舌形動物および舌虫症に関する最近の知見

J. Rakuno Gakuen Univ., 40 (1) :11∼16 (2015)
舌形動物および舌虫症に関する最近の知見
特に酪農学園大学野生動物医学センター WAMC で扱われた事例を中心に
高 木 佑 基 ・浅 川 満
彦
An Overview of Pentastomids (Pentastomida:Crustacea)and Pentastomiasis
with Special Reference to the Related Case Reports
from Wild Animal Medical Center (WAMC), Rakuno Gakuen University
Youki TAKAKI and Mitsuhiko ASAKAWA
(Accepted 3 August 2015)
序
舌形動物(以下,舌虫類と称す)は甲 類に属し
物のうちでも,特に,体節性が明瞭で頭部と胴部が
かれる。さらに,二次体腔を有し,表皮がキチン
質で覆われ,脱皮をして成長する。このことから真
(後述),ヒト,飼育および野生動物の舌虫症
(Pentas-
節足動物などとの類縁性も古くから指摘されてい
,この
tomiasis)の病原体であるため(Poore,2012)
病原体あるいは疾病は医学,獣医学および保全生態
た。たとえば,ダニ含む蜘蛛類,多足類,甲 類,
学の学際で One Health を対象にする保全医学のモ
などである。もっとも,それら論拠は二,三の形態
デル研究とも見なされている。しかし,舌虫類が体
構造の類似性によってのみで関連付けられていたの
内に寄生をしていても,侵襲性がそれほど強力では
で,当初から無理があったかも知れない。
なく,多くが無症状で経過する場合が多く,あまり
しかし,近年,18SrRNA の 子系統解析によっ
て,舌虫類は甲 類の鰓尾類(あるいはチョウ類と
注目はされていない。しかし,ごく一部,重症化し
その他節足動物,あるいは多毛類のような環形動物
た事例もあるので(Ye et al.,2013)
,やはり最低限
の啓発が必要であると えられ,今回,最近の知見
称され,魚病の重要な病原体としても知られる)と
をとりまとめた。特に,年々高まる爬虫類ブームを
較形態学の
受け,飼育に関係される方々にはくれぐれも注意し
が行われ,たとえば精子の微細構造の類似性が示さ
て頂きたいと念じている。なお,国内事例において
れた。そのため,舌虫類の 類的な位置づけは,節
は,舌虫類の動向を身近に感じて頂くため,本学野
足動物門甲
生動物医学センター(Wild Animal Medical Cenにおいて疫学調査あるいは鑑定
ter,以下,WAM C)
に 類されることもある。
依頼のあった事例も 括した。
舌虫類の形態と大 類
近縁であることが示された。これに刺激を受け,比
野でも両動物グループを対象に見直し
亜門顎脚綱(内田,1967)の舌形亜綱
舌虫類に所属する目・科・属
舌虫類,すなわち舌形亜綱の下位
類としてケ
舌虫類は節足動物門に属し,有爪動物や緩歩動物
ファロバエナ目(Cephalobaenida)とポロケファル
ス目(Porocephalida)が配される。まず,ケファロ
と同様に側節足動物(Pararthropoda)に包含されて
バエナ目の特徴としては鉤爪に鞍部(fulcrum)がな
きた(内田,1967)
。ただし,今日の 類体系では,
いこと,腹髄が4神経節からなること,雌雄ともに
側節足動物とは,単に典型的な節足動物である真節
生殖孔が胴部の前縁に開口すること,生活 におい
足動物(Euarthropoda)と区別するための呼称に過
て中間宿主を必要としない種も含まれることが挙げ
ぎず,かつ,この有爪動物と緩歩動物あるいは舌形
られる。そような性質を有する Cephalobaenidae
動物につての系統関係が明白ではないことから,あ
科,Raillietiellidae 科および Reighardiidae 科の種
群がこの目に配されている。これらの科の代表的な
くまでも
宜的なものであることをお断りしてお
く。さて,舌虫類の形態的な特徴として,側節足動
属としては,たとえば,Cephalobaenidae 科の Ce-
酪農学園大学獣医学群獣医学類感染・病理学 野獣医寄生虫病学ユニット
School of Veterinary M edicine, Rakuno Gakuen University, Ebetsu, Hokkaido 069 -8501, Japan
12
高 木
佑 基・浅 川 満 彦
phalobaena 属,Raillietiellidae 科の Raillietiella 属
と Yelirella 属,Reighardiidae 科 の Reighardia 属
基盤となった文部科学省私立大学戦略拠点基盤形成
が知られる(Poore, 2012)
。
また,ポロケファルス目の特徴は鉤爪に鞍部があ
ものであった。
ること,腹神経節と脳神経節とが合して1個の神経
は,北海道大学の初代・獣医寄生虫学教室の主任で
塊となること,雄の生殖孔が胴部の始部に開口する
あった山下次郎教授が,札幌市円山動物園で飼育さ
のに対し雌の生殖孔は体の後端に開口することが挙
