20 08.11 ● スーパー・CVS・ ドラッグストアの利用状況 メディアバリューレポート (図 1) 。 CVS が様々なサービスを充実させることで男性や 若者に限らず幅広い層を獲得した結果と見られる。 に関係の深いチャネルで、扱っている商品カテゴリーには重 なりも 多 い。 図 1 チャネル利用/全体 (n=900) 100 (%) 93.7 コンビニエンスストア 91.3 83.6 スーパー 80 ワンプライスショップ 60 家電量販店 40 デパート 20 カタログ通販 らのチャネル をどのように 利用している のか、その実 態に迫る。 ネットショッピング 0 MV2004 MV2005 MV2006 MV2007 MV2008 モバイルショッピング DNP「メディアバリュー研究 2008」 商品によって使いわける購入チャネル 年間販売額を比較すると、総合スーパーは低下傾向だが CVS と DGS は年々上昇している。特に CVS は今にも総合スー パーを上回る勢いだ(図 2) 。総合スーパーは、人口減少、消 費低迷 そして 新しい 図 2 年間商品販売額 10 総合スーパー (兆円) 8 6 (7,0兆) ドラッグストア 2 業態の台頭などで苦 戦を強いられている コンビニエンスストア 4 0 (7,5兆) (3,0兆) 1991 1994 1997 1999 2002 2004 2007 (年) 経済産業省「商業統計」 が、40 代女性 が 週 1 回以上利用 す る チャ ネルとして最も多くの 支持を集めており、暮 らしを支えるチャネルとしての地位は揺らいではいない。 女性が購入している商品をチャネル毎に見ると、加工食品、 菓子類、ジュースの購入では女性の 8 割以上がスーパーを利 用(図 3)。菓子類やジュースの購入では CVS も利用されて ドラッグストア ドラッグストア 生活者はこれ コンビニエンスストア スーパー、CVS、 ドラッグストア (DGS) は、いずれも日常生活 Vol. (CVS)の利用率がスーパーを抜き、初めてトップとなった スーパー・CVS・DGSを賢く使い分ける生活者たち メディアバリュー 研究 2008 では、コンビニエンスストア 25 バス・トイレタリー商品や化粧品の購入について、DGS 利用 者とスーパー利用者とを比較すると、DGS 利用者は品質を 吟味する傾向が見られるが、スーパー利用者は割安感を重視 する傾向がある。一方、菓子類やジュースの購入では DGS 利用者は割安感や使用経験を重視する。 幅広 い 商品 カ テ ゴ リー を 揃 える ス ー パーは、日常の買物 には欠かせない位置 づけにはあるものの 話題性を求めたり、 こだわりを持って買 物をする場としては CVS や DGS も選択 されているようだ。 図 3 商品カテゴリー別チャネル利用率/女性 (%) 0 20 40 60 80 100 加工食品 菓子類 ジュース• 清涼飲料 アルコール飲料 医薬品 バス・ トイレタリー用品 化粧品 ■ スーパー ■ コンビニエンスストア ■ドラッグストア (n=450) DNP「メディアバリュー研究 2008」 3 つのチャネルの新たな方向性とは CVS 業界では、駅ナカコンビニ「ニューデイズ」を運営する セブン JR 東日本リテールネットの 1 店当たりの平均日販が、 イレブンジャパンを抜き 1 位となった※。通勤・通学途中など でちょっと立ち寄る利用が CVS の利用シーンとして定着した と捉えられる。またスーパーでは、 プライベートブランド (PB) への取り組みを強化。独自に開発した商品を低価格で提供 することで、チェーンごとの魅力を高めることに取り組んでい る。いずれも業態毎の強みを捉え直し、独自の方向性を模索 し続けている。 インターネットの活用も三者三様に進んでいる。ネットスー パーを本格始動させるスーパー、店舗との連携を意識した EC サイトに取り組む CVS。 EC への取り組みで医薬品販売 で規制を受ける DGS は、メールマガジンやクーポンの提供 などモバイルを活用することで生活者とのアクティブなコ いるが、新商品や話題の商品などを購入する場として利用さ ミュニケーションを展開している。 れる傾向が見られている。一方、 医薬品やバス・トイレタリー 購入チャネルを使い分ける生活者に対して、業態を超えてど 商品の購入では DGS を利用する女性が約 7 割、化粧品は約 のような魅力を伝えることができるか、変化し続ける生活者 6 割となった。 DGS は菓子類やジュースの購入でも利用され に対してチャネルも進化が求められている。 ており、 幅広い商品が購入されている。 ※:日経 MJ (流通新聞)2008 年 7 月 23 日付「2007 年度コンビニエンスストア調査」 業態別ネット活 用の 今 活発化するスーパー、CVS、 ドラッグストアのネットへの取り組み。 それぞれの動きに注目する。 ネットへの取り組み ネットスーパー、規模拡大へ インターネットで注文を受けた商品を近隣店舗から宅 配する 「ネットスーパー」。