特集 情報処理 IEEE1394 接続によるデジタル放送録画,再生システムの開発 Development of digital broadcast recording and playing system via IEEE1394 對 馬 均,古 田 裕 貴,熊 谷 嘉 博 Hitoshi Tsushima, Hirotaka Furuta, Yoshihiro Kumagai 福 田 美 沙 子,大 石 享 子,笹 谷 信 哉 Misako Fukuta , Kyoko Oishi, Shinya Sasatani 渡 辺 勇 人,河 原 鉄 晶,佐 野 勝 也 Hayato W atanabe, 要 旨 Tetsuaki Kawahara, Masaya Sano 本稿では,HDD 搭載 DVD レコーダー「DVR-920H-S」および「DVR-720H-S」に搭 載されたデジタル放送録画,再生機能についてその概要を解説する。これらのレコー ダーは当社製プラズマディスプレイと I E E E 1 3 9 4 によって接続することでデジタル放送 の録画,再生機能を実現しており,「 D V R - 9 2 0 H - S 」 は 4 0 0 G B H D D に最長約 3 6 時間のデジ タルハイビジョン放送の録画を実現した。また,録画されたタイトルの情報を B M L ス クリプトによって記述し,プラズマディスプレイへ送出することによりタイトルリス トの表示を行う機能についても実現した。 Summary This document describes features of digital broadcast recording and playback imple- mented on the DVD recorders "DVR-920H-S" and "DVR-720H-S". These recorders can record digital broadcast signals and play the recorded signal by connecting Pioneer's plasma display system via IEEE1394, and the "DVR-920H-S" can record digital high vision broadcast signal of about 36 hours to the built in 400Gbyte HDD. It also realizes to display a title list on the plasma display by creating and outputting BML script that describes the information about recorded titles. キーワード : D V D レコーダー,デジタル放送,H D D ,M P E G 2 - トランスポート・ ストリーム,I E E E 1 3 9 4 1. まえがき 載されたデジタル放送録画,再生機能の概要を 当社は 2 0 0 4 年 1 0 月に I E E E 1 3 9 4 接続による 紹介する。 デジタルハイビジョン放送が録画可能な D V D レ コーダー( 以下レコーダー) 「 D V R - 9 2 0 H - S 」 ( 以下 2. デ ジ タ ル 放 送 録 画 , 再 生 機 能 の 概 要 920H)および「DVR-720H-S」(以下 720H)を商品化 9 2 0 H および 7 2 0 H に搭載されたデジタル放送 し発売した。本稿ではこれらのレコーダーに搭 録画機能は,これらのレコーダーを当社製プラ - 23 - PIONEER R&D Vol.15 No.1 ズマディスプレイのメディア・ レシーバーと ・ C M スキップおよび C M バック機能 I E E E 1 3 9 4 で接続することによって,レコー ・ B M L を用いたタイトルリスト表示 ダー内部のハードディスク・ ドライブ( 以下 また,9 2 0 H および 7 2 0 H のデジタル放送の最 H D D ) へデジタル放送を伝送する M P E G - 2 トラン 大録画可能時間を表 1 に示す。 