IEEE1394 接続によるデジタル放送録画,再生システムの開発

特集
情報処理
IEEE1394 接続によるデジタル放送録画,再生システムの開発
Development of digital broadcast recording and playing system via IEEE1394
對 馬 均,古 田 裕 貴,熊 谷 嘉 博
Hitoshi
Tsushima, Hirotaka
Furuta, Yoshihiro Kumagai
福 田 美 沙 子,大 石 享 子,笹 谷 信 哉
Misako
Fukuta ,
Kyoko
Oishi,
Shinya
Sasatani
渡 辺 勇 人,河 原 鉄 晶,佐 野 勝 也
Hayato W atanabe,
要
旨
Tetsuaki Kawahara,
Masaya
Sano
本稿では,HDD 搭載 DVD レコーダー「DVR-920H-S」および「DVR-720H-S」に搭
載されたデジタル放送録画,再生機能についてその概要を解説する。これらのレコー
ダーは当社製プラズマディスプレイと I E E E 1 3 9 4 によって接続することでデジタル放送
の録画,再生機能を実現しており,「 D V R - 9 2 0 H - S 」 は 4 0 0 G B H D D に最長約 3 6 時間のデジ
タルハイビジョン放送の録画を実現した。また,録画されたタイトルの情報を B M L ス
クリプトによって記述し,プラズマディスプレイへ送出することによりタイトルリス
トの表示を行う機能についても実現した。
Summary
This document describes features of digital broadcast recording and playback imple-
mented on the DVD recorders "DVR-920H-S" and "DVR-720H-S". These recorders can record digital
broadcast signals and play the recorded signal by connecting Pioneer's plasma display system via
IEEE1394, and the "DVR-920H-S" can record digital high vision broadcast signal of about 36 hours to
the built in 400Gbyte HDD. It also realizes to display a title list on the plasma display by creating and
outputting BML script that describes the information about recorded titles.
キーワード :
D V D レコーダー,デジタル放送,H D D ,M P E G 2 - トランスポート・
ストリーム,I E E E 1 3 9 4
1. まえがき
載されたデジタル放送録画,再生機能の概要を
当社は 2 0 0 4 年 1 0 月に I E E E 1 3 9 4 接続による
紹介する。
デジタルハイビジョン放送が録画可能な D V D レ
コーダー( 以下レコーダー) 「 D V R - 9 2 0 H - S 」 ( 以下
2. デ ジ タ ル 放 送 録 画 , 再 生 機 能 の 概 要
920H)および「DVR-720H-S」(以下 720H)を商品化
9 2 0 H および 7 2 0 H に搭載されたデジタル放送
し発売した。本稿ではこれらのレコーダーに搭
録画機能は,これらのレコーダーを当社製プラ
- 23 -
PIONEER R&D Vol.15 No.1
ズマディスプレイのメディア・ レシーバーと
・ C M スキップおよび C M バック機能
I E E E 1 3 9 4 で接続することによって,レコー
・ B M L を用いたタイトルリスト表示
ダー内部のハードディスク・ ドライブ( 以下
また,9 2 0 H および 7 2 0 H のデジタル放送の最
H D D ) へデジタル放送を伝送する M P E G - 2 トラン
大録画可能時間を表 1 に示す。
スポート・ ストリーム( 以下 T S ) を録画する機能
である。再生機能はレコーダー内の H D D に録画
3. システム構成
された T S を I E E E 1 3 9 4 経由でメディア・ レシー
デジタル放送録画,再生機能のシステム・ ブ
バーへ出力することによって再生する機能であ
ロックを図 1 に示す。
デジタル放送録画,再生システムは,
る。また,レコーダーに録画されたデジタル放
送の情報をデータ放送の記述言語である Broad-
I E E E 1 3 9 4 上を伝送される信号を処理する 1 3 9 4
cast Markup Language(以下 BML)で記述し,TS
ブロック,T S の転送単位である T S パケットを
化して I E E E 1 3 9 4 経由でメディア・ レシーバーへ
処理する TS Processor ブロック,TS Proces-
出力することによって録画されたタイトルのリ
s o r の入出力データの H D D への書き込み / 読み
ストをメディア・ レシーバーで再生,表示する
出し制御を行う M a i n P r o c e s s o r ブロックから
ことも可能である。
構成される。
3.1
以下に 9 2 0 H および 7 2 0 H に搭載されたデジタ
録画システム
I E E E 1 3 9 4 経由でメディア・ レシーバーから送
ル放送の録画機能および再生機能を示す。
・ 大容量 H D D 搭載による長時間録画
られてきたデータは 1 3 9 4 ブロックに入力され,
・ 番組情報検出による自動タイトル分割
I E E E 1 3 9 4 伝送のために付加された情報を取り
・ タイトルスキップ機能
除いた T S パケットが抽出される。この T S パ
・ 前後 4 段階のスキャン再生機能
ケットはメディア・ レシーバーによって付加さ
表 1
最大録画可能時間
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Main Processor
TS Processor
(M65673WG)
(PE5445A)
PRISM+
TOSUPO
1394Link
SDRAM
Stream Buffer
HDD
図 1
PIONEER R&D Vol.15 No.1
システム・ブロック
- 24 -
1394Phy.
