1.3 LSIと産業 LSI産業の変遷 1 LSI技術によるシステムの進化 年 集積度 1945 1970 Tr. IC 1980 LSI 1990 VLSI 2000 ULSI 2010 統合化 スパコン 大型コンピュータ コンピュータ ワークステーション PC, ノートPC, モバイルPC インターネット高速ネットワーク 電話 通信・ネットワーク 家電 ラジオ・TV ディジタル通信 携帯電話 光通信 B-ISDN・ATM オーディオ・ビデオ DVD・ディジタルTV ゲームマシン その他 ネットワーク コンピュータ ユビキタス システム ディジタルマ ルチメディア 知能ロボット 制御・ロボット 2 社会基盤としての半導体技術 インターネット ゲーム 通信 サービスプロバイダ 放送 コンテンツ 50000 自動車交通 産業機器 防衛 化学 医療 宇宙 電力 日本の半導体応用分野の市 場はGDPの約40% 日本の半導体生産額はGDP の1%に過ぎない 電子産業 13000 製造装置 590 単位:億$(世界) 半導体 2560 材料 410 F. Huang, Green IT international symposium ICハンドブック, JEITA, 2009. 3 LSI産業の特殊性 • 資源・エネルギーの消費を増やさずに成長 – 機能単価の低減(メモリのビット単価、プロセッサのCPR) – コストと性能の両立による持続的成長(半導体+情報産業特有の現 象) • 市場の持続的拡大 – – – – システムの高機能化による新しい応用分野の発生 モバイル化・ウエアラブル化・インプランタブル化の進展 動作速度の増加による高速処理・高速通信化 トランジスタ当たりの消費電力低減による機能当たりの省エネルギー 化 • 世界同時の技術世代交代 – 技術進歩の予想ができる – 技術進歩が経済変動を引き起こす 4.8mm角高解像度ディジタル マイクロディスプレイ(金沢大) 4 過去のシリコンサイクル(主にメモリ) 設備投資-供給-需要のタイムラグにより発生 3.5 60 2.5 2 30 1.5 1 0.5 0 投資弾性値 対前年度成長率 [%] 3 0 -0.5 -30 1977 -1 1980 1983 1986 1989 1992 1995 1998 時期 [年] ・ 3~4年周期の景気変動 ・ 巨視的な漸減傾向(投資額の巨大化) 投資弾性値=設備投資/売上高増加 (国内大手10社データ) 5 半導体市場全体の成長率 Market Size (US. billion $) 1000 100 10 7%/year 微細加工による LSIの高性能化の 時代 14%/year 本当に持 続可能? 1 0.1 1960 1970 1980 1990 Year 2000 2010 データ:日経エレクトロニクス 6 主要産業の成長率の比較(国内) 800 700 600 JEITA 経産省データ 半導体 成長率 (%) 500 400 300 200 電子工業 GNP 100 0 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 1980年を100とした成長率 日本電子産業全体 生産規模 に対して半導体は 20%程度 GDPに対して約1% 1970~2008年(生 産額) 平均成長率8% 自動車産業 化学工業 食料品 鉄鋼業 繊維工業 7 地域別半導体マーケット 欧州 米国 A/P 日本 市場 [100万US$] 250000 200000 150000 100000 50000 0 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 時期 [年] データ: World Semiconductor Trade Statistics アジア/パシフィックの 成長が大きい。 8 体 品 1995 業全 食 産 鉄鋼 維 繊 動車 自 化学 械 体 2001 1999 1997 気機 電 研究開発費 半導体平均 ~15% ファブレス ~16~36% 全製造業平均 ~3% 設備投資 半導体平均 ~20% 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 半導 技術革新を続けな いと競争力を維持 できない。