スポート・ ストリーム( 以下 T S ) を録画する機能 である。再生機能はレコーダー内の H D D に録画 3. システム構成 された T S を I E E E 1 3 9 4 経由でメディア・ レシー デジタル放送録画,再生機能のシステム・ ブ バーへ出力することによって再生する機能であ ロックを図 1 に示す。 デジタル放送録画,再生システムは, る。また,レコーダーに録画されたデジタル放 送の情報をデータ放送の記述言語である Broad- I E E E 1 3 9 4 上を伝送される信号を処理する 1 3 9 4 cast Markup Language(以下 BML)で記述し,TS ブロック,T S の転送単位である T S パケットを 化して I E E E 1 3 9 4 経由でメディア・ レシーバーへ 処理する TS Processor ブロック,TS Proces- 出力することによって録画されたタイトルのリ s o r の入出力データの H D D への書き込み / 読み ストをメディア・ レシーバーで再生,表示する 出し制御を行う M a i n P r o c e s s o r ブロックから ことも可能である。 構成される。 3.1 以下に 9 2 0 H および 7 2 0 H に搭載されたデジタ 録画システム I E E E 1 3 9 4 経由でメディア・ レシーバーから送 ル放送の録画機能および再生機能を示す。 ・ 大容量 H D D 搭載による長時間録画 られてきたデータは 1 3 9 4 ブロックに入力され, ・ 番組情報検出による自動タイトル分割 I E E E 1 3 9 4 伝送のために付加された情報を取り ・ タイトルスキップ機能 除いた T S パケットが抽出される。この T S パ ・ 前後 4 段階のスキャン再生機能 ケットはメディア・ レシーバーによって付加さ 表 1 最大録画可能時間 ࠺ࠫ࠲࡞ $5࠺ࠫ࠲࡞%5࠺ࠫ࠲࡞ &84*5 &84*5 *&&ኈ㊂ ࠺ࠫ࠲࡞ ࡂࠗࡆ࡚ࠫࡦㅍ *& ࠺ࠫ࠲࡞ ᮡḰㅍ 5& ࠺ࠫ࠲࡞ ࡂࠗࡆ࡚ࠫࡦㅍ *& ࠺ࠫ࠲࡞ ᮡḰㅍ 5& )$ )$ ᦨ㐳⚂ᤨ㑆 ᦨ㐳⚂ᤨ㑆 ᦨ㐳⚂ᤨ㑆 ᦨ㐳⚂ᤨ㑆 ᦨ㐳⚂ᤨ㑆 ᦨ㐳⚂ᤨ㑆 ᦨ㐳⚂ᤨ㑆 ᦨ㐳⚂ᤨ㑆 Main Processor TS Processor (M65673WG) (PE5445A) PRISM+ TOSUPO 1394Link SDRAM Stream Buffer HDD 図 1 PIONEER R&D Vol.15 No.1 システム・ブロック - 24 - 1394Phy. 1394 (TS) れたタイムスタンプを基に時間再生が行われて 本 L S I の主な機能は, から T S P r o c e s s o r に入力される。 ・ T S パケットの P T パック変換機能 TS Processor は TS パケットに制御情報を付 ・ T S に含まれる P S I / S I : P r o g r a m S p e c i f i c 加して H D D への録画フォーマットである P T Information/Service Information 情報の パック形式のデータへ変換した後,D M A を用い 取得および解析機能 て M a i n P r o c e s s o r へ転送する。 ・ T S に含まれるビデオ E S の解析機能 Main Processor へ DMA 転送された PT パック ・ P T パック内の T S パケットの抽出機能 は一旦 SDRAM(Stream buffer)に蓄えられてか ・ ビデオ E S の変更機能 ら再生を行うための管理情報と共に H D D に書き ・ 任意の T S パケットの送出機能 込まれる。H D D に書き込まれた P T パックおよび ・ P C R を含む T S パケットの送出機能 その管理情報はタイトルとして管理される。 ・ 暗号変換機能 3.2 再生システム である。 H D D に書き込まれ,タイトルとして管理され た PT パックは管理情報に従って Main Process o r によって読み出され,S D R A M ( S t e a m buffer)へ展開される。Stream buffer へ展開 された PT パックは TS Processor へ DMA を用い て転送される。 TS Processor は PT パックから TS パケット を抜き出して 1 3 9 4 ブロックへ出力する。1 3 9 4 図 2 T S P r o c e s s o r の外観 ブロックへ渡された T S パケットはタイムスタ ンプが付加され I E E E 1 3 9 4 経由でメディア・ レ シーバーに出力され,メディア・ レシーバーに 4.1 よって再生が行われる。 エンコード・ ブロックはデジタル放送の録画 3.3 エンコード・ ブロック 処理を行い,主に 1 3 9 4 L i n k から転送された T S 制御システム デジタル放送の録画および再生の制御は, パケットの変換処理を行う。1 3 9 4 L i n k から転 I E E E 1 3 9 4 を介してメディア・ レシーバーおよび 送された T S パケットは複数単位でまとめられ, レコーダー間で通信される A V / C コマンドに 制御情報が付加されて,P T パックと呼ばれる よって制御される。従って 1 3 9 4 ブロックは T S データ構造に変換される。また,P T パックに パケットの転送制御と同時に A V / C コマンドの 含まれる T S パケットは T S に含まれるコピー制 通信制御も行っている。 御情報に従って暗号処理が施される。エン コード・ ブロックによって変換された P T パッ 4 . TS Processor クは M a i n デジタル放送の録画,再生を行うことを目的 Processor 上の SDRAM に転送される。エンコー とし,T S P r o c e s s o r として新規 L S I を開発し ド・ ブロックはデータ変換と同時に T S パケッ た。本 L S I の外観を図 2 に示す。 トの PID のチェックを行っており,PID が PSI/ P r o c e s s o r の D M A を用いて M a i n 本 L S I は I E E E 1 3 9 4 と M a i n P r o c e s s o r 間の S I の P I D に一致した場合は T S パケットから T S パケットの転送処理を行い,録画処理を行 P S I / S I のデータの取得と解析を行い,ビデオ うエンコード・ ブロックおよび再生処理を行う E S の P I D に一致した場合はビデオ E S の解析を デコード・ ブロックによって構成されている。 行う。取得されたデータおよび解析結果は L S I - 25 - PIONEER R&D Vol.15 No.1 内部に保持されるので,M a i n P r o c e s s o r はこ 4.3 れらの情報を取得することで P T パックを H D D 本 L S I の入出力データ形式である P T パック の構造を図 3 に示す。 に書き込む際の管理情報を構築している。 4.2 P T パック デ コ ー ド・ ブ ロ ッ ク P T パックは P T パック制御情報および 1 0 個の デコード・ ブロックはデジタル放送の再生処 T S パケットから構成される。P T パック制御情 理を行い,主に Main Processor から転送される 報はヘッダー情報およびパック情報から構成さ PT パックの変換処理を行う。Main Processor の れ,パック情報は P T パック番号および P T パッ SDRAM から DMA によって転送された PT パックは, クに収納された T S パケットの情報を収納して デコード・ ブロックによって制御情報が取り除か いる。