れていたマレーニシキヘビの肺から〝Armillifer
げられる。この目は Linguatuloidea 上科と Poroce-
moniliformis var. heymonsi" の成虫を発見した古
典的な研究が特筆されるが(山下・中俣,1953),こ
phaloidea 上科に けられ,Linguatuloidea 上科に
は Linguatuloidae 科が,Porocephaloidea 上科には
Armilliferidae 科 と Porocephaloidae 科, Sambonidae 科,Sebekidae 科,Subtriquetridae 科が 類
事業研究の一環でなされた疫学調査により判明した
ポロケファルス目の日本国内での検出例として
の変種 var の扱いは今日の
類法に照らせば論議
が残るものであろう。これに引き続くような形で周
される。さらに Linguatuloidae 科には Linguatula
辺諸国での報告があり,Kiricephalus pattoni と Armillifer agkistrodontis が台湾産ヘビ類から,また,
属が,Armilliferidae 科には Armillifer 属が,Porocephaloidae 科には Cayerina 属と Cuberia 属,Gig-
Waddycephalus sp.が韓国ソウルで飼育されていた
ラットスネーク Elaphe radiate からそれぞれ見つ
liolella 属,Kiricephalus 属,Porocephalus 属 が,
Sambonidae 科 に は Elenia 属 と Parasambonia 属,
かった(Hugh et al., 1969 )
。以降は,いずれも
WAMC での事例で Armillifer sp.の被嚢幼虫が都
Sambonia 属,Waddycephalus 属が,Sebekidae 科に
は Agema 属 と Alofia 属,Diesingia 属,Leiperia
内の愛玩用ポト Perodicticus potto および沖縄県の
動物園飼育ヒグマから(横山ら,2003;上田ら,
属,Pelonia 属,Sebekia 属,Selfia 属 が, Subtri-
2009)
,Porocephalus 属被嚢幼虫がベトナム産カニ
quetridae 科には Subtriquetra 属が含まれる(Poore
。
2012)
クイザル Macaca fascicularis から(浅川,2010)な
どであった。以上,被嚢幼虫が見つかった場所は腸
国内および周辺諸国における動物からの検出事例
本項では舌虫類両目に所属する種の日本および周
間膜が中心的であったが,ヒグマの事例ではこれ以
外に内臓・消化管漿膜面全域に認められた。これ以
辺での検出事例を紹介する。特に,WAMC での事例
外に,
〝Elinia sp.成虫" がヘリトリホソユビヤモリ
Cyrtobactylus irianjayaensis の肺から得られたとす
は後段でもより詳細に触れるが,まず,ケファロバ
る報告もなされたが
(岩尾ら,2012),今回,再検討
エナ目例では爬虫類の肺内腔に寄生する Raillietiel-
の結果,前述したケファロバエナ目 Raillietiella 属
la 属が特筆され,R.orientalis がヘビ類から検出さ
れた報告がある(Keegan et al 1969 )
。この論文で
のある種の誤りであると えられた
(高木,
未発表)
。
は宿主原産地としてマレーシア,タイ,朝鮮半島な
ヒトにおける舌虫症
どが中心であったが,中には奄美大島原産のものも
ヒトの舌虫症は日本を除く世界各地で確認されて
含まれていた。最近では,R.affinis が天王寺動物園
いる。しかし,最近,隣国,中国での症例報告が多
で飼育されていたトッケイヤモリ Gekko gecko か
ら
( 尾ら,2011),また,この属の他種と えられ
数ある点を鑑みると,日本としても楽観してばかり
るものが北日本の某動物園で飼育されていた爬虫類
hemidactyli,Linguatula serrata,Armillifer armillatus, A. moniliformis, A. grandis, A. agkis-
からも見つかった
(高木・浅川,投稿中)
。Reighardia
属は幼虫が魚類,成虫がカモメやウミツバメ,アジ
サシの肺や気嚢内に寄生する舌虫で(Asakawa et
,R.sternae がい
al., 2002;Ushiyama et al., 2013)
ずれも北海道の海鳥類で見出されている(宿主種は
は い ら れ な い で あ ろ う。こ れ ま で Raillietitella
trodentis,Porocephalus cortali,P. taiwana,P.
armilliferiasis お よ び Leiperia cincinnalis の 5 属
10種が人獣共通寄生虫症の原因舌虫類として知ら
オオセグロカモメ Larus schistisagus,ミツユビカモ
れている(M orsy et al., 1999; Yao et al., 2008;
。中でも A. armillatus と L.
