Keio University Faculty of Pharmacy Graduate School of Pharmaceutical Sciences School Guide 2015-2016 慶應義塾大学 薬 学 部 ・ 薬 学 研究科 Message 薬学部長・薬学研究科委員長からのメッセージ 慶應義塾大学薬学部は日本を先導する薬剤師と創薬科学者の養成を目指しています。 本学部は、 「科学の基盤をもった、人に優しい薬剤師の育成」を目標とする6年制の「薬学 科」と、 「創薬、臨床開発、環境・生命科学分野の科学者の育成」を目指す4年制の「薬科学科」 の2つの学科を有しています。薬学科では、薬剤師としての高い知識・技能の教育はもちろん、 薬学部長 薬学研究科委員長 望月 眞弓 Dean of Faculty of Pharmacy Dean of Graduate School of Pharmaceutical Sciences Mayumi Mochizuki 問題解決能力の醸成のために卒業研究にも力を入れ、医療現場はもとより、薬事行政、製薬会 社などの分野でも活躍できる人材を養成します。一方、薬科学科では、大学院薬科学専攻への 進学を基本とし、修士または博士の学位を取得した上で、製薬・化学・食品・化粧品・農薬・バイ オテクノロジーの研究者として、 また、商社、金融、 シンクタンク、IT関係など多彩な分野で活躍 できるよう教育しています。 薬学部は義塾の総合大学である強みを活かし、豊かな人間性を育む充実した教養教育を行 う一方、優秀な教授陣による専門教育を行っています。また、医療系三学部が合同でチーム医 療を目指したインタープロフェショナル教育を実践したり、大学院ではMBA(経営学修士) と薬 科学修士の両方の取得を目指す経営管理研究科とのジョイント・ディグリープログラムに加え、 医学研究科、理工学研究科、健康マネジメント研究科などと連携した研究も行われています。国 際性も本学部のキーワードになっていて、薬学科では海外の病院でのアドバンスト実習を、大学 院では医薬品開発を学ぶプログラムを、実施しています。 大学院は主として6年制薬学科の卒業生を受け入れる薬学専攻博士課程(4年) と、4年制の 卒業生を受け入れる薬科学専攻前期博士課程(2年) および後期博士課程(3年) を持っていま す。薬科学専攻では薬学部出身者に限らず他の理系学部からも積極的に学生を募集していま す。いずれの専攻も薬学研究者や大学教員などの人材養成を視野に入れています。 Message from the Dean of the Faculty of Pharmacy and Graduate School of Pharmaceutical Sciences The Faculty of Pharmacy at Keio University aims to cultivate pharmacists and drug discovery scientists who will lead Japan into the future. The Faculty of Pharmacy consists of two departments, a six-year Department of Pharmacy which aspires to "cultivate people-friendly pharmacists who have a firm scientific foundation" and a four-year Department of Pharmaceutical Sciences which aspires to "cultivate scientists in the fields of drug discovery, clinical development, and environmental and life sciences." With the aim to cultivate human resources who can take on important roles not only on the medical front, but also in the fields of pharmaceutical administration and regulation and pharmaceutical companies, the Department of Pharmacy places emphasis on the education of advanced specialized knowledge and skills required of a pharmacist, as well as thesis research, to cultivate clinical research and problem-solving abilities. On the other hand, the Department of Pharmaceutical Sciences, which is fundamentally structured for students moving on to the Graduate School of Pharmaceutical Sciences, focuses on educating students to play major roles, after receiving their master’s or doctor’s degree, as researchers in the fields of pharmaceuticals, chemicals, foods, cosmetics, agrochemicals and biotechnology, or in various fields of business such as trade, finance, think tanks, and IT related areas. The Faculty of Pharmacy takes advantage of Keio's strength as a university to offer not only a liberal arts education to cultivate rich humanity, but also provides professional education through an excellent team of professors. The Faculty of Pharmacy further implements a joint interprofessional education program with the School of Medicine and the Faculty of Nursing and Medical Care, aiming to cultivate a team-based approach to medical care a joint degree program with the Graduate School of Business Administration, in which students acquire both a Master of Business Administration (MBA) and a Master of Pharmaceutical Sciences and also conducts collaborative research together with the Graduate School of Medicine, Science and Technology and Health Management. As internationalism is also a key word for the Faculty of Pharmacy, the Department of Pharmacy offers advanced practical training opportunities at hospitals abroad, and the graduate school offers programs to study drug development. The graduate school mainly consists of a Doctoral program in Pharmacy (4 years) that accepts graduates from the six-year Department of Pharmacy, and a Master’s (2 years) and Doctoral (3 years) program in Pharmaceutical Sciences that accept graduates from four-year undergraduate studies. The postgraduate programs in Pharmaceutical Sciences are not only open to graduates from the Faculty of Pharmacy, but also actively seek graduates from other fields of sciences. All postgraduate programs take into consideration programs to foster human resources, such as pharmaceutical scientists and university teachers. 2 薬学部 Faculty of Pharmacy ■ ■ 薬学科 Department of Pharmacy 薬科学科 Department of Pharmaceutical Sciences 薬学部 1. 3 つのポリシー アドミッションポリシー 豊かな人間性と高い基礎学力に加え、 将来、医療に従事する心構えを持って 自ら学ぶ意欲のある学生を求めています。 福澤諭吉の建学の精神は、独立自尊の人格を育成し、気品の泉源、智徳の模範となり全 社会の先導者たる人を養成することである。薬学部では、建学の精神に則り、医療・創薬に 関わる分野で求められる学識と能力を培うことを目的に薬学の理論と応用とを研究教授 する。 その目的を理解し、化学、数学、語学(英語) の基礎力と薬学を学ぶ強い意志を持つ学 生の入学を求める。 ■ 薬学科(6年制) 医療薬学を学び薬剤師の資格を持って社会に貢献する意欲のある学生 ■ 薬科学科(4年制) 自然科学に興味があり、薬の創製等を通して人類へ貢献する意欲のある学生 2. カリキュラムポリシー 専門性を高めた2学科制により、 新たな薬学教育を展開 ■ 薬学科 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 薬学教育モデル・コアカリキュラムを基本 教養教育と倫理教育による高い倫理観と患者への思いやり、 チーム医療における協調性 と責任感の醸成 外国語教育等を通じた医療分野での国際性の涵養 医薬品や化学物質と生命現象を理解するための基礎的な科学力の習得 適正な薬物療法を推進するための知識および実践的技能の習得 健康増進や公衆衛生の向上のための知識の習得 卒業研究を通じた問題発見・解決能力およびプレゼンテーション能力の醸成 ■ 薬科学科 ■ ■ ■ ■ ■ 生命科学を中心とした自然科学の知識・実験技術の習得 薬学に特徴的な科目による医薬品や医療の知識の習得 生命科学や創薬研究に関わる人材に相応しい倫理観の醸成 卒業研究を通じた問題発見・解決能力およびプレゼンテーション能力の醸成 外国語教育等を通じた科学者としての国際性の涵養 3. ディプロマポリシー 薬学を通して社会に貢献し、 未来を先導する薬学人 ■ 薬学科 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 6年以上在籍し、所定の単位を修得 医療人としての広い教養を身につけ、高い倫理観、使命感を有していること 医薬品適正使用の基盤となる科学を修得していること 医療人として必要なコミュニケーション・プレゼンテーション能力を修得していること 医薬品の専門家としてチーム医療に貢献できる能力を修得していること 地域保健医療に貢献できる能力を修得していること 医療薬学領域における問題発見・解決能力を修得していること 生涯を通じて国内外の最先端の医療知識を取り入れ活用する能力と態度を有していること ■ 薬科学科 ■ ■ ■ ■ ■ ■ 4年以上在籍し、所定の単位を修得 生命科学や創薬研究に関わる上で必要な高い倫理観、使命感を有していること 生命科学や創薬研究に必要な基礎的知識と技術を修得していること 科学に立脚した問題発見・解決能力を修得していること 科学者として国内外で活躍するために必要なコミュニケーション・プレゼンテーション能力 を修得していること 最先端の情報を収集し活用する能力と態度を有していること 3 カリキュラム 総合教育科目を通じて豊かな人間性と教養を養う 薬学部では、 1年次に日吉キャンパスに通い、人文・社会・自然科学 さらに、 1年次には 「早期体験学習」 も行います。 薬学科では病院・薬 系の総合教育科目を、 他学部の学生と一緒に学びます。 こうして、 薬学 局を見学、薬科学科では薬学の知識を生かせる企業等を見学します。 だけに留まらない幅広い教養や知識を身につけていきます。 また、 クラ この実習には、 将来の自分をシミュレートするとともに、 学習に対するモ ブやサークルを通じた他学部の学生との交流も大いに期待されます。 チベーションを高める効果もあります。 薬学科では主に薬剤師を、薬科学科では薬学研究者を育成 6年制の薬学科では、主に薬剤師を目指す人材を育成します。 日本 識を備え、 コミュニケーション能力の高い薬剤師を育成します。 薬学会の 「薬学教育モデル・コアカリキュラム」 を土台にしながらも、 4年制の薬科学科では、創薬だけでなく、環境・生命科学など、幅広 独自のヒューマニズム教育、薬学全般にわたる専門教育、実務実習な い薬学関連領域について学びます。主として研究者・教育者・技術者 どを展開。医療現場で医療チームの一員として活躍できる高度な知 を育成します。 薬学科6年間のカリキュラム概要 第1学年 少人数制演習などで薬学生 の心構えを身につける。 第2学年 基礎科学を中心に講義と 実習で学ぶ。 基礎教育 ●ヒューマニズムについて学ぶ 生 命 倫 理 / 情 報・コミュニ ケーション論 ●薬学へのイントロダクション 薬学への招待/早期体験学 習 ●薬学準備教育 薬学生のためのコミュニケー ションスキル1,2/数学/一 般教養/体育実技/基礎数 学/基礎物理学/基礎生物 学/第二外国語 ●薬学専門教育 物理化学1/分析化学/有機 化学1,2/細胞の機能と構成 分子/機能生理学1 ●実験実習 実験法概論/薬学基礎実習 (2015年4月1日現在) 第3学年 専門性を究めるための 講義、実習を行う。 第4学年 第5学年 ●薬学専門教育 薬事関係法規2/老年薬学/ 実務実習事前学習4,5/フィ ジカルアセスメントと画像検 査/総合薬学演習1/薬剤疫 学/薬剤経済学/EBMの実 践/臨床物理薬剤・製剤 ●実務実習教育 実務実習 薬物治療などの医療関連 領域を中心に学ぶ。 専門教育前期 ●ヒューマニズムについて学ぶ 医療・薬剤師倫理 ●薬学専門教育 物理化学2/物理分析学/ 有機化学3/生物有機化学 /医療品化学1/天然物化 学/生薬学1,2/精密有機 合成/機能生理学2/生化 学1,2/代謝生化学/免疫 学1,2/微生物学/栄養と 健康/公衆衛生と予防薬学 /薬理学1∼3/化学療法 学1,2/薬物動態学1/製 剤学1/薬事関係法規1/ 心理学概論 ●薬学準備教育 科学と社会 ●アドバンスト教育 アドバンスト情報科学 第6学年 卒業研究、 アドバンスト講義 を行う。 専門教育後期 ●薬学準備教育 科学と社会/有機化学演習 ●実験実習 有機薬化学実習/医薬品化 学実習/生薬学実習/生化 学実習/微生物学実習/衛 生化学実習 実務実習を中心に行い、 卒業研究も始まる。 ●薬学専門教育 医薬品化学2/漢方概論/科 学物質の生体影響/環境科学 /薬物治療学1∼6/化学療法 学3/バイオ医薬品とゲノム情 報/薬物動態学2/製剤学2/ 医薬品情報学1/医薬品情報2 /個別化医療/医薬統計学/ 社会保障制度と医療/医薬品 の開発と規制/地域における薬 局と薬剤師/日本薬局方/実 務実習事前学習1∼3/天然薬 物学/医薬品製造化学/医薬 分子設計化学/レギュラトリー サイエンス/病態生化学/香粧 品・皮膚科学/健康食品学/バ イオ産業論/社会調査法及び 疫学方法論/アプライド薬物動 態学/栄養情報学演習 ●実務実習教育 実務実習事前学習(実習)/実 務実習 ●卒業実習教育 卒業研究1/英語演習 ●卒業実習教育 卒業研究1/英語演習 ●卒業実習教育 卒業研究1/卒業研究2A/ 卒業研究2B/卒業研究2C/ 英語演習/総合薬学演習2∼ 4 ●アドバンスト教育 ●アドバンスト教育 Introduction to overseas 国内アドバンスト実習/海外 rotation アドバ ンスト実 習 / C a s e Study Practice/疫学・臨床 研究演習/漢方医薬学/医 療人としての倫理 ●アドバンスト教育 アドバンスト薬化学/アドバ ンスト生命科学 ●実験実習 薬理学実習/薬剤学実習 ●アドバンスト教育 医療人のためのプレゼンテー ションスキル1,2 多職種連携体験学習、 リハビリ体験学習 日吉キャンパス※ 芝共立キャンパス ※週1日程度、芝共立キャンパスでも授業を行います。 薬科学科4年間のカリキュラム概要 第1学年 早期体験学習などを通じて将来を体感し 視野を広める。専門科目も始まる。 (2015年4月1日現在) 第2学年 第3学年 専門科目、 アドバンスト実習を通して 科学的思考法を身につける。 幅広い薬学の知識を修得し、 将来の進路を決定する。 