また,各 T S パケットにはそれぞれの T S れ,TS パケットが抽出される。また TS パケット パケットの状態を示す制御情報が付加される。 が暗号化されている場合は暗号解除も行われる。 この制御情報は,対応した T S パケットの時刻 デコード・ ブロックによって抽出された T S パ 情報,エラー情報を収納している。また T S パ ケットは制御情報に従って 1394Link へと転送さ ケットがビデオ E S を含んでいる場合はその解 れる。特殊再生を行う場合,P T パックから抽出 析結果も制御情報に収納される。 された T S パケットがビデオ E S を含まなければ そのパケットを破棄し,ビデオ E S であれば一部 5 . ソフトウェア構成 のデータを変更して 1394Link へと転送する。ま デジタル放送録画,再生システムは複数のソ た,特殊再生時は Main Processor で構築された フトウェア・ モジュールから構成されている。 T S パケットおよび P C R を含む T S パケットを ソフトウェア構成を図 4 に示す。また,データ 1 3 9 4 L i n k へと送出することも可能である。 の流れを図 5 に示す。 26ࡄ࠶ࠢ ޓD[VG㧕 26ࡄ࠶ࠢᓮᖱႎ ޓD[VG 図 3 65ࡄࠤ࠶࠻ D[VG 65ࡄࠤ࠶࠻ ᓮᖱႎ D[VG 65ࡄࠤ࠶࠻ D[VG 65ࡄࠤ࠶࠻ ᓮᖱႎ D[VG ࡄ࠶ࠢᖱႎ D[VG 65ࡄࠤ࠶࠻ ᓮᖱႎ D[VG ࡋ࠶࠳ᖱႎ D[VG 65ࡄࠤ࠶࠻ᓮᖱႎ㧗65ࡄࠤ࠶࠻ ޓD[VG P T パックの構造 ࠺ࠫ࠲࡞ㅍ㍳↹ޔౣ↢ࠕࡊࠤ࡚ࠪࡦ ࠺ࠫ࠲࡞ㅍ㍳↹ޔౣ↢ࡒ࠼࡞࠙ࠚࠕ TS-HAL 1394 ᓮࡒ࠼࡞࠙ࠚࠕ TS Processor PSI/SI ࠼ࠗࡃ ࡄࠨ ࡂ࠼࠙ࠚࠕ 図 4 ソフトウェア構成 PIONEER R&D Vol.15 No.1 - 26 - 65ࡄࠤ࠶࠻ D[VG ࠲ࠗ࠻࡞ᖱႎ ࠺ࠫ࠲࡞ㅍ⸥㍳ ޔ ౣ↢ࡒ࠼࡞࠙ࠚࠕ ࠦࡇᓮᖱႎ ⇟⚵ᖱႎ 36,6,ᖱႎ 36,6, %0/ ࠬࠢࡊ࠻ ࡄࠨ ࠗࡌࡦ࠻࠲࠺ޔ 9,'(2(6 ࠲ࠗ࠻࡞ 25+5+ ⸃ᨆ⚿ᨐ ▤ℂᖱႎ 76+$/ ▤ℂᖱႎ 0DLQ +'' 763URFHVVRU ࠼ࠗࡃ 763URFHVVRU ࡒ࠼࡞࠙ࠚࠕ /LQN3K\ 3URFHVVRU 26 ࡄ࠶ࠢ 26 ࡄ࠶ࠢ 図 5 5.1 $9& ࠦࡑࡦ࠼ ࠕࡊࠤ࡚ࠪࡦ 65 76 データ・フロー アプリケーション 5.3 TS Processor ドライバ デジタル放送録画,再生アプリケーション T S P r o c e s s o r ドライバは録画処理において はメディア・ レシーバーとレコーダー間で通信 は変換された P T パックの S t r e a m B u f f e r への される A V / C コマンド,リモコンおよび本体 D M A 転送制御,T S P r o c e s s o r が検出した情報 キー入力の処理を行い,各ミドルウェアに対 の T S - H A L への通知および T S からの P S I / S I 取 して要求を行うことでデジタル放送録画,再 得制御を行う。また,再生処理においては 生機能の制御を行う。また,H D D に録画された Stream タイトルのリストを表示するための B M L スク P r o c e s s o r への D M A 転送制御および特殊再生時 リプトおよびタイトル情報データの生成と T S の P S I / S I の出力制御を行う。またタイトルリ 化を行う。 スト表示の際は T S 化された B M L スクリプトの 5.2 ミドルウェア B u f f e r に展開された P T パックの T S カルーセル伝送制御を行う。 5.4 ミドルウェアはデジタル放送録画,再生ミ P S I / S I パーサー ドルウェアおよび 1 3 9 4 ミドルウェアの 2 種類 P S I / S I パーサーはデジタル放送の録画,再 が存在する。