開拓者精神(Frontier Spirit) 四日市南高校 校長便り 2015 第 4 号 1.うれしかったこと 7 月になりました。もうすぐ 1 学期が終わろうとしています。4 月に転勤してきて 3 か月 ちょっと。時間の過ぎるのが早いですね~。一緒に入学してきた 1 年生の皆さんも同じ想 いではないでしょうか。今回は最初にうれしかったことを二つ書きます。 一つは 6 月 15 日に地域の方からお電話をいただいた件。 「前日の日曜日にアピタで体調 不良で倒れた中学生に、たまたま居合わせた四日市南の女子生徒 2 名(背中に送球部のプ リントあり)が救急車到着まで非常にてきぱきと処置をしてくれた。そばで見ていた私た ち家族も周りにいた人たちも感心していた。 」とのうれしいお知らせ。だいたい、地域の方 から学校への電話は「交通マナーが悪い」「公共の場所で騒いでいた」等のお叱りの場合が 多く、こちらも平謝り、というケースが多いのですが、このようなうれしい電話だったら 大歓迎。そもそも私はお叱りの電話も四日市南高校への期待の裏返しだと思っていますが。 これをお読みになった保護者の皆様、HPでご覧になったOBや地域の方々、そのような いい話がありましたらぜひご連絡ください。皆様のお言葉や激励が生徒を育てますので。 さて、この件で私が感心したことが二つあります。一つはこのような咄嗟のケースで行 動に移すことができた彼女らの勇気と度胸(なかなか経験を積んだ大人でも咄嗟に動ける ものではないと思いますよ) 。 しかも彼女らは入学したばかりの 1 年生。 たいしたものです。 もう一つはこういった症状が出た時の処置の仕方を知っていたこと。彼女らに聞いたとこ ろ、一人が救急車を呼び、もう一人が(出血していたので)止血をしたとのことでした。 これはまさに中学校までのキャリア教育、安全教育のたまものかもしれません。先生方も 毎年、AEDと心肺蘇生の研修会をしているのですが、ここまで的確にできるかどうか。 私も見習わなければ。 もう一つのうれしかったことは体育祭の騎馬戦と綱取りです。ご存知のように昨今、そ の危険性ゆえに全国的にも騎馬戦、棒倒しといった荒々しい要素を含んだ競技は減少傾向 にあり、ましてや今回は福岡県での痛ましい事故に対する判決が出たこともあり、本校で も実施の有無について議論がなされました。最終的には実施の決断をするわけですが、そ こへ至るまでに生徒会執行部のみなさんに課した「先生方が納得できるような安全性に配 慮したルール改善案を提示してくれ」との宿題に彼らは見事にこたえてくれました。例年 のような激しい肉弾戦を期待していた向きには物足りなかったかもしれませんが、私の見 解では、競技そのものが肉弾戦の要素を残しながらもコミュニケーションを通じて戦略に 富んだ知的なゲームに進化していたと思います。まさに、21 世紀に必要な能力を取り込ん だ新たなバージョンの騎馬戦であり綱取りになっていました(生徒会執行部がそこまで意 識したかどうかはわかりませんが)。また、見逃すことができないのが先生方の意識です。 この競技を実施するに当たり、 「四日市南は騎馬戦や棒取りができる学校でありたい」との 先生方の思いがなければ実施の決断ができたかどうか。 「やる以上はもしもの時は体を張っ て生徒を守ってください」とのお願いに対しても本当に献身的に行動していただきました。 さらには競技において選手の皆さんが闘志を燃やしながらも相手へのリスペクトを忘れな いというフェアプレイの精神も見事だったと思います。生徒会・教員・生徒、三つの力が 融合・結実して大きな力となり、素晴らしい競技になったこと。大変うれしい出来事でし た。ただし、体育祭そのものにはまだまだ改善の余地があるように思います。例えば、運 営においてもっと生徒の主体性を発揮できないか。体育祭や文化祭はその学校の総合的な 学校力を表しています。大縄跳びで見せたみなさんの対応力の高さ(風が強く縄がまわし にくい状況で、練習ではほとんど飛べていない状況でありながら本番になると見事に修正 できていた)を考えてもみなさんにはもっともっと秘められた能力があります。生徒会を 中心に振り返りを行い、来年はさらに素晴らしい体育祭を見せてもらえることを期待して います。 2.キャリア教育的発想による高校生活 今回はうれしさのあまり、前置きが長くなってしまいました。 よく高校生活の 3 年間などといわれます。もちろん、これは間違いのないところなので すが、私のキャリア教育的発想からすると 1 年間が 365 日ですから、高校 3 年間というよ り「高校生活 1000 日」とする考えもあります。昔は進学校ではこれを「300 日+300 日+ 300 日+100 日」と区切って考えていました(だから高校 2 年の 3 学期は 3 年生 0 学期と 考えて受験勉強に切り替えなさい、ということですね) 。しかし、高校生が幼くなったとい われている現在(私は幼くなったというよりこれまでのさまざまな経験の少なさによって そのように見えるのだと思っていますが)、 「100 日+300 日+300 日+300 日」と区切って 考えたほうがいいのではないでしょうか。つまり、最初に第1期として高校生としての意 識、行動、学習法、生活などをしっかりと教える期間(進路指導の世界では生徒を高校生 にする、と表現しています)が必要だというわけです。私もこの初期指導は最も大切だと 考えています。全国の進路指導関係の先生方には「この時期がすべて」とおっしゃる方も います。7 月になり、1 年生はちょうどその期間が終わろうとしており、ここから第 2 期に 入ります。次の 300 日は第 1 期で理解した行動、生活、学習をキチンと実践できるように することです。この時期を基礎確立期と呼びます。第 3 期は翌年の 5~6 月からになります ね。2 年生はちょうどこの時期に入っているわけですが、多くの部活動で 3 年生が引退。そ れぞれのクラブで中心になって活動していくとともに、修学旅行や文化祭、また多くの校 外活動にも参加して、だんだんと自立し主体性を高めていく。また、その中でいかに自己 管理をして勉強との両立をはかるかを工夫する時期に当たります。ここを充実期と呼びま す。第 4 期は 2 年生の 2~3 月から始まります。いよいよ受験勉強を中心に今まで培ってき たパワーや主体性を学習や研究につぎ込む時期です。ただ、最初はまだ部活動を続けなが らという人も多いでしょうから、最後の県総体までは受験や学習への意識を高めて両立を 図りながら、総体終了後からパワー全開という形になるでしょうか。具体的実践期です。 もちろん、これはスタンダードであって、個人個人では時期的なズレもあるでしょうし、 すでにこのようなことは言われなくてもできている(もっと大人の感覚を持っている)と いう人もいるでしょう。そこは自分の状況に合わせて高校生活を送ってもらえばいいと思 います。むしろ問題なのは 2,3 年生で、キャリア教育的発想の高校生活が正しいとしても 「今までそんな生活なんて送ってこなかったよ~」 「もう終わってるやん」という人でしょ う。でも大丈夫。そのために夏休みという 50 日もの(期末テスト終了後からなら 50 日あ る)調整期間があるのです。ここはどの時期にあたる人でも最重要になってきます。なぜ か?この答は 7 月 17 日の終業式での校長講話と次回の校長便りでお伝えしたいと思います。 (次回の校長便りは 7 月 17 日の終業式の日に出します) (7 月 6 日)
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