膜生物学・医学学術講演会

気道における幹細胞の増殖機構と
その分化過程の解析
Regulation of progenitor pools and their transition to
differentiation in airways
森 宗昌 先生
コロンビア大学メディカルセンター・研究員
Munemasa Mori, M.D., Ph.D.
Postdoc. Cardoso lab,
Columbia Center for Human Development,
Department of Medicine,Columbia University Medical Center
幹細胞は、組織修復過程における自己増殖、分化の際、中心小体の複製が一細胞
周期あたり一対に制御されている。この制御機構の破綻は染色体の不安定性を引き
起こし、癌化や前癌病変を招く。肺や気管の気道上皮は、基底、分泌、線毛細胞によ
り構成され偽重層構造を形成する。気道損傷後の再生過程においては、基底細胞や
分泌細胞が、自己増殖、分化可能な気道幹細胞として機能するが、気道幹細胞が自
己増殖する分子制御機構は不明であった。一方で線毛細胞は、自己増殖や、他細胞
への分化をすることができない終末分化細胞である。この終末分化細胞への分化過
程では、気道幹細胞は線毛の源となる数百個もの中心小体の複製が必要であるが、
この制御機構の詳細は不明である。本講義では、肺再生、発生学の観点から前癌病
変である扁平上皮化成などの気道疾患との関連性も含め、この領域における最新の
研究成果を紹介する。
Mori M et al., Notch3-Jagged signaling controls the pool of undifferentiated airway progenitors.
Development. 2015 Jan 15;142(2):258-67.
Mahoney EJ, Mori M et al., The hippo pathway effector Yap controls patterning and differentiation of
airway epithelial progenitors. Dev Cell. 2014 Jul 28;30(2):137-50.
M. Mori and W.V. Cardoso. Lung Progenitor Cell Specification and Morphogenesis. Ed.: R. Harding, K. E.
Pinkerton, In: The Lung: Development, Aging and the Environment, Elsevier Science, 2014 in press.
【コーディネーター】シグナル統合学 教授 的崎
【主 催】膜生物学・医学教育研究センター
【連絡先】研究支援課研究企画係 Tel:5195
E-mail:[email protected]
先端医学トピックスの講義としても開講します
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