調 査 速 報 浜銀総合研究所 調査部 産業調査室 2015.11.4 国内新車販売統計(2015年10月) 内需低調で生産抑制圧力が強い状況が続く:中古車輸出の減速は新車販売の逆風に ○10 月国内新車販売(SAAR)は前月比横ばいの 531 万台 ・11 月2日発表の 10 月の国内新車販売台数(登録車+軽自動車、貨物車含む)は前年同月 比 4.1%減と 10 か月連続の前年割れとなったが、季調済年率換算値(X-12-ARIMA にて当 社試算、以下 SAAR)でみた 10 月の販売台数は前月並みの 531 万台となった。 後述するが、 足元の軽乗用車販売は強めに出ている印象がある。最近2か月の SAAR は前年度通年実績 である 530 万台近辺に回復しているが、内需は依然として低調とみている(図表1) 。 ・内訳をみると、10 月の乗用車(登録車+軽)販売台数の SAAR は前月比 0.4%増の 447 万 台となった(図表2) 。このうち、登録乗用車は同 0.3%増の 285 万台と微増となった。8 月以降は頭打ちの状況で回復感は感じられない(図表3) 。 ・9月に大きく増加した軽乗用車の販売は、10 月もその増勢が衰えることなく、同月の軽乗 用車販売台数の SAAR は前月比で 0.7%増の 162 万台となった(図表4) 。流通業界関係者 への取材情報を基にすると、9月は上期末の積極販売で台数が大きく増えたと考えるが、 10 月もその余熱が残った形だ。もっとも、10 月においても SAAR は昨年度実績(176 万台) を下回る水準である。積極販売が足元の販売を支えていると考えるため、11 月以降に反動 減が見られる可能性もあり、軽市場が苦境を脱したと判断するには時期尚早である。 ・一方、貨物車(普通+小型トラック)販売台数の 10 月の SAAR は前月比 1.6%減の 42 万 台と減少した(図表5)。東日本の復興関連投資に関わるトラック受注が減速し、貨物車 販売には力強さが欠けている。 ・後述するが、10 月 29 日発表の9月の鉱工業指数をみると、自動車メーカーが乗用車の減 産を継続したことで在庫は着実に減少したが、軽の在庫には依然として過剰感がある。自 動車生産に対する下方圧力が強い状況が続く見通しである。 ・高成長市場として国内自動車流通市場で注目されている中古乗用車輸出市場では、9月の 輸出台数(SAAR)が前月比 8.4%減の 95 万台と大きく減少した。中国人民元の切り下げ に端を発する新興国通貨安の進行で、9月に入ってから中古車輸出は急減速し、同市場の 潮目が変わったと言える。中古車輸出の減速により国内中古車市況が軟化し、下期の新車 販売の逆風となる可能性が高い。 図表1 国内新車販売の SAAR は前月比横ばい 季調済、千台 7,000 新車販売台数(登録車+軽自動車、貨物車含む) 前年同月比、% 15年10月SAAR 531 万台 100 前月比横ばい 80 6,500 6,000 60 5,500 40 5,000 20 4,500 0 4,000 -20 3,500 3,000 -40 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 前年同月比(右軸) -60 2,500 -80 . 11 12 13 14 15 2010年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会より作成 1 図表2 乗用車販売(SAAR)は前月比微増 季調済、千台 6,500 乗用車新車販売台数(登録車+軽) 図表3 登録乗用車の販売が前月比微増 前年同月比、% 15年10月SAAR 447万台 前月比+0.4% 6,000 季調済、千台 120 4,500 100 4,000 5,500 80 5,000 60 登録乗用車新車販売台数 前年同月比、% 100 15年10月SAAR 285万台 前月比+0.3% 80 3,500 60 3,000 40 4,500 40 4,000 20 2,500 20 3,500 0 2,000 0 3,000 -20 2,500 2,000 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 前年同月比(右軸) 1,000 -60 1,500 -20 1,500 -40 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 前年同月比(右軸) -40 -60 500 -80 . . 11 12 13 14 15 2010年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 日本自動車販売協会連合会より作成 11 12 13 14 15 2010年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 日本自動車販売協会連合会及び全国軽自動車協会連合会より作成 図表4 軽乗用車販売も前月比微増 軽乗用車販売台数 図表5 貨物車販売は力強さに欠ける 2,500 前年同月比、% 80 15年10月SAAR 162万台 前月比+0.7% 60 2,000 40 1,500 20 1,000 0 季調済、千台 3,000 季調済、千台 500 貨物車販売台数 前年同月比、% 100 450 80 400 60 350 40 15年10月SAAR 42万台 前月比▲1.6% 20 300 0 250 500 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 前年同月比(右軸) -20 200 -40 0 150 . 