Zhang et al., 2012)
メ Rissa tridactyla,エトロフウミ ス ズ メ Aethia
cristatella:Ooi・大林,1983;Nakamura et al.,
serrata が重要な病因舌虫と目される(Zhang et al.,
。しかし,前述のように多くはヒトでは無症状
2012)
2003;吉野智生,未報告)。なお,高木・浅川(投稿
中)は WAMC に鑑定依頼のあったものであるし,
で経過するが(Ye et al., 2013)が,一部の症例で
は重症化をしたという報告もあるので,参 にその
Nakamura et al.(2003)のものは WAM C の設立
いくつかを紹介する。
舌形動物および舌虫症に関する最近の知見
13
舌形症はヒトでの舌虫類の寄生部位,臨床症状お
類)であり,これを蠕虫類として扱うことに強い抵
よび病理特性で大きく鼻咽頭型(nasopharyngeal
type)と内蔵型(visceral type)に けられる。鼻
抗を示す研究者も少なく無い。また,CABI で発行さ
咽頭型は,たとえば,最近では中国の 45歳男性で確
Abstract でも舌虫類は収録対象とされてはいない
ことから,舌虫類は,蠕虫類ではないとしての認識
認されており,咽頭痛および虫体の鼻孔からの排出
れ て い る 蠕 虫 学 の 二 次 資 料 Helminthological
が確認され,咽頭に Linguatula serrata の寄生が確
認された(Chen,2003)
。咽頭型はヒトが感染幼虫を
が適切であろう。しかし,そもそも 蠕虫 という
経口的に摂取し,ヒトが終宿主となる事例だが,あ
くまでも偶発的なものである(本来の終宿主はイヌ
う。著者らのうち,浅川は 設以来,WAM C の運営
を担ってきた経験からするに,相談者の多くが舌虫
科動物)
(Yao et al., 2008)
。
類についての正しい知識・適切な認識はほぼ皆無で
区 け自体,実用的であることを鑑みる必要もあろ
内蔵型は,
これも中国の 13歳男性で確認されてお
あった。つまり,舌虫類が蠕虫なのかどうか以前の
り,約5ケ月間の発熱と腹痛を主症状とし,肝臓お
状態なのである。彼らにとって重要なのは,舌虫類
よび腹膜で Armillifer moniliformis の被嚢幼虫が
確認された(Pan et al., 2005)
。このほか,中国で
の生物・医学的な問題であり,WAM C はそれに応
え,かつ,啓発を行うことが 命である。なぜなら
は複数の症例報告が知られている。
カナダの 28歳男
ば,最近の事例報告の大部 が WAM C からのもの
で占められていたように( 国内動物からの検出事
性では,その肝臓,腹膜,胸膜,肺などに Armillifer
armillatus の被嚢幼虫寄生が確認された(Guardia
。内蔵型は虫卵を摂取することにより感
et al.,1991)
例 の項で前述)
,WAMC がこの疾病の動向をモニ
染し,
ヒトが中間宿主の位置になった事例であった。
虫卵は終宿主の糞 や呼吸器からの 泌物により汚
しかしながら,これは何も WAMC が舌虫類を標
的にした研究を展開したのでは無く,広範囲かつ無
染された土壌,野菜,水などを介し,ヒトに感染す
作為に展開された蠕虫症の診断・疫学の調査の中で
る。このほか,爬虫類のハンドリング時に感染が生
遭遇したに過ぎない。それでも,その過程をを知る
じる可能性も高いであろう。内蔵型の症状としては
ことは,舌虫症への有効な啓発や防疫上の示唆を与
発熱や腹部症状(腹痛,下痢,腹部鼓脹)が一般的
えるかも知れない。そこで,WAMC で経験された事
であるが,発咳や胸部疼痛,肝臓・脾臓の腫大,
例を時系列的に回顧,供覧したい。
タリングする上で,重要な立場にあるからである。
血なども伴う。
以上の臨床症状は特異的なものではないので,ヒ
救護海鳥類:1995年 11月,北海道落部町にてミツ
トの舌虫症の診断をこれだけに依拠することは出来
ユビカモメが救護され,ウトナイ野生動物保護セン
ない。特に,虫垂炎や劇症型ウイルス性心筋炎など
ターに収容された。その後,斃死し死体は冷凍され
との類症鑑別はほぼ不可能である。
中国では 1927年
た。当時,著者の一人,浅川は野生動物医学教育の
から 2005年の 18例の診断は,すべてX線,CT,超
立ち上げのため,教材となる野生鳥類の収集を行っ
音波などの画像診断が実施された賜物であると報告
ていた。この頃はまだ,野生動物医学は野生動物救
されている(M in et al., 2008)
。
ヒトの舌虫症治療法としては確立されたものはな
護活動と同一視される認識も強く,この活動の対象
いが,動物ではイベルメクチンが一定の効果を示し
モメの死体は,当時,大学院生・中村 茂氏が解剖
たという報告もある(Flach et al.,2000)。また,プ
ラジクァンテルとメベンダゾールもある程度の効果
