オオボウシバナ(青花)由来フラボノイドによる脂肪細胞の分化抑制

オオボウシバナ(青花)由来フラボノイドによる脂肪細胞の分化抑制
○永井 詩織1)、天野 富美夫1)、芝野 真喜雄2)、藤森 功1)
大阪薬科大・薬・生体防御学1)、生薬科学2)
序 論
オオボウシバナ由来フラボノイド
背 景
肥満は多くの生活習慣病発症の危険因子であり、その予防は重
要な課題である。肥満の原因となる脂肪細胞の成熟化は、ホルモ
ンや環境要因により複雑に制御されている。
本研究では、ツユクサの栽培変種であるオオボウシバナ(青花)
由来の4種のフラボノイドに注目し、脂肪細胞の分化への影響を調
べた。
4種のフラボノイドのうち、orientinとisoorientinがマウス前駆脂肪
細胞の3T3-L1細胞における脂肪滴の蓄積を抑制した。また、脂肪
酸合成系遺伝子の発現やグルコース・トランスポーターである
GLUT4の発現を抑制することが分かった。
本研究から、orientinやisoorientinは脂肪蓄積(肥満)を抑制し、
糖尿病やメタボリック・シンドロームなどの予防・改善に役立つこと
が期待できる。
オオボウシバナ(青花)はツユクサの栽培変種であり、
滋賀県草津付近のごく限られた場所で栽培されている
化合物名
構造式
分子量
HPLCによる精製度の確認
オオボウシバナ以外の
含有植物
mAU
600
500
400
1
orientin
448
ルイボス、ソバ
300
200
100
0
0.0
2.5
5.0
7.5
10.0
12.5
15.0
17.5 min
0.0
2.5
5.0
7.5
10.0
12.5
15.0
17.5
min
0.0
2.5
5.0
7.5
10.0
12.5
15.0
17.5
min
2.5
5.0
7.5
10.0
12.5
15.0
17.5 min
mAU
125
100
75
2
古くから友禅染めの染料として使われている
isoorientin
448
ルイボス、ソバ
50
25
0
3
4
isorhamnetin
3-O rutinoside
624
glucoluteolin
448
mAU
200
175
150
125
100
75
50
25
0
ニオイマンジュギク
mAU
70
60
50
40
30
20
10
0
ハハコグサ
五十三次(人物東海道)草津(青花摘み)広重画
140
140
120
120
100
100
80
80
60
60
40
40
20
20
0
4
GM
6
GM
DMEM+10% FCS
10 μg/mL insulin
0-50 μM 各種フラボノイド
細胞毒性試験(WST-8)
定量PCR
Oil Red O染色
トリグリセリド測定
遊離グリセロール定量
0
1
5
0
50 (µM)
10
isorhamnetin
3-O rutinoside
140
オオボウシバナ由来フラボノイドによる
トリグリセリドレベルへの影響
Oil Red O染色(×100)
5
未分化
0
1
5
10
orientin
分化(vehicle)
50(µM)
140
120
100
100
80
80
60
60
40
isorhamnetin
3-O rutinoside
isoorientin
1.orientin
2.isoorientin
3.isorhamnetin 3-O rutinoside
4.glucoluteolin
glucoluteolin
40
20
0
1
5
0
50 (µM)
10
1
5
10
aP2
4500
中性脂肪(TG)分解酵素の発現変化
C/EBPα
3
ATGL
2
FFA
diacylglycerol
(DG)
*
HSL
1500
1
FFA
monoacylglycerol
(MG)
MGL
0
3
0
未分化 分化 1
4
2
3
未分化 分化
4
1
2
3
4
1.orientin
3.isorhamnetin 3-O rutinoside
2.isoorientin 4.glucoluteolin
ACC
FAS
glycerol
FAS
mRNA level (/TBP)
malonyl-CoA
300
2
10
5
0
0
未分化分化 1
POA(C16:1)
*
1.orientin
2.isoorientin
3.isorhamnetin 3-O rutinoside
4.glucoluteolin
1
100
100
0.5
0
0
未分化 分化 1
2
3
4
未分化 分化 1
2
3
3
4
未分化分化 1
4
2
3
4
未分化分化 1
2
3
未分化 分化 1
1.orientin
3.isorhamnetin 3-O rutinoside
2.isoorientin 4.glucoluteolin
2
3
4
*
*
*
20
0
未分化 分化
glycerol
1
2
3
4
1.orientin
3.isorhamnetin 3-O rutinoside
2.isoorientin 4.glucoluteolin
フラボノイドによりグリセロールの遊離が抑制された
結 論
・オオボウシバナ由来フラボノイドであるorientinは、トリグリセリド
レベルを低下させた
・orientinとisoorientinは、中性脂肪の分解酵素の発現および
グリセロールの遊離を抑制した
・orientinとisoorientinは脂肪酸合成系遺伝子の発現を抑制した
・orientinとisoorientinはGLUT4の発現を低下させた
0.004
0.003
4
*
FFA
0
0.005
200
0
2
*
30
FFA
MGL
FFA
*
300
4
10
HSL
monoacylglycerol
(MG)
GLUT4遺伝子の発現レベルの変化
200
PA(C16:0)
SCD
*
*
1.5
FFA
diacylglycerol
(DG)
0.04
400
*
*
ATGL
0.08
10
20
SCD
2.5
triacylglycerol
(TG)
*
*
*
*
acetyl-CoA
ACC
0.12
15
30
500
400
3
40
MGL
0.18
1.orientin
3.isorhamnetin 3-O rutinoside
2.isoorientin 4.glucoluteolin
脂肪酸合成系遺伝子の発現変化
3
2
遊離グリセロールの測定
20
GLUT4 mRNA level (/TBP)
0
脂肪酸合成系
HSL
*
2
2
25
40
mRNA level (/TBP)
mRNA level (/TBP)
3000
1
中性脂肪分解系
triacylglycerol
(TG)
未分化 分化 1
ATGL
50
6
*
1
*p<0.01
中性脂肪分解系
4
2
orientinとglucoluteolinにより、トリグリセリドレベルが低下した
*
*
*
50(µM)
脂肪細胞分化マーカー遺伝子の発現変化
PPARγ
*
3
未分化 分化
0
いずれのフラボノイドも、50 μMまで細胞毒性は認められなかった
8
4
0
20
0
Differentiation (day)
オオボウシバナ由来フラボノイドによる
脂肪滴蓄積量の変化
glucoluteolin
120
Cell viability (%)
GM
isoorientin
Glycerol (μg/ml)
2
DMEM+10% FCS
1 μM DEX
0.5 mM IBMX
10 μg/mL insulin
0-50 μM 各種フラボノイド
Cell viability (%)
DM
orientin
Triglyceride(µg/µg protein)
細胞毒性試験
Confluent
3T3-L1 cells
0
DM
*
0.002
0.001
0
未分化 分化
1
2
3
4
orientinとisoorientinにより、GLUT4の発現レベルが低下した
オ オ ボ ウ シ バ ナ 由 来 フ ラ ボ ノ イ ド で あ る orientin や
isoorientinは、脂肪酸合成抑制やグルコース取込みの
低下により、脂肪滴の蓄積を抑制することが示唆された