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) -20 -40 . 11 12 13 14 15 2010年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 全国軽自動車協会連合会より作成 11 12 13 14 15 2010年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 日本自動車販売協会連合会より作成 2 ○9月も乗用車の在庫削減が進んだが、内需は依然低調なため、生産抑制の圧力は残る ・9月の鉱工業指数(速報値)を見ると、自動車メーカーは減産を継続したことによって在 庫削減に努めたことが判る。在庫循環図上では(注)、8月に続き9月も乗用車生産は「意図 せざる在庫減局面」にあり、在庫は健全な水準にある(図表6) 。 ・乗用車全体の在庫が適正水準となる中、12 月にトヨタ自動車が新型「プリウス」を発売す ることから、今後、生産は「在庫積み増し局面」に向かって増加していくと思われる。もっ とも、足元の内需が低調であることと、軽乗用車の在庫が依然過剰なことが足かせとなり、 総じてみれば、下方圧力が引き続き強い中での緩やかな増産が続くと予想される。 ・図表7~9では鉱工業指数から、普通、小型、軽乗用車別の各指数(生産、出荷、在庫) の推移と在庫循環図を示している。普通乗用車の在庫(季調値)は9月に大きく減少した。 生産活動は「意図せざる在庫減局面」にあり、普通乗用車の在庫水準は健全である。 ・小型乗用車の在庫は増加したが、在庫循環図上は9月も8月に続いて「意図せざる在庫減 局面」にあり、在庫に過剰感はない。 ・一方、国内自動車生産における懸念材料は引き続き軽乗用車の過剰在庫問題である。9月 の在庫は8月から大きく減少したが、 「在庫調整局面」にとどまっており、在庫水準は依 然過剰である。なお、軽乗用車生産に関しては在庫循環図上における現状判断に注意が必 要である。すなわち、昨年9月の在庫水準は極めて高い水準であったため、本年9月の在 庫は前年同月比で減少し在庫循環上では改善傾向にあると見えるが、季節調整値でみた在 庫は依然として高水準なのである。軽乗用車の在庫過剰感は、在庫循環図上でみるよりも 強い状況にあると判断するのが妥当である。軽自動車メーカーは一層の生産抑制が必要で あり、国内軽自動車市場の収益性が早期に回復すると見込むのは難しい。 (注)新モデルが発売されるタイミングで乗用車の出荷と在庫は大きく振れるため、各月の出荷・在庫(原数値)を3か月後方移動平均で均 してから前年同月比と比較し、それぞれ変化率を X-軸(出荷)と Y-軸(在庫)でプロットしている。 図表6 乗用車の在庫削減が進んだ 季調済、2010年平均=100 140 乗用車の在庫循環図 鉱工業指数の推移:乗用車 80 在庫積み上がり局面 60 ( ( 在 庫 120 3 か 月 後 方 移 動 平 均 -80 値 100 80 ) ) ・ 前 年 同 月 比 % 60 生産 出荷 在庫 . 40 2011 2012 2013 2014 2010年 注: 赤いマーカーは各年の1月実績。 出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成 2015 40 在 庫 調 整 -60 局 面 20 0 -40 -20 0 20 40 2009年1月 -20 60 在 庫 積 み 増 80 し 局 面 -40 -60 直近月 (2015年9月) 意図せざる在庫減局面 -80 出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比% 注: 2014年実績値は□(黄色)、15年実績値を○(赤色)でハイライト。 出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成 3 図表7 普通乗用車在庫は大きく減少し健全な水準 季調済、2010年平均=100 120 普通乗用車の在庫循環図 鉱工業指数の推移:普通乗用車 20 在庫積み上がり局面 ( 在 庫 2011年1月 3 か 月 後 方 在 移 庫 動 調 平 均 -20 整 局 値 100 80 ) ・ 前 年 同 月 比 % 60 生産 出荷 在庫 . 40 2011 2012 2013 2014 2010年 注: 赤いマーカーは各年の1月実績。 出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成 在 庫 積 み 増 20 し 局 面 0 0 面 直近月 (2015年9月) 2015 意図せざる在庫減局面 -20 出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比% 注: 2014年実績値は□(黄色)、15年実績値を○(赤色)でハイライト。 出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成 図表8 小型乗用車の在庫は増加したが「意図せざる在庫減局面」にあり、在庫に過剰感はない 小型乗用車の在庫循環図 鉱工業指数の推移:小型乗用車 100 季調済、2010年平均=100 200 在庫積み上がり局面 180 出荷 在 在 庫 庫 3 3 か か 月 月 後 後 方 方 移 移 動 動 平 平 均-100 均 値 値 ・・ 前 前 年 年 同 同 月 月 比 比 % % ( ( 生産 在庫 160 140 120 ) ) 100 80 60 在 庫 調 整 局 面 在 庫 積 み 増 し 局 面 0 0 100 直近月 (2015年9月) 意図せざる在庫減局面 . 40 2011 2012 2013 2014 2010年 注: 赤いマーカーは各年の1月実績。 