専門教育後期 ●薬学準備教育 科学と社会/有機化学演習 ●薬学準備教育 薬学英語 ●薬科学へのイントロダクション 薬学への招待/薬科学概論/早期体験学習 ●薬科学専門教育 物理化学2/物理分析学/有機化学3/生物 有機化学/医薬品化学1/天然物化学/生 薬学1,2/精密有機合成/機能生理学2/生 理学1,2/代謝生化学/免疫学1,2/微生物 学/栄養と健康/公衆衛生と予防薬学/薬 理学1∼3/化学療法学1,2/薬物動態学1 /製剤学1/薬事関係法規1/心理学概論 ●薬科学専門教育 医療品化学2/漢方概論/化学物質の生体影響 /環境科学/薬物治療学1∼6/化学療法学3 /バイオ医薬品とゲノム情報/薬物動態学2/ 製剤学2/医薬品情報学1/医薬品情報学2/ 個別化医療/医薬統計学/社会保障制度と医療 /医薬品の開発と規制/地域における薬局と薬 剤師/日本薬局方/天然薬物学/医薬品製造 化学/医薬分子設計化学/レギュラトリーサイエ ンス/病態生化学/香粧品・皮膚科学/健康食 品学/バイオ産業論/社会調査法及び疫学方法 論/アプライド薬物動態学/栄養情報学演習 ●薬科学専門教育 物理化学1/分析化学/有機化学1,2/細胞 の機能と構成分子/機能生理学1 ●実験実習 実験法概論/薬学基礎実習 ●実験実習 有機化学実習/医薬品化学実習/生薬学実 習/生化学実習/微生物学実習/衛生化学 実習 ●アドバンスト実験実習 医療人のためのプレゼンテーションスキル1,2 ●実験実習 薬理学実習/薬剤学実習 ●アドバンスト実験実習 アドバンスト英語1,2 多職種連携体験学習、 リハビリ体験学習 日吉キャンパス※ ※週1日程度、芝共立キャンパスでも授業を行います。 4 学生の進路に合わせた卒業研究を行う。 専門教育前期 基礎教育 ●ヒューマニズムについて学ぶ 情報・コミュニケーション論 ●薬学準備教育 薬学生のためのコミュニケーションスキル1,2 /数学/一般教養/体育実技/基礎数学/ 基礎物理学/基礎生物学/第二外国語 第4学年 芝共立キャンパス ●薬科学専門教育 老年薬学/フィジカルアセスメントと画像検 査/臨床物理薬剤・製剤/卒業実習教育 ●卒業研究 英語演習 Department of Pharmacy FACULTY OF PHARMACY 薬学科 設置科目 患者さんを第一に考えたチーム医療を担う薬剤師を育成 薬学科では、薬物の適正使用に必要な知識とその進歩に追随でき 4∼5年次には、2.5ヵ月ずつ薬局および病院で長期実務実習を行 る科学的基盤を持ち、 そして患者さんを最優先にしたチーム医療を担 うとともに、生命科学や医薬品開発など高度医療に対応した講義科 う薬剤師を育てるカリキュラムとして、 日本薬学会がまとめた 「薬学教 目が用意されています。 育モデル・コアカリキュラム」 を基本としています。薬剤師の技能を持 なお、4∼6年次に問題解決能力の養成を目的として、それまで学 つだけではなく、患者さんの立場に立って考えることのできる医療人 んできた知識と経験の集大成として卒業研究を行います。また、グ を育てるという目的を果たすため、 ヒューマニズム教育に加え、 コミュ ローバル社会で活躍できる語学力を養います。 ニケーション能力の養成、 さらには医療倫理教育を統合的に行ってい ます。 1年次にはSGL(少人数の学生がグループで、主体的に問題を 解決していく学習法) を導入し、生命倫理を学びます。生命の尊厳を 認識しつつ、 プレゼンテーションスキルを学ぶことによって、医療の担 GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES い手にふさわしい態度を身につけます。 また、化学、物理、生物など科 学の基礎学力を鍛え、専門教育に備えます。 2∼3年次は、主に薬剤師にとって重要な科学の基盤となる基礎 薬学専門科目を履修します。 4年次には、実務実習に出る前に、医療薬学を中心とした統合型の 医療系集中講義、実務実習事前学習を行います。 この事前学習は、 キャンパス内にある附属薬局も活用して行われます。 ヒューマニズムについて学ぶ 生命に関わる職業人になることを自覚し、 それにふさわしい行動態度がとれ 白衣式 薬学専門教育 薬の作用を理解するための基礎となる科学について、有機化学、生命科学、 るような教育を少人数制演習 (SGL) で行います。生命の尊厳、医療の担い手と 物理化学、分析化学、天然物化学などを講義と実習で学びます。 これらの基盤 しての心構え、信頼関係の確立などをテーマとして情報収集、討論、 プロダクツ の上に健康と環境、薬の効くプロセス、薬物治療、薬剤学、薬学と社会など薬の 作成、発表します。 この過程で、 コミュニケーション能力やプレゼンテーション 専門家となるために必要な分野を学びます。 能力が身につくようにもなります。 実務実習教育 附属薬局・医薬品情報(DI)室・無菌製剤室などの施設を活用し、臨床の現 薬学生としてのモチベーションを高め、医療、社会における薬学の役割と使 場での実務実習を行う前に、事前実習・講義を行います。 その後、2.5ヵ月ずつ、 命を理解するための講義と体験学習です。薬学の歴史、薬剤師の活動分野、現 慶應義塾大学病院およびその関連病院等と近隣薬局での実務実習を行い、実 代社会と薬学の接点などとともに、薬剤師が活躍する現場を体験します。 学としての薬剤師教育を行います。 薬学準備教育 SUPPORT SYSTEM / DATA 薬学へのイントロダクション 卒業研究・アドバンスト教育 医療人として豊かな教養を備えるために人文科学、社会科学、語学など広い 医療現場での問題解決能力の向上を目的とした卒業研究を、全員が各講座 知識を身につけます。 「薬学教育モデル・コアカリキュラム」 でも重視されている に所属して行います。 また、 「薬学教育モデル・コアカリキュラム」 よりも、 さらに 人文科学、社会科学系科目は、 日吉キャンパスで他学部生と共に学び、視野を 高度な講義、 アドバンスト病院実習を選択できるようにしています。 広げます。 医療系三学部合同インターディシプリナリー教育 慶應義塾大学医学部、看護医療学部、薬学部の医療系三学部は将来チーム について、 4年次ではそれまでに学んだことが他学部の学生とどのような協力 医療を担う人材をできるだけ早期から育成するため三学部の合同授業を行っ 関係をもちうるかについて考えを述べ合います。 6年次は病院実習などの経験 ています。薬学部生は1年次、 4年次、 6年次の3回、 それぞれ1日ずつ、他学部 を活かし症例検討します。 どの年次もグループワークの結果を発表して類似 の学生と小グループを組んでディスカッションします。 1年次は生きることや命 点、相違点を確認し後の勉強への活用を目標にします。 5 アドバンスト海外病院実習 薬学科では、海外の病院において臨床薬剤師の役割を学ぶ機会を提供して 時には現地の指導薬剤師の指導下で実際に患者の薬物治療に参画します。 そ います。海外病院実習に参加を希望する学生は、選考を受けた後、5年次秋学期 して、海外の先進的な薬物治療や薬剤師の役割を学ぶことはもちろん、実践的 と6年次春学期に、主に外国人講師による約4週間の事前講義を受け、6年次の な医療英語の力を磨き、国際的な人脈を築くなど、大変多くのものを得ることが 夏に約1ヶ月間、米国またはタイの病院での実習を経験します。両国では薬剤師 できます。 が薬物治療に貢献していますが、本実習では、 それらを見学するだけではなく、 卒業後の進路 薬科学科 博士課程︵4年︶ 大学院 学士 (薬学) 国家試験合格 [6年制] 学部卒業 薬学科 博士 (薬学) 進路 ●医療現場で活躍する ● 病院薬剤師 ● 薬局薬剤師 ● 医薬情報担当者 ●治験担当者 ●国家・地方公務員 ●製薬・化学・バイオ研究者・技術者 ●公的研究機関研究員 ●大学教員など Department of Pharmaceutical Sciences 設置科目 創薬、環境、生命科学など幅広い薬学関連分野を学ぶ 創薬などの高度な生命科学を教育・研究している薬学は、世界に例を また、日本の知的集約産業としての創薬産業は国際競争力の強化が 見ない日本独自のものです。 これは日本の薬学が明治時代に始まった時 必要とされており、研究者個人にも世界の薬学研究をリードしていくこ からの伝統であり、創薬分野で日本の薬学は大きな貢献をしてきました。 とが期待されていま この伝統を引き継ぐ薬科学科は、医薬品の創製、開発、生産、 さらには す。 こうした状況のな 食品、化粧品、環境や衛生分野などの薬学関連領域での教育・研究に従 か、国際社会に通じる 事する人材の養成を目的としています。自然科学を学ぶことはもちろん 外国語の修得を目指 ですが、 これに加えて薬学としての特徴的科目を学ぶことのできるカリ して、語学教育にも力 キュラムとなっています。 を入れています。 薬学の特徴的科目は医薬品など健康に影響をおよぼす化合物を考え る際に必須です。高齢化社会の進行とともに健康に関心が集まり、 「体」 「病気」 「くすり」の科学を学んだ薬学部出身者に対する社会の期待は大 きく、薬科学科では、 それに充分対応できる教育を行っています。 薬科学科は1学年60名と少数精鋭で、 1年次から卒業後の進路に密 着した講義、実習が用意され、教員と密接に連絡を取りながら、教育と研 究指導を受けることができます。最終学年では、それまでに修得した知 識と技術を駆使して卒業研究を行い、問題解決能力を養います。 薬科学へのイントロダクション 6 薬学準備教育 最初の学年で将来の自分をシミュレートするとともに、 これから学習すること 医療人として豊かな教養を備えるために人文科学、社会科学、語学など広い がどのように将来とつながっているかを学ぶための体験学習です。実際の大学 知識を身につけます。 「薬学教育モデル・コアカリキュラム」 でも重視されている 研究室内での体験研究と、製薬関連企業の見学、 そこで働く先輩たちとの懇談 人文科学、社会科学系科目は、 日吉キャンパスで他学部生と共に学び、視野を など、多彩なプログラムが用意されています。 広げます。 薬科学専門教育 卒業実習 自然科学を学ぶことに加え、薬学としての特徴的専門科目を学ぶために、薬 4年次に行う卒業実習は、学生の進路に合わせ、実験と講義を担当教員と相 学科と共通の講義を数多く取り入れています。健康、環境、薬を理解する基礎 談しながら組み立てます。研究を選択する学生はほぼ1年間卒業研究に没頭 となる科学として、有機化学、生命科学、物理化学、分析化学、天然物化学など し、医薬情報担当者(MR) の道を目指す学生は、 それに必要な選択科目を受講 を講義と実習で学びます。 これらの基礎科学も、常に体、病気、薬を意識した内 することもできます。 容です。 態学、製剤学、医薬品開発などを学びます。 また、薬物治療学なども選択できま す。 大学院への進学 FACULTY OF PHARMACY さらに薬学部の特徴的講義である、健康と環境、薬の効くプロセス、薬物動 学生の多くは大学院に進学して、 より高度な研究経験を積みます。特に優秀 な学生には3年次終了後、直ちに大学院修士課程に入学できる飛び級制度を アドバンスト実験実習 設けています。学部卒業後すぐに製薬会社等へ就職して活躍することもできま 2、 3年次に、本格的な研究の入口として実験、討議、結果発表を行い、科学 すが、大学や企業の研究者、教育者を目指す学生にとって、大学院進学は将来 的思考法を身につけます。実験科学は従来の研究成果を基に仮説を立て、 それ への大切な一歩になることでしょう。 を証明する実験を計画、実行し、結果の解析を行います。具体的には 「抗酸化 剤の構造と活性の研究」 などがあります。 卒業後の進路 学士(薬科学) 博士 (薬科学) 進路 ●製薬・化学・食品・農薬・バイオ研究者・技術者 ●国家・地方公務員 ●知的財産(特許等)担当者 ●医薬情報担当者 ●商社・金融・情報関連企業担当者 ●公的研究機関研究員 ●大学教員など ●治験担当者 GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES 後期博士課程 ︵3年︶ 前期博士課程︵2年︶ 大学院 [4年制] 学部卒業 薬科学科 修士 (薬科学) 学部生の声 「人」に恵まれた環境で、 たくさんのことを 学ぶことができる。 先生方や友人と 意を交えながら志を 高め合うことができる。 薬学科6年 薬科学科4年 渡邉 みずほ 大学生活では、講義や実習、サークル活動などを通し、学 薬学部の授業はどの科目も専門性が高く、実習も幅広い分 年・学部を超えた関係を築くことができます。実際に、私は 野を扱うため、学びがいがあり多くの知識を身につけることが オーケストラ部に所属し、他学部の友人とともに活動してい できます。 また、忙しい合間をぬってサークル活動に参加するこ ます。薬学部に入り、初めは 「こんなに多くのことを学ぶのか」 ともでき、友人との楽しい時間を過ごしています。 と戸惑っていましたが、 その内容は薬剤師や研究者になるた 私の所属している薬理学講座では神経変性疾患に関する研 めに必要なことであったと、今、 身をもって感じています。実務 究をしていますが、分からないことも多く難しいと感じることも 実習を通し、薬剤師に求められる専門的な知識やコミュニ 多くあります。 しかしその分学べることがたくさんあり、充実し ケーション能力について、薬剤師や他の医療従事者、そして た毎日を送っています。 また研究室では先生方や友人と気軽に 患者さんから学びました。研究室では、先生や先輩、友人との 意見を交えることができ、お互いの志を高め合うことができま ディスカッションから多くの刺激を受けています。 「人」 に恵ま す。 このようなアットホームな環境で、 より成長していきたいと れた環境で、 たくさんのことを学べていると実感しています。 思います。 SUPPORT SYSTEM / DATA 藤谷 万 7 研究・教育グループ紹介 ▶英文HPアドレス http://www.pha.keio.ac.jp/en/index.html Organic and Biocatalytic Chemistry 有機薬化学 須貝 威・庄司 満・花屋 賢悟 SUGAI Takeshi, SHOJI Mitsuru, HANAYA Kengo https://www.youtube.com/channel/UCh2LuV20MolDEab7qXWl9_g 天然有機化合物や医薬品を題材に、 「有 用いるケトンの不斉還元を活用した独自のルートで、骨粗しょう症治療薬 機化学」 の反応や合成プロセスを、科学とし として有望なマジンドリンAの全合成に成功しました。現在、 ステロイド骨 て研究しています。同時に、創薬化学に求め 格の効率的合成法の開拓にチャレンジしています。 られる有機合成の技術教育に携わっていま す。研究の特徴として、私たちの体内で生命 基礎有機化学 (サイエンス) バイオ マス 維持に不可欠な働きをしている 「酵素」を、 化学反応の触媒として有機合成に活用して います。世界第一級レベルの成果の中、例え ファイン ケミカルズ ば転写因子のひとつであるNF-κBの阻害剤 須貝 威 教授 Professor SUGAI DHMEQの合成では、体内で脂肪の分解に 生理活性 天然物 使われているリパーゼが、欲しい(−)鏡像異 性体だけを純粋に取り出す切り札として活 応用微生物学 (バイオテクノロジー) 躍しています。 薬理活性、毒性などの興味深い生理活性をもつ、 これまでにない構造の 有機化合物が、続々と報告されています。新しい物質を前臨床、臨床試験 に進め、本当に薬として世の中の役に立つようにするには、純粋な物質を 大量につくれる、 よい合成の設計図が必要です。 1つの山に複数の登山 ルートがあるように、 1つの化合物に対し、 いくつもの合成ルート、 すなわ ち設計図が考えられます。私たちは、今まで誰も描けなかった、 「よい設計 Towards the development of synthetic organic chemistry on pharmaceuticals, 1) total synthesis of bioactive natural products; 2) complementary use of chemical and enzyme-catalyzed synthesis; 3) carbohydrate chemistry, 4) exploration of hybrid enzymes, are studied. 図」作りを目標に、独自に見つけた化学反応、酵素反応や新しい人工酵素 を 段階にして、 さまざまな物質の有機合成に挑戦しています。酵母菌を Natural Medicines 天然医薬資源学 Professor KIUCHI 「天然物を人の健康に役立てる」 ことを大 るいはモデル合成を行ない、 サイトカイン産生能、 メラノーマの増殖抑制、 NO産生抑制等を指標に医薬品への応用を模索する。 また、寄生虫の持つ 究を展開しています。 糖鎖の抗原性構造を合成的に明らかにするとともに、合成した糖鎖の診断 1.生理活性を有する植物成分の探索:種々 薬としての応用も視野に入れた研究を行っている。 の和漢生薬、世界各地で用いられている薬 これらのテーマはいずれも天然物化学を基盤としており、化合物を取り 用植物や食品素材を用い、 その薬物代謝酵 扱う技術をマスターす 素の誘導・阻害活性、プロテアーゼ阻害活 ると共に、積極的に研究 性、各種ストレスに対する細胞保護活性、抗 を進め学会発表並びに 投稿できる力を養成す 開発のためのリード化合物として提供する。 べく指導すると同時に、 2.生薬・漢方の有効性の科学的基礎の構 「草(自然) を楽しむ学問 築:生薬からは多くの薬理活性成分が単離されているが、薬として充分理 =薬学」 を目指して日々 解されている訳ではなく、特に じる過程で起こる成分変化等については 努力しています。 合物は何か?、更に良い生薬(=よく効く生薬) とは何か?を探る。 3.生物活性を有する複合糖質の合成研究:ポストゲノム時代の現在、糖 鎖の機能研究が急速に進み、細胞表層における複合糖質が、免疫系や細 胞間認識に重要な役割を担い、多くの生命現象に深く関与する分子種で あることが明らかになりつつある。当講座では、研究の進んでいない無脊 椎動物から見出された糖鎖に素材を求め、 これらの複合糖質の全合成あ 黄連解毒湯の有効性の解析 LPS macrophage activated macrophage 阻害 英語原著論文を作成し 活性物質を単離・構造決定し、医薬品等の 不明な点が多い。 