金利の落とし穴

平成 21 年 5 月号
リボ払いの金利は 15%程度ですが、毎月の支払い金額が少ないので利用する
消費者が増えている事への警鐘を先月号で行ないましたが、もう少し説明しま
す。
金利 15%でも 50 万円の買い物をして毎月の支払いが 11,895 円、支払い期間
は 5 年というと、そんなに高い感じはしないでしょう。しかし毎月の支払額
11,895 円に支払い回数 60 回を掛けると 713,700 円になります。213,700 円が利
息です。50 万円の買い物をして 213,700 円が利息ですよと言われればリボ払い
を選択するのに躊躇するでしょう。ところが毎月の支払いが 11,895 円なら高い
感じはしないのでついリボ払いを選択してしまいます。1 回の買い物ならこのよ
うに利息の計算ができますが、リボ払いは一定の利用限度額内なら何度でも買
い物を繰り返すことができるので毎月の支払いが恒常化してしまい、消費者も
どれだけ利息を払っているのか、いつまで払わねばならないのか麻痺してしま
います。これがリボ払いの怖さです。
カード会社はリボ払いがお得なような案内を出してきます。それは消費者に
とってお得なのか、カード会社にとってお得なのかを計算してみて下さい。
それでは金利 15%の残債方式と金利 8.6%のアドオン方式はどちらがお得で
しょうか? 金利だけをみるとアドオン方式の方がお得感があります。通常の
利息計算は残債方式といって借入残に利率を掛けて利息を計算しますが、アド
オン方式の場合は最初に利息総額を決めます。上記のケースでは 50 万円に対す
る金利 8.6%は 43,000 円ですが、5 年で支払う為に 5 年分の利息総額(43,000
円×5 年)215,000 円を元本の 500,000 万円に上乗せして合計 715,000 円を 60
回で割ります。従って毎月の支払いは 1 回目が 11,956 円で 2 回目以降が 11,916
円となります。支払い総額は 15%の残債方式では 713,700 円、アドオン方式で
は 715,000 円となります。
預金金利が 1%以下の時代です。要は 50 万円を 1%の金利で 5 年間複利運用
商品に預けても税引き後で約 20,404 円の利息しか受け取れません。ところが上
記のリボ払いだと 213,700 円の利息を払わねばなりません。
金利だけを比較するのではなく、支払い方法(残債方式・アドオン方式、元
金均等返済方式・元利均等返済方式等)も重要になってきます。
表示利率だけでどちらがお得かは選択できませんので支払い総額を計算する
ようにしましょう。自分ではその場で計算できない場合が殆どでしょうから、
販売員さんに聞くか試算表を受け取る事が重要です。
お金に関することは中々人に聞きづらいものですが、公的機関(各県の金融広
報委員会等)では無料で出前講座をやっている所もあります。事前に勉強して
おくことが重要でしょう。
有限会社矢野事務所
CFPⓇ
CFPⓇ 矢野 英昭