2014年度要約(PDF:206KB)

2014年度「生活心理履修モデル」卒業論文要約
公的自己意識・劣等感・社会志向性が化粧行動や
被服行動に及ぼす影響
青木 愛美
【要約】
人は他人に自分がどのように見られているのかということを気にする。女性は化粧をし
て、出かける前には服を選ぶのに時間をかけお洒落をする。だた、化粧行動や被服行動に
は人それぞれ度合いは違う。あまり容姿を気にしないという人もいれば、必要以上に容姿
を気にするという人もいる。その化粧行動や被服行動にはどんな要因があるのかについて、
本研究では公的自己意識、劣等感、および個人志向性、社会志向性を取り上げ関連性につ
いて検討した。その結果、公的自己意識の高い人は化粧行動や被服行動に気を付けている
ことがわかった。そして、劣等感が高い人はあまり目立つ化粧行動や被服行動をしないと
いう結果になった。個人志向性・社会志向性は、社会性の高い人は化粧行動や被服行動に
気を付けていることがわかった。
行動選択における「迷い」に与える優柔不断
および先延ばし傾向の影響について
千葉
穂乃実
【要約】
人はなぜ迷うときがあるのか、どうして迷うのか、何と関係しているのかということに
興味を持ち、優柔不断について調査をすることにした。優柔不断とは、物事を決めるのに
時間がかかり、決断力にかけることである。優柔不断は決めることを先延ばしにするとい
うことになると考え、先延ばしにも関係があると思いアンケート調査を行った。質問の内
容は、独自で考えた優柔不断に関する質問・優柔不断診断の質問・先延ばしに関する質問
で、北星学園大学短期大学部の学生にアンケート調査をしてまとめた。
結果は、優柔不断傾向がある人は物事を先延ばしする傾向も高く、優柔不断ではない人
は、行動的で決断力が高いことが分かった。性格としては優柔不断の人はまじめで楽しい
ことが好きだが、いざというときに焦り、優柔不断ではない人は、物事に冷静で行動力が
あり、楽しむことよりも実利的に行動するということが今回の調査で分かった。
ボディーイメージと人の性格の関連性について
畑谷 瑠花
【要約】
私たちの日常生活において、自分の体型を目にしたり、自分の体型を意識することが多々
ある。その際、自分の体型と普段様々なメディアを通じて思い描いている理想の体型との
ギャップがある一線を越えたときにダイエットを意識するようになり、人によってはダイ
エットを実行する。ただし、基本となる自分自身のボディーイメージがどのように認識さ
れているかによって、ボディーイメージ全般に対する認識も影響を受け取るものと考えら
れる。そこで本研究では北星学園大学短期大学部生活創造学女子 60 名を対象にアンケート
調査を実施し、この点について検討した。調査には公的自己意識、私的自己意識を測る自
己意識尺度と対人不安尺度を用いた。又ダイエットの経験の有無やボディーイメージを尋
ねる質問作成した。調査の結果、公的自己意識が高い人はダイエット経験者が多く、私的
自己意識や対人不安に関係なくボディーイメージは形成されていることが明らかになった。
さらに、自分自身の体型を肥満型と認識するか、細身型と認識するかによって理想的な体
型や健康的な体型に対する認識が異なることも明らかになった。
外発的・内発的動機づけに関与する性格傾向について
星野 里咲
【要約】
私たちは生活する中で、色々な行動をする。その行動の結果として求めているものは、
外から与えられるような外発的なものなのか、自発的感情のような内発的なものなのか。
また、それらを求めているひとは、どのような傾向があるのかを調査した。それには「刺
激希求性」と「達成動機」が関連しているという仮説を立て、アンケート調査を実施した。
その結果、新奇な刺激を求めるような刺激希求性の高いひとは、外発的動機づけ傾向に
あった。また、安定した刺激を求めるような刺激希求性の低いひとは、内発的動機づけ傾
向にあった。しかし、達成動機に関しては、関連がほぼ認められなかった。しかし、達成
動機の因子である個人的欲求因子が高いひとは、外発的動機づけ傾向が認められ、低いひ
とは、内発的動機づけ傾向が認められた。
自己効力感・自尊感情・前向き度が
表情認識に与える効果について
稲葉 絢美
【要約】
人は様々な表情を浮かべ、時には曖昧な表情を浮かべることもある。その表情の捉え方
が人の「前向き度」によって変わってくるのではないかと思い、前向き度がもたらす表情
認識の違いを自己効力感、自尊感情、独自に作成した前向き度の項目を用いて調べること
にした。調査対象は北星学園大学短期大学部女子学生 50 名である。