そこで、処方として服用する際に実際に作用している化 8 KIUCHI Fumiyuki, HADA Noriyasu, NARUKAWA Yuji きな目標に、次の3つのテーマを柱として研 酸化活性を指標として、 そこに含まれる生物 木内 文之 教授 木内 文之・羽田 紀康・成川 佑次 阻害 NO オウバク オウレン PGE2 炎症 抗炎症作用 黄連解毒湯 オウゴン Aiming at the better use of natural products for human health, 1) exploration of biologically active compounds from plant resources to identify new lead compounds for pharmaceuticals, 2) studies to establish scientific basis of the effectiveness of crude drugs and Kampo formulae, and 3) synthetic studies on glycoconjugates from invertebrates and higher plants to elucidate their biological functions, are in progress. Bioorganic and Medicinal Chemistry 医薬品化学 FACULTY OF PHARMACY 増野 匡彦・大江 知之・高橋 恭子 MASHINO Tadahiko, OHE Tomoyuki, TAKAHASHI Kyoko 有機化学をベースに自分たちでデザイ ン、合成した化合物の生理活性などを検討 し、新規医薬品リード化合物の開発および 環境物質の毒性発現機構の検索などを行っ 疾病 活性酸素 フリーラジカル ています。具体的な研究テーマを以下に示 します。 Professor MASHINO 新規医薬品の可能性 新規炭素同素体フラーレンの応用研究 薬物代謝酵素シトクロムP450による薬物、環境物質の活性化 新しい炭素化合物であるフラーレン類の 体の中に入ってきた薬物や環境物質はどのように構造が変化するのか 化学的性質に基づいた抗酸化活性や抗が 有機化学的に研究し、 それら代謝物の生理活性も検討しています。 これを ん作用、 さらには抗HIV、抗C型肝炎ウイル 基に新規薬物の探索や、環境物質の毒性発現機構を解明します。 ス活性を見出しており医薬品リード化合物 の開発を目指すとともに、新たな炭素素材の 新規代謝物 開発も行っています。 新規抗酸化物質の開発 薬物・環境物質 活性酵素・フリーラジカ ルを消去する抗酸化剤は 新たな薬の候補と考えられ がん細胞増殖抑制効果 ていますが、現在抗酸化活 シトクロムP450 抗ウイルス活性 抗酸化活性 性が主作用と認められてい る薬は一つしかありません。 そこで、従来のものとは異なる骨格を有する新 新しい薬効?毒性?? GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES 増野 匡彦 教授 抗酸化剤 Synthesis and design of bioactive fullerene derivatives and antioxidants as novel lead compounds for medicine. Search for new metabolic pathways of endogenous compounds catalyzed by cytochrome P450. 規抗酸化剤を創ることにチャレンジしています。 Hygienic Chemistry 衛生化学 田村 悦臣・多胡 めぐみ・清水 美貴子・中澤 洋介 TAMURA Hiroomi, TAGO Megumi, SHIMIZU Mikiko, NAKAZAWA Yosuke 肥満、高脂血症、動脈硬化や糖尿病、高血 生物学的に解析しています。 圧などの生活習慣病の予防は、国民の健康 にとって喫緊の課題です。本講座では、食を 通じた生活習慣病の予防を目指し、様々な コーヒーは脂肪細胞の脂肪の蓄積を阻害する 角度から研究を進めています。 1) コーヒーによる生活習慣病予防効果の 分子基盤 近年、 コーヒーに関して、がんや糖尿病、 認知症など、様々な生活習慣病に対して予 Professor TAMURA 防効果があるという疫学的研究が多数報告 SUPPORT SYSTEM / DATA 田村 悦臣 教授 されています。そこで、 コーヒー成分の生活 習慣病予防効果のメカニズムを分子論的に 解明することを目指し、研究を進めています。現在、糖尿病の大きな原因の 1つである肥満の予防効果や大腸がん、乳がんなどに対する効果について コーヒーなし コーヒー添加(2.5%) (脂肪滴が赤く染色されている) 研究をすすめています。特に、 コーヒー成分の細胞増殖シグナル伝達系に 対する効果、 エピジェネティクな効果に注目しています。 2)乳酸菌による生活習慣症予防効果の分子基盤の解析 ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌の習慣的な摂取が、 がんや 高脂血症、炎症性消化器疾患などの生活習慣病を予防する効果があるい う疫学的研究が報告されています。本講座では、 ヒト消化管由来培養細胞 を用いて、 コレステロール吸収や免疫系に対する乳酸菌などの効果を分子 Prevention of lifestyle-related diseases including obesity, hyperlipidemia, arteriosclerosis, diabetes, and hypertension is an urgent issue to improve the health of our nation. Aiming at prevention of these diseases through diet, we are investigating several issues from various angles. We are now focusing on functional foods such as coffee, probiotics and natural products. 9 研究・教育グループ紹介 Biochemistry 生化学 長谷 耕二・石井 功・髙橋 大輔 HASE Koji, ISHII Isao, TAKAHASHI Daisuke 近年、花粉症、食物アレルギー、炎症性腸 長谷 耕二 教授 Professor HASE デルの解析を通じて、IBDの発症メカニズムの解明を目指します。 疾患などの免疫アレルギー疾患の患者数が さらには、 4)心血管病発症のリスクファクターであるホモシステイ 年々増加しています。 これらの疾患の発症に ンや多彩な生理機能を担うガス性メディエーターである硫化水素など は、消化管や呼吸器などの粘膜組織におけ の含 硫アミノ酸 代 謝 る上皮バリアの破綻や免疫制御異常が深く 物の作用機序の解 関わっています。当講座では、免疫学、生化 明、 5)飢餓、アミノ酸 学、上皮細胞生物学、細菌学などの知的基 飢 餓による代 謝リモ 盤 を軸とした 粘 膜 バリア学( M u c o s a l デリングの機 構 解 明 Barriology)研究を推進しています。 と臨 床 応 用を目指し 1)特殊上皮M細胞による粘膜抗原取り ています。 込み機構の解明:パイエル板上皮層に存在 本 講 座は2 0 1 4 年 するM細胞は、粘膜に存在する抗原の一部 度に発足したばかりの をパイエル板などの粘膜関連リンパ組織に取り込むことで、粘膜面の免疫 新しい研究室です。高 監視に実行しています。本研究ではM細胞による抗原取り込みの分子機 い志と広い視野を持っ 病原性細菌・ウイルス 未知の取り込み 受容体の同定 M細胞 (パイエル板 上皮層) 生体におけるM細胞の重要性 構を解析します。 た国際的な人材の育 2)腸内由来代謝産物による免疫修飾作用の解明:ヒト腸管には100兆 成を目指しています。 個にも達する細菌が棲息しており、 これら腸内細菌には、上皮バリア機能 “Mucosal Barriology” is the newly emerging research field as the science of barriers in multicellular organisms. The integrity of mucosal barrier may ensure gut immune homeostasis. The goal of our study is to understand the biological significance as well as the molecular machinery of barrier on the mucosal surface. を高め、腸管免疫系の発達を促す作用があります。本研究では腸内細菌が 産生する代謝物に着目し、 そのメカニズムを明らかにします。 3)炎症性腸疾患の発症メカニズムの解明:炎症性腸疾患(IBD) は原因 不明の難治性疾患です。上皮バリアや粘膜免疫系の異常を示すマウスモ Pharmacology 薬理学 三澤 日出巳・奥田 隆志・森脇 康博 MISAWA Hidemi, OKUDA Takashi, MORIWAKI Yasuhiro アルツハイマー病などの多くの神経変性 本講座は、Research University慶應義塾大学の一端を担い、独創性 疾患でアセチルコリン神経系の異常が知ら の高い研究を世界に発信することを目標としています。研究活動で自己表 れています。薬理学講座では、 アセチルコリ 現・自己実現ができる志の高い諸君との出会いを期待します。 ン神経系を中心に脳の高次機能およびその 制御の分子機構の解明、そしてアルツハイ マー病、 パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化 症などの神経変性疾患の病因解明に向けた 研究を行っています。 アセチルコリン合成に関与するコリントラ 三澤 日出巳 教授 Professor MISAWA ンスポーターなどの分子機能、制御機構を 生化学・分子生物学的手法を用いて明らか にすることにより、 アセチルコリン神経機能 とその制御機構の解明を目指しています。 神経変性疾患の多くは弧発性ですが、遺伝子異常に基づく場合(家族 性) も知られています。 このため、遺伝的要因である病因遺伝子の機能を 解析することで、弧発性疾患の発症メカニズムの解明に繋がる可能性が あります。 また、 これらの疾患の共通点として、細胞内に異常タンパク質が 蓄積することが近年注目されています。本講座では、神経病理、細胞生物、 分子生物、生化学などの多様な手法を用いて、異常タンパク質の蓄積メカ ニズムの解明など神経変性疾患の発症メカニズムの探求と治療薬の開発 に取り組んでいます。 10 The main goals of our research are to elucidate physiological and pathological roles of cholinergic neurons in neurologic/psychiatric diseases such as Alzheimer's, Parkinson's, amyotrophic lateral sclerosis (ALS) and schizophrenia, and ultimately to develop better pharmacological interventions to these devastating conditions. Chemotherapy 化学療法学 化学療法学講座では、がんの化学療法・ また私たちは、 ゲノム医学や先端医療の分野では、遺伝子多型解析によ 分子標的治療・先端医療についての研究を る抗がん剤反応性予測の研究、抗がん剤耐性遺伝子をがん患者の正常造 行っています。 血幹細胞に導入する耐性遺伝子治療の臨床研究などに取り組んでいま 近年の分子生物学の進歩によりがんの本 す。研究室のメンバーは皆、実際のがん治療に少しでも役立つような成果 態解明が進み、がん特異的な生存と増殖の を目指して、精力的に研究を行っています。 メカニズムが明らかになってきました。 これ 抗がん剤排出トランスポーターの機能と抗がん剤の効果 私たちは、 こうした新しいがん分子標的薬の 杉本 芳一 教授 Professor SUGIMOTO 開発とその作用機構の研究に取り組んでい 排出 正常時 ます。 一方、抗がん剤や分子標的薬の作用と副 作用に重要な影響を与えるのが、P-糖タンパク質(ABCB1)、BCRP (ABCG2) などのABCトランスポーターです。 これらのトランスポーター は、種々の抗がん剤や分子標的薬を細胞外に排出するポンプとして機能す 常組織におけるトランスポーター活性の低下は、抗がん剤の血中濃度の 増大と副作用の増強を引き起こすと考えられます。私たちは、 トランスポー ターの発現と生理機能、特に抗がん剤の効果と副作用への関わりについ て研究を行っています。 イリノテカン 標的以外 取り込み 排出 トランスポーターの 機能が低下した時 ゲフィチニブ 標的分子 抗がん剤 取り込み る一方、正常の肝臓、腎臓、消化管などに発現して抗がん剤や種々の生理 活性物質・薬物・毒物を体外に排出する働きを担っています。 このため、正 標的分子 抗がん剤 標的以外 血中濃度の上昇作用と副作用の増強 GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES をもとに、がん特異的な分子をターゲットと する薬の開発が精力的に行われています。 FACULTY OF PHARMACY 杉本 芳一・野口 耕司・片山 和浩 SUGIMOTO Yoshikazu, NOGUCHI Kohji, KATAYAMA Kazuhiro イマチニブ Recent advance in molecular biology of cancer has provided the rationale for the control of cancer. Our research is focused on molecular-targeted therapy of cancer, anticancer drug resistance, gene therapy and regenerative medicine. Pharmaceutical Physical Chemistry 創薬物理化学 金澤 秀子・伊藤 佳子・蛭田 勇樹 KANAZAWA Hideko, NAGATA-ITOH Yoshiko, HIRUTA Yuuki 1)機能性高分子を用いた新規分離シス 4)食品中抗酸化成分の機能評価:茶カテキンなどのポリフェノールのア テムの開発:環境変化を自ら認識し応答す ルツハイマー予防効果などの脳機能に対する機能評価、 ビタミンEなどの る高分子を分子設計し、新しい概念の分離 抗酸化物質と生体内在性ラジカルとの相互作用解析についての研究を システムの構築を目指しています。 これまで 行っています。 温度応答性高分子を修飾した充填剤を開 発し、温度により分離選択性を制御する新 しい原理のクロマトグラフィーシステムを開 発し、HPLC用充填カラムは既に市販されて います。 Professor KANAZAWA 2)機能性ナノキャリアによるDDS:機能 SUPPORT SYSTEM / DATA 金澤 秀子 教授 性高分子をナノ粒子に導入し、効果的に標 的細胞に送達し、薬物放出制御機能も有し たDDS製剤の構築を目指しています。機能性高分子を修飾したリポソー ムによる抗がん剤のDDSでは、 がん細胞を用いた検討により刺激応答によ る薬物放出制御が確認されました。効果的な遺伝子導入にも成功してい ます。 3)生体内可視化蛍光プローブに関する研究:生体内分子の動的挙動 を解明するためのバイオイメージング研究に取り組んでいます。新たに分 子設計した機能性高分子に蛍光団を結合した蛍光プローブを作成し、高 分子の相転移温度前後で蛍光強度が大きく変化する蛍光プローブを開発 し、細胞内イメージングに成功しています。 DDS用ナノ粒子の 電子顕微鏡写真 炎症細胞への取り込み Our laboratory conducts pharmaceutical science education and research, based on physical chemistry. Our purpose is to explore new functional materials, by use of novel polymers, with the goals of developing new bio-separation systems, drug delivery systems (DDS), and molecular probes for cellular imaging. 11 研究・教育グループ紹介 Drug Discovery and Development 創薬科学 望月 眞弓 (兼) ・田中 健一郎・石原 知明 MOCHIZUKI Mayumi, TANAKA Kenichiro, ISHIHARA Tomoaki 研究室の目的は以下の3つです。①独創的な基礎研究を行う、②その基 創薬科学講座では、 分子生物学、 細胞生物学、 分析化学、 薬理学、 DDS、 礎研究を応用して、 画期的な新薬を開発する、 ③それらの研究を通して、 世 有機合成、 薬物動態学など様々な手法を用いて研究を行っています。 また、 界で活躍できる一流の創薬研究者、 指導的な薬剤師を育てる。 卒業生は創薬に関する幅広い知識と技術を持った科学者として、 製薬企業 自らの努力で、 自分がこの世を去った後も人の命を救う薬を世に残す創 の研究所や病院薬剤部などで活躍しています。 薬研究は本当に素晴らしいと思います (どんなに優秀な外科医でも、 自分が 死んだ後に人の命を救うことは出来ません) 。 創薬科学講座では、 創薬研究 者を育てることに力を注いでいます。 また、 これからの指導的な薬剤師は、 科学者として十分な実力を持っていること、即ち科学者としても医師や患 者さんから信頼されることが求められます。 そこで将来薬剤師を目指す学 生さんにも、科学者、研究者として世界に通用する力を身につけさせたいと 思っています。 