報 インターネット経由 バルクデータの 提供 民間サービス事業者 ユーザーのニーズに応じた 高付加価値・多様なサービス 高度な検索機能、アラート機能、 統計分析機能、個別カスタマイズ等 基本的な 検索・照会サービス ユーザー 大企業 中小企業・個人 大学・研究機関 海外の利用者 (外国庁含む) 25 インターネット公報 特許庁は、特許法等に基づき、明治22年以降、「公報」という形態で、出願情報及び権利情報等を 広く情報提供。 情報流通技術の急速な発展を踏まえ、2006年1月に「インターネット利用による公報発行サイト」を 立ち上げ、登録実用新案公報から段階的に発行媒体をインターネットへ移行し、2015年4月に特許 公報等も含めたすべての公報のインターネットでの発行を実現。 インターネット 紙 CD-ROM DVD-ROM 26 特許庁/INPITが提供する各種サービス一覧 特許情報 プラットフォーム (J-PlatPat) 中韓文献翻訳・検索 システム 外国特許情報 サービス (FOPISER) 画像意匠公報 検索支援ツール (Graphic Image Park) 検索対象文献 特許・実用・意匠・商標 特許・実用 特許・実用・意匠・商標 意匠 (画像意匠のみ) 収録対象国 日本、米国、欧州 (EPO)、中国、韓国な ど主要10カ国・機関 中国、韓国 ロシア、台湾、オースト ラリア、欧州(OHIM) 日本語/英語 日本語 日本語 日本語 2015年1月 2015年8月 2015年10月 ユーザーイン ターフェース 言語 日本 ※順次、拡大予定 2015年3月 リリース時期 ※IPDLは2015年3月をもっ てサービス終了 27 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat) 特許電子図書館(IPDL)を刷新し、2015年3月23日よりインターネットを通じた新たな無料の特許情報 提供サービス「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を提供開始。 国内で発行された特許・実用新案・意匠・商標の公報類に加え、諸外国で発行された公報等を検索 可能。 IPDLの検索回数は、近年では年間1億回を上回っており、特許情報インフラとして定着。 ・ 使いやすいユーザーインターフェースへの刷新 ・ 特許文献と非特許文献の一括検索 (J-GLOBAL(※)との連携) ・ 検索サービスの機能の充実 ・ 「色彩」や「音」等の新しいタイプの商標への対応 ※科学技術振興機構(JST)が運営する 総合的学術情報データベース (単位:万回) 28 中韓文献翻訳・検索システム 急増する中国・韓国語特許文献の検索の利便性を向上させるために、中国・韓国語特許文献の全 文を日本語に機械翻訳し、日本語でテキスト検索及び照会を可能とするシステムを整備し、2015年 1月より本格稼働。 特許庁審査官に加え、一般利用者も利用が可能。 過去10年以上の文献(約1250万件)が蓄積され、現在も順次文献の蓄積を実施中。 表示している文献 の原文も表示可 能。 日本語のキーワードを入力して 検索。 検索結果を表示。左側に機械翻訳文(検索に用いた キーワードが着色されて表示)、右側に図面を表示。 <中韓文献翻訳・検索システム> http://www.ckgs.jpo.go.jp (サービス提供時間:開庁日の8時から22時まで) 29 外国特許情報サービス(FOPISER) 外国庁・機関と交渉し、ユーザーニーズの強い諸外国の特許情報を収集。 収集した外国特許情報の一部(ロシア・台湾・オーストラリア・OHIM)を、データ整備を行った上で内 製したシステム(外国特許情報サービス:FOPISER)を用いて、民間サービス事業者、エンドユー ザーにインターネット経由で日本語の画面により提供。(試行) 特許庁 外国特許情報サービス(FOPISER) OHIM ロシア ・ ・ ・ 対象国を 順次拡大 データ整備 システム開発 公報の簡易検索 ・照会 一括ダウンロード オーストラリア 台湾 インターネット 経由 民間サービス事業者 ユーザー 大企業 中小企業・個人 ※平成27年10月7日 ベトナム タイン副大臣とのデータ交換に係る覚書締結 大学・研究機関 海外の利用者 30 画像意匠公報検索支援ツール(Graphic Image Park) 2015年10月1日より、イメージマッチング技術を利用した画像意匠公報検索支援ツール(Graphic Image Park)のサービス提供を開始。 この支援ツールにより、我が国で意匠登録を受けた、機器の操作画像等のデザインを、利用者が任 意に指定したデザインと形状や色彩の要素が近い順に並べ替え、効率的に照会することが可能。 操作は簡単。①イメージファイルを入力→②サムネイルの一覧を表示→③意匠公報を表示 ②結果を表示ボタンをクリック 形優先、色優先などの 並べ替えモードを選択 することが可能。 また「意匠に係る物 品」「意匠分類」 など により、並べ替え対象 を絞り込むことも可能。 ①イメージファイルを入力 ③気になるイメージがあったら、 サムネイルをクリックして、 意匠公報PDFを表示 ※権利の存否などの 参考となる登録情報に ついては、別途、特許 情報プラットフォーム (J-PlatPat)で確認す ることができる。 