東京港の交通混雑対策について伺う。

1.東京港の交通混雑対策について
まず、東京港の交通混雑対策について伺う。
東京港は、首都圏4000万人の生活を支える重要な機能を担っ
ており、日々絶えることなく、食品や衣類など生活必需品の詰まっ
た多くのコンテナが運び出されている。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催にあ
たっては、競技施設の多くが、この東京港のある臨海部に整備され
ることとなるが、大会の準備・開催と、物流機能とを調和させてい
くことが重要な課題であり、様々な工夫が必要である。このことに
ついて、我が党は、本定例会の代表質問において訴えたところであ
る。
今後、大会の開催が近づくにつれ、具体的な調整が進んでいくこ
とと思うが、その前提として、東京港における、ふ頭周辺の交通混
雑対策を徹底しておくことが不可欠である。
私の地元である、大井コンテナふ頭周辺では、依然として、貨物
の受け渡しを待つ大型のコンテナ車が長い列を作っている状況を目
にするが、この問題は一刻も早い解決が必要である。
さて、この1月、都は交通混雑対策の一環として、新たな放置車
両対策の実施を発表した。これは、コンテナ車の台車部分の放置、
いわゆる台切りシャーシーについて、本腰を入れて取り締まってい
こうというものである。
確かに、この台切りシャーシーの放置は目に余る。車線を一本、
完全につぶし、他の車の通行を著しく妨げている状態が見られ、ま
た、この台切りシャーシーが原因で死亡事故が発生した例もある。
今回は、この放置車両対策が、東京港の交通混雑解消に向け、実
効性のあるものとなることを願い、概要や課題などについて、いく
つか質問したい。
Q1
まず、そもそもなぜ、このような台切りシャーシーの違法駐
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車が発生するのか伺う。
A1(港湾経営部長答弁)
・陸上運送事業者は、20フィート、40フィートの二種類のコ
ンテナに対応するため、一台のトラクターヘッドに対し、最低
でも二台のシャーシーを所有しているケースが多い。
・特に遠方から来る事業者の中には、作業を効率化させるため、
前もって、所有するシャーシーを全て東京港周辺に持ってきて
おき、一つのシャーシーで荷を引き取る間、他のシャーシーを
コンテナターミナル周辺に放置する者もいると聞いている。
・東京港では、シャーシーのための駐車場として、時間貸しシャ
ーシープールを供用しているが、これまでの規制は、法的な強
制力が完全に働かなかったため、路上の台切りシャーシーを解
消するには至っていないという状況である。
事業者が二台のシャーシーを所有していて、その一台を放置す
るドライバーもいる。
Q2
強制力が完全に働かなかったとのことだが、これまではどの
ような取組を行っていたのか、また、今後はどのような点が違
うのか伺う。
A2(港湾経営部長答弁)
・コンテナふ頭周辺の台切りシャーシーの解消に向けては、これ
まで、港湾関係者の協力も得ながら、定期的な見回りを行い、
貼り紙などによる警告や指導を行ってきた。
・しかし、コンテナふ頭周辺には、いわゆる「ふ頭内通路」とい
う、外見上は通常の道路と変わらないものの、法令上の道路に
該当しない部分も存在し、そのような場所には道路交通法上の
駐車禁止が適用されないため、実効力のある指導を行うことが
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難しかった。
・今回始めるスキームは、港湾法の規定に基づき、コンテナふ頭
周辺の一定のエリアを一括して「放置等禁止区域」に定め、そ
のエリアへの放置を禁止する「放置等禁止物件」に、台切りシ
ャーシーを指定した。
・法律上は、この放置を行った場合、罰則として、
「一年以下の懲
役または50万円以下の罰金」が定められているため、今後は
強制力を持った取締が可能となる。
法律の裏付け、罰則の可能性という実効力を伴うことは、必要な
措置であり、放置駐車の抑止効果が期待できると考えられる。
ただ、規制の枠組みを作っただけで、そのまま何もしなければ、
絵に描いた餅になってしまい、結局は前と同じになってしまう。
Q3
この枠組みのもと、真に実効性のある取締を実施していくこ
とが不可欠と考えるが、具体的にはどのように進めていくのか
伺う。
A3(港湾経営部長答弁)
・新たな規制の枠組みを実効性あるものにしていくため、港湾局
における巡回体制や、警察との連携を強化していく。
・職員がコンテナふ頭周辺を巡回する中で、台切りシャーシーの
放置駐車を発見した場合、警告フラッグという87センチ×
50センチの標識を、シャーシーの側面にワイヤーで固定し、
港湾局が指定する場所への出頭を促す。
・港湾局は、放置駐車を行った事業者が、出頭し、今後同様の行
為を行わない旨の誓約書を提出した場合、標識を取り外す。
・何度も同様の行為を繰り返す悪質な事業者やドライバーについ
ては、都として告発を行うこととなり、その後は、警察の捜査