これまでに、 タンパク質の変性が原因の疾患であるアルツハイマ一病 The purpose of education and research held in our laboratory is performance of basic science with high originality; development of beneficial medicines through application of such basic science; and training of students to become international pharmaceutical scientists and leading pharmacist through such research. The characteristic feature of our laboratory is that we are actually developing medicines such as those for interstitial pneumonia for which no effective medicine is available at present. (現在臨床で使われている薬は症状を抑えるだけで、病気の進行を止める ことは出来ません) に対して、変性したタンパク質を元に戻すHSPというタ ンパク質を増やして、根本的にこの疾患を治療する医薬品の開発などを 行っています。 また医薬品だけでなく、 化粧品の開発を目指した研究も行っ ています。 Division of Physics for Life Functions 生命機能物理学 生命機能物理学講座は、 「 様々な生命現 大澤 匡範・横川 真梨子 OSAWA Masanori, YOKOGAWA Mariko パク質にぴったり結合している様子を示しました。 タミフル(カギ) の化学 象を担う生体高分子(主にタンパク質) の機 構造上の官能基が、 ノイラミニダーゼ (カギ穴) のアミノ酸残基と相互作用 能がどのようなメカニズムで生じるのかを、 している様子が原子レベルで明らかになっています。 これを基にして新し 核磁気共鳴(NMR)法やX線結晶解析といっ い薬のデザインも可能となります。 た物理学・量子化学的な解析手法により、生 アルキル基が脂溶性と 蛋白質との相補性を 向上させる 命現象のメカニズムを原子レベルで解明す る」 ことを目標にしています。 多くの生命現象は、アミノ酸の鎖(ポリ 二重結合の導入により 基質の遷移状態をミミック タミフル マー) であるタンパク質によって担われてい 大澤 匡範 教授 Professor OSAWA この部位の塩基性 グループは、Glu119と Glu227の酸性ポケット に結合する ます。 タンパク質のアミノ酸の鎖は、生体内 で巧妙に折りたたまれて3次元的な形(立体 構造) を形成しています。薬の作用のイメー 酸素の除去により 分子の安定性向上 ノイラミニダーゼ・タミフル 複合体の結晶構造 PDB code:1A4G タミフル結合様式 の詳細 Wade R.C.Structure(1997). 結合様式に基づく ドラッグデザイン Kim C.U.et al,J.M.C(1998). ジとして 「カギとカギ穴」 の話をご存知でしょう。 そのカギ穴の形がタンパ ク質の立体構造です。 それぞれのタンパク質に決まった形のカギ穴がある ことで、 そのタンパク質はカギ穴にぴったり当てはまる物質を結合すること が出来ます。 ですから、 タンパク質の立体構造や、 どのようなカギをどのカ ギ穴に結合させるのか、 といったことが分かれば、 タンパク質が機能を発 揮するからくり、生命現象のメカニズムを解明することにつながるだけで なく、 カギ穴にぴったり結合する薬を産み出すアイデア (創薬戦略) を作り 出します。 図には、 インフルエンザの薬「タミフル」 が、 ノイラミニダーゼというタン 12 Our research objectives are: (1) to reveal structural mechanisms of proteins critical for life functions at atomic level, (2) to establish novel strategies for drug developments based on the mechanisms, and (3) to create compounds to regulate the life functions. Pharmaceutics 薬剤学 FACULTY OF PHARMACY 中島 恵美・登美 斉俊・西村 友宏 NAKASHIMA Emi, TOMI Masatoshi, NISHIMURA Tomohiro 「薬剤学」 は、薬を安全かつ有効に人体に を規定するメカニズムを解明するため、脳科学的手法を用いた新しい挑戦 適用することで病気を癒すことを目的とした を始めています。 学問分野です。本講座は「個別薬剤療法の 薬物および栄養物の胎盤透過機構解明 システム構築と応用」 をテーマに、個体差の 克服、新規薬剤標的の発見をめざしていま す。生物薬剤学、薬物動態学、分子生物学、 臨床薬理学の手法を使っています。 ① 胎盤関門透過メカニズムの解明 胎盤は胎児と母体の接点であり、栄養物・ 中島 恵美 教授 Professor NAKASHIMA 母体血側 老廃物や薬物の輸送を制御する胎盤関門が あります。胎盤関門には、様々なトランスポー ターがあり、 さらにはホルモンを合成し、母体 胎児血側 血中へ放出する機能もあります。 しかし、胎盤関門における物質輸送機構 胎盤関門研究を進めるには、適切な実験材料・手法の利用がキーとなり ます。私たちは、独自に樹立したラット胎盤関門培養細胞株などを活用し、 世界中の研究者との共同研究を精力的に進めています。 ② OTCセラピーの開発に向けた取り組み OTC(over the counter) Therapy は、国民のヘルスケアをサポート する重要な課題です。我々は 「薬理効果と心理効果の相乗」 する個別化医 療の発展を目指しています。OTC薬適用により生じる心理反応の個体差 Our ultimate goal is to achieve progress in “Individualized Pharmaceutical Care”. In order to optimize pharmacotherapy, it is important to know the mechanism of fate of drugs in the body. We work to elucidate the molecular mechanisms of blood-tissue barriers, especially the placental barrier. We are also developing systems for over the counter (OTC) therapy to improve own health care of consumers. We are aiming at the individualization of the brain-body medicine. Clinical Physiology and Therapeutics 病態生理学 GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES は腎臓や肝臓などと比べ、研究するべき課題が未だ多く残されています。 服部 豊・松下 麻衣子・市川 大樹 HATTORI Yutaka, MATSUSHITA Maiko, ICHIKAWA Daiju 本講座では、基礎研究成果を臨床応用し テーマとしています。特に、 白血病細胞や多発性骨髄腫細胞に特異的に発 たり、診療の現場から出てきた疑問を基礎 現している新規癌抗原を見出しており、 この抗原をターゲットとした細胞 研究によって解明するトランスレーショナル 傷害性T細胞の免疫学的検討を行ってゆきます。 さらに、 この抗原に由来 リサーチを展開します。新規診断法の確立、 するペプチドを用いた免疫療法の臨床応用を目指しています。 薬物代謝、新規医薬品・治療法の開発を通 じて 「病める人を救う薬学研究」 をテーマと します。 例えば、一部の急性白血病や悪性リンパ 腫では治癒が可能となってきましたが、多発 Professor HATTORI 性骨髄腫や骨髄異形成症候群(MDS)など の難治性造血器腫瘍に対してはいまだ治癒 が困難で、新しい診断・治療法の開発が切望 されています。我々は、多発性骨髄腫において、骨髄腫瘍血管新生がその病 態に重要な役割を果たしていることを突き止めています。 この知見をもと に、抗血管新生作用を有する新規サリドマイド誘導体や独自に見出した新 規化合物を用いて、動物実験も含めて新しい治療法を確立します。 その過 程で、新規薬剤の標的分子の遺伝子クローニングなどにもチャレンジしま す。 これらは、塾理工学部、医学部や他大学等との共同研究として遂行して ゆきます。 さらに、塾医学部や関連病院と共同で、造血器腫瘍や糖尿病など に対する臨床研究も展開してゆきます。 また、近年、難治癌の治療法として注目されている免疫療法の開発も 骨髄腫細胞 病的骨折 SUPPORT SYSTEM / DATA 服部 豊 教授 がん細胞と細胞傷害性T細胞 Our laboratory is aiming at conquest of therapy-resistant cancer by means of translational research. For example, multiple myeloma is an incurable hematological malignancy despite of application of stem cell transplantation or chemotherapy using novel drugs. By designing new drugs, elaborating our original biological techniques and also conducting clinical trial, we are challenging to develop more effective and much safer pharmacotherapy to overcome refractory cancer. We are also trying to develop immunotherapy for patients with hematological malignancies using novel tumor-specific antigens. 13 研究・教育グループ紹介 Pharmacotherapeutics 薬物治療学 薬物治療学講座は、薬学と医学を結ぶ医 齋藤 英胤 教授 Professor SAITO 齋藤 英胤・齋藤 義正・木村 真規 SAITO Hidetsugu, SAITO Yoshimasa, KIMURA Masaki として現在、 エピジェネティクスとmicroRNAを考えています。 療薬学系講座としての使命を持っています。 私たちは、 21世紀に望まれる優れた薬剤師、 研究者、 そしてそのリーダー 薬学の大きな目的の一つは、 人の病気を治す を育成したいと 薬を創ることに加え、病人と向かい合う姿勢 考えております も大切です。 どんなに優れた薬があっても患 が、皆様と一緒 者さんや医師のニーズに適切に対応するク になって考え、 スリでなければなりません。 すなわち根底に チャレンジしな は疾病構造や疾病そのもの、 そして人間性の がら講座を創っ 理解が求められます。 当講座では将来、 医薬、 ていきたいと考 食品などで直接、人と関わり活躍する上で、 えています。興 必要な知識習得や人間性構築の機会を創っ 味をお持ちの若 ていきます。 い力の参加を心 現在私たちは、 体の恒常性に重要な代謝や特に消化器癌に関する研究を からお待ちして 行っています。 すなわち消化器や筋、 脂肪組織を中心に据えて、 将来的に重 います。 要な疾患、 時代に即した疾患に焦点を当てて、 bench to bedを目指して病 We are always thinking what is the best “pharmacotherapeutics”, a name of our own division. Our division is always being created by young power in a mind of every member. Our research interests are now mainly in gastroenterology including cancer and metabolic diseases, but nobody refuse what you want to challenge. We need your motivation and young power. If you have interested in our division, why not join us? 態の理解や創薬への橋懸かりを探索しています。 例えば、 メタボリック症候 群の予防・治療や健康寿命の延長に重要な分子について究明しています。 例えば、 肝臓疾患を対象に、 ウイルス感染などに付随する悪い変化を食い止 め、改善する方策を綜合的に考えます。 そして例えば、肥満、消化器癌の発 生や進展の機序を解明しようとしています。 また、 オルガノイド培養による胆 管癌幹細胞の研究に着手しました。 そして、 そのすべてに関わるキーワード Clinical Pharmacy 臨床薬学 大谷 壽一・秋好 健志・今岡 鮎子 OHTANI Hisakazu, AKIYOSHI Takeshi, IMAOKA Ayuko https://www.youtube.com/channel/UCh2LuV20MolDEab7qXWl9_g 臨床薬学の分野では、物理薬剤学や生物 薬剤学、生化学、薬理学といった基礎薬学か (A) CYP3A4.1(野生型) (B) CYP3A4.7(変異型) イトラコナゾール ら、 ヒトにおける臨床試験、患者や医療従事 者を対象とした調査、疫学的調査、医薬品 情報、 ファーマコメトリクス、 IT技術にいた テストステロン イトラコナゾール テストステロン るまで、広範な分野にわたる知識を俯瞰的 に統合して活用できることが求められます。 当講座でも、幅広い視点と知識を有し、臨床 において多様な領域に対応できる研究者、 大谷 壽一 教授 Professor OHTANI 薬剤師を養成することを目指しています。 研究面では、上述のさまざまな薬学領域 の研究手法を活用することにより、 おもに市 販後の医薬品に関して、臨床的な問題点を解明し、適正かつ有効に使用 するための情報をつくるための研究を行っています。 具体的には、薬物動態学と細胞生物学をおもな基盤として、以下のよう な領域の研究を展開しています。 (1)薬物代謝過程における薬物相互作用に個人差をもたらす要因の解析 とテーラーメード医療への応用 薬物吸収過程に対して病態や薬物相互作用が及ぼす影響の定量的予測 (2) (3) IT技術やファーマコメトリクスの活用による医薬品情報の創製と薬 物治療の最適化 14 各CYP3A4分子の酵素活性部位(ヘム構造) 図 での薬物代謝酵素CYP3A4分子の酵素活性部位に対する 基質テストステロンと阻害剤イトラコナゾールのdocking simulation (A)CYP3A4.1(野生型) と (B)CYP3A4.7(変異型) における基質と阻害剤の結合様式の違いを示している。 Akiyoshi T, Ohtani H* et al., Drug Metab. Dispos. 2011;39(4):724-8 Our research target area includes 1) analysis of covariates that accounts for interindividual variation in the extent of drug interactions, and their application to personalized medication, 2) quantitative prediction of the influence of drug interactions and disease state in drug absorption process, 3) creation of drug information and optimization of pharmacotherapy based on the information technology and pharmacometrics. 医薬品の適正使用には、 その根拠となる情 望月 眞弓 教授 Professor MOCHIZUKI 望月 眞弓・橋口 正行・丸山 順也 MOCHIZUKI Mayumi, HASHIGUCHI Masayuki, MARUYAMA Junya 3)論文情報を用いた新規臨床薬物評価法に関する研究 報が必要です。本講座では、医薬品が正しい 薬剤の有効性や安全性について直接比較が行われていない薬剤間の比較 情報のもとに適正に使用され、 よりよい薬物 を公表データを用いて間接的に評価する方法について研究します。 治療が患者に提供されるよう、 適切な医薬品 4)薬物治療の効率化に関する研究 情報の創出、効率的な収集法、質の評価法、 薬物治療の経済的な側面に焦点をあて薬物治療の現状を分析し、薬学的立場か 効果的な提供法及び活用法について教育・ ら薬物治療の有効・安全かつ経済的な実践を支援するための研究を行います。 研究しています。 5)薬剤経済学的研究のための疾患推移モデルの開発 大学院生には医薬品情報を正しく取り扱 薬剤経済分析時のモデルの妥当性の検討、 新規モデルの開発を行います。 える知識・技能を修得して医薬品情報に関連 6)医薬品の安全性に関する薬剤疫学的研究 する研究を行うことはもちろん、 病院・薬局の レセプトデータベース、AERS等を用いた副作用の因果関係の解析を行います。 薬剤師として、 あるいは製薬企業の開発や学 7)テーラーメード医療を目指した薬物治療の個別化に関する研究 術、 行政の仕事の従事者として活躍できる人 薬物治療の効果・有害作用の発現について個体差に焦点をあて、 その原因 を育成したいと考えています。 