名 厚岸町民の森造成実行委員会

平成 26 年度 アサヒスーパードライ寄付記念助成金 ラムサール条約登録湿地保全事業活動レポート
団
体
名
厚岸町民の森造成実行委員会
事
業
名
平成26年度 厚岸町民の森植樹祭
我々はアサヒスーパードライ寄付記念助成金で、別寒辺牛湿原に流れ込む河川の1つである大別川の河畔林の
造成を行うべく、平成 26 年 6 月 1 日に厚岸町民の森植樹祭を実施しました。
厚岸町の有する別寒辺牛湿原は 8,300ha の広大な湿地であり、そのうち 5,277ha がラムサール条約に登録され
ております。厚岸町の基幹産業である漁業を支え、厚岸の豊かな生態系を形作る要となっているなど、隣接する厚
岸湖と共に別寒辺牛湿原は厚岸町民にとってかけがえのないものとなっています。
厚岸町民の森造成実行委員会では、湿原の与えてくれる恩恵を維持し、厚岸を産業と自然の共生する豊かな町
にするため、湿原の上流河川となる別寒辺牛川や大別川流域に河畔林を造成しています。
河畔林の造成により厚岸湖・別寒辺牛湿原に与える効果として、河畔林の持つ窒素、リンのろ過、吸収能力を活
用した水質の浄化による湿原の環境保全や、土砂崩壊による濁水や泥土の湿原への流入防止、落ち葉など水生
生物の餌となる有機物の供給による湿原の生物環境の維持・改善が期待されます。
平成 12 年度の参加者 256 人からスタートした「厚岸町民の森植樹祭」は、今年で 14 年目となり、今年度は晴
天にも恵まれ厚岸町・標茶町からのべ 600 名が参加し、参加者も 4 年連続で 600 名を超え、道内でも屈指の植
樹祭となりました。
同植樹祭のきっかけは古く、今から 26 年前の昭和 63 年に北海道漁業女性部連絡協議会が中心となり、全国に
先駆けて豊かな森を作ろうと植樹活動が行われました。これが漁業者の組織的な植樹活動の始まりといわれてお
り、厚岸漁業協同組合女性部もこの年、2,000 本のアカエゾマツを植樹しました。
漁業者による植樹活動は、漁業者自身の漁場を守る運動ではありますが、同時にこの活動は河川流域や沿岸域
の侵食防止、河川環境や海域環境の改善を通じた生活環境の向上、生物多様性の確保など、多くのメリットをもた
らしています。また、漁業者の植樹活動は地域の人々を啓発し、海の環境保全のためには森が重要であることを認
識させ、地域ぐるみの植樹活動へ発展するきっかけとなりました。
平成 26 年度 アサヒスーパードライ寄付記念助成金 ラムサール条約登録湿地保全事業活動レポート
このようなことから町は、厚岸の豊かな海と水辺を守ろうと、ラムサール条約に登録された厚岸湖・別寒辺牛川上
流の保全林を買い取り、糸魚沢の町有地に平成 21 年度までの 10 年間で約 10ha の「町民の森」を造成し、平成
22 年度は町制施行 110 周年記念植樹祭として、造成地とは別に片無去地区に広葉樹 4500 本とサクラの苗木
55 本を植えました。 平成 23 年度からは植樹の舞台を太田北の新たな町有地に移し、5~6 年をかけて約 7ha
の森を造成する計画を立てました。
今年度はアサヒスーパードライ寄付記念助成金を受け、植樹祭に必要な鍬等を揃え万全な体制で植樹祭当日に
臨み、子供からお年寄りまでいる参加者らは鍬やスコップを手に印が付いた場所を掘り起こし、丁寧に苗を植え 1 時
間程で植樹は終了しました。また、汗を流した参加者には、植樹終了後に緑豊かな森林の下流域の漁場で獲れた
アサリ、カキを使ったアサリ汁、カキフライやおにぎり等の昼食が振る舞われました。
なお、「平成 26 年度厚岸町民の森植樹祭」事業の実績としてアオダモ、ミズナラ、ヤチダモなどを 2,250 本の植
樹を行い、町民の森植樹祭が次世代に語り継がれるようエゾヤマザクラの記念植樹も行われ、今年度も 1ha の植
樹を行うことができました。
平成 26 年度 アサヒスーパードライ寄付記念助成金 ラムサール条約登録湿地保全事業活動レポート
今後も厚岸湖とラムサール条約に登録された別寒辺牛湿原の自然環境・生態系を守るべく植樹活動を続け、事業
を通じて参加者に湿原の保護や河畔林の重要性についてパンフレット等も用いて周知活動していきたいと考えてい
ます。