《虫歯・歯槽膿漏の治療:補綴治療》 M

《虫歯・歯槽膿漏の治療:補綴治療》
歯が欠けたり、なくなった場合にクラウン(歯冠)や入れ歯などの人工物で補うことを「補綴
(ほてつ)治療」といいます。日本でも奈良時代から入れ歯があったといわれていますので、昔
から行われてきた治療法といえます。別名「回復診療」とも呼ばれ、いわゆる失われた歯(口)
の機能を人工的に回復する処置のことです。処置のために作られた入れ歯や歯冠のことを、補
綴物といい、食べ物の流れをうまくコントロールしたりブラッシングによる清掃がいきわた
りやすくなる機能、ひいては虫歯や歯周病に再びかかりにくくなるように形態と機能的な噛
み合せを図ります。
補綴治療としては、以下のような方法があります。
①クラウン/歯冠(いわゆる差し歯)
皆さんが虫歯になり、歯冠がぼろぼろになった場合、歯根がしっかりしていれば、クラウンによる
治療が受けられます。歯根の部分を利用して金属などで土台を建てます。そして、その土台の上に
金属やセラミックス(陶器)で作った人工の歯冠(冠)をかぶせます。
図. クラウンの説明
②部分入れ歯
虫歯や事故などで歯や歯を支える骨の一部がなくなった場合、そのなくなったところを補う装置で
す。これによって形態や見た目の不良を回復し、食事やしゃべりやすさ、審美性を改善するものです。
③総入れ歯
上顎または下顎のすべての歯を失った方(無歯顎者)のための入れ歯のことです。総入れ歯、ある
いは総義歯、全部床義歯といいます。
審美的な意識の向上や、インプラント(人工歯根)の普及から、これらの補綴治療は、非常に多くの
最新の方法が開発されていますので、ご自分の希望にそった治療方法について、歯科医から充分説明
を聞いた上で、最適な方法を選択することが重要です。
また、補綴治療の過程で土台作りのための抜歯等、出血を伴う場合もありますので、治療内容によ
る出血の有無(程度)を歯科医に確認し、出血を伴う処置を行う場合はあらかじめ主治医に凝固因
子製剤輸注の必要性(輸注する場合はそのやり方)について相談して下さい。できれば歯科医と血
友病主治医が直接話し合ってくれると良いですね。
産業医科大学病院 歯科口腔外科 高木伸二先生
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