レッド・ウィング2015年新作をアップデート!

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p06
#2015
110th ANNIVERSARY BOOTS
レッド・ウィング2015年新作をアップデート!
今年創立110周年を迎えるレッド・ウィングの、その歴史が感じられるアニバーサリーブーツ。
p
p08
#9090 #9091
GIRARD BOOTS
アメリカ開拓時代の紳士靴の主流であった 6 インチ丈、伝統のモックトゥを今日流に再現。
p
p08
#9095 #9096
CAVERLY CHUKKA
ヘファーハイドを使い、レッド・ウィングがドレスラインにさらに踏み込んだ注目のブーツ。
p
p12
#2995 #2996
(WIDE PANEL) LINEMAN
レーストゥートゥとワイドパネルの優雅でクラシックなシルエットに魅了される、美しきワークブーツ。
p
p16
#8142 #8145
ROMEO
脱ぎ履きしやすいサイドゴアを配したスリップオンタイプ、レッド・ウィングから久々の再登場。
RED WING
2015
NEW MODELS
文・飯野高広
(P14-15)
、
佐藤大典
(P16-23)
、
本誌編集部
(P4-5、
P6-13)
、
写真・藪崎 大
(WPP)
今秋発売するモデルも含めて、レッド・ウィングの2015年ニューモデルが出揃ってきた。
さっそくではあるが、巻頭にあたってそれらの一部をご紹介することにしよう。
p
p18
#9895
IRISH SETTER OXFORD
ゴールドラセットを使い、1950年代半ばのオックスフォードのディテールを再現した渾身のモデル。
まず注目したいのは、レッド・ウィングが110周年を迎える今年、それを記念するモデルとして発表した
「110周年記念ブーツ“HUNTSMAN”
」だ。レッド・ウィング社成功の象徴である
#877のルーツともなり、同社の長い道のりを表わすブーツが完成したのだ。
20世紀初頭の靴を思わせるレッド・ウィングのもうひとつの機軸、
クラシックドレス・ラインには、
「ジラードブーツ」
、
「キャバリーチャッカ」がラインアップされた。
p
p20
#8271
11'' ENGINEER (STEEL TOE)
人気のオロラセット“ポーテージ”を採用した、色鮮やかなエンジニアブーツが帰ってきた。
ソールやレザーにこだわり、
“魅せるワークブーツ”のレンジをさらに広げている。
ワークブーツの本線を体現するヘリテージワーク・ラインには、
「
(ワイドパネル)ラインマン」
、
「ロメオ」
、オロラセットの「エンジニア」をラインアップ。
ベーシックなスタイルを維持しながら今日のテイストを加味している。
p
p22
#9197
POSTMAN BOOTS
ポストマンとポリスマンのためにつくられた、9 つハトメの 6 インチブーツが半世紀を超え登場。
05
サービスシュー/ワークオックスフォード・ラインからは、ゴールドラセットがアイコンである
アイリッシュセッターの短靴「アイリッシュセッターオックスフォード」と、
ポストマンの6インチ丈「ポストマンブーツ」が加わった。
いずれも同社のアーカイブに範をとりながら、アップデートされたデザインが見てとれる。
04
RED WING
2015
#2015
110th ANNIVERSARY BOOTS
ハンツマンのネタ元となった1930年初
NEW MODELS
頭まで製造されていた#668。
甲のモカ
シン縫い部分は、ウエルトをソールに
縫いつけるミシンを使用して縫い合わ
されており、当時の他のモカシンより
も強靭な構造になっていた。
diggin'
into RW
"HUNTSMAN"
滑りにくくするため、
今年創立110周年を迎えるレッド・ウィングの、
その歴史が感じられるアニバーサリーブーツ。
ラバーに混ぜソール
に入れて成型された
コード(紐)
。
レッド・ウィングの
新たなソール「グロコード」
今年、レッド・ウィングの新しいソールとして開発された
「グロコード」
。もともと、
グロコードソールはオハイオ州のリ
マ・コード・ソール&ヒール社が1920年代にレッド・ウィン
グ社のために開発したラバーソールである。コード(紐)をラ
バーに混ぜて成型し滑りを防いだことで、ワーカーの作業場
やハンターのフィールドでも成果を発揮した。このグロコー
ドソールが時を経て、今日レッド・ウィングのコルクソール、
コードソールへ発展した。1920年代後半には、いくつ
かのトレッドパターンのものが開発され、その機能
の幅を広げ、さまざまなモデルに採用されたソ
ールである。クラシックなワークブーツがも
つ意匠として注目すべきポイントである。
1960年代中頃から1996年まで使用
されていたプリント羽根タグを再現。
1980年代後半まで採用されていた、
クォーターの内側のスタンプを復活。
1962年まではほとんどレザーレースだ
ったことにちなみ、ブラック“クロン
ダイク”の色に合わせたコーヒーカラ
ーのクラシックなレザーレースを採用。
創業間もない頃から1990年代中頃ま
で、レッド・ウィングの商品には右足
のクォーター内側上部に「 RED
WING」の刻印を施していた。