前者は T S P r o c e s s o r ドライバと 生を行うために必要な情報を T S 中に含まれる アプリケーションの間に位置しており,アプ PSI/SI から取得する。これらの情報は TS Pro- リケーションからの要求を受けて T S P r o c e s - cessor によって TS から抜き出された PSI/SI を s o r ドライバを制御することでデジタル放送の 本モジュールが解析を行うことによって取得さ 録画制御,再生制御およびタイトルリストの れる。本モジュールが取得する情報を表 2 に示 表示を行う。また T S - H A L を制御することで録 す。またこれらの情報は録画されたタイトルの 画されたタイトルおよびデジタル放送録画領 管理情報として H D D に録画される。 域の制御も行う。後者は I E E E 1 3 9 4 上を伝送さ 5.5 れるデータおよび A V / C コマンドの通信制御を TS-HAL は録画処理においては Main Proces- 行う。 TS-HAL s o r 上の S t r e a m b u f f e r へ転送された P T パッ - 27 - PIONEER R&D Vol.15 No.1 表 2 P S I / S I から取得する情報 ขᓧᖱႎ ↪⋡⊛ ㅍ࠴ࡖࡦࡀ࡞⇟ภ ⇟⚵ฬ ㅍᣇᑼ ⇟⚵㐿ᆎᤨೞ ࠨࡆࠬᒻᑼ ࠦࡇᓮᖱႎ 25+5+ߩၮᧄᖱႎ ࠲ࠗ࠻࡞ࠬ࠻ߩ࠴ࡖࡦࡀ࡞⇟ภߩ␜ ࠲ࠗ࠻࡞ࠬ࠻ߩ⇟⚵ฬߩ␜ ࠲ࠗ࠻࡞ࠬ࠻ߩ*&5&ߩ␜ ⥄േ࠲ࠗ࠻࡞ಽഀߩߚߩ⇟⚵ᄌൻὐᬌ ࠲ࠗ࠻࡞ߩ㍳↹น್ุቯ߅ࠃ߮࠲ࠗ࠻࡞▤ℂ ࠲ࠗ࠻࡞ߩ㍳↹น್ุቯ ․ᱶౣ↢ᤨߦജߔࠆ25+5+ߩ᭴▽ クの H D D への書き込み,T S P r o c e s s o r ドライ 分割が発生して録画時間が短いタイトルを発生 バおよび P S I / S I パーサーが取得した情報から させることになってしまう。これを避けるため 構築された管理情報の H D D への書き込みを行 に以下に述べる方法でタイトル自動分割を行っ う。これらの P T パックは H D D 上のデジタル放 ている。図 6 に示すように,一回の録画中に番 送録画領域に書き込まれ,管理情報に従ってタ 組情報の変更が発生した場合,番組情報の変化 イトルとして管理される。また,再生処理にお 点間の区間をプログラムとして扱う。このプロ いてはタイトルとして H D D へ書き込まれた P T グラムの録画時間が 7 0 秒を超えたものをタイト パックを管理情報に従って Stream Buffer へ読 ルとして自動分割し,7 0 秒未満のプログラムに み出す。上記以外にも T S - H A L は H D D に録画さ ついては自動タイトル分割を行わないようにし れたタイトルおよびデジタル放送録画領域の管 ている。このような方法でタイトル自動分割を 理を行っている。 行うことにより,不必要なタイトル分割が発生 しないようにしている。また,複数のプログラ 6. 自動タイトル分割機能 ムで構成されたタイトルのタイトル名はタイト 9 2 0 H および 7 2 0 H によって録画されたタイト ルを構成するプログラムの中でもっとも録画時 ルは録画された T S に含まれる番組情報を用いて 間が長いプログラムのものが採用される。 番組単位でタイトルに自動分割される。つまり 録画中に番組情報の変更を伴う番組変更が発生 7. 特殊再生処理 した場合,番組情報の変化点を境界としてそれ 9 2 0 H および 7 2 0 H に録画されたタイトルは T S ぞれ独立したタイトルとして録画されることに P r o c e s s o r の機能を用いてスキャン再生を行う なる。しかしながら番組変更のタイミングと録 ことが可能である。スキャン再生は T S に含ま 画開始のタイミングは非同期なので,特にタイ れる VIDEO PES から TS Processor によって I- マー録画などでは,録画を開始した直後に番組 P i c t u r e のみを抜き出してメディア・ レシー 変更が発生することがあり,全ての番組情報の バーへ出力することで実現している。