調査の結果、それぞれの項目で表情の捉え方との関連性を認めることができた。自己効
力感が高いものは曖昧な表情を悪いイメージに捉え、前向き度が高いものは曖昧な表情を
良いイメージに捉える傾向が見られた。自尊感情では両方の結果が出たが、自尊感情が高
い者を 2 種類に分けることができるためこのような結果になったのだと推測される。
ポイントライトウォーカーの歩行方向知覚に
与える対人不安の効果
稲童丸
由菜
【要約】
パーソナルスペースに興味を持つようになり、その範囲は相手との関係性、文化差、男
女差、置かれている状況などさまざまな要因により変わってくることを知った。他者との
距離をある程度自分でコントロールできる場合は、その距離の取り方によって、個人個人
のパーソナルスペースの広さを理解することが出来る。ここでは、このパーソナルスペー
スの広さに影響を与える要因の一つとして、対人不安を取り上げ、これらの関係について
検討することにした。本研究では、対人不安尺度とポイントライトウォーカーを用いその
関連性について調査した。その結果を総合的に見ると、対人不安尺度が高い人ほどがどち
らに向かって歩行しているか曖昧なとき手前方向に歩行していると判断してしまう割合が
高かった。つまり、ポイントライトウォーカーの歩行方向知覚に対人不安が影響を与えて
いることが分かった。
特性不安・親和動機・共感性が利他的行動・意識に与える効果について
稲垣 貴彦
【要約】
自分以外の他者に対して(無私・無償の)手を差し伸べて助けるという利他(的)行動
に影響する要因として、特性不安・親和動機・共感性を取り上げ、それらの得点と様々な
日常場面における利他的行動・意識との関連性についてアンケート調査を実施して検討し
た。その結果、特性不安との間には顕著な関連性は認められなかったが、親和動機及び共
感性との間には顕著な関連性を示唆する結果が得られた。例えば「誰かに何かを教えられ
ることがあったら教えてもいい」や「誰かを手伝うことがあるならやってもいい」という
質問について親和動機高群と低群を比較してみると、どちらも利他的行動に肯定的な傾向
を示したものの、高群の方がより積極的に援助しようとする回答が多く認められた。また、
この結果は共感性との関連性においても同様に認められた。これらの結果から、利他的行
動・利他的行動意識に対して特性不安は関連性が薄く、親和動機と共感性の関連性が高い
ことがわかった。
他者への第一印象形成に影響する要因の研究
―顔の部位及び観察時間の効果について―
加藤
麻里菜
【要約】
私たちは初めて出会う人に対して、最初の短い時間の中で何らかの印象を形成するが、
これを第一印象という。第一印象はその後の印象形成に影響を与え続けるため、人間関係
の形成において重要性が高いと考えられる。そして第一印象の形成も基本的には個人的好
ましさ、社会的望ましさ、力本性この 3 次元において成されていると考えられるため、本
研究では第一印象の形成についてこれら 3 つの次元の観点から検討をすることとした。
Olivola et al. (2014)は他者に対する第一印象について調べ、その対象となるモデルの写真
が短時間(33msec)提示された場合と長時間自由に観察が可能な場合とで、そのモデルに
対する第一印象に大きな違いがないことを報告している。このことから考えると、瞬間的
に提示されたときに見ていた顔の部位に対する印象と、顔全体に対する印象との間に大き
な違いが認められないということになる。我々には瞬間的に他者の顔を観察したときに、
顔のどの部位に注目しているのであろうか、また、どの部位が全体の印象形成に大きく寄
与しているのであろうか。これらの点を検討するために以下の実験を実施した。
被験者は北星学園大学短期大学部の女子学生 1、2 年生計 40 名で、様々な条件で提示さ
れた顔写真に対する印象評定を求める実験を実施した。実験では、被験者にとっては未知
の2人の女子大学生に協力してもらい、無表情と微笑の 2 つの表情の写真を撮影し、それ
らについて 66msec だけ提示する条件、顔の上半分を提示する条件、顔の下半分を提示する
条件、顔全体を自由に観察する条件を設定し、それぞれに対する印象評定を求めた。
その結果、提示時間による印象の差は小さく、表情では笑顔、また顔の下半分に対する
印象がよりクリアであることがわかった。
ポジティブ志向における幸福感および人生満足度について
大澤 典子
【要約】
人は全て性格が異なり、同じ出来事でもとらえかたはひとそれぞれである。出来事を良
い方向・前向きにとらえる考え方をポジティブ志向、出来事の負の側面に注目し悪い方向に