1394 (TS)
れたタイムスタンプを基に時間再生が行われて
本 L S I の主な機能は,
から T S P r o c e s s o r に入力される。
・ T S パケットの P T パック変換機能
TS Processor は TS パケットに制御情報を付
・ T S に含まれる P S I / S I : P r o g r a m S p e c i f i c
加して H D D への録画フォーマットである P T
Information/Service Information 情報の
パック形式のデータへ変換した後,D M A を用い
取得および解析機能
て M a i n P r o c e s s o r へ転送する。
・ T S に含まれるビデオ E S の解析機能
Main Processor へ DMA 転送された PT パック
・ P T パック内の T S パケットの抽出機能
は一旦 SDRAM(Stream buffer)に蓄えられてか
・ ビデオ E S の変更機能
ら再生を行うための管理情報と共に H D D に書き
・ 任意の T S パケットの送出機能
込まれる。H D D に書き込まれた P T パックおよび
・ P C R を含む T S パケットの送出機能
その管理情報はタイトルとして管理される。
・ 暗号変換機能
3.2
再生システム
である。
H D D に書き込まれ,タイトルとして管理され
た PT パックは管理情報に従って Main Process o r によって読み出され,S D R A M ( S t e a m
buffer)へ展開される。Stream buffer へ展開
された PT パックは TS Processor へ DMA を用い
て転送される。
TS Processor は PT パックから TS パケット
を抜き出して 1 3 9 4 ブロックへ出力する。1 3 9 4
図 2 T S P r o c e s s o r の外観
ブロックへ渡された T S パケットはタイムスタ
ンプが付加され I E E E 1 3 9 4 経由でメディア・ レ
シーバーに出力され,メディア・ レシーバーに
4.1
よって再生が行われる。
エンコード・ ブロックはデジタル放送の録画
3.3
エンコード・ ブロック
処理を行い,主に 1 3 9 4 L i n k から転送された T S
制御システム
デジタル放送の録画および再生の制御は,
パケットの変換処理を行う。1 3 9 4 L i n k から転
I E E E 1 3 9 4 を介してメディア・ レシーバーおよび
送された T S パケットは複数単位でまとめられ,
レコーダー間で通信される A V / C コマンドに
制御情報が付加されて,P T パックと呼ばれる
よって制御される。従って 1 3 9 4 ブロックは T S
データ構造に変換される。また,P T パックに
パケットの転送制御と同時に A V / C コマンドの
含まれる T S パケットは T S に含まれるコピー制
通信制御も行っている。
御情報に従って暗号処理が施される。エン
コード・ ブロックによって変換された P T パッ
4 . TS Processor
クは M a i n
デジタル放送の録画,再生を行うことを目的
Processor 上の SDRAM に転送される。エンコー
とし,T S P r o c e s s o r として新規 L S I を開発し
ド・ ブロックはデータ変換と同時に T S パケッ
た。本 L S I の外観を図 2 に示す。
トの PID のチェックを行っており,PID が PSI/
P r o c e s s o r の D M A を用いて M a i n
本 L S I は I E E E 1 3 9 4 と M a i n P r o c e s s o r 間の
S I の P I D に一致した場合は T S パケットから
T S パケットの転送処理を行い,録画処理を行
P S I / S I のデータの取得と解析を行い,ビデオ
うエンコード・ ブロックおよび再生処理を行う
E S の P I D に一致した場合はビデオ E S の解析を
デコード・ ブロックによって構成されている。
行う。取得されたデータおよび解析結果は L S I
- 25 -
PIONEER R&D Vol.15 No.1
内部に保持されるので,M a i n P r o c e s s o r はこ
4.3
れらの情報を取得することで P T パックを H D D
