P--1 長期留置カテの血栓閉塞に対するカテーテル治療 心臓病センター榊原病院内科 ○清水明徳、石川恵理、河本浩子 長期留置カテの閉塞または脱血不足に関しては、ウロキナーゼ投与で経過を見て改善 しなければ最終的にカテーテルの入れ替えを行っていた。今回我々はカテーテル内に ウロキナーゼを投与したが血流状態が全く改善しなかったため、カテーテル治療を施 行し血流が改善しその後の透析を問題なく施行できた症例を3例経験したので報告す る。 造影するとカテーテル先端部分が完全に血栓閉塞していた。閉塞したカテーテル内に 4Fのストレートカテーテルを挿入して先端まで問題なく押し込むことができた。そ の後の造影で血栓はカテーテル内に存在していたが、明らかに小さくなっており、血 栓の周りから良好な血流を得ることができていた。最終的にウロキナーゼ6万単位と ヘパリン3000単位を閉塞したカテーテル内に次回の透析まで貯留しておいた。翌日 以降のカテーテルの脱血は透析には3例とも全く問題ない状態にまで改善していた。 P--2 当院における透析用カテーテル留置日数の検討と考察 一般財団法人 児島中央病院 臨床工学科1)、 一般財団法人 児島中央病院 透析センター2)、 一般財団法人 児島中央病院 外科3) ○近江歩惟1)、藤原 香1)、清水浩介2)、田邉秀幸3) 【目的】当院では高齢や病状悪化などによってシャント作成が困難な患者にはカテー テルを使用して透析を行っている。当院で透析用カテーテル(短期型留置カテーテル、 長期型留置カテーテル)を挿入した透析患者において、各カテーテルの留置日数、脱 血不良または感染症によってカテーテル抜去に至った件数を比較検討した。 【対象】2012年9月から2015年6月の間に透析用カテーテルを挿入したのべ透析患者 数のうち、短期型留置カテーテル71名、長期型留置カテーテル21名の計92名(男性 46名、女性46名、年齢48~95歳、平均年齢76歳、うちDM患者28名)を対象に行った。 【結果】短期型留置カテーテルにおいての平均留置日数42.3日(標準偏差69.0日)、長 期型留置カテーテルにおいての平均留置日数204.4日(標準偏差237.7日)であった。 脱血不良または感染症によってカテーテル抜去に至った件数は、短期型留置カテーテ ル33件、長期型留置カテーテル7件であった。短期型留置カテーテルと長期型留置カ テーテルの留置日数の平均の差の検定では95%の有意率で差が生じており、短期型留 置カテーテルの方が血栓形成が出来やすいと推測された。 【考察】脱血送血不良の原因の大半は、カテーテル感染が先行して、血栓形成が生じ るためである。今回、短期型留置カテーテルと長期型留置カテーテルでの一番の相違 点は皮下トンネルを通してのカテーテル挿入留置であり、これが大いにCRBSIの感染 発症を抑制防御していると考えられる。 ― 118 ― P--3 当院におけるカフ型カテーテル使用の現状 鳥取赤十字病院 臨床工学技術課1)、 鳥取赤十字病院 循環器科2) ○濵本達雄1)、石井千昭1)、大山勝士1)、萩原隆之1)、小坂博基2) 【はじめに】当院では自己血管荒廃症例や心機能低下症例に対してカフ型カテーテル(TCC)を 留置するケースが増加している。しかし、TCCには感染や血栓形成などの諸問題がある。そこで、 当院でTCCを留置した患者について後ろ向きに調査したので報告する。 【目的および方法】TCCを留置した患者の年齢、性別、透析歴、TCCの種類、留置部位、留置理由、 原疾患、合併症、ADL、TCC開存期間を調査し、問題点および今後の課題を検討すること。 【対象】2009年5月から2015年3月までの間に当院にてTCCを留置した患者を対象とし、再挿入 事例も含め、23名延べ36件について調査した。 【結果】留置した症例は男性6名、女性17名、平均年齢75.6歳。平均開存期間は229日(最短4日 ~最長1232日)。原疾患は糖尿病性腎症が最も多く69.6%。心不全、虚血性心疾患、脳梗塞、閉 塞性動脈硬化症などの合併症が多い。初回留置理由は内シャント作成困難34.8%、内シャントト ラブル47.8%、心機能低下が8.0%であり、ADLが低い患者の留置例が多くみられた。抜去に至っ た理由として感染1件、自己抜去4件であった。 【考察】 TCCの脱血不良に対しては頻回の位置修正や留置部位とTCC種類の変更をせざるを得ない場合 がある他、感染による抜去例は少ないが、自己抜去に至った症例が多いことを考えると、可能な 限り自己血管を使用したVAが理想的である。 【結語】患者状態に合わせたVA選択、留置部位とTCC種類の選択、適切な管理をすることが必要 である。 P--4 VA 管理における VA エコーの有用性について 医療法人 永元会 はしもとじんクリニック ○前田哲典、水野勝成、黒崎竜太、堀江雄世、山口朗誉、坊 勇佑、 橋本昌美 【背景】当院ではVA管理の方法として透析前後に理学的所見を確認し、異常がみら れた患者に対して、クリアランスギャップやVAエコー、BV計の検査を施行していた。 しかし、理学的所見は数値化できず、スタッフによって尺度が異なることから、VA 血流量(以下VF)、末梢抵抗値(以下RI)を測定することで、VA異常の早期発見に が可能かどうか検討した。 【対象・方法】当院の透析患者61名のうちAVF51名、 AVG5名の計56名を対象とし、VF、RIを測定した。測定部位は、AVFは上腕動脈、 AVGはグラフト内での測定とし、透析中に血液ポンプをOFFにした状態で測定。基 準値をVFはAVF500ml/min以下、AVG650ml/min以下、RIは両群0.60以下とした。 【結果】VF、RI共に基準値以下の患者は、AVF群10名、AVG群1名であった。 AVF群の内訳は、定期的にPTAを実施している5名、PTA予定3名、過去にPTA困 難と診断された1名だった。残りの1名は、理学的所見では異常を発見できなかった 患者であり、エコーにより吻合部に狭窄を認めた。AVG群に関しては、理学的所見 でも異常を認めており、穿刺困難であったため、エコーをきっかけにVA再建となっ た。 【考察・結論】過去にPTA経験のある患者、PTA予定の患者については定期的 にエコーを実施する必要がある。今回全患者をスクリーニングすることで理学的所見 では異常がみられなかったVA狭窄を早期に発見することができた。今後も全患者を 定期的にフォローして行く必要がある。 ― 119 ―
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