1950年代に使われて
いたグロコードソール。
No.2015
Huntsman
10
レッド・ウィング社創立
110周年記念ブーツ
原点に立ち返り、進化の道の
りのなかで身につけた仕様を
今日的に生き返らせた、まさ
にレッド・ウィングブーツ
110年の歩みを体現するモ
デルなのである。
07
戦前のアメリカのハンティングブーツの多くはブラックのレザーだったので、ハンツ
マンではブラック“クロンダイク”レザーを使用。履きこむにつれ、レザーの塗膜が
色落ちし、経年変化を味わえる。
今年110周年を迎えるレ
ッド・ウィング社の記念モデ
ル﹁ハンツマン﹂は、
1930
年代のハンティングブーツ
︵#668︶をベースモデルと
している。
#668はレッド・ウィン
グ社で初めてハンティングに
特化して開発されたモデルで、
ブラッククロームレザー︵現
在のものとは違い油分が多
い︶とコードソールを使った、
モカシントゥの インチ丈ブ
ーツであった。1939年に
は生ゴム素材のクレープソー
ルに変更した#686を開発
したが、そのクッション性と
静音性から、獲物に気づかれ
にくいという理由で、ハンタ
ーたちにアピール、これがの
ちにトランクショントレッド
ソール開発のヒントとなる。
#668から始まるハンティン
グブーツの変遷は、1952
年に発売され同社の代表的モ
デルとなる#877の誕生へ
と導かれる。その過程で同社
のアイコンであるオロラセッ
トレザーやアイリッシュセッ
ターが生み出された。
ハンツマンはこのように、
同社のハンティングブーツの
同社の古いカタログ
から。酋長ワクタ・
レッド・ウィングの
ロゴが入ったグロコ
ードソール。
レザー/ブラック“クロンダイク”
製 法/グッドイヤーウエルト
ソール/グロコードオンレザー
ラスト/No.326
サイズ/D7-11、12、13 E7-11、12、13
価 格/ 5 万9400円
RED WING
[HERITAGE WORK]
CLASSIC WORK
No.8173
Classic Work/
6" Moc-toe
レザー/ホーソーン
“アビレーン”
ラフアウト
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/トラクショントレッド
ラスト/No.23
サイズ/E4-11、
12、
13
価格/ 3 万9852円
No.8875
Classic Work/
6" Moc-toe
レザー/オロラセット
“ポーテージ”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/トラクショントレッド
ラスト/№23
サイズ/E4-11、
12、
13
価格/ 3 万9852円
6" MOC-TOE
No.8876
Classic Work/
6" Moc-toe
レザー/カッパー
“ラフ&タフ”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/トラクショントレッド
ラスト/No.23
サイズ/E4-11
価格/ 3 万9852円
No.8179
Classic Work/
6" Moc-toe
レザー/ブラック
“クローム”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/トラクショントレッド
ラスト/№23
サイズ/E4-11、
12、
13
価格/ 3 万9852円
No.875
Classic Work/
6" Moc-toe
レザー/オロ
“レガシー”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/トラクショントレッド
ラスト/No.23
サイズ/E4-11、
12、
13
価格/ 3 万9852円
No.9875
Irish Setter
6" Moc-toe
No.9874
Irish Setter
6" Moc-toe
レザー/ゴールドラセット
“セコイア”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/トラクショントレッド
ラスト/No.23
サイズ/E6.5-11
価格/ 4 万4820円
レザー/ブラック
“クロンダイク”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/トラクショントレッド
ラスト/No.23
サイズ/E6.5-11
価格/ 4 万4820円
No.9850
Irish Setter
6" Canoe Moc
No.9851
Irish Setter
6" Canoe Moc
レザー/ゴールドラセット
“セコイア”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/トラクショントレッド
ラスト/№23
サイズ/E7-11
価格/ 5 万6808円
レザー/オロラセット
“ポーテージ”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/トラクショントレッド
ラスト/№23
サイズ/E7-11
価格/ 5 万6808円
39
【基本データ】