本 L S I の入出力データ形式である P T パック
の構造を図 3 に示す。
に書き込む際の管理情報を構築している。
4.2
P T パック
デ コ ー ド・ ブ ロ ッ ク
P T パックは P T パック制御情報および 1 0 個の
デコード・ ブロックはデジタル放送の再生処
T S パケットから構成される。P T パック制御情
理を行い,主に Main Processor から転送される
報はヘッダー情報およびパック情報から構成さ
PT パックの変換処理を行う。Main Processor の
れ,パック情報は P T パック番号および P T パッ
SDRAM から DMA によって転送された PT パックは,
クに収納された T S パケットの情報を収納して
デコード・ ブロックによって制御情報が取り除か
いる。また,各 T S パケットにはそれぞれの T S
れ,TS パケットが抽出される。また TS パケット
パケットの状態を示す制御情報が付加される。
が暗号化されている場合は暗号解除も行われる。
この制御情報は,対応した T S パケットの時刻
デコード・ ブロックによって抽出された T S パ
情報,エラー情報を収納している。また T S パ
ケットは制御情報に従って 1394Link へと転送さ
ケットがビデオ E S を含んでいる場合はその解
れる。特殊再生を行う場合,P T パックから抽出
析結果も制御情報に収納される。
された T S パケットがビデオ E S を含まなければ
そのパケットを破棄し,ビデオ E S であれば一部
5 . ソフトウェア構成
のデータを変更して 1394Link へと転送する。ま
デジタル放送録画,再生システムは複数のソ
た,特殊再生時は Main Processor で構築された
フトウェア・ モジュールから構成されている。
T S パケットおよび P C R を含む T S パケットを
ソフトウェア構成を図 4 に示す。また,データ
1 3 9 4 L i n k へと送出することも可能である。
の流れを図 5 に示す。
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図 3
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P T パックの構造
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TS-HAL
1394 ೙ᓮࡒ࠼࡞࠙ࠚࠕ
TS Processor
PSI/SI
࠼࡜ࠗࡃ
ࡄ࡯ࠨ࡯
ࡂ࡯࠼࠙ࠚࠕ
図 4 ソフトウェア構成
PIONEER R&D Vol.15 No.1
- 26 -
65ࡄࠤ࠶࠻
D[VG
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36,6,ᖱႎ 36,6, %0/ ࠬࠢ࡝ࡊ࠻
ࡄ࡯ࠨ࡯ ࠗࡌࡦ࠻‫࠲࡯࠺ޔ‬
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3URFHVVRU 26 ࡄ࠶ࠢ
26 ࡄ࠶ࠢ
図 5
5.1
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ࠕࡊ࡝ࠤ࡯࡚ࠪࡦ 65
76
データ・フロー
アプリケーション
5.3
TS Processor ドライバ
デジタル放送録画,再生アプリケーション
T S P r o c e s s o r ドライバは録画処理において
はメディア・ レシーバーとレコーダー間で通信
は変換された P T パックの S t r e a m B u f f e r への
される A V / C コマンド,リモコンおよび本体
D M A 転送制御,T S P r o c e s s o r が検出した情報
キー入力の処理を行い,各ミドルウェアに対
の T S - H A L への通知および T S からの P S I / S I 取
して要求を行うことでデジタル放送録画,再
得制御を行う。また,再生処理においては
生機能の制御を行う。また,H D D に録画された
Stream
タイトルのリストを表示するための B M L スク
P r o c e s s o r への D M A 転送制御および特殊再生時
リプトおよびタイトル情報データの生成と T S
の P S I / S I の出力制御を行う。またタイトルリ
化を行う。
スト表示の際は T S 化された B M L スクリプトの
5.2
ミドルウェア