について実験的な臨床薬理学的手法、 統計的な疫学的手法を応用して、 個 本講座の研究は、臨床にすぐに役立つデータを創り出せる研究を目指し 別化療法を確立するための研究を行います。 ています。 研究の具体例をいくつか紹介します。 1)一般用医薬品 (OTC) の効果的な適正情報提供方法に関する研究 一般消費者がOTCを適正に使用するための効果的な適正情報提供方法のあり 方を外箱表示や添付文書の内容を工学的手法を用いて検討します。 2)薬学研究における脳科学的手法の応用 医薬品ならびに健康食品の有効性の科学的・客観的な評価指標として、 脳 科学的手法の応用を検討します。 Practical Pharmacy 実務薬学 FACULTY OF PHARMACY 医薬品情報学 To provide an evidence-based safe and effective drug therapy, 1) effective and proper method on provision of OTC information, 2) systematic reviews and network meta-analysis of pharmacotherapy or dietary supplements, 3) pharmacoecomics, 4) pharmacoepidemiolgy, 5) pharmacogenetics/genomics of methotrexate and warfarin, etc., are studied in our laboratory. GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES Evaluation and Analysis of Drug Information 木津 純子・松元 一明・黒田 裕子 KIZU Junko, MATSUMOTO Kazuaki, KURODA Yuko 当講座では、医療現場と連携しながら、エ ビデンスに基づいた医薬品の適正使用を目 指した研究を行っています。主な研究テーマ の一つが 抗菌薬の適正使用に関する研究 で、基礎研究としては、①臨床現場で応用可 能な迅速かつ高感度な血中濃度測定法の確 立、②副作用・相互作用を検討するための動 物 モデ ルの 確 立 、臨 床 研 究としては 、③ PK-PD(Pharmacokinetics/PharmacoProfessor KIZU dynamics)理論に基づいた効果的かつ安全 SUPPORT SYSTEM / DATA 木津 純子 教授 な投与方法の確立を目指しており、多くの医 療施設と共同研究を実施し、 カルバペネム系 薬、キノロン系薬などの適正使用に役立つ成果を挙げています。気管支喘 息治療薬である テオフィリンに関する研究 では、①テオフィリン及び代謝 物の血中濃度同時測定法の確立、②動物モデルを用いた抗炎症作用や副 作用に関する研究、③徐放製剤服用患者の体内動態などに関する研究など を行っています。 また、消毒薬の適正使用に関する研究にも力をいれており、 速乾性手指消毒剤の使用方法に関しては多くのエビデンスを臨床現場に 提供しています。その他、臨床現場との連携の中で、病院製剤、薬局製剤に 関する研究も行っており、製剤学的、薬理学的検討とともに臨床効果に関す る検討も行い、新たなエビデンスを臨床現場に提供しています。 1) Studies on appropriate use of antibacterial agents ; establishment of rapid and high sensitive methods for measuring serum concentration, animal models for assessing the potential risks and the adverse reactions, and effective and safe administration methods using PK-PD parameters. 2) Studies on anti-inflammatory effect of theophylline and its metabolites. 3) Studies on proper use of antiseptics and disinfectants. 15 研究・教育グループ紹介 Division of Drug Development & Regulatory Science 医薬品開発規制科学 優れた医薬品を早く患者の元に 昨今の基礎医薬学と、それに関連する分子生物学、細胞 工学、材料化学、メカトロニクスの進歩は目覚ましく、これら 様々な学問分野の集学的な融合により、これまで無かった ような種類の医薬品及び医療機器が生まれ、実際に臨床現 場で使われる様になってきています。 科学が生み出す技術の進歩が、いつも人に対してやさし いものとは限りません。例えば、車の出す排ガスも多すぎれ ば、自然界の恒常性を破壊し、気候変動等を引き起こしま す。新規の科学技術による人や生命に対する害を避けるた めには、社会に「調和」するように技術を使用するための 「ルール」 を定める必要があります。同時に、この「ルール」 教授 黒川 達夫 Professor KUROKAWA は、最新科学技術が生み出す利益を最大限に引き出し、社 会全体が享受できる様に、製品化された技術の性能評価に 基づく必要があります。レギュラトリーサイエンスは、この調和と規制のためのルールの検討と評価を 行う科学的体系であり、医薬品に関しては、臨床開発と承認審査、市販後での評価と適正使用を取 り扱う学問分野です。 医薬品の性能評価を行うには、統計科学及び疫学的手法に則り厳正に実施される非臨床試験、 臨床薬理試験、臨床研究を通じて、有効性と安全性、品質の根拠(エビデンス)となるデータを得ま す。我々の研究室では、こういった社会におけるあいまいさと実験科学の厳密さの異質な二つの側面 を取扱い、客観性と科学的思考に基づき融合させ社会へ働きかける研究を行っています。特に、医 薬品の安全性は、承認申請までの非臨床試験、臨床研究では完全には解明されないことも多く、薬 害となって個人と社会に多大な影響を及ぼすことがあります。このため、ルールとしての安全性リス クマネジメント、評価手法としての薬剤疫学が、本研究室における研究テーマの柱となっています。さ らに、市販後のベネフィットリスクバランスの最適化のための、医薬経済評価、医療技術・制度評価 が補完するアクティビティです。 Education Research Center for Pharmaceutical Sciences 薬学教育研究センター 黒川 達夫 ・ 漆原 尚巳 ・ 松嶋 由紀子 KUROKAWA Tatsuo, URUSHIHARA Hisashi, MATSUSHIMA Yukiko 医薬品は、いまや国際的協調に基づき開発され、承認後には様々な規制の下で使用される規制 製品です。本研究室では、その最適な使用法を探るための科学的評価を行うに足る研究計画実施 能力を育み、得られたデータを理解し国際的な薬事ルールに基づいた議論を行うことができる国際 感覚を身に付けることを目的に教育を行ってい ます。具体的な研究手法として、社会調査法、 ビッグデータを用いた薬剤疫学的手法、臨床研 究における品質管理手法等を十二分に活用し、 国際学会への参加や海外大学・薬事機関との 交流を通じて、研究成果を国内外に発信するこ とをミッションとしています。このように、薬学部 にて臨床・疫学研究やそれにまつわる国内外の 薬事制度を学び研究・習得できるユニークな研 究室です。 Let’s provide patients with new and innovative drugs at quickest timing. Scientific innovation is not necessarily good and nice for human and life. To prevent from possible harms caused by these innovative products, the use of products should be regulated and adjusted to natural way of human beings and society. At the same time, the aim of this adjustment also includes optimization of benefit/risk balance and maximizing beneficial use of the products in society. Such social adjustments necessarily require rules and guidelines for rational use and scientifically valid assessment of innovative products such as medicines and medical devices in practice, both of which the study of regulatory science covers. Therefore, regulatory science contains two aspects; one is social approach based on so-called ‘soft science’ ; the other is ‘hard’ epidemiological/statistical approach which non-clinical/clinical research relies on. In our laboratory of Drug Development and Regulatory Science, we actively conduct research to address such complex, global issues of drug safety and development, and benefit/risk optimization with the two different approaches mentioned above. We aim to nourish skillset for research methodology including social research and pharmacoepidemiology using “big data”, and to nurture ability to conduct researches and to network global regulators and researchers to share and discuss the research outcomes in order to make people healthier. 阿部 芳廣・鈴木 岳之・横田 惠理子 石川 さと子・永井 総子・權田 良子 ABE Yoshihiro, SUZUKI Takeshi,AIZU-YOKOTA Eriko, ISHIKAWA Satoko, NAGAI Fusako, GONDA Ryoko 薬学教育研究センターは6名の教員で構 企業の経営戦略に関する薬学ー経済学横断的研究、紅麹に含まれる成分 成され、実習、学部初期教育、CBT対策、薬 の細胞毒性に関する研究などと同時に、薬学分野における専門職連携教 剤師国家試験対策など、薬学部の教育に関 育の効果的な実践、薬学生のための効果的なe-ラーニング教材の開発な して中心的な役割を担っています。教員ス ど、薬学教育に関する研究も推進しています。 タッフの専門分野は多岐にわたり、医薬品に 関する化学的な知識、医薬品の作用の対象 となる生体に関する知識、疾病に関する知 識などをカバーして、さまざまな科目の講 義、実習を担当すると同時に、 それぞれの専 阿部 芳廣 教授 Professor ABE 門分野における研究を行っています。 研究テーマとしては、活性酸素種の分析 法開発と酵素の生物化学的研究、 ヒトアル ブミンの薬物結合部位に関する研究を展開しており、 これまでに多くの薬 物が結合するヒトアルブミンのサイトⅡに選択性の高い蛍光プローブを見 いだしました。 また、神経系及び循環系における難治性疾患発症原因の解 明及び治療戦略の開発を目指し、中枢神経系において重要な機能を担っ ているAMPA受容体の機能異常が、運動神経の変性に重要な意味を持っ ていることを明らかにしています。 さらに、健康飲料やサプリメントなどの 薬物代謝酵素の変動要因、化学物質による炎症細胞活性化について検討 しています。 このほか、薬学における新しい教育・研究領域となるバイオサイエンス 16 The responsibility of our group is to give undergraduate students the training of fundamental chemistry or biology for pharmaceuticals and pharmacy, such as analytical chemistry, pharmacology, biochemistry, hygiene chemistry and organic chemistry, so that students in Faculty of Pharmacy can have the ability to comprehend the modern and progressing life sciences. In parallel, our group is active in conducting research within the above premise. 医療薬学・社会連携センター医療薬学部門 性に根拠を与えるための実験薬理学的研究によるエビデンス構築にも取 期体験学習、2年次の早期薬学科実習、4年 り組んでいます。 さらに本部門の重要な研究課題として、医療薬学教育の 次の実務実習事前学習、5年次の病院実務 洗練化が挙げられます。実臨床の質向上を遂行しうる、未来志向の薬剤師 実習・薬局実務実習、そして6年次のアドバ を育成するために、先進的な医療薬学の教育コンテンツの開発研究に、社 ンスト病院実習など臨床教育に関わる講義 会薬学部門と連携しながら取り組んでいます。 ています。 また、更なる実務実習の充実を目 指して、実務実習を通して得られた情報を もとに、4年次の事前学習の改善も行ってい ます。 研究面では、様々な医療施設の臨床家と 連携し、 「 なぜ患者さん毎に医薬品の効き方や副作用の出方が違うの か?」 という疑問を深く探求し、加齢、性差、遺伝子多型などに起因する 「薬 剤抵抗性」 に対する改善策の構築、 すなわち 「個別化薬物治療」 の実現を The responsibility of our division is to give undergraduate students’ pre-clinical practices, and to coordinate their clinical practices which is carried out at the field sites in cooperation with Keio University Hospital and many other hospitals and community pharmacies. The aims of our research is 1) to give the evidence for individualized pharmacotherapy, 2) to give the evidence on the validity of the combination with western medicines and traditional Japanese medicines, Kampo medicines, and 3) to develop the education items, which aims to refine the pharmaceutical care education. GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES 行うべく、大学と臨床現場との連携を担っ Professor NAKAMURA NAKAMURA Tomonori, SUZUKI Sayo, AOMORI Tohru OTSUKA Naoko, JIBIKI Aya 医療薬学部門は、教育面では1年次の早 および実習を担当し、実り多い臨床教育を 中村 智徳 教授 中村 智徳・鈴木 小夜・青森 達 大塚 尚子・地引 綾 FACULTY OF PHARMACY Center for Social Pharmacy and Pharmaceutical Care Sciences Division of Pharmaceutical Care Sciences 目指し、全ての患者さんが薬の恩恵に与れることを志向した研究に取り組 んでいます。 また、我が国では近年、和漢薬等の東洋医薬と西洋医薬のそ れぞれが得意とする効能効果を組み合わせた薬物治療が盛んになりつつ あります。 しかし、 その併用に関する科学的根拠については必ずしも十分 に検討されていないことから、臨床現場で行われている東西医薬品の併用 事例を疫学的に調査し、 その臨床的有効性を検証すると共に、併用の妥当 Center for Social Pharmacy and Pharmaceutical Care Sciences Division of Social Pharmacy 医療薬学・社会連携センター社会薬学部門 社会薬学は、 その学問・研究を通じ、薬学 薬解消における薬剤師の介入効果、 アンチ・ドーピング活動、健康食品等 の使用に関する研究テーマに注力します。 ていく役割を有しています。医薬品は、人間 また、社会薬学部門は、薬学部附属薬局とも密に連携していますので、 の生命と健康維持に直接かかわるため、医 教育・研究機関である大学と、医療機関である薬局の両方の視点から、両 薬品を提供する立場にある薬剤師の社会的 者の資源を融合させ、問題解決に挑みます。 