とらえる考え方をネガティブ志向という。人が何か行動を起こそうとするとき、その行動
を自分が「できそうか」を考える。これをまた自己効力感といい、人が行動を起こす際に
影響を及ぼす。この自己効力感の高低により、ポジティブ志向とネガティブ志向が生まれ、
またその自己効力感が高いほど人々の幸福感を向上させ、人生満足度が高くなるのではな
いかと考えた。そこで本研究では、ポジティブ志向とネガティブ志向である人の幸福感お
よび人生満足度の違い、また、自己効力感との関係性について検証するため大学生 44 名に
アンケート調査を実施した。その結果、人生満足度尺度とポジティブ志向尺度の関係性が
非常に高いことがわかった(r=0.62)
。また自己効力感の高い群と低い群を比較したところ、
ポジティブ・ネガティブ志向について尋ねる多くの質問に対する回答傾向に違いが認めら
れ、自己効力感の高い群の方がよりポジティブ志向傾向が強いことも明らかとなった。さ
らに自己効力感の低い群の特徴として、
「どちらともいえない」というあいまいな回答をす
る傾向が強いことも明らかとなった。
SNS 依存に関与する性格的要因の研究
―特に依存性、一般的活動性、神経質傾向、社会的外向性との関係について―
竹山
りかこ
【要約】
スマートフォンの普及により、スマートフォンを使用する大半の人が SNS を利用する環
境となった今、SNS をコミュニケーションの一環として生活の多くの時間で利用している
人が多い。それに伴って、日常のどんな時、どんな場所でもスマートフォンで SNS を利用
している人が多く目につくようになり、SNS に依存しているのではないかと感じたのと同
時に、どのような性格の人が SNS 依存に関与しているのか気になり、調査を行った。関係
すると考えられる性格傾向のうち「依存性」、「一般的活動性」、
「神経質」
、「社会的外向性」
という4つの面から SNS 依存との関係を調査した結果、
「依存性」、
「社会的外向性」と「SNS
依存」は関わり合っていることがわかった。その一方で「神経質」からは「SNS 依存」へ
の関与ははっきりと見られなかった。「一般的活動性」は、活動的な人が SNS を使用した
結果、日常生活に支障を来す傾向は認められたものの、
「SNS 依存」という依存傾向との関
係については強い関係性は認められなかった。
SNS 依存が日常生活に与える影響について
田名部
ゆかり
【要約】
現代日本においてはスマートフォンの保有率は半数を超えており、中でも若者の保有率
は高い。多くの若者にとってSNSツールは、生活をしていく上でなくてはならないもの
になっており、スマホ依存と、それによって生じる日常生活への支障も問題視されるよう
になってきている。そこで本論文では、独自に作成したスマホ依存傾向を調べるための質
問項目と、スマホ依存によって生じると考えられる日常生活への影響を尋ねる質問項目を
用いて、実際にどのような影響が生じているかについて調べた。また、スマホ依存傾向と
内向性ならびに気分の変化(感情の起伏が激しい)との間にどのような関係があるかにつ
いても調査した。分析の結果、スマホ依存傾向が高い人ほど日常生活に悪影響をきたして
いる傾向が強いことが分かった。また気分の変化得点とスマホ依存傾向との相関は r=0.4
と高く、どちらが原因あるいは結果かという点については不明であるが、気分の変化と日
常生活との間の関連性が高いことも明らかとなった。
女子大生の化粧行動および美容整形に対する態度と
自己意識の関係
戸澤 果菜
【要約】
化粧とは、女性にとってマナーでもあり、他人を意識した対人的効果や、自己満足など
の、対自的効果を上げる行為でもある。菅原・岩男・松井(1985)は、公的自己意識
の高い人は化粧に対して様々な関心と効用を認めていると述べている。そこで女子大生5
3人を対象として、化粧行動と自己意識の関連性を検討するために調査を実施した。さら
に、化粧の延長線上として最近身近になりつつある美容整形に対する態度との関連性につ
いても調査を実施した。その結果、公的自己意識が高い人は、化粧行動及び美容整形に対
する意識に強い関心があることが分かった。特に、公的自己意識高群では、化粧後の自分
に対する異性からの反応を強く意識する傾向が認められた。さらに、「美容整形をしたいと
思ったことがあるか」
、「美容整形をしたい部位」に関する質問内容については、公的自己
意識の高群低群の間に顕著な差がみられた。また、公的自己意識ほど顕著な結果は表れな
かったが、私的自己意識が高い人は、他人に見せる化粧というよりは、自己満足のために
化粧をしているという傾向が認められた。