B u f f e r に展開された P T パックの T S
カルーセル伝送制御を行う。
5.4
ミドルウェアはデジタル放送録画,再生ミ
P S I / S I パーサー
ドルウェアおよび 1 3 9 4 ミドルウェアの 2 種類
P S I / S I パーサーはデジタル放送の録画,再
が存在する。前者は T S P r o c e s s o r ドライバと
生を行うために必要な情報を T S 中に含まれる
アプリケーションの間に位置しており,アプ
PSI/SI から取得する。これらの情報は TS Pro-
リケーションからの要求を受けて T S P r o c e s -
cessor によって TS から抜き出された PSI/SI を
s o r ドライバを制御することでデジタル放送の
本モジュールが解析を行うことによって取得さ
録画制御,再生制御およびタイトルリストの
れる。本モジュールが取得する情報を表 2 に示
表示を行う。また T S - H A L を制御することで録
す。またこれらの情報は録画されたタイトルの
画されたタイトルおよびデジタル放送録画領
管理情報として H D D に録画される。
域の制御も行う。後者は I E E E 1 3 9 4 上を伝送さ
5.5
れるデータおよび A V / C コマンドの通信制御を
TS-HAL は録画処理においては Main Proces-
行う。
TS-HAL
s o r 上の S t r e a m b u f f e r へ転送された P T パッ
- 27 -
PIONEER R&D Vol.15 No.1
表 2
P S I / S I から取得する情報
ขᓧᖱႎ
૶↪⋡⊛
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25+5+ߩၮᧄᖱႎ
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クの H D D への書き込み,T S P r o c e s s o r ドライ
分割が発生して録画時間が短いタイトルを発生
バおよび P S I / S I パーサーが取得した情報から
させることになってしまう。これを避けるため
構築された管理情報の H D D への書き込みを行
に以下に述べる方法でタイトル自動分割を行っ
う。これらの P T パックは H D D 上のデジタル放
ている。図 6 に示すように,一回の録画中に番
送録画領域に書き込まれ,管理情報に従ってタ
組情報の変更が発生した場合,番組情報の変化
イトルとして管理される。また,再生処理にお
点間の区間をプログラムとして扱う。このプロ
いてはタイトルとして H D D へ書き込まれた P T
グラムの録画時間が 7 0 秒を超えたものをタイト
パックを管理情報に従って Stream Buffer へ読
ルとして自動分割し,7 0 秒未満のプログラムに
み出す。上記以外にも T S - H A L は H D D に録画さ
ついては自動タイトル分割を行わないようにし
れたタイトルおよびデジタル放送録画領域の管
ている。このような方法でタイトル自動分割を
理を行っている。
行うことにより,不必要なタイトル分割が発生
しないようにしている。また,複数のプログラ
6. 自動タイトル分割機能
ムで構成されたタイトルのタイトル名はタイト
9 2 0 H および 7 2 0 H によって録画されたタイト
ルを構成するプログラムの中でもっとも録画時
ルは録画された T S に含まれる番組情報を用いて
間が長いプログラムのものが採用される。
番組単位でタイトルに自動分割される。つまり
録画中に番組情報の変更を伴う番組変更が発生
7. 特殊再生処理
した場合,番組情報の変化点を境界としてそれ
9 2 0 H および 7 2 0 H に録画されたタイトルは T S
ぞれ独立したタイトルとして録画されることに
P r o c e s s o r の機能を用いてスキャン再生を行う
なる。しかしながら番組変更のタイミングと録
ことが可能である。スキャン再生は T S に含ま
画開始のタイミングは非同期なので,特にタイ
れる VIDEO PES から TS Processor によって I-
マー録画などでは,録画を開始した直後に番組
P i c t u r e のみを抜き出してメディア・ レシー
変更が発生することがあり,全ての番組情報の
バーへ出力することで実現している。また,特
境界でタイトル分割を行うと不必要なタイトル
殊再生時に出力される VIDEO PES のヘッダーは
㍳↹඙㑆
⇟⚵㧝=⑽?