レッド・ウィングと聞いて誰もが最初に思い
浮かべるモデルは、日本では恐らくこれだろう。
狩猟向けに1930年代後半に開発されたブーツに
起源をもち、その後の同社繁栄の基礎となった
8 インチブーツ#877、その 6 インチモデルであ
る♯875だ。登場は1954年。足沿いに優れたモッ
クトゥと、クッション性が高くかつ軽量なトラ
クショントレッドソール、さらにはオイルの豊
富なオロラセットレザーを用いたアッパーの組
み合わせは、この靴を単なるハンティングブー
ツからアメリカ全土を支えるワークブーツへと
昇華させた。登場後半世紀以上たった今、その
存在感がますます輝きを増しているのも頷ける。
No.8852
Classic Work/
6" Moc-toe
レザー/べルバ
“リタン”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/ブラックトラクショントレッド
ラスト/No.23
サイズ/E6.5-11
価格/ 3 万9852円
No.8853
Classic Work/
6" Moc-toe
レザー/インディゴ
“ポーテージ”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/ブラックトラクショントレッド
ラスト/No.23
サイズ/E6.5-11
価格/ 3 万9852円
38
と の拡大
写真。二枚の革
を縫い上げるの
を通じ豊かな表
情を出している。
底づけ用のミシ
ンでとは思えな
い丁寧さ!
. Goodyear Pac Moc
わが国では「拝みモカ」と称す
にハンティングブーツのモカシン
る、二枚の革を縫い付けるモック
縫いはこれのみで製造するように
トゥの元祖であるインディアンモ
なった。当然1952年登場の#877そ
カシンの製法に最も近い方式。た
インディアンモカシンに見られ
る二枚の革の縫い目の凹凸を、一
枚の革にエンボスづけ、つまりそ
して翌々年デビューの#875にも
だしレッド・ウィングではこれを
採用され、同社のハンティングブ
手縫いで施すのではなく、何と底
ーツを象徴するディテールとなっ
づけに用いるグッドイヤーミシン
と の拡大
写真。一枚の革
を浮き上がらせ
るのを通じて、
ボリュームのあ
る凹凸を出して
いるのがお判り
いただけよう。
. Goodyear Embossed Moc
の裏面から押し上げ浮かせてステ
いとして多
いと
て多
多
カシン縫いとして多用された。一
ッチをかけることで、擬似的に表
ォ
方オックスフォードなどはボリュ
現した飾りモカの一種。こちらは
ーム感が抑えられる で縫われる
と同じく底づけに用いるグッド
ことが多く、靴のタイプにより飾
イヤーミシンで縫われたもの。ボ
りモカの種類が使いわけられてい
リューム感
た。ただし'80年代にワークオック
のある表情
スフォードに採用して以降、 も
となるため、
オックスフォードに使われている。
た。やがてそれらがワーカー達に
で縫い上げる。この画期的な技法
愛用されようになった結果、ワー
は1932年にボーイズ向けのブーツ
クブーツとして開発された靴にも
から導入したが、これはアメリカ
この意匠が用
の靴メーカーでは最初の部類だっ
いられるよう
た。以来ゴルフシューズやカヌー
になった。
主にワーク
ブーツのモ
シューズなどのアウトドアスポー
ツ系の靴にしばし採用され、次第
1966年カタログより。
左のワークブーツは であるの
に対し、
右のハンティングブーツは を用いている。
1952年のカタログに初
めて載った名作#877。
レッド・ウィングの
モック・トゥ
. English Moc
日本語では「かぶせモカ」と称し、
1970年代にはハンティングブーツ
二枚の革の縫い目を上の革=プラ
に加え軽トレッキング向けのチャッ
グで覆うモカシン縫い。耐水性に優
カブーツにも採用され、後にアイリ
1960年 カ タ ロ
グにある#214。
エンボスドモッ
クだがミシンは
不明。
. Singer(Embossed)Moc
ここで紹介するもののなかでは
最も古いものと思われ、1925年の
れた構造になる点が雨の多いイギ
ッシュセッターの軽量モデルにも採
カタログにはすでに登場している
リスを想像させるのか、英国本国で
り入れられた。現行品ではアイリッ
飾りモカ。その名の由来はズバリ、
はともかくアメリカでは「イングリ
シュセッターの#9850がこの仕様で
欧米の大量生産体制を確立した立
ッシュモック」と呼ばれている。レ
ある。なおこの技法は、靴の釣り込
ッド・ウィングでは1963年に発売さ
み方法を工夫すればハンドソーン
れた当時のハンティングブーツの
モカシンに近い構造で
最高級バージョン#888で初採用さ
靴を製造可能なことか
をつくりながらこれを施していた。
れ、その後は主にアウトドスポーツ
ら、
1980年代中頃から同
同種のミシンを用いて と同様の
向けの靴に用いられた。かの定番
社ではコンフォートタ
#875も、1963年∼'65年の 3 年間だ
イプのワークフットウ
けはモカシン縫いがこの技法だ。
エアにも活用している。
役者・シンガーミシンをこれに用い
1925年のカタログより。
コードで凸をつくった?