患者に接する最終的存在であり、医薬品の 副作用から患者の安全を守る最後の砦と言 えます。 また、医薬品をはじめセルフメディ ケーションに資する健康関連物質の適正使 用とその管理における薬剤師の社会的要請 が年々高まっています。加えて、薬剤師が未病(=疾病発症手前の状態) の 段階で国民のセルフメディケーションに介入し、健康維持・増進を推進す ることが強く求められています。 さらに、超高齢社会を迎える我が国では、 社会の変化に対応できる医療システムの確立も課題となっています。 社会薬学部門では、地域医療に係わる薬局・薬剤師業務にフォーカスを Our division is responsible for managing the pre-training in preparatory pharmacy education, as well as the practical on-site training, both in community pharmacies and hospitals. We are conducting our research focusing on the roles of community pharmacists in the field of community healthcare. Typical research topics include: SUPPORT SYSTEM / DATA んを調剤する薬局薬剤師は、医療人として Professor YAMAURA YAMAURA Katsunori, FUJIMOTO Kazuko, KOBAYASHI Noriko, IWATA Hiroki がどのように社会に応えていくかを明確にし 責任は極めて大きいと言えます。特に処方せ 山浦 克典 教授 山浦 克典・藤本 和子 小林 典子・岩田 紘樹 ・usefulness of electronic medicine notebook system; ・promoting proper use of prescribed medication including the reduction of any surplus drugs; ・influence of long-term use of topical steroids on itching; ・promoting anti-doping activity; ・utilization study on nutrition and dietary supplements. あて、社会の動向を把握しながら、薬局・薬剤師がどのような形で社会に 貢献できるのか、そのエビデンスの構築を目的に、薬剤師業務を定量化 し、有用性をわかりやすい形で社会に向けて情報発信することを目指し、 研究を進めます。特に、電子版お薬手帳の有用性、医薬品の適正使用・残 17 研究・教育グループ紹介 Basic Education for Human and Pharmaceutical Sciences 基礎教育 植村 良太郎・フォスターパトリック J・井上 賀絵 UEMURA Ryotaro, FOSTER Patric, INOUE Kae 薬学人の基盤として最も大切なものは、薬学の個々の知識や技術の 前に、 まず、人間科学と教養、 そして数物系の基礎科学です。 当講座は教 育・研究を通じて学生さんの人間性と理解カの溜養を目指します。 植村の専門は社会学です。研究関心は、社会学的観点からの社会心 理、特に、 自己概念、社会意識、心理的ウェルピーイングです。 フォスターは、学生が国際社会の共通言語としての英語を質的、量的 ともに使用できるようになることを目指した教育を目標としています。医 療業界および科学研究において、卓越したコミュニケーションをとれる ことを目指しています。 井上は主に区間交換変換のエルゴード性について研究しています。 特に piecewise rotations of a circle との関係に関心を持っており、 This group oversees the development of the social (1), medical (2), and natural sciences (3) of pharmacy students, by means of a basic liberal arts education and research: 1) sociological research on self and identity, social attitudes, and psychological well-being (R.U.), 2) the enhancement of medical-science communication, by use of common languages (qualitative & quantitative) in tandem, as a basis for health care, clinical medicine, scientific research, and international interaction purposes (P.F.), and 3) the ergodicity of some interval exchange transformations (a certain dual relationship between piecewise rotations of a circle and interval exchange maps) (K.I.). 最近では piecewise rotation of a circle から構成される castle を 含めた相互関係を明確なものにしました。今後は castle の構成が circle 上の不連続点の選び方に依存するか等、更に焦点をしぼって研 究を行う予定です。 Laboratory for Radiopharmaceutical Chemistry RI・分析室 私たちの周りには、 ラドンなどの自然界から放射線源や、微量なので すが過去の大気圏内実験による人工放射線源が存在しています。 また、 鉱物を利用した製品や医療でも放射線が用いられています。 本研究室では、 これまでに環境ラドンを測定するための計数法を提案 し、 これに基づき天然水や室内空気中のラドンを測定し濃度分布につい て報告していますが、 さらに簡便な環境放射能の測定方法の開発をめ ざしています。 また、 この計数法を用いて食品や製品中の放射能を精度 よく測定して線量を推定し、健康への評価に検討を加えています。 18 望月 眞弓 (兼)・森田 裕子 MOCHIZUKI Mayumi, MORITA-MURASE Yuko To date, we have developed accurate methods for measuring radon. Further work to establish the suitable system for measuring the radionuclide is in progress. Based on the modified system, we measure the radionuclide in food and products, and estimate the effect of environmental radiation on the human body. 薬学 研究科 Graduate School of Pharmaceutical Sciences 薬学研究科 薬学専攻 (博士課程) Major in Pharmacy(Doctoral) ■ 薬科学専攻 (前期博士課程、後期博士課程) Major in Pharmaceutical Sciences (Master’ s, Doctoral) つのポリシー アドミッションポリシー 更に高度な臨床薬剤師、 薬学研究者をめざす学生を求めています。 ■ 薬学専攻 ■ ■ ■ ■ ■ 1. 3 日々進歩し高度化する医療現場にあって、新たな医療に挑戦する意欲を有する学生 医師と協力して研究し、新たなエビデンスを創出する意欲を有する学生 薬剤師として臨床研究能力、国際性を高める情熱を持った学生 医療人として、患者を思いやる心と高い倫理観を持った学生 ■ 薬科学専攻 ■ ■ ■ ■ ■ 新たな生命科学領域に挑戦する意欲を有する学生 異分野の知識を積極的に取り込む柔軟性を有する学生 科学分野において真理探究の情熱と忍耐力を有する学生 他を思いやる心と健全な倫理観を持った学生 環境に配慮する心を持った学生 2. カリキュラムポリシー 幅広い知識・技能を身につけるため 統合型カリキュラムを導入しています。 薬学研究科の教育課程においては、積極的に統合型カリキュラムを取り入れています。 従来の大学院における講座主導の科目編成から、学生が将来選択可能である広範な進路 を目指すために真に必要とする内容を厳選し、薬学研究の基盤となるライフサイエンスに 関連する科目を体系的に学び、最先端科学の進歩に触れることのできるカリキュラム構成 になっています。大学院において他大学に先んじて統合型のカリキュラム編成を導入し、 研究科の教育課程において必要とされるライフサイエンスの知識と技能習得のために、関 連分野の講座間の連携を強化し、各科目とも分野ごとの基盤となる知識と最先端技術が 修得可能な選りすぐった内容構成としました。 ■ 薬学専攻 統合型の特論講義、薬学を取り巻く最新の研究についての特別講義、演習および課題研 究で構成され、博士論文の作成につなげます。講義等の内容は高度な薬物治療に貢献で きる、臨床研究能力を有する指導的な薬剤師の養成や、臨床薬学分野の教育者・研究者の 養成を主眼としています。 ■ 薬科学専攻 前期博士課程のカリキュラムとしては統合型の特論講義、薬学を取り巻く最新の研究に ついての特別講義、演習および課題研究で構成され、 これらが修士論文の作成につながり ます。限られた研究・教育期間において学生が時間を有効に使って効率よく研究の基盤と なる知識と技能を修得することが可能であり、 より専門性の高い研究を行える体制を構築 しています。後期博士課程においては、前期博士課程に引き続き博士論文の作成を目的と するものであるが、 自立した研究者、高度専門技術者として相応しい能力を身につけさせ るよう配慮しています。 3. ディプロマポリシー 薬剤師や薬学研究をリードし 国際的に活躍する先導的な人材 所定の単位を習得し学位論文審査に合格することが条件で、以下を満たしている必要 があります。 進歩発展する医療科学分野において、予測不可能な複雑で困難な諸問題に直面すること が想定されるが、 こうした難問に立ち向かうため、医療と健康を科学する薬学において、 そ れに対処できる創造的な学問を構築できる資質を有していること。 独立自尊の精神に基づき、国民の健康と医療に貢献し、未来を先導する情熱のある資質 を有していること。 また、 グローバルな視点から医療と健康の諸問題に対応できる資質を 有していること。 薬科学専攻後期博士課程および薬学専攻博士課程では英文第一著者の原著論文が公 表あるいは受理されていること。 ■ ■ ■ 19 大学院 薬学研究科 薬学専攻 Graduate School of Pharmaceutical Sciences 博士課程(4年) Major in Pharmacy (Doctoral) 日本の臨床研究を世界水準に高める人材の養成 本専攻は、薬剤師としてより高い専門性を有し指導的役割を担う リーダーになる人材、薬学領域の研究者の養成などを目標としていま 人材、製薬企業や行政において新薬の臨床開発や審査などのチーム す。 カリキュラム Point 1 「臨床研究能力」 が身に付くカリキュラム 本専攻のカリキュラムでは、導入講義(演習を含む) 1単位、化学系 課題研究を実施することのみで単位を修得するのではなく、講義・演 特論2単位、生物系特論2単位、医療系特論4単位、大学院特別講義 習を通じて幅広い知識・技能を修得できる点に特徴があります。 また 3単位、演習6単位、課題研究16単位を用意しています。導入講義、 将来、臨床現場で指導者として活躍するか、企業や行政で指導的立 大学院特別講義、演習、課題研究は必修ですが、特論についてはそれ 場となり活躍するかによって、必要な特論を選択できるようになって ぞれの学生が必要に応じて選択できるようになっています。 また、講 います (履修モデル参照)。 義は社会人入学者に配慮して、夜間または土曜開講を原則とします。 このカリキュラムで特徴的な講義として、導入講義があります。 これ は本専攻に籍を置くに当たって全員が受講します。内容は、臨床研究 を適切に実施できるようになるために、臨床研究計画立案と運営、倫 理的側面、臨床検体の取扱い方の基礎について、実践的に学び、知識 と技能と態度を修得できるものです。 博士課程の課題研究として臨床研究を行う場合に配慮して、医療 系特論では特に臨床研究能力を養成するための講義を充実させてい ます。一方、化学系特論と生物系特論では基礎的研究を行う上で必 要となる知識の修得を目指しています。 このように本専攻は、従来の 前期博士課程に続く後期博士課程と異なり、博士論文作成のための Point 2 履修モデル 単位 生物系研究者 単位 医療系薬学特論Ⅰ 2 生物系薬学特論Ⅰ 1 医療系薬学特論Ⅱa 1 生物系薬学特論Ⅱ 1 医療系薬学特論Ⅱb 1 医療系薬学特論Ⅱa 1 大学院特別講義 3 医療系薬学特論Ⅱb 1 演習 6 大学院特別講義 3 臨床現場指導者 導入講義 課題研究 計 1 16 30 導入講義 1 6 演習 課題研究 16 計 30 幅広い領域の研究者から成る充実した研究指導体制 研究指導体制は、慶應義塾の独立自尊、半学半教の精神に基づい と、 また、必要に応じ他講座の教員や学生とディスカッションやディ た指導を目指し、学生は随時、 自己の属する講座の複数の教員や学生 ベートを繰り返しながら研究を進める体制となっています。 文部科学省「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」平成24年度採択 20 医薬品の進歩とともに薬物療法は複雑化し、薬剤選択、 用量設定、副 を開始しています。塾内では医学研究科、薬学研究科、健康マネジメン 作用モニタリングなどに薬剤師が関わる必要性が高まっています。 とり ト研究科の3つの研究科が参加し、共同でシンポジウムや講演会などを わけ、 がん化学療法においては高度な知識と技能を有する薬剤師が、医 開催すると共に、 教育プログラムを展開しています。 療チームに参加することに期待が集まっています。 薬学研究科では薬学専攻(博士課程) に薬学がん専修コースを持ち、 文部科学省「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」は、高度 さらに既卒の薬剤師向けにがん領域の専門医や専門薬剤師による公開 がん医療開発を先導する専門家を養成するプログラムで、医師、薬剤 講座を中心としたインテンシブコースを持っています。薬学専攻では、 師、看護師を対象にしています。慶應義塾大学はその基幹校で、医学部 がん領域の新薬の研究やがん患者への薬学的ケアに関する研究などを 附属先端医科学研究所 河上裕教授が事業責任者を務めています。 実施し、学位取得を目指します。 また、 がん研修施設の資格を有する研 本学を含め関東甲信越地区の10大学が参加し、2012年4月より事業 修病院において実践的な力を養う研修も実施致します。 大学院 薬学研究科 Graduate School of Pharmaceutical Sciences 薬科学専攻 前期博士課程(2年)、後期博士課程(3年) FACULTY OF PHARMACY Major in Pharmaceutical Sciences (Master’s, Doctoral) 創薬や生命科学の研究者等を養成 21世紀に入り、医療をとりまく環境は大きく変りつつあります。 ゲノ 医薬品創製産業は、21世紀のわが国の基幹産業であり、 日本の創 ム創薬、個別化医療、再生医療など最新の医療を推進し国民の健康 薬力向上の担い手として新しい制度の薬系大学院修了生の活躍が期 に寄与するためには、 グローバルに情報を収集する能力、先端医療に 待されています。 この専攻では、薬学の多様性を活かし優れた創薬研 対する高度な知識と専門性をもった人材の育成が必要です。 究者を養成します。 カリキュラム 薬学研究の基盤となるライフサイエンス科目を体系的に学び、 さらに最先端科学の進歩に触れる充実した内容のカリキュラムです。 統合型のカリキュラム編成 前期博士課程 科目間の統合により、厳選された内容で創 履修モデル(前期博士課程のケース) 生命科学系 単位 創薬系 単位 薬研究のコアとなる内容を短期間で効率よく 疾患分子生物学特論 2 創薬・有機化学特論 2 修得することが可能です。 免疫学・代謝生化学特論 2 薬品機能解析・動態制御学特論 2 システム生体機能学特論 2 医薬品情報特論 2 高度研究機器特別演習 1 高度研究機器特別演習 1 細胞培養・遺伝子実験特別演習 1 細胞培養・遺伝子実験特別演習 1 生命・研究倫理 1 生命・研究倫理 1 大学院特別講義 1 大学院特別講義 1 4 演習 後期博士課程 論文指導が中心となりますが、特別講義、 演習、課題研究の科目を設け、単位を課すこ とにより、指導体制の充実を図っています。 演習 課題研究 16 計 30 4 課題研究 Medical-Pharmacological Lecture in English Point 2 GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES Point 1 16 1 31 計 全ての学生を対象に研究の基盤となる技能を習得する特別演習 (選択制) 製薬企業はもとより、食品、化学、化粧品などの広範な分野で活躍する人材育成のため広範な進路に合わせ分野に偏ることなく研究に必要な 基本技術を学ぶことができます。 高度研究機器特別演習 細胞培養・遺伝子実験特別演習 創薬研究に欠かすことのできないGC-MS、LC-MS/MS、NMR、ESRなど最 新薬開発など創薬研究に欠かすことのできない細胞培養と遺伝子操作を理 先端の分析機器について理解し、 その操作法を習得します。 さらにRI施設の概要 解し、 その技術を習得します。