し,胸腹腔内の気嚢と推定される部位から体長 15
が示唆されたというが(Zhang et al., 1996;Morsy
,根本的なものでは無く,難治性疾患で
et al.,1999 )
あることにかわりは無い。
WAMC での舌虫検出事例
は野生鳥類が主要なものであった。このミツユビカ
mm ほどの 蠕虫 を採集した。形態から舌虫類の
未成熟成虫とされ,頭部前端が鈍で,鉤が極めて小
さく(0.1mm 程度)
,尾部突起を欠くなどの特徴と
宿主・地理的 布域から Reighardia sternae と同定
された(Nakamura et al., 2003)
。後に,やはり大
学院生となった吉野智生氏(現・釧路動物園)が同
2004年に酪農学園大学に WAM C が設置され,か
つ WAMC が日本野生動物医学会の寄生蠕虫症セ
種をエトロフウミスズメからも見出している。が,
ンターとしての指定を受けたため,関連の相談を受
また,海鳥類における寄生率はそれほど高くはない
けるようになった。もちろん,舌虫外観は一般蠕虫
ようで,WAM C で剖検された数千を超える鳥類標
本群(浅川・中村,2002;浅川ら,2006b;平山ら,
類の体を成すものの, 類学的には節足動物(甲
これらは典型的舌虫症とは見なし難い種であった。
高 木
14
佑 基・浅 川 満 彦
2014;吉野ら,2008,2010)で舌虫類が得られたの
の特徴から,得られた舌形動物は Porocephalus 属と
はこれらだけであった。
判断された。
愛玩用爬虫類:前述した野生動物医学教育では,い
動物園展示用クマ類:2003年 10月,沖縄県内の動
わゆるエキゾチック・ペットと称される動物の生物
学・医学も必要であると感じ,鳥類医学と並行して,
物園でヒグマ Ursus arctos yesoensis メス・成獣が
斃死したため,現地で解剖に供された。解剖に際し,
爬虫類死体も取集してきた。基本的にこの収集は今
腸管膜や大網,子宮広間膜中,また腎臓,胃,肝臓,
日まで続き,多くの爬虫類を解剖した(浅川ら,
膵臓,脾臓表面に多数の舌形動物の被嚢幼虫が検出
2006a;高木ら,2014)
。その中で,江別市内の動物
された(図 4-A)ため,WAMC において 類学的検
商で販売されていたが,同店で斃死したヘリトリホ
討を行った。標本は 70%エタノール溶液で固定した
ソユビヤ モ リ Crytodactylus irianjayaensis 1 個 体
のみから舌虫類が見出された
(岩尾ら,2012)
。ほか
のち,ラクトフェノール液で透徹し,光学顕微鏡下
のトカゲ類からも,また,同じ時期に調べたヘビ類
保管されている。ヒグマの剖検時,各臓器表面等か
からも舌虫類は未検出であった
(水尾ら,2012)
。な
ら検出された舌形動物はほぼ形態的に 一であり,
お,前述したように,岩尾ら(2012)の種は,今回,
その形態学的特徴は以下の通りであった。頭部前端
Raillietiella sp.として訂正された(前述)。
は鈍尖で,四つの鉤爪は頭部にほぼ横一列に位置し
で形態学的に種同定を行った。本虫体は WAM C に
ていた
(図 4-B)
。以上の特徴から,得られた舌形動
愛玩用サル類:ペット用あるいは展示動物用に輸入
物は Armillifer 属と判断された(上田ら,2009)
。
され,東京都内の動物商やペットショップで斃死し
たサル類,5科 22種 96頭を調査した際,横山ら,
動物園展示用尾爬虫類:この事例は高木・浅川(投
2003;ポト Perodicticus potto1頭の腸管膜中から
舌形動物の被嚢幼虫が検出されたため,WAM C に
稿中)に記されたので,ここでは省略する。
おいて 類学的検討を行った。標本は 70%エタノー
謝
辞
ル溶液で固定したのち,ラクトフェノール液で透徹
本 説は文科省科研費基盤研究C
(26460513) 動
し,光学顕微鏡下で形態学的に種同定を行った。本
物園水族館動物に密かに蔓 する多様な寄生虫病の
虫体は WAMC に保管されている。ポトの剖検時,
現状把握とその保全医学的対応 および文科省私立
腸管膜中から検出された舌形動物はほぼ形態的に
大学戦略拠点事業(酪農学園大学大学院 2013年∼
一であり,その形態学的特徴は以下の通りであった。
2017年)の一環でなされた。
頭部前端は鈍尖で,四つの鉤爪は頭部にほぼ横一列
に位置していた。以上の特徴から,得られた舌形動
物は Armillifer 属と判断された。
引用文献
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(第1報)
.酪農学園大学紀要,自然科
されたため,WAM C において 類学的検討を行っ
た。標本は 70%エタノール溶液で固定したのち,ラ
浅川満彦・中村 茂.2002.酪農学園大学獣医学部
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(第3報).酪農学園大学紀要,自然科学編,