また,特 境界でタイトル分割を行うと不必要なタイトル 殊再生時に出力される VIDEO PES のヘッダーは ㍳↹㑆 ⇟⚵㧝=⑽? ㍳↹㐿ᆎ ⇟⚵㧞=ಽ? ⇟⚵ᄌᦝᬌ ࠲ࠗ࠻࡞㧝 ࡊࡠࠣࡓ㧝 ⇟⚵㧟=ಽ? ⇟⚵ᄌᦝᬌ ⸥㍳ᤨ㑆ಽ⑽ ࡊࡠࠣࡓ㧞 ࠲ࠗ࠻࡞㧞 ࡊࡠࠣࡓ㧟 ࠲ࠗ࠻࡞⥄േಽഀ⊒↢ 図 6 PIONEER R&D Vol.15 No.1 ⇟⚵㧠=⑽? ㍳↹⚳ੌ ⇟⚵ᄌᦝᬌ タイトル自動分割 - 28 - ࡊࡠࠣࡓ㧠 ⸥㍳ᤨ㑆ಽ⑽ 表 3 スキャン速度 ࠬࠠࡖࡦㅦᐲ ₸ +2KEVWTGߩ␜ᤨ㑆 㨤㧟 =OUGERKEVWTG? 㨤㧢 =OUGERKEVWTG? 㨤㧝㧞 =OUGERKEVWTG? 㨤㧞㧠 =OUGERKEVWTG? ࠬࠠࡖࡦ㧝 ࠬࠠࡖࡦ㧞 ࠬࠠࡖࡦ㧟 ࠬࠠࡖࡦ㧠 スキャン再生を行うために T S Processor に +2KEVWTGߩࠬࠠ࠶ࡊᢙ ోߡߩ+2KEVWTGࠍ␜ ᨎࠬࠠ࠶ࡊᨎ߅߈ߦ␜ ᨎࠬࠠ࠶ࡊᨎ߅߈ߦ␜ ᨎࠬࠠ࠶ࡊᨎ߅߈ߦ␜ とが可能である。レコーダーはデータ放送の記 よって一部フィールドの書き換えが行われる。 述言語である B M L によって記述されたタイトル スキャン再生の速度は I - P i c t u r e の表示時間お リスト表示用のスクリプトを内部にもっており, よび,表示する I - P i c t u r e のスキップ数を変化 タイトルリストを表示する際はこのスクリプト させることによって実現している。スキャン速 を TS 化して TS Processor を用いて IEEE1394 上 度と I-Picture の表示時間および I-Picture の へカルーセル伝送している。カルーセル伝送さ スキップ数の関係を表 3 に示す。 れた B M L スクリプトはメディア・ レシーバー内の また,スキャン再生中に出力される P C R およ B M L ブラウザによって処理され,タイトルリス び P S I / S I はスキャン再生を実行するために, トが表示される。図 7 にタイトルリスト表示の 実際に録画された T S に含まれるデータとは異 概要,図 8 にタイトルリストを示す。 なる値が出力される。P C R は T S P r o c e s s o r に タイトルリストに表示される個々のタイトル よって生成された値,P S I / S I については T S 情報は,タイトルリスト表示用スクリプトとは P r o c e s s o r ドライバによって生成されたデータ 独立したタイトル情報データ内に記述されてお を出力 T S 中に挿入して出力している。 り,このデータをタイトルリスト表示用スクリ プトに入力することで個々のタイトル情報がタ 8. タイトルリストの表示 イトルリスト上に表示される。このタイトル情 9 2 0 H および 7 2 0 H は録画したデジタル放送の 報データは録画時に取得した番組情報を元にレ 一覧であるタイトルリストを出力する機能を実 コーダー内部で生成され,TS 化されて IEEE1394 装している。レコーダーは録画されたタイトル 上へカルーセル伝送される。 の情報によって構成されたタイトルリストを 一方,タイトルリストを操作するためのキー データ放送として I E E E 1 3 9 4 上に出力するので, 情報は,タイトルリスト表示用スクリプトの入 メディア・ レシーバーはこのデータ放送を再生す 力イベントによって与えられる。レコーダーの ることによってタイトルリストの表示を行うこ リモコン・ キーまたはフロントパネル・ キーに IEEE1394 ␜ BML ࠞ࡞࡞ TS વㅍ Processor ࡉ࠙ࠩ TS ൻ BML ࠬࠢࡊ࠻ TS ൻ TS ൻ ࡔ࠺ࠖࠕ ࠲ࠗ࠻࡞ࠬ࠻␜ ࠲ࠗ࠻࡞ᖱႎ࠺࠲ ࠠജࠗࡌࡦ࠻ ࠦ࠳ ࠪࡃ 図 7 タイトルリスト表示の概要 - 29 - PIONEER R&D Vol.15 No.1 図 8 タイトルリスト 入社年月: 1 9 9 3 年 4 月 よってタイトルリストの操作が要求されると 主な経歴: キー情報が記述されたイベントデータがレコー ダー内で生成され,T S 化されて I E E E 1 3 9 4 上へ カルーセル伝送される。 