や司法手続きを経て、罰則の適用に至ることを想定している。
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ここまでやるのは初めてであるので、かなり厳しい取り組みであ
り、取り締まりとなるが、台切りシャーシーの解消につながるかど
うか、期待を持って見守りたい。
一方、新たな規制を始めたとしても、これまで放置されていた台
切りシャーシーが他に移動するだけでは意味がなく、十分な受け皿
を確保することが必要であると考える。
また、規制開始までの間の普及啓発活動も欠かすことはできない。
十分に周知する必要があるということです。
Q4
新たな取組がきちんと機能するものとなるよう、十分な準備、
事業者やドライバーへの周知、徹底が必要と思われるが、具体
的にどのような対策を考えているか伺う。
A4(港湾経営部長答弁)
・新たな規制である「放置等禁止区域」
、
「放置等禁止物件」の効
力発生は、平成27年3月20日である。
・それまでの間に、受け皿施設として、現在大井地区において供
用中の時間貸しシャーシープールを、東京港内の全ての台切り
シャーシーを収容可能となるよう、約180台に対応できる規
模に拡充する。
・また、陸上運送事業者に対しては、コンテナターミナルのゲー
トにおいてチラシを配布するとともに、対象となる道路に横断
幕を設置して禁止区域である旨を表示するなど、周知を徹底し
ていく。
取締の強化だけでなく、時間貸しシャーシープールを増設する、
増設後の駐車台数は180台、営業時間は年中無休ということだが、
受け皿施設の拡充など、事業者の利便性向上にも同時に取り組んで
いくという視点は重要である。
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施行まであとわずかであるが、よいスタートを切り、これが確実
に台切りシャーシーの解消につながっていくことを期待する。
しかし、東京港の交通混雑対策はもちろん、これだけではない。
非常に根の深い、構造的な問題である東京港の交通混雑の解消に
向け、ありとあらゆる角度から、確実に取り組んでいただきたい。
大井地区については、城南島との間の埋立てによるコンテナ関連
用地の確保、大井コンテナふ頭への待機列を吸収するための車両待
機場の整備など、重要なプロジェクトがまだまだ控えている。これ
らも確実に進めていただきたい。
Q5
最後に、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技
大会開催を見据え、今後の東京港における交通混雑対策につい
ての展望を伺う。
A5(港湾局長答弁)
・ 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功
と物流機能との調和は今後の大きな課題であり、関係機関等と
の様々な調整を行い、工夫を重ねていく所存であるが、ご指摘
のとおり、ふ頭周辺の交通混雑の解消に向けた取組の徹底が大
前提であると認識している。
・ 交通混雑の解消にあたっては、まず、東京港の抜本的な機能強
化に向け、中央防波堤外側の新コンテナターミナルの整備を着
実に進めるとともに、臨港道路南北線の整備など道路交通ネッ
トワークの拡充を図っていく。
・ また、これに併せた短期的な取組として、この度開始する台切
りシャーシー対策を確実に実効性のあるものとしていくとと
もに、大井・城南島間の埋立によるコンテナ関連用地の確保、
大井車両待機場の整備などもスケジュールに沿って着実に進
めていく。
・ 東京港が、東日本の生活と産業を支える我が国のメインポート
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として、荷主や船会社など利用者のニーズに的確に応えるとと
もに、東京オリンピック・パラリンピックとの調和はもとより、
その成功をしっかりと支えていけるよう、都は、責任を持って、
きめ細かい、効果的な港湾経営を行っていく。
東京港の交通混雑は古くて新しい課題である。そこには、東京港
の発展の経緯に加え、地域特有の事情も複雑に絡み合っており、今
後は、東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えた視点も必
要になってくる。
そのため、交通混雑対策には、大局的な視点とともに、地域の特
性や現状を正確に把握するきめ細かい視点、そして、東京港におけ
る港湾関係者との強力な信頼関係が不可欠である。
「港湾管理者だからこそ、きめ細かい対応ができる」、
「東京都が
責任を持って港湾経営に臨んでいく」という都の主張は、そうした
意味で、非常に重要なものであると認識している。
東京港の機能強化、そして交通混雑対策など、セットで実行して
いくべき課題であり、今後、その真価が問われるときである。期待
を持って見守っていきたいので、ひき続きしっかりと取り組んでい
くよう要望します。
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