dis,A.agkistrodentis,P.cortali,P.taiwana,P.
armilliferiasis,L.cincinnalis の5属 10種が人獣共
33:1-12.
通感染症の原因寄生虫として知られている。このう
Zhang, L.L. and Chen, J.X. 2012. Progress of
ち,我々が国内の野生動物および飼育展示動物から
research on clinical manifestations and diag-
検出したものが Raillietiella 属,Armillifer 属,Por-
nosis of human pentastomiasis. ZhongguoXue-Xi-Chong-Bing-Fang-Zhi-Za-Zhi, 24:222-
ocephalus 属のものであった。Armillifer 属と Porocephalus 属では本報告では被嚢幼虫の報告であっ
227.
たため,虫卵排出による周辺への汚染拡大は えら
Zhang,Q.Y.,Wang,B.F.,Huang,M .H.,Chen,J.H.
れない。一方,爬虫類から検出された Raillietiella 属
and Wang,J.G.1996.Armillifer agkistrodontis
に関しては人獣共通感染症となる種を含んでおり,
disease:report of case.Zhonghua-Nei-Ke-ZaZhi, 35:747-749.
かつ,今回検出されたものは虫体内に虫卵が充満し
要
ていることから,虫卵によるヒトを含めた周囲への
感染の拡大が懸念された。また,今後の持続的な輸
約
入動物に対する検疫,疫学的調査の必要性が示唆さ
以上のように,WAMC で扱う対象動物種の拡が
りとそれぞれの検査数の増加が,様々な舌虫類との
れた。
遭遇機会を高めたのは疑い無いことであろう。
現在,
キーワード:舌虫類,寄生虫,動物園
Raillietitella 属,Linguatula 属, Armillifer 属,
Abstract
An overview of taxonomy and biology of pentastomids (Pentastomida:Crustacea)and pentastomiasis of
human caused by the agents was given with a check list of the pentastomid species. And,the related case
reports, including captive reptiles and mammals, free-ranging sea birds, wild simian species for using
experiments or pets monkey imported from foreign countries etc, from Wild Animal M edical Center,
Rakuno Gakuen University,Japan,were summarized. Pentastomids are one group of the Maxillopoda. 10
species in this genus are known as the Pentastomiasis which is one of the zoonosis in all over the world.
Many cases are the latent infection,but rare cases are thefluminant including the death cases. Therefore,
it is necessary to grasp the infection status of the Pentastomids in each animal species. In the Wild Animal
Medical Center in Rakuno Gakuen Univercity,we have undertook the diagnosis requests of the helminthic
disease from the vets in the aquarium,the zoo,the animal hospital specificallyexamining the exotic animals
until today. In this repot,we introduce the our pentastomids cases,to grasp the part of the infection status
of the Pentastomids in the aminals.
Keywords:Pentastomids, parasites, zoo