遺伝子研究に関する規則・倫理を学びます。 さら と放射性物質の取り扱い方を身に付けます。 ITを使った効果的な情報収集につ に動物施設の概要と動物実験倫理指針について理解を深めます。 いて、 さらにコンピュータを使った分子間相互作用解析法について学びます。 医学研究科と連携した創薬研究者プログラム 薬学研究科は医学研究科と共に新しい教育プログラムにより、前期博 の 「大学院教育改革支援プログラム」 (大学院GP) に採択され、 それ以来 士課程の人材養成の高度化に取り組んできました。平成20年度(2008 医学研究科との密接な教育連携が行われています。 医学研究科の教員や 年度) に 「創薬に向けた医薬科学を先導する人材の養成」 が文部科学省 学生との交流を通して、 幅広い視点を持つ人材の養成を目指しています。 医学研究科ラボツアー 臨床体験 サマースクール 信濃町キャンパスにおいて、高度専門的医学研 大学病院での臨床の実際を体験し、将来の自ら 研究の進め方や、将来のキャリアを考える上で参 究を実体験し、最先端医科学研究における問題や の専門性に生かすことを目的としています。慶應義 考になるプログラムです。研究者の資質や研究の その解決法などについて学びます。各学生は、希望 塾大学病院の臨床各科の医師と短期間行動をとも 進め方などについての講義、博士課程に進学した する研究室を選び、 ラボツアーに参加します。 ラボ にし、診療の現場を体験します。 自らの研究が医療 先輩の体験談、知的財産管理や倫理に関する講義 ツアーに参加することにより、医薬間の活発な交流 にどう繋がっていくのかを理解し、薬科学研究の成 など、多岐に及びます。 が促進されるとともに、各人の研究に対する視野が 果が臨床を通じて社会へ還元されることを認識す 広がり、 モチベーションが高まります。 ることができます。 SUPPORT SYSTEM / DATA Point 3 21 経営管理研究科とのジョイント・ディグリープログラム 薬学部薬科学科(4年制)卒業後、経営管理研究科に入学し、2年で や経験とともに、 ビジネスをリードするための経営学、 また、発展しつつ MBA(経営学修士)を取得したあと、薬学研究科薬科学専攻修士課程 ある医療経済分野の修得も重要です。国内MBAの先駆者であり、 かつ に入学し、最短1年で修士(薬科学) を取得できるプログラムです。製薬 人気度1位の慶應義塾大学大学院経営管理研究科と協同して、 これら 関連企業の経営で指導的立場につくためには薬学研究者としての知識 の分野をリードできる薬学出身者を養成します。 研究を推進するプロジェクト 薬学研究科では約20の講座が各々独立して研究を進めるほか、複 推進事業「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」 に採択されたプ 数の講座が共同し、 また外部機関とも連携してさまざまな研究プロ ロジェクトを紹介します。 ジェクトをすすめています。 ここではその中で文部科学省の学術研究 国民の健康の増進を目指した生物資源の活用基盤研究拠点の形成 (2011∼2015年度 研究代表者 木内 文之 教授) 植物や微生物は、医薬品や医薬品開発の出発点となる物質を提供 広い研究領域の研究者が先端的研究活動を行っている薬学研究科 することで、人々の健康に大きく貢献してきました。 また、 セルフメディ の特色を活かして、化学を基盤とした天然素材開発、高齢化社会で問 ケーションの推進の観点からは、生薬・漢方薬やハーブなどの一般用 題となる疾患に有効な薬物の活性評価系の構築とスクリーニング、 医薬品としての利用の促進が望まれます。 このような天然資源を人の そして病態メカニズム解明によるエビデンスの創出の3グループが連 健康に役立てるためには、 その有効性と安全性を担保する科学的根 携することにより、天然資源を人の健康に有効に活用するための研究 拠(エビデンス) が必要です。本プロジェクトは、医薬品に関連する幅 を推進する拠点を形成しようとするものです。 創薬ルネサンス:既承認薬の潜在能力を引き出す体内資源活用の研究基盤形成 (2014∼2016年度 研究代表者 三澤 日出巳 教授) 新薬開発は莫大な費用と時間が必要であり、数万分の一といわれ 22 子や作用パスウェイを、 オミックス等の手法で解析し、別の疾患治療 る低い成功確率を乗り越えなければならない困難なプロセスですが、 薬として開発する創薬戦略:ドラッグ・リポジショニング(DR) が注目 近年その傾向が顕著に加速しています。特に、臨床試験で発見される されています。本プロジェクトでは、薬学研究科の多様な研究者が集 副作用や体内動態の悪さ、或いは動物で見られた有効性がヒトでは 結し、新たな体内資源に光をあて、既承認薬を活用した創薬のパラダ 再現できないことなどが要因となり、世界的に見ても新薬開発は停滞 イムシフトを牽引するための研究拠点の形成を目指しています。 この 状 態 にあります 。この 様 な 環 境 下 で 、近 年 急 速 に 解 明 が 進 む ため、創薬基礎研究者と臨床薬学やレギュラトリーサイエンス研究者 microRNA (miRNA) などの新規体内資源をターゲットとする創薬 が密接な連携を図り、医薬品開発の死の谷を乗り越えるための戦略 が、薬学の新たな課題となってきています。 また一方で、 ヒトでの安全 統括機能を担う 「創薬研究センター」 を設立し、創薬に関する新たな 性と薬物動態情報が充分に蓄積されている既承認薬のターゲット分 を創造・提案を発信することを目指しています。 院生の声 外部の医療機関と 連携しながら 研究活動を続け、 自分を成長させる。 [薬科学専攻] 薬学研究科 前期博士課程 2年 [薬学専攻] 薬学研究科 博士課程1年 野々宮 悠真 私は現在、 アルツハイマー病の治療薬候補の探索をテーマ 薬学部5・6年次の実務実習を通じ、 日本の医療はチーム医 にして研究に取り組んでいます。研究を進めるなかで挫折し 療で成り立ち、 その中で薬剤師の役割は大きなものであると そうになる時もありますが、失敗から学び取ることでこそ成長 感じました。 そこで、 自分が薬剤師になった場合、医薬品の知 ができると考えて日々努力しています。私が所属する医薬品 識を活かすだけでなく、様々な医療関係者と協力しながら更 化学講座では、化合物のデザイン・合成から細胞や動物を用 なる医療の発展に貢献し、 それを実現するためには何ができ いた活性評価まで、 さまざまな研究分野の知見を総合的に活 るかと考えました。 その結果、医療現場で活躍できる薬剤師を 用しています。研究室内では、時には熱い議論を交わしつつ 目指すことに加えて、臨床研究で医療技術の発展を支える研 研究室旅行や食事会なども通して交流しています。前期博士 究力を養っていくことが必要であると考え、大学院博士課程 課程では忙しさや責任も感じますが、適確な助言をくださる への進学を決めました。大学院では、大学内だけでなく外部 先生方や頼りになる先輩方、そして元気な後輩達に支えら の医療機関などでも研究を行うなど、厳しい環境の中で自分 れ、充実した研究室生活を送っています。 を成長させ、研究活動を充実させていきたいです。 薬学部 専任教員一覧 専門分野 基礎実験薬学、薬品分析学 構造生物学、生物物理学 臨床薬学、臨床薬物動態学 物理化学、分析化学、物理薬剤学、機能性高分子 生薬学、天然物化学 実務薬学 医薬品開発、医薬品等レギュラトリーサイエンス 薬物治療学、肝臓病学、消化器病学 有機化学、応用微生物学 化学療法学、分子生物学 衛生化学、薬物代謝学、栄養化学、食品衛生学 薬剤学 医療薬学、薬効安全性学 免疫学、上皮細胞生物学 病態生理学、血液内科学、分子生物学 医薬品化学、生物有機化学 薬理学、神経科学 医薬品情報学、薬剤疫学、薬剤経済学 社会薬学、薬物治療学 代謝生化学、病態生理学 生物有機化学、情報科学、薬学教育学 社会学、社会学的社会心理学 薬剤疫学、医療技術評価、レギュラトリーサイエンス、研究倫理 医薬品化学、生物有機化学 薬理学 薬物治療学、消化器病学 有機薬化学、有機合成化学、天然物化学 生理学、薬理学 分子生物学、生化学 薬剤学 化学療法学、分子生物学、細胞生物学 医薬品情報学、臨床薬理学、薬剤疫学、薬剤経済学、医療統計学 生薬学、天然物化学 フォスターパトリック J. 医学、小児医学、医学英語教育 病態生理学、腫瘍免疫学、血液内科学 松下 麻衣子 (2015年7月21日現在) 職位 専任講師 助教 助手 氏名 松元 一明 横田 惠理子 青森 達 伊藤 佳子 井上 賀絵 片山 和浩 木村 真規 清水 美貴子 鈴木 小夜 永井 総子 成川 佑次 西村 友宏 松嶋 由紀子 森田 裕子 森脇 康博 秋好 健志 石原 知明 市川 大樹 岩田 紘樹 大塚 尚子 黒田 裕子 小林 典子 權田 良子 地引 綾 高橋 恭子 髙橋 大輔 田中 健一郎 中澤 洋介 花屋 賢悟 蛭田 勇樹 藤本 和子 丸山 順也 横川 真梨子 今岡 鮎子 専門分野 実務薬学、抗菌化学療法学 生化学、薬理学、生命倫理学、倫理教育 医療薬学 物理化学、無機化学、物理薬剤学 数学 分子細胞生物学、化学療法学 生理学、病態生理学、運動生理学 衛生化学、臨床薬理学、薬物動態学 医療薬学 衛生薬学、薬物代謝学 生薬学、天然物化学 薬剤学 臨床薬物評価、臨床試験管理学 放射化学・放射薬品学、物理化学 分子細胞生物学、免疫学、薬理学 臨床薬学 創薬学、生化学、薬理学、分子生物学 病態生理学、免疫学 社会薬学 医療薬学 実務薬学 社会薬学、医療薬学 天然物化学、実験薬学 医療薬学 医薬品化学、生物有機化学 粘膜免疫学、上皮細胞生物学 創薬学、薬理学、生化学 細胞生物学、分子生物学 生物有機化学、生物無機化学 分析化学、機能材料 薬剤師教育(サプリメント)、薬理学 医薬品情報学 構造生物学、生物物理学 臨床薬学 SUPPORT SYSTEM / DATA 准教授 氏名 阿部 芳廣 大澤 匡範 大谷 壽一 金澤 秀子 木内 文之 木津 純子 黒川 達夫 齋藤 英胤 須貝 威 杉本 芳一 田村 悦臣 中島 恵美 中村 智徳 長谷 耕二 服部 豊 増野 匡彦 三澤 日出巳 望月 眞弓 山浦 克典 石井 功 石川 さと子 植村 良太郎 漆原 尚巳 大江 知之 奥田 隆志 齋藤 義正 庄司 満 鈴木 岳之 多胡 めぐみ 登美 斉俊 野口 耕司 橋口 正行 羽田 紀康 GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES 平井 翔子 職位 教授 FACULTY OF PHARMACY 議論を交わしつつ 旅行や食事会などで 交流をもつアットホームな 研究室です。 23 奨学金制度について 学部生対象の奨学制度 1 いずれも、 人物・学業が優秀であり、 かつ健康であって、経済的理由により修学が困難な学生に対し、給付または貸与することにより、勉学に専 念できる環境を整え、将来、活躍できる人材の育成を目的としています。 学部生対象の奨学金一覧(2015年4月1日現在) 種 別 給 付 学 内 名 称 金 額 備 考 20万円/年 2年生以上。経済的に修学困難であると認め られ、勉学の意欲を持ち、成績・人物ともに 優れ、将来成業の見込みのある者。 慶應義塾大学経済支援給費奨学金 授業料の範囲内の金額 勉学の意欲を持ちながらも、経済的理由に より学業に専念することが困難な者を支援。 慶應義塾維持会奨学金 80万円/年 人物・学業成績ともに優秀で、 かつ経済的理 由により学業に専念することが困難な者。地 方出身者優先。 慶應義塾大学特別奨学金 授業料の範囲内の金額 2年生以上(原級〈留年〉者も可)。家計支持 者の死亡・失職等により、経済的に学業の継 続が困難になった者。 学問のすゝめ奨学金 薬学科 80万円/年 薬科学科 60万円/年 学部第1学年への入学を強く希望する日本 国内の地方の高等学校出身者で、人物・学 業成績が優秀であるにもかかわらず、経済 的理由により入学困難な受験生を支援。入 学試験前に申請受付。原則、標準修業年限 受給。 指定寄付奨学金 奨学会により異なる 三田会等、多くの義塾関係者からの寄付に よる奨学金。詳細は、奨学金案内等で確認の こと。 奨学会により異なる 詳細は、奨学金案内等で確認のこと。 第一種 無利子 3万円/月もしくは 自宅生54,000円/月 自宅外生64,000円/月から選択 経済的理由により修業に困難があると認め られ、学業成績が優秀である者。 第ニ種 有利子 3万、5万、8万、10万、12万円/月 から選択。12万円を選択した場合 に限り、 2万円増額可 経済的理由により修業に困難があると認め られ、学業成績が平均水準以上で、 その他の 基準に該当する者。 給付・貸与 慶應義塾大学給費奨学金 民間団体奨学金 貸 与 各種奨学金 学 外 貸 与 24 注:金額は薬学部対象のものです。 日本学生支援機構 奨学金 地方公共団体 奨学金 FACULTY OF PHARMACY 大学院生対象の奨学制度 2 いずれも、人物・学業成績が優秀であり、 かつ健康であって、経済的理由によって修学が困難な学生に対し、給付または貸与することにより研 究に専念し、高度な専門性を身につけ、社会に貢献し得る人材を育成することを目的としています。 大学院生対象の奨学金一覧(2015年4月1日現在) 名 称 金 額 備 考 給 付 研究の意欲をもち、経済的に修学困難で、学業成績・ 人物ともに優秀で健康である者。使徒は学費とし、授 業料/在学科に対する援助。 慶應義塾大学経済支援給費奨学金 授業料の範囲内の金額 勉学の意欲を持ちながらも、経済的理由により学業 に専念することが困難な者を支援。 慶應義塾大学大学院若手研究者 研究奨励奨学金 対象者数に応じて配分 博士。研究意欲が旺盛で優れた業績を挙げ得ると認 められ、人物が優秀で健康である者。 小泉信三記念大学院特別奨学金 30,000円/月 修士。学業成績・人物ともに優秀であり、健康で将 来、研究者たり得る資質のある者。 指定寄付奨学金 奨学会により異なる 三田会等、多くの義塾関係者からの寄付による奨学 金。詳細は、奨学金案内等で確認のこと。 奨学会により異なる 詳細は、奨学金案内等で確認のこと。 給付・貸与 50万円/年 民間団体奨学金 貸 与 各種奨学金 地方公共団体奨学金 学 外 第一種 無利子 貸 与 日本学生支援 機構奨学金 第ニ種 有利子 修士 50,000円/月 88,000円/月から選択 博士 80,000円/月 122,000円/月から選択 修士 博士 5万、 8万、10万、13万、 15万円/月から選択 高度の研究能力を有し、経済的理由により、修学に 困難な者等。 高度の研究能力を有し、経済的理由により修学に困 難があると認められる者。大学院における学修に意 欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると 認められる者等。 薬学部独自の奨学金制度 3 SUPPORT SYSTEM / DATA 学 内 慶應義塾大学大学院奨学金 GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES 種 別 注:金額は薬学研究科対象のものです。 薬学部・薬学研究科に在籍している方が対象です。人物、学業ともに優れかつ健康で、将来、薬学を通じ成業の見込みのある方に給付します。 募集については掲示でお知らせします。 詳細は芝共立キャンパス学生課奨学金担当者までお問合せください。 種 別 名 称 給 付 学部内 慶應義塾大学 薬学部奨学基金 慶應義塾大学 総合医学教育 奨励基金奨学金 金 額 学部(2年生以上) 上限20万円/年 大学院 上限20万円/年 学部(2年生以上) 上限10万円/年 大学院 上限50万円/年 備 考 経済的に修学困難であると認められ、薬学を通じ社 会に貢献しうる優秀な人材を育成することを目的と する。 人物、学業・成績ともに優れ、 かつ経済的支援を必要 とする者に奨学金を給付し、薬学を通じ社会に貢献 しうる優秀な人材を育成する。 25 薬学部・大学院の就職支援活動 「薬学部・大学院は就職活動を支援します」 薬学科卒業生の将来像は? 就職支援体制 6年制薬学科の学生は、 医薬品の適正使用推進、 調剤や患服薬説明、 医薬品 ①多彩・多様な将来像とそれをめざすルート・登り口を学生に紹介 ②自分で の安全管理、 薬物療法の情報提供と処方設計支援、 地域の健康維持増進にも貢 登る力を、温かいチームワークでサポート を2つの軸に、就職・進路委員会が 献しうる薬剤師の資格を将来持つことを意識します。 進路は、 リーダー的立場の 積極的に支援しています。 3年春には全員に将来像適性テストを実施、就職活 薬剤師、 あるいは企業で資格や学業・実習経験を活かす臨床開発、 MRや技術営 動支援会社からプロフェッショナルな講師を招聘し、心構え・戦略・スケジュー 業、 学術情報系、 さらに公的・行政機関などです。 大学院 (博士課程) で研鑽を積 リング・エントリー窓口などを紹介します。書類審査(エントリーシートや研究 み、 研究や教育人材育成の職場で活躍するチャンスも開かれています。 概要、Webエントリーも含む) で、上位10%以内通過が必須です。各社・職種の ニーズ・事業展開・主力商品・歴史を踏まえ、 自分で申請書類を添削できるよう 薬科学科卒業生の将来像は? 4年制薬科学科の学生は、将来薬剤師の資格を取得できない分、薬、生命科 になるトレーニングを就職部門がお手伝いしています。 さらに面接官の興味に 配慮するプレゼンの仕方も訓練します。前年度の就職活動経験者(学生・院生) サークル 「薬就塾」 からも情報フィードバック、支援しています。 学に関する基礎的知識を、 理工学部や農学部に比べ深く学びます。 ヒトのライフ サイエンスに専門性をもつというアドバンテージを活かし製薬・化学系から金融・ マスコミに到るまで幅広くチャレンジします。 大学院に進学する場合には、 その先 の就職を意識し、 3年∼6年間の研究室生活を通じどれだけ自分自身を鍛えられ るか、 という視点による選択が重要度を増しています。 インターンシップのお奨め 短期間ながら企業で実際に働き、仕事の責任、 チームワーク、 マナーなどを 知り将来像を作ることは大変有益で、夏期休暇中のインターンシップを推奨し ています。薬学部・薬学研究科では多くの企業からご賛同、 ご協力をいただき、 薬学研究科・薬科学専攻修了生の将来像は? 研究実験を通じ問題発見や解決能力を徹底的に育成します。 