出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成 -100 出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比% 2015 注: 2014年実績値は□(黄色)、15年実績値を○(赤色)でハイライト。 出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成 図表9 軽乗用車在庫は減少したが、依然として在庫は過剰 季調済、2010年平均=100 軽乗用車の在庫循環図 鉱工業指数の推移:軽乗用車 100 400 在庫積み上がり局面 在 庫 320 3 か 月 後 方 移 動 平 均 -100 値 ( 360 280 240 生産 出荷 在庫 200 ) 160 120 80 . 40 2010年 2011 2012 2013 2014 2015 ・ 前 年 同 月 比 % 50 在 庫 調 整 局 面 0 -50 0 50 直近月 (2015年9月) 在 庫 積 み 増 し 局 面 -50 意図せざる在庫減局面 注: 赤いマーカーは各年の1月実績。 出所: 経済産業省「鉱工業指数」より浜銀総合研究所が作成 -100 出荷(3か月後方移動平均値)・前年同月比% 4 注: 2014年実績値は□(黄色)、15年実績値を○(赤色)でハイライト。 出所:経済産業省「鉱工業指数」を基に浜銀総合研究所が作成 100 ○9月の新車乗用車輸出は前月比で増加 ・10 月 29 日に公表された9月の乗用車輸出台数(軽乗用車と中古車を除く)は SAAR で前 月比 14.5%増の 392 万台と大きく増加した(図表 10) 。 ・主要仕向地別で見ると(図表 11) 、8月に大きく減少した欧州向けや米国向けの輸出が9 月に反転増加し、中国向けも増加した。 ・日本にとって最大の輸出先である米国の新車販売台数(SAAR)は、9月に 1,800 万台を 超えるなど、高水準で推移しているが(図表 12) 、米国向けの輸出が今後更に増加すると 期待するのは禁物である。即ち、中国経済の失速などを背景に、米国政策金利の引き上げ 時期に不透明があるものの、近い将来の金利引き上げは自動車販売の下押し要因となる。 ・欧州の乗用車販売には頭打ち感があり(図表 13) 、今後、同地域向けの輸出も更に増加す ると想定するのは難しいと考える。 ・最後に、9月の中国向けの乗用車輸出台数(SAAR)は前月比 7.3%増の 20.4 万台と5か 月連続の増加となった。もっとも、依然として昨年(14 年)の輸出実績(22 万台)を下 回り、低調であることに変わりはない。景気悪化と株価低迷により、足元の中国での乗用 車販売は低調だ。乗用車小売台数は9月までの2か月間、前年比微増で推移した。しかし、 流通在庫は過剰な水準にある(図表 14) 。乗用車の工場出荷台数(生産台数に近い)をみ ると、8月、9月と増加している(図表 15) 。これらのデータから推測できることは、積 極的な安値販売で小売台数が持ち直し、流通在庫が減少したのをみて、カーメーカーは生 産のアクセルを強めたものの、需要以上に増産していることで在庫が再度増加している可 能性がある。中国乗用車市場は末端需要の弱さが続き、依然として過剰在庫を抱えており、 在庫調整圧力が強いため、同国向け輸出台数が今後大きく浮上することは期待できない。 ・以上のように、主要自動車市場において、日本からの乗用車輸出に対する下押し要因が存 在するため、目先、輸出は低水準で推移し続けると予想する。 図表 10 9月の乗用車輸出(SAAR)は前月比で増加 季調済、千台 5,000 新車乗用車輸出台数:全国 前年同月比、% 100 80 4,500 15年9月SAAR 392万台 前月比+14.5% 60 40 4,000 20 3,500 0 -20 3,000 -40 -60 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 2,500 -80 2,000 . -100 11 12 13 14 15 2010年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 5 図表 11 欧米及び中国向け輸出が増加 米国向け新車乗用車輸出台数 季調済、千台 2,000 前年同月比、% 80 15年9月SAAR 161.2万台 前月比+6.8% 1,500 1,000 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 500 11 2010年 60 700 60 40 600 40 20 500 20 0 400 0 -20 300 -40 200 -60 100 12 13 14 -80 0 豪州向け新車乗用車輸出台数 季調済、千台 500 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) -60 -80 2010年 前年同月比、% 80 60 400 11 12 13 300 20 250 0 200 -20 150 2010年 14 中国向け新車乗用車輸出台数 -40 0 2010年 前年同月比、% 80 60 40 20 200 0 150 -20 -40 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) -60 -80 0 . 12 13 14 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 11 12 13 14 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 250 11 -20 -60 -80 . 