31 国際的な枠組での特許情報サービスの協力強化 日米欧中韓の商標五庁において、各庁が提供する商標情報サービスで、「審査中」「登録済」といっ た各出願の法的状態を共通の形式で表示する共通ステータス表示の実現に向けて検討。 WIPOが提供するサービス(グローバルデザインデータベース(意匠)、グローバルブランドデータ ベース(商標)) に我が国の意匠、商標の情報が掲載されることで、一般ユーザーは日本の情報と 諸外国の情報とを一括して検索することが可能。 J-PlatPat 商標共通ステータス 表示のイメージ (画面は開発中のもの) WIPOグローバルブランド データベース 我が国の 商標公報を提供 イメージサーチ (類似した図形を検索) 各国の商標を横断検索可 WIPOグローバルブランドデータベースより特許庁作成 32 特許情報普及活用施策の現状と課題 特許庁・INPIT 論点2 公報 各種サービス ・公開公報 ・特許・実用新案公報 ・意匠公報 ・商標公報 ・審決公報 ・特許庁公報 等 (国内) (海外) ・公報情報 ・審査書類情報 ・経過情報 ・公報情報 情報普及活用小委員会 (外部有識者により構成) インターネット経由 主な論点 バルクデータの 提供 特許庁・INPITが運営する公的な特許情報 提供サービス(J-PlatPat等)のあり方 民間サービス事業者 ニーズの高度化・多様化 外国庁が提供するサービスの向上 ユーザーのニーズに応じた 高付加価値・多様なサービス 高度な検索機能、アラート機能、 統計分析機能、個別カスタマイズ等 基本的な 検索・照会サービス 論点1 論点3 大企業 個人情報保護の意識の高まり インターネットによるアクセス性の向上 中小企業への情報普及施策のあり方 ユーザー 中小企業・個人 大学・研究機関 法的検討も要する公報のあり方 (公報における住所掲載の問題等) 海外の利用者 (外国庁含む) 33 特許出願技術動向調査(ビッグデータ分析技術) 2000年~2011年までの期間中に30件以上の特許出願があった出願人及び特に注目すべき企業 (アップル、アマゾン、フェイスブック、楽天)が対象。 データ保有企業はデータ解析技術に、情報通信機器ベンダはハードウェア技術に根差した分析基 盤技術に注力する傾向がある。自企業の強みとなる分析対象のデータ保有(利用)を可能とする環 境を競争力の源泉とすべく、分析関連の出願を増やしていると考えられる。 【ユーザ系企業の特許出願技術区分】 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ □ □ □ △ △ △ △ △ △ ユーザ系企業 ヤフー(米国) ヤフージャパン アリババ グループ(中国) グーグル(米国) ビザ(米国) アマゾン テクノロジーズ(米国) アップル(米国) 楽天 フェイスブック(米国) 日本電信電話 ケイディーディーアイ エイ・ティ・アンド・ティ(米国) 中興通訊(中国) アルカテル・ルーセント(フランス) ノキア(フィンランド) 華為技術(中国) 三星電子(韓国) エリクソン(スウェーデン) ★: データ保有企業 □: 情報通信事業者 △: 情報通信機器ベンダ 26 54 15 23 24 6 1 4 1 360 26 21 11 15 10 3 12 8 データ解析 技術 9 3 8 4 21 2 1 1 23 2 8 3 4 2 4 5 解析対象 DB 7 2 16 5 1 2 1 54 15 10 3 4 5 11 3 5 6 2 1 1 10 11 1 8 3 4 10 6 ストック系 ストリーム系 データ 処理技術 前処理技術 29 3 11 11 11 12 1 2 120 16 8 30 13 23 18 12 11 分析基盤 技術 34 特許出願技術動向調査(人工知能技術 - 全体動向 -) 人工知能技術の特許出願件数は出願人国籍別にみると、米国籍出願人による出願が最も多く、全 体の47.5 %を占める。 出願件数上位ランキングではアイ・ビー・エム、マイクロソフトが1、2位を占めている。 出願人国籍別 特許出願件数比率 (出願先:日米欧中韓、出願年 2008-2012) 出願件数上位ランキング (出願先:日米欧中韓、出願年:2008-2012) 中国への出願件数上位ランキング (出願先:中国、出願年:2008-2012) 全体 順位 出願人名称 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 アイ・ビー・エム(米国) マイクロソフト(米国) ソニー 日本電気 日本電信電話 シーメンス(ドイツ) 富士通 クアルコム(米国) ヤフー(米国) グーグル(米国) 全体 出願件数 562 278 153 122 116 107 101 96 91 72 順位 出願人名称 1 2 3 4 5 6 7 8 8 10 10 上海大学(中国) 北京航空航天大学 (中国) 浙江大学(中国) 西安電子科技大学(中国) 武漢大学(中国) ソニー 天津大学 (中国) 江苏大学 (中国) 北京交通大学(中国) 清華大学(中国) 湖南大学(中国) 出願件数 56 52 45 38 31 30 26 25 25 24 24 35
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