日本では 2000 年 5 月に西友 おもな企業の動き 西友/西友ネットスーパー • この 2 年間で出荷店は 47 店舗と急拡大し、首都圏のほぼ全域を対象に展開。 会員数は 15 万人に (08 年 10 月現在)。 が初めてサービスを開始。 • 利用者を対象に、商品サンプルをプレゼントするキャンペーンを展開している。 ネット利用の定着に伴って主婦や高齢者の利用も見込 • お届け日を 7 日先まで指定可能。 スーパー めるようになってきたこと、新規出店よりも軽い投資負 担で、新たな顧客獲得につながることなどを背景に近 年各社ともサービスを充実させている。 西友、イトーヨーカ堂の 2 社が本格展開に踏み切り、店 舗数を拡大させているほか、サミットなどの新規参入も 目立ちはじめている。 イトーヨーカ堂/イトーヨーカドーネットスーパー • 実施店舗(82 店舗)の急増とともに売上高も上昇を続け、会員数は約 24 万人 (08 年 9 月末現在)。 • 顧客からの注文を本部で一括して吸い上げるシステム構築を行うことで、 売り場の負担を減らすことに成功している。 • やや先行するネットでの商品の動きを 店舗 MD にも活かしている。 ※イオン/イオンネットスーパー 千葉(津田沼) ・神奈川(久里浜)の 2 店舗で展開中。 ネット販売と店舗の連携強化 セブン‐イレブン/セブン‐イレブンネット コンビニエンスストア 2008 年より CVS 各社ともにネットと店舗の連携を深 既存のネットショップを一本化し、全面リニューアル (08 年 7 月)。注文はネット、 受け取りは める EC 強化策やサイトリニューアルが相次いでいる。 希望の店舗とし、全国 12,000 店に及ぶ店舗と約 3000 アイテムの酒類を中心とした品揃え CVS 各社のネット通販事業は、店舗での受け取りによっ を強みに他の通販サイトとの差別化を図っている。 て、顧客の「ついで買い」を誘引するほか、売り上げを店 舗に紐付けることで FC 加盟店へのメリット還元を意識 している点が特徴。 限られた店舗スペースでは扱いきれない、専門性、希少 性の高い商品をはじめ、幅広いアイテムをネットで販売 することで、新規顧客の獲得や顧客サービスの向上に 取り組んでいる。 ローソン/ローソン ネットショッピング 店舗の集客に貢献してきたモバイルネット販売や、店頭情報端末「Loppi」に加え、新たなチャ ネルとして PC ネットショッピングサイトを開設(08 年 3 月)。店頭キャンペーンとの連携を 重視し、新たな客層の取り込みとポイント会員のネット利用促進などを見込んでいる。 ファミリーマート/ファミマ・ドット・コム、 ファミマ ・ フードパーク サイトのリニューアルに合わせて、会員制度を大幅に見直した (08 年 6 月)。ビジター顧客の 利用を可能にする一方で、商品の受け渡しを店頭に限定し、来店時の加入促進に力を入れ る。 EC の売り上げを店舗に紐付ける独自のスキームで、新規会員拡大を狙う。 ネットショッピング、 「e!マツモトキヨシ」 (マツモトキヨシ)や メールマガジンにより接点拡大 「ウエルシア ドットコム」 (ウエルシア)で ドラッグストア 薬事法により医薬品販売が制限されていることから、 EC 事業への取り組みにはばらつきが見られる。 一方、ネットを活用した販売促進も活発。「ポケナビ・ ツルハ」 (ツルハ薬局)、 「e 情報」 (ウエルシア)などの携 帯サイトやメールマガジンでは、健康・美容に関する情 報提供やキャンペーン情報、クーポンの提供により店舗 への集客に一役買っている。 は、ポイントをリアル店舗と連携し、ネット DVD 限定アイテムを扱っている。ネット販売 Ⅵ でも医薬品を扱う「セイジョー e-shop」 (セイジョー)は、薬事法の範囲内での販 売のため、店頭での購入を促している商 品もあるものの食品なども含む幅広い品 揃えで展開している。 メディアバリュー研究とは お問い合わせはこちらまで ● DNP 独自の調査・分析をベースに、 マーケティングの新しい「視点」 を提案するプロジェクトです。 ●情報環境が変化する中で、生活者のコミュニケーションチャネル (メディア・チャネル) を多面的に捉え、企業と生活者との コミュニケーションデザインをトータルにサポートいたします。 ●ご紹介した内容は、 メディアバリュー研究「コミュニケーション接点調査」 (訪問留置調査法、 15∼69歳男女900名対象、 実施:2007 年 10 月) 分析結果を基にしています。 こちらからバックナンバーもご覧になれます。 URL http://www.dnp.co.jp/mediavalue C&I事業部 マーケティング開発室 〒141-8001 東京都品川区西五反田3-5-20 URL http://www.dnp.co.jp/cio/ いかなる形式でも本紙の一部または全部の複製および無断転載をお断り致します。内容は2008年6月現在のものです。 お断りなしに変更することがあります。 ©大日本印刷株式会社 2008 printed in japan 08.11
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