㍳↹㐿ᆎ
⇟⚵㧞=ಽ?
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⇟⚵ᄌᦝᬌ಴
⸥㍳ᤨ㑆ಽ⑽
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図 6
PIONEER R&D Vol.15 No.1
⇟⚵㧠=⑽?
㍳↹⚳ੌ
⇟⚵ᄌᦝᬌ಴
タイトル自動分割
- 28 -
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表 3
スキャン速度
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=OUGERKEVWTG?
㨤㧢
=OUGERKEVWTG?
㨤㧝㧞 =OUGERKEVWTG?
㨤㧞㧠 =OUGERKEVWTG?
ࠬࠠࡖࡦ㧝
ࠬࠠࡖࡦ㧞
ࠬࠠࡖࡦ㧟
ࠬࠠࡖࡦ㧠
スキャン再生を行うために T S
Processor に
+2KEVWTGߩࠬࠠ࠶ࡊᢙ
ోߡߩ+2KEVWTGࠍ⴫␜
ᨎࠬࠠ࠶ࡊᨎ߅߈ߦ⴫␜
ᨎࠬࠠ࠶ࡊᨎ߅߈ߦ⴫␜
ᨎࠬࠠ࠶ࡊᨎ߅߈ߦ⴫␜
とが可能である。レコーダーはデータ放送の記
よって一部フィールドの書き換えが行われる。
述言語である B M L によって記述されたタイトル
スキャン再生の速度は I - P i c t u r e の表示時間お
リスト表示用のスクリプトを内部にもっており,
よび,表示する I - P i c t u r e のスキップ数を変化
タイトルリストを表示する際はこのスクリプト
させることによって実現している。スキャン速
を TS 化して TS Processor を用いて IEEE1394 上
度と I-Picture の表示時間および I-Picture の
へカルーセル伝送している。カルーセル伝送さ
スキップ数の関係を表 3 に示す。
れた B M L スクリプトはメディア・ レシーバー内の
また,スキャン再生中に出力される P C R およ
B M L ブラウザによって処理され,タイトルリス
び P S I / S I はスキャン再生を実行するために,
トが表示される。図 7 にタイトルリスト表示の
実際に録画された T S に含まれるデータとは異
概要,図 8 にタイトルリストを示す。
なる値が出力される。P C R は T S P r o c e s s o r に
タイトルリストに表示される個々のタイトル
よって生成された値,P S I / S I については T S
情報は,タイトルリスト表示用スクリプトとは
P r o c e s s o r ドライバによって生成されたデータ
独立したタイトル情報データ内に記述されてお
を出力 T S 中に挿入して出力している。
り,このデータをタイトルリスト表示用スクリ
プトに入力することで個々のタイトル情報がタ
8. タイトルリストの表示
イトルリスト上に表示される。このタイトル情
9 2 0 H および 7 2 0 H は録画したデジタル放送の
報データは録画時に取得した番組情報を元にレ
一覧であるタイトルリストを出力する機能を実
コーダー内部で生成され,TS 化されて IEEE1394
装している。レコーダーは録画されたタイトル
上へカルーセル伝送される。
の情報によって構成されたタイトルリストを
一方,タイトルリストを操作するためのキー
データ放送として I E E E 1 3 9 4 上に出力するので,
情報は,タイトルリスト表示用スクリプトの入
メディア・ レシーバーはこのデータ放送を再生す
力イベントによって与えられる。レコーダーの
ることによってタイトルリストの表示を行うこ
リモコン・ キーまたはフロントパネル・ キーに
IEEE1394
⴫␜
BML
ࠞ࡞࡯࠮࡞
TS
વㅍ
Processor
ࡉ࡜࠙ࠩ
TS ൻ
BML ࠬࠢ࡝ࡊ࠻
TS ൻ
TS ൻ
ࡔ࠺ࠖࠕ࡮
࠲ࠗ࠻࡞࡝ࠬ࠻⴫␜
࠲ࠗ࠻࡞ᖱႎ࠺࡯࠲
ࠠ࡯౉ജࠗࡌࡦ࠻
࡟ࠦ࡯࠳࡯
࡟ࠪ࡯ࡃ࡯
図 7
タイトルリスト表示の概要
- 29 -
PIONEER R&D Vol.15 No.1
図 8
タイトルリスト
入社年月: 1 9 9 3 年 4 月