300 2010年 0 20 15 15年9月SAAR 20.4万台 前月比+7.3% 350 20 40 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 季調済、千台 400 40 60 . 13 60 80 -80 12 前年同月比、% 80 15年9月SAAR 4.8万台 前月比▲20.3% 100 -60 0 11 15 -40 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 50 14 ASEAN向け新車乗用車輸出台数 季調済、千台 120 40 350 100 -40 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 15年9月SAAR 31.9万台 前月比▲4.5% 450 50 -20 15年9月SAAR 48.4万台 前月比+13.5% . 15 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 100 前年同月比、% 80 . . 0 EU圏(28か国)向け新車乗用車輸出台数 季調済、千台 800 15 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: ノックダウンを除く。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 6 15 図表 12 米国新車販売は金利引き上げ後の需要減少リスクに要警戒 米国新車販売台数 季調済、百万台 19 前年同月比、% 40 18 30 17 20 16 10 15 0 -10 14 15年9月SAAR 18.38百万台 前月比+2.2% 13 12 -20 -30 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 11 10 9 -40 -50 -60 . 08 09 10 11 12 13 14 15 2007年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: Autodata、Bloombergのデータより作成 図表 13 欧州乗用車販売に頭打ち感 EU27か国乗用車新車登録台数 季調済、百万台 16 前年同月比、% 30 15年9月SAAR 13.85百万台 前月比▲0.6% 14 20 12 10 10 0 8 -10 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 6 4 -20 -30 . 2008年 09 10 11 12 13 14 15 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 欧州自動車工業会(ACEA)のデータより作成 図表 15 乗用車出荷は増加しているが、過剰生産の恐れ 図表 14 中国での乗用車流通在庫は過剰 VIA指数 75 70 65 60 55 50 45 40 35 30 25 中国の在庫早期警戒指数(VIA)と乗用車小売台数の推移 季調済、百万台 24 前年同月比、% 50 40 30 20 10 0 -10 -20 -30 -40 -50 VIA:在庫早期警戒指数(左軸) 乗用車小売台数前年同月比(右軸) . 22 14 前年同月比、% 60 15年9月SAAR 20.44百万台 前月比+5.9% 40 18 30 16 20 14 10 12 0 6 . 11 12 13 14 15 2010年 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: 工場出荷ベース。 注3: SAARは米センサス局法X-12-ARIMAにて浜銀総合研究所が試算。 出所: 中国汽車工業協会(CAAM)のデータより作成 15 7 -10 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 8 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: 乗用車小売台数は微型バン(軽自動車バン)を除く。 注3: VIAは50を下回る場合がディーラーでの在庫水準が適正、50を上回る場合が在庫過多。 出所: 中国汽車流通協会(CADA)、全国乗用車市場信息連席会(CPCA)データより浜銀総合研究所作成 50 20 10 . 2013年 中国乗用車出荷台数 -20 -30 . ○新興国通貨安の進行で9月中古乗用車輸出台数は急減速 ・中古乗用車の輸出市場は日本の自動車産業において数少ない高成長市場であり、新車 ディーラー含め、国内の自動車流通業者の多くが中古乗用車の輸出市場の動向に注目して いる。しかし、9月の中古車輸出台数(SAAR)は前月比 8.4%減の 95 万台と年率 100 万 台を割り込み、急減速した(図表 16) 。 ・9月の中古乗用車輸出を仕向地別で見ると、ミャンマーとアフリカ以外の主要仕向け地向 けの輸出は軒並み前月比で減少した(図表 17) 。中古車流通業者の間で高成長市場として 注目されているスリランカ向けの9月の輸出台数も5か月ぶりに減少した(図表 18) 。 ・中古乗用車の輸出車両単価(FOB 平均価格)をみても、9月の単価は2か月連続で下落し た(図表 19) 。チリとアラブ首長国連邦向け以外の仕向け地への輸出単価が減少した。市 況軟化の背景には、8月の人民元切り下げに端を発した新興国通貨の下落により、現地通 貨ベースでの中古車両価格が上昇しているため、輸出数量の維持・拡大を狙った一部の日 本の輸出業者が値下げ販売をしていると推測する。 ・9月の中古乗用車輸出の市場規模は前年同月比 3.8%減の 535 億円と、31 か月ぶりに前年 割れした。15 年1~9月累計では前年同期間比 13.5%増の 4,952 億円と市場は拡大して いるが、10 月以降も前年割れが続くかどうかに要注意である(図表 20) 。中古車輸出市場 は為替相場に左右されやすい。新興国市場での中古車需要は堅調なことから、中古車輸出 市場は中長期的に成長し続けると考えるが、8月からの新興国通貨安という突然の逆風に さらされ、同市場は現在、踏ん張り時を迎えている。 ・今後は、10 月以降の貿易統計でみる中古車輸出台数の動きに加え、国内中古車市況の軟化 と、それが新車販売の足かせとなる可能性に注意したい。中古車輸出減速⇒国内中古車需 給の緩和⇒中古車市況軟化⇒下取り価格の下落⇒新車買い替え需要減少、というプロセス で新車販売に悪影響を与えるかどうかに要警戒だ。 図表 16 9月の中古乗用車輸出台数は大きく減少 中古乗用車輸出台数の推移 季調済、万台 140 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) SAARの3か月後方移動平均値(左軸) 前年同月比(右軸) 120 前年同月比、% 15年9月 SAAR 95万台 15年1~ 9月 SAAR 104万台 80 60 100 40 80 20 60 0 40 -20 20 10年 67.3万台 前年比+33.3% 11年 70.0万台 前年比+4.1% 12年 83.1万台 前年比+18.7% 13年 94.8万台 前年比+14.1% 14年 106.0万台 前年比+11.8% -40 0 -60 . 2010年 11 12 13 14 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 8 15 図表 18 スリランカ向けも5か月ぶりに減少 図表 17 主要仕向け地向けの輸出が軒並み減少 仕向地別中古乗用車輸出台数の推移 季調済、万台 ロシア(15年8月SAAR 2.1万台) ミャンマー(6.1万台) チリ(5.4万台) スリランカ(5.9万台) 25 季調済、千台 80 ニュージーランド(9.9万台) アラブ首長国連邦(10.0万台) アフリカ南部・東部6か国(18.1万台) 15年9月 SAAR 5.9万台 前月比▲15.0% FOB平均価格(右軸) 季節調整済年率換算値:SAAR(左軸) 70 20 スリランカ向け中古乗用車輸出台数とFOB平均価格の推移 千円/台 2,500 2,000 60 50 15 1,500 40 10 1,000 30 20 5 500 10 0 0 . 2010年 注1: 注2: 注3: 出所: 11 12 13 14 0 . 15 2010年 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 アフリカ南部3か国:南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、東部3か国:ケニア、タンザニア、ウガンダ。 SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。 財務省「貿易統計」より作成 12 13 14 図表 20 輸出金額は 31 か月ぶりに前年割れ 仕向地別中古乗用車FOB平均価格の推移 千円 800 800 700 700 600 600 500 500 400 400 300 中古乗用車輸出金額の推移 億円 800 輸出金額 200 100 ニュージーランド チリ ミャンマー アフリカ南部・東部6か国 注1: 注2: 注3: 出所: 11 12 13 14 15年1~9月累計 4,952億円 前年同期間比+13.5% 60 40 500 20 300 400 0 200 300 -20 100 200 10年 3,452億円 前年比+42.2% 11年 3,529億円 前年比+2.2% 12年 3,933億円 前年比+11.4% 13年 4,959億円 前年比+26.1% -40 14年 6,013万台 前年比+21.2% 100 . 2010年 80 600 0 0 前年同月比、% 15年9月 535億円 前年同月比▲3.8% 前年同月比(右軸) 700 ロシア アラブ首長国連邦 全世界 15 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 図表 19 中古乗用車の平均輸出単価が軟化 千円 11 -60 . 15 2010年 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 アフリカ南部3か国:南アフリカ、モザンビーク、ザンビア、東部3か国:ケニア、タンザニア、ウガンダ。 FOB平均価格は輸出金額を輸出数量で除した。 財務省「貿易統計」より浜銀総合研究所が作成 11 12 13 14 15 注1: 赤塗りマーカーは各年の1月実績値。 注2: SAARは米国センサス局法X-12-ARIMAを用いて浜銀総合研究所が試算。 出所: 財務省「貿易統計」より作成 担当:調査部 産業調査室 深尾三四郎 Tel: 045-225-2375 Email: [email protected] 本レポートの目的は情報の提供であり、売買の勧誘ではありません。本レポートに記載されている情報は、浜銀総合研究所・調査部が 信頼できると考える情報源に基づいたものですが、その正確性、完全性を保証するものではありません。 9
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