その中で、例え 大学推薦選考枠として実施しています。2016年春新卒採用対象から選考スケ ジュールが大幅に変わるので、就職活動学年以前のインターンシップはこれま で以上に重要になります。 ば、 創薬研究職などへチャレンジできる機会も多くなります。 大学院カリキュラム では総合的ライフサイエンス、 そして各研究室では誰にも負けない創造的プロ フェッショナルを養成する先端的なテーマを準備しています。 他大学出身の大学 院学生は、 内部進学者に比べて一貫した研究業績や先輩からの情報が不足しが ちですが、 就職支援部門が一層のケアに努めているのが特徴です。 卒業生の声 坂本 靖宜 (薬学科 2014年卒) 横浜市立大学附属病院 薬剤部 勤務 耳鼻咽喉科・脳卒中科・放射線科病棟担当 在学中は、臨床現場での実習や 実務薬学講座での卒業研究を通 し、様々なことを学ぶことができま した。就職では、薬が使われるその 場所に関わりたかったため病院薬剤師の道に進みました。現在 は、横浜市立大学附属病院で、頭頸部がんなど耳鼻咽喉科の 入院患者を中心に受け持っています。病棟業務では、患者にお 礼を言われた時や医師に提案した処方が受け入れられた時、他 職種からの薬の問い合わせに対応できた時などに責任の大き さとともに、やりがいを感じています。最近は、看護師とのカン ファレンスや退院時に入院中の薬剤情報をまとめてお薬手帳に 貼るなどの新しい取り組みに挑戦しています。 また、大学病院の 薬剤師として業務中の疑問点を解決するために、研究活動を通 し、エビデンス作りにも挑戦しています。業務以外の面では、業 務後や休日に先輩職員と卓球をし、地域の大会に出場したりし ています。 今後は、患者からより多くのことを学びながら、他の薬剤師か らも参考にして頂けるような薬剤師になりたいと考えています。 26 星野 由依 (薬学科 2014年卒) アステラス製薬株式会社 札幌支店 札幌西営業所 第二チーム 私は六年制薬学科を卒業後、 アステラス製薬のMR(医薬情報 担当者) として入社しました。私 は就職活動中にインターンシッ プに参加し、MRにはマーケティング力・プレゼンテーション 力・コミュニケーション力など様々な能力が必要だと知りまし た。 自分に足りないこれらの力を身につけることができるMR という仕事に魅力を感じ、入社を決意しました。 アステラス製薬は新薬にこだわり、 「患者貢献」 を第一に考 えたMR活動を追求しています。現場では、患者貢献の経験を 共有し合い、情報の質を高めるための研修を継続的に行うこ とで、 日々MRの質の向上に努めています。薬学科を卒業して MRとなった利点は、薬学に関する基礎知識を持ち、製剤の特 徴などについて薬剤師や医師と話し合えることです。 また、実 習の経験によって、医療従事者の患者さんへの想いを共有し て情報提供できます。私はチーム医療の一員として認められ るようなMRを目指し、 力を尽くしていきたいと考えています。 1. 医療薬学・社会連携センター FACULTY OF PHARMACY 薬学教育を支える各種センター Center for Social Pharmacy and Pharmaceutical Care Sciences 高い資質を有する薬剤師養成を目的とし、医療系教員の実務能力の維持・向上、実務実習先との連携強化などを通じて、実務実習および生涯 学習の充実を図り、社会へ貢献すべく2015年4月1日新設されました。 Division of Pharmaceutical Care Sciences 本学では、医療現場に貢献できる薬剤師を養成するために、各種の らに高度な臨床研修を希望する6年次学生に対しては、 アドバンスト病 医療系実習に力を入れています。1年次には、入学直後に病院や薬局な 院実習 (国内または海外) を企画・支援しています。 これらの実習を一元 どを訪問し、薬剤師業務を間近に見せて頂きます。 また大学では、薬剤 的に企画・運営する目的で平成13年(2001年) に設置された 「医療薬 師の基本的業務である調剤や、患者とのコミュニケーションやBLS 学センター」が平成27年(2015年) に医療薬学・社会連携センターに (Basic Life Support)に関する実習に取り組みます。4年次には、実 務実習事前学習 (講義・実習) を通じて、医療現場での体験型実習であ 改組され、医療薬学部門はその一部門として再編されました。 医療薬学部門は、学部1年次の早期体験学習および2年次の薬学科 る 「病院・薬局実務実習」 に必要な基本的知識・技能・態度を修得し、薬 早期実習 (27年度のみ) から、4年次以降の実務実習事前学習、実務実 学共用試験を受験します。合格した学生は、5年次にそれぞれ11週間 習およびアドバンスト病院実習などの臨床教育に関わる講義および実 の病院および薬局実務実習を行い、実臨床で使用される処方せんに基 習を担当しています。またさらには、大学と病院等の医療現場と連携 づく調剤や、患者さんおよび現場の薬剤師、医師、看護師など多くの医 し、臨床能力の高い薬剤師の養成をシームレスに行えることを念頭に 療職との関わりを通じ、薬剤師になるために多くのことを学びます。 さ 活動しています。 社会薬学部門 GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES 医療薬学部門 Division of Social Pharmacy 薬剤師は、人間の生命と健康維持に直接かかわる医薬品を提供す 薬剤師は社会に出てからも、科学と医療の進歩に対応するため学 る立場にあるため、 その社会的責任は極めて大きいと言えます。本年 び続けていかなければなりません。本学部では1968年より薬剤師卒 4月1日、 これからの臨床系薬学教育をより効果的かつ効率的に実践 後教育を開始し、現在では公開講座と通信講座を開講しています。公 することを目的に 「医療薬学・社会連携センター」 が発足しました。 そ 開講座では研修講座、医療薬学講座、特別講演会、指導薬剤師養成 の新部門としてスタートした社会薬学部門は、 同センターの医療薬学 講座を開講しています。薬剤師継続学習通信講座では薬学6年制カ 部門と連携を密に図り、早期体験学習・実務実習事前学習などの 「臨 リキュラムの補習だけでなく、最近の情報を含めた学習として第Ⅵ講 床準備教育」 と、病院・薬局における 「薬学実務実習」 など、薬剤師養 座「高齢者支援薬剤師のための通信講座」 をはじめとして7講座(6 成に係る教育プログラムを担当します。 また、改訂薬学教育モデル・コ 講座+WEB講座)全37科目を開講しています。 アカリキュラムに準拠した薬学実務実習開始に向けた準備も進めま 本学部は薬剤師認定制度認証機構の認証を受けた薬剤師研修制 す。 当部門では、地域医療に携わる薬局・薬剤師業務を注視し、社会 度(G-04) で認定薬剤師の認証を実施しています。 の動向を把握しながら、社会の要請にこたえ、社会が抱える課題を解 SUPPORT SYSTEM / DATA 決することで社会に貢献できる薬剤師の養成に取り組んでいきます。 27 薬学教育を支える各種センター 2. 附属薬局 University Community Pharmacy 地域社会に貢献できる薬剤師の養成、学生のモチベーションの向 上、医療現場に即した薬剤師教育の実践を目的として、平成13年 (2001年) に薬学部の構内に附属薬局を開設しました。 この薬局は保 険薬局としての指定を受け、病院・診療所で処方せんを交付された患 者に対し薬を提供することで、地域医療に貢献しています。患者一人 ひとりに対応した丁寧な服薬指導、安全かつ効果的な薬物治療を行 うための充実した薬剤服用歴管理や、一次予防の情報発信基地とし ても機能しています。 また、港区内の介護老人保健施設と提携し、同 施設への調剤、配薬を行っています。 さらに、6年制薬学生の実務実習 における受入薬局として、薬科大学・薬学部実習生の薬局実習に当 たっています。 3. 薬学教育研究センター Education Research Center for Pharmaceutical Sciences 基礎系実習 薬学教育研究センターは、実習、学部初期教育、CBT対策、薬剤師 国家試験対策など、薬学部の教育に関して中心的な役割を担ってい 基礎的な化学・物理、生物学、有機化学、生化学、衛生化学など、 2・3 ます。 スタッフの構成は、教授(センター長) 1、准教授3、専任講師1、 年次の実習をコーディネートし、実習器具などの管理を行うとともに 助教1、計6名であり、教員の専門分野は有機化学、分析化学から生 多くの実習において指導者として参加しています。 化学、薬理学、薬学教育まで多岐にわたっています。 この特色を活か CBT・国家試験対応 して、医薬品に関する化学的な知識、医薬品の作用の対象となる生 体に関する知識、疾病に関する知識などをカバーした、 さまざまな科 学内委員会の中核として、学生委員とも連携をとりながら、学生の自 目の講義、実習を担当するとともに、次に示した薬学部における教育 主的学習をサポートしています。 その1つとして、学生による薬剤師国 活動のサポートを遂行しています。 家試験問題解説集の作成があり ます。また、 4年次自由科目であ る生命科学の基礎、基礎薬化学、 学部初期教育 基礎生物、情報・コミュニケーション論などの1年次科目を担当する 4・6年次の総合薬学演習などを ほか、学内委員会と協働して、小グループ学習(SGL)を主体とした 担当しています。 ヒューマニティ・コミュニケーション科目や、保健・医療・福祉系学生 合同交流セミナーなどを担当しています。 4. 附属薬用植物園 Medicinal Plant Garden 薬学部は薬用植物園を設置することが義務付けられています。本 学はさいたま市の浦和共立キャンパスにこの施設を持っています。 そ こでは約700種の植物を栽培しており、漢方薬の構成生薬や民間薬 その他医薬品原料となる基原植物を見ることができ、学生実習の教 材や研究素材としています。 また、浦和共立キャンパスは遠隔地であ るため、芝共立キャンパスの1号館の屋上に植物園の分室を置き、 ミ シマサイコ、 シャクヤク、 シナマオウなど重要な薬用植物50種を育て、 身近なところでも生きた教材に触れられるようにしています。 28 FACULTY OF PHARMACY 5. 薬学メディアセンター Information and Media Center for Pharmaceutical Sciences 薬学メディアセンター(芝共立薬学図書館) は、薬学と医学・化学・ 生物学など関連分野の資料を幅広く収集している専門図書館です。 キャンパスの交差点ともいえる1号館、 2号館、 3号館を結ぶ連絡通 路の中央にあります。Webを介したサービスを整備しながら、便利で 快適な学習場所としての空間づくりにも取り組んでいます。静かな閲 覧席、PCエリア、 グループ学習室は熱心に勉強する学生の姿が絶え ません。所蔵資料はすべて開架式で直接手にとって利用でき、学生や 教職員だけでなく、医療人として活躍する卒業生にも活用されていま す。他キャンパスのメディアセンターと連携したサービスや学術情報 の提供を通じて、薬剤師や専門研究者の育成、継続学習に寄与してい 6. 芝共立ITC GRADUATE SCHOOL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES ます。 Shiba-Kyoritsu Information Technology Center インフォメーションテクノロジーセンター(ITC)は、義塾に必要な 情報基盤を効果的に提供することによって、義塾の教育・研究の発展 および義塾の円滑な運営に寄与することを目的としており、ITC本部 と、各地区の情報基盤に関する研究・教育支援を行う三田ITC、 日吉 ITC、信濃町ITC、理工学ITC、湘南藤沢ITC、芝共立ITCから構成され ています。 芝共立ITCでは、 キャンパスネットワークや各種情報システムの運 用管理などを行っています。 また、学生や教職員が自由に使用できる PC室(PC94台設置1室、PC8台設置1エリア) の運用管理も行って います。 7. 国際交流センター Center for International Affairs 薬学部国際交流センターは、学生の国際感覚の涵養に寄与するこ SUPPORT SYSTEM / DATA とを目的として活動しています。米国、韓国、中国、 タイなどの大学と 学術交流協定を締結し、平成9年(1997年)来、 これらの協定校に修 士課程の学生を派遣し、協定校から も交換学生を受け入れてきました。平 成23年(2011年)からは、海外アド バンスト病院実習と称して薬学科生 を派遣しています。 さらに、海外の招待講師による講 義・講演会、提携校薬学部などとの交 流会を開催しています。 国際交流セミナー 中国四川省ウコン産地見学 29 データ 入学定員(2016年度) 慶應義塾大学薬学部の沿革 学科 学 部 薬学科 150名 薬科学科 5名 薬科学専攻(前期博士課程) 40名 薬科学専攻(後期博士課程) 3名 在籍者数(2015.4.1現在) ( ) は女子で内数 学科 薬学科 学制改革により共立薬科大学 (女子のみ) として発足 1966.6 薬科学科 256(57)名 1197(620)名 専攻 修士 博士 薬学 26(9)名 薬科学 79(22)名 14(1)名 薬学(旧) ー 0(0)名 医療薬学(旧) ー 2(1)名 計 79(22)名 浦和分校開設 (附属薬用植物園、運動施設) 1968.4 生物薬学科(入学定員60名)増設 1975.10 浦和分校を浦和校舎に改称 1986.4 大学院薬学研究科薬学専攻 (修士課程・男女共学)設置 1988.4 同後期博士課程設置 1996.4 学部男女共学開始 2000.11 新3号館竣工 2001.4 附属薬局開設 941(563)名 計 大学院 1949.2 薬学部薬学科(入学定員80名) 薬学専攻(博士課程) 学 部 東京都港区芝公園6号地に 共立女子薬学専門学校設立 60名 専攻 大学院 1930.11 医療薬学専攻設置 (博士課程前期、後期同時設置) 2002.8 新1号館竣工 2004.4 生物薬学科を医療薬学科に改称 2006.4 薬学科(6年制・180名)、 薬科学科(4年制・30名)発足 2008.4 学校法人慶應義塾と合併、 慶應義塾大学薬学部となる 2010.4 薬科学専攻(修士課程)設置 2012.4 薬学専攻(博士課程) 薬科学専攻(後期博士課程)設置 42(11)名 各問い合わせ先 〒108-8345 港区三田2-15-45 TEL 03-5427-1566(直) 大学院薬学研究科 入試について 〒105-8512 港区芝公園1-5-30 TEL 03-5400-2498(直) 薬学部奨学制度 について 30 入学センター 学部入試について 芝共立キャンパス学生課大学院担当 芝共立キャンパス学生課奨学金担当 〒105-8512 港区芝公園1-5-30 TEL 03-5400-2683(直) ホームページ 慶應義塾大学 http://www.keio.ac.jp/ 薬学部・薬学研究科 http://www.pha.keio.ac.jp/ 学部入学案内(総合案内) http://www.admissions.keio.ac.jp/ 大学院入学案内(総合案内) http://grad.admissions.keio.ac.jp/ 芝共立キャンパス 交通アクセスに優れた都市型キャンパス 主に薬学部の2∼6年生と大学院生が学ぶキャンパスです (1年生も一部の授業で利用)。構内には教育棟、研究棟、学生厚 生棟があり、実習室や附属薬局などのほか、屋上庭園といった憩いの空間も設けられています。 また、東京タワーや増上寺など から程近く、都心にありながら落ち着いた雰囲気が漂います。 周囲に鉄道が4路線あり、 どの駅からも徒歩10分以内に位置す るアクセスのよさも、 このキャンパスの大きな魅力です。 3 1 1号館 (学生厚生棟) 東口入口 3 3号館 (研究棟) 5F 談話室、 和室、屋上庭園、 2 4F 北口入口 3F 2F 1F B1F 1 正面入口 薬用植物園分園 芝共立インフォメーション テクノロジーセンター 体育館(多目的ホール) 学生ホール (食堂)、生協購買部 事務室(学生課) マルチメディア講堂、 創薬センター・ラボ 11F 10F 5∼9F 4F 1F 2 2号館 (教育棟) (芝公園) 4F 2∼3F 1F B1F B2F 3F 2F 記念講堂(大講義室)、学生相談室 講義室、実習室、非常勤講師室 講義室、実習室、保健管理センター 講義室、実習室、医療薬学実習室 実験動物飼育室 B1F 会議室(セミナー室) 講座研究室、R I 実験施設 講座研究室、実験室 講座研究室、研究交流オフィス マルチメディアコンピューター室 薬学メディアセンター(図書館書庫) 薬学メディアセンター(図書館) 学部長室、講座研究室 薬局DI 室 事務室(総務課・用度課・学術研究支援課) 受付・中央管理室、 医療薬学・社会連携センター、附属薬局 共同実験室 ACCESS 至 日比谷 至 日本橋 至 東京 御成門駅A2出口 港区役所 都営大江戸線 山手・京浜東北線 正面入口 東京 タワー 至 両国 JR 芝共立キャンパス 大門駅A6出口 東京モノレール 都営浅草線 都営三田線 浜松町駅 至 新宿 至 目黒 至 五反田 住所・電話番号 至 品川 羽田空港 方面 〒105-8512 東京都港区芝公園1-5-30 TEL 03-3434-6241 Address 1-5-30 Shibakoen, Minato-ku, Tokyo 105-8512 Phone +81-3-3434-6241 交 通 アクセス 3号館(研究棟) JR山手線・京浜東北線「浜松町」駅下車(徒歩10分) 都営地下鉄三田線「御成門」駅下車(徒歩2分) 都営地下鉄浅草線・大江戸線「大門」駅下車(徒歩6分) ※ 東京∼浜松町:約6分 上野∼浜松町:約15分 渋谷∼浜松町:約17分 水道橋∼御成門:約12分 31 慶應義塾大学 薬学部・薬学研究科 〒105-8512 東京都港区芝公園1-5-30 TEL 03-3434-6241 http://www.pha.keio.ac.jp/ 2015年7月 芝共立キャンパス学生課発行
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