入社後,欧州向けデジタル放送 チューナーのソフト開発業務に従事,現在 は D V D レコーダーのソフト開発業務に従事 古 田 裕 貴 ( ふるた ひ ろ た か ) 所属: H B C A V C ビデオ事業部ビデオ開発部 入社年月: 1 9 9 6 年 4 月 9 . まとめ 主な経歴: 入社後から D V D プレーヤーのソフ 以上に述べてきたように 9 2 0 H および 7 2 0 H は ト開発業務に従事,現在は D V D レコーダー I E E E 1 3 9 4 接続によるデジタル放送の録画,再 生機能を実現したレコーダーであり,デジタ のソフト開発業務に従事 熊 谷 所属: H B C ル・ チ ュ ー ナ ー 非 搭 載 の レ コ ー ダ ー に よ る デ ジ A V C ビデオ事業部ビデオ開発部 入社年月: 2 0 0 3 年 4 月 タル放送の録画,再生の一手段を提案した。ま 主な経歴: 入社後から現在まで D V D レコー た,録画に関してはタイトル自動分割,再生に 関しては特殊再生および B M L によるタイトルリ 嘉 博 ( くまがい よ し ひ ろ ) ダーのソフト開発業務に従事 福 田 美 沙 子 ( ふくた 所属: H B C スト表示などの機能を搭載しており,同レコー みさこ) A V C ビデオ事業部ビデオ開発部 入社年月: 1 9 9 9 年 4 月 ダーにおけるアナログ放送の記録,再生機能に 主な経歴: 入社後,D V D プレーヤーのソフト 比べても遜色のない機能を実現した。 開発業務に従事,現在は D V D レコーダーの ソフト開発業務に従事 大 石 1 0 . 謝辞 享 子 ( おおいし き ょ う こ ) 所属: H B C 本機能の開発にあたり協力していただいた関 A V C ビデオ事業部ビデオ開発部 入社年月: 1 9 9 0 年 4 月 係者各位に感謝いたします。 主 な経歴: 入社後,αカラオケ,D V D の L S I 開 発業務に従事,現在は D V D レコーダー / B l u R a y レコーダー用 L S I の開発業務に従事 筆 者 笹 谷 信 哉 ( ささたに し ん や ) 所属: H B C 對 馬 均 ( つしま ひ と し ) 所属: H B C A V C ビデオ事業部ビデオ開発部 PIONEER R&D Vol.15 No.1 A V C ビデオ事業部ビデオ開発部 入社年月: 1 9 9 1 年 4 月 - 30 - 主な経歴: 入社後,L D の製品設計,D V D の L S I 開発業務に従事,現在は D V D レコー ダー / B l u - R a y レコーダー用 L S I の開発業 務に従事 渡 辺 勇 人 ( わたなべ は や と ) 所属: H B C A V C ビデオ事業部ビデオ開発部 入社年月: 1 9 9 8 年 4 月 主な経歴:現在は DVD レコーダー用 LSI 開発業 務に従事 河 原 鉄 晶 ( かわはら て つ あ き ) 所属: H B C A V C ビデオ事業部ビデオ開発部 入社年月: 1 9 8 8 年 4 月 主な経歴: 入社後,C D プレーヤ,C D レコー ダーなど A u d i o 機器の電気回路設計業務に 従事,現在は D V D レコーダー用 L S I 開発業 務に従事 佐 野 勝 也 ( さの 所属: H B C まさや) A V C ビデオ事業部ビデオ開発部 入社年月: 1 9 9 3 年 4 月 主な経歴: 入社後,ディスプレイ( プラズマ ディスプレイ,プロジェクション T V ) 関連 のソフト開発業務に従事,現在は D V D レ コーダーのソフト開発業務に従事 - 31 - PIONEER R&D Vol.15 No.1
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