よってタイトルリストの操作が要求されると
主な経歴:
キー情報が記述されたイベントデータがレコー
ダー内で生成され,T S 化されて I E E E 1 3 9 4 上へ
カルーセル伝送される。
入社後,欧州向けデジタル放送
チューナーのソフト開発業務に従事,現在
は D V D レコーダーのソフト開発業務に従事
古 田
裕 貴 ( ふるた ひ ろ た か )
所属: H B C
A V C ビデオ事業部ビデオ開発部
入社年月: 1 9 9 6 年 4 月
9 . まとめ
主な経歴: 入社後から D V D プレーヤーのソフ
以上に述べてきたように 9 2 0 H および 7 2 0 H は
ト開発業務に従事,現在は D V D レコーダー
I E E E 1 3 9 4 接続によるデジタル放送の録画,再
生機能を実現したレコーダーであり,デジタ
のソフト開発業務に従事
熊 谷
所属: H B C
ル・ チ ュ ー ナ ー 非 搭 載 の レ コ ー ダ ー に よ る デ ジ
A V C ビデオ事業部ビデオ開発部
入社年月: 2 0 0 3 年 4 月
タル放送の録画,再生の一手段を提案した。ま
主な経歴: 入社後から現在まで D V D レコー
た,録画に関してはタイトル自動分割,再生に
関しては特殊再生および B M L によるタイトルリ
嘉 博 ( くまがい よ し ひ ろ )
ダーのソフト開発業務に従事
福 田
美 沙 子 ( ふくた
所属: H B C
スト表示などの機能を搭載しており,同レコー
みさこ)
A V C ビデオ事業部ビデオ開発部
入社年月: 1 9 9 9 年 4 月
ダーにおけるアナログ放送の記録,再生機能に
主な経歴: 入社後,D V D プレーヤーのソフト
比べても遜色のない機能を実現した。
開発業務に従事,現在は D V D レコーダーの
ソフト開発業務に従事
大 石
1 0 . 謝辞
享 子 ( おおいし き ょ う こ )
所属: H B C
本機能の開発にあたり協力していただいた関
A V C ビデオ事業部ビデオ開発部
入社年月: 1 9 9 0 年 4 月
係者各位に感謝いたします。
主 な経歴: 入社後,αカラオケ,D V D の L S I 開
発業務に従事,現在は D V D レコーダー / B l u R a y レコーダー用 L S I の開発業務に従事
筆 者
笹 谷
信 哉 ( ささたに し ん や )
所属: H B C
對 馬
均 ( つしま ひ と し )
所属: H B C
A V C ビデオ事業部ビデオ開発部
PIONEER R&D Vol.15 No.1
A V C ビデオ事業部ビデオ開発部
入社年月: 1 9 9 1 年 4 月
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主な経歴:
入社後,L D の製品設計,D V D の
L S I 開発業務に従事,現在は D V D レコー
ダー / B l u - R a y レコーダー用 L S I の開発業
務に従事
渡 辺
勇 人 ( わたなべ は や と )
所属: H B C
A V C ビデオ事業部ビデオ開発部
入社年月: 1 9 9 8 年 4 月
主な経歴:現在は DVD レコーダー用 LSI 開発業
務に従事
河 原
鉄 晶 ( かわはら て つ あ き )
所属: H B C
A V C ビデオ事業部ビデオ開発部
入社年月: 1 9 8 8 年 4 月
主な経歴: 入社後,C D プレーヤ,C D レコー
ダーなど A u d i o 機器の電気回路設計業務に
従事,現在は D V D レコーダー用 L S I 開発業
務に従事
佐 野
勝 也 ( さの
所属: H B C
まさや)
A V C ビデオ事業部ビデオ開発部
入社年月: 1 9 9 3 年 4 月
主な経歴: 入社後,ディスプレイ( プラズマ
ディスプレイ,プロジェクション T V ) 関連
のソフト開発業務に従事,現在は D V D レ
コーダーのソフト開発業務に従事
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PIONEER R&D Vol.15 No.1