他産業 に比べて研究開 発費が突出 売上高比率 (%) 設備投資・研究開発費比率 総務省データ (国内) 9 設備投資と研究開発費 設備投資と研究開発費の合計は、売上高の35%にもなる! 12000 設備投資・研究開発費 (億円) 国内12社の調査 設備投資額 10000 研究開発費 8000 6000 4000 2000 0 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 経産省データ 10 半導体産業の多様化 1990年代 垂直統合体制 LSI設計 コア開発 A B C D 社 社 社 社 生産・前工程 水平分業体制 ファブレス メーカ W社 IPプロバイダ X社 ファンダリ Y社 アセンブリハウス テストハウス サブコン 生産・後工程 Qualcomm, NVIDIAなど ARM, MIPS, Rambusなど TSMC, UMC など Amkor Tech. など Z社 一貫メーカ ファブレスメーカ IPプロバイダ ファンダリ サブコン テストハウス 大学 開発設計 ○ ○ ○ × × × ○ 前工程 ○ × × ○ × × × 後工程 ○ × × △ ○ × × テスト工程 ○ × × ○ ○ 自社内消費 ○ × × × × × ○ 社外向け販売 ○ ○ ○ ○ ○ ○ × 自社ブランド販売 ○ ○ × △ △ × × (注) 半導体分野では、IP(Intellectual Property)は設計データなどの設計資産を指す(知的財産 権と混同しないように) 11 垂直統合と水平分業の比較 • 垂直統合(IDM Integrated Device Manufacture) の利点 – – – – 販売・マーケティング部門を持つ 品質保証が可能 応用製品と市場動向の把握が容易 技術の総合化が可能 • 水平分業の利点 – 設備投資の負荷が小さい(ファブレス) • ベンチャー企業が強みを発揮 – 低コストで生産が可能(ファンダリ) – 経営資源の集中が容易 12 (参考)IPコア 設計データを再利用して設計生産性を高める シリコン・チップ CPUコア メモリ DSPコア ソフトウエア ファームウエア ハードウエアIP ・プロセッサとメモリアーキテクチャ ・ディジタル・データ信号処理 ・アナログ信号処理 ・アナログ・ディジタル変換 アナログ回路 アナログ・ディ ジタル変換器 カスタム ロジック システムLSIの構成 ソフトウエアIP ・アプリケーションソフトウエア ・ミドルウエア、ファームウエア ・柔軟性向上 ・標準インターフェース 汎用性のある設計データ プロセッサや各種周辺回路はIPを利用 13 開発・設備投資の巨大化と企業の再編 • 技術開発リソースへの投資規模の巨大化 (2000~3000億円超/製造ライン)とビジネス形態 の多様化へのメーカの対処 • • • • 選択・集中 企業間事業統合/分社化 メーカ間提携/共同開発/産学官連携 コンソーシアムによる開発 14 経済合理性による微細化の限界 微細化によるコス ト削減と性能向上 バランスするときムーアの法 則が成立しなくなる 製造技術開発コ ストの増加(時代 とともに増大) 15 半導体メーカの設備投資額とLSI開 発コストの上昇 データ:電子情報通信学会集積回路研究専門委員会 32nm 45nm 65nm 1 2005 2010 2015 Year 2020 Variety of products 22nm 10 16nm 100 104 90nm 65nm 45nm 32nm 130nm 1000 10 180nm 250nm 100 10 2000 2004 2008 2012 1 2016 Year 微細化が進むと設備投資とLSI開発コスト(1品種当たり)が増加して、 適用可能なアプリケーションが限定されることも問題 16 開発コスト [億円] Fab cost [B$] 105 微細化に頼らない開発 製造技術を固定化 試作・製造費の低価格化 アプリケーションの拡大 試作費 トランジスタ単価 面積単価 17 ポストムーアの開発スタイル? 成果重視 課題重視 ビジネスモデル の転換も必要 たくさん売れるこ とより話題性 性能の追求 趣味・遊びOK 技術開発力でグローバル な競争に打ち勝つ アイデアをとりあえず 特許にしておく 一流国際会議で発表 一般向けにネットや展 示会でデモ 売れそうなものを作る 当面儲からずとも役立 つならやってみる 広く興味を集め られる アートとこだわ りで魅せる 多数派の評価は 気にしない 18 MeRL @ Kanazawa University (再掲)LSI設計技術者の時代変化 1971以降 回路の専門家 1900年代 2010年代 半導体メーカで汎用部 システム・アーキテクト 品を設計するエンジニ 半導体メーカでスマー ソリューションデザイ ア トフォンや動画圧縮な ナー??? どのシステムLSIを開 アプリケーションに合 発するエンジニア わせて必要な機能をL SI化する(外注を含む) 一般の半導体ユーザ 専門外での幅広い視野が要求されている 技術開発から課題解決へのシフト 19
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