ていたから。
当初は革を締め付けた
り細いコードを入れたりして凸部
1963∼'72年 に 販
売されたこの#888
が を採用した最
初のモデル。
OVERLAY MOC
エンボスづけの技法でも製造され
るようになったのは1956年のこと。
こちらはワークブーツよりも主に
ワークオックスフォード系に採り
縫い方の違いが、
靴の
〝用途の違い〟に直結する
添いに優れたモックトゥ=モ
カシン縫いは、ネイティブアメ
リカンの履物が起源のひとつだけあ
り、レッド・ウィングのみならず米
国ブランドの靴ではお馴染みの意匠
だ。しかしよく見るとさまざまな種
類のものが存在する。ここではふた
足
と類似するが、
下の革=ヴァンプの断面を立ち上げ上
の革=プラグと縫合するそれとは異なり、
ヴァンプの表
面にプラグを乗せた状態で縫い上げるのが大きな違い。
日本では
「乗せモカ」
と称する。
レッド・ウィングでは1932
年に とともに導入されたものの、
ワークブーツではそ
の際南部の油田地帯向けのものに取り入れられたのが唯
一の採用例。
それ以降もドレス系オックスフォードに採
用されたが、
現在は使われていない。
つの大きな切り口で考察してみよう。
モックトゥの元祖、インディアン
モカシンは、足底から革で足を包み、
手縫いで仕上げる方式。米国にはこ
の方式のハンドソーンモカシンが多
く残っている。しかしアッパーが底
面を覆わないグッドイヤーウエルト
を採用するレッド・ウィングの場合
は、ミシンでモックトゥをつくりあ
げる。ミシンだからといって丁寧さ
に劣るということは断じてないので、
その点はご安心あれ。
※上記の ∼ はレッド・ウィング社内での呼称です。
枚のアッパーでつくりあげるかであ
る。レッド・ウィングの現行品のモ
カシン縫いは上の5つに大別できる
が、そのうち前者は ・ ・ であ
り、わが国ではこれを﹁飾りモカ﹂
と総称する。一方 と は後者で、
モ
カシンの原型に近いのはこちらだ。
いずれにせよレッド・ウィングでは
靴の用途や性格に応じてこれらを巧
みに使い分けている。自分の一足が
果たしてどれか? 気になる人は今
すぐチェックだ!︵飯野︶
41
もうひとつの分類はモカシン縫い
を一枚のアッパーで構成するか、二
文字通り上の革を縫い目にかぶせ切っているのが、 の大きな特徴である。
特に最後の にご注目
向かって左から ・ ・ の順。
いただきたい。
これは1960年代の中盤の#875で、
この期間の 3 年だけモカシン縫いは ではなくこの であった。
上はエンボスを施した つまりジラードブ
ーツ。
下はそれを施していない 。
シンガー
ミシンの飾りモカは。
やはり より繊細だ!
入れられた。1960年代中盤になる
と、
従来のエンボスを施さない方式
に戻る傾向があった。オックスフォ
ードつまり短靴は、
作業服より制服
. Stitched Moc
下の靴が である。
前者のステ
上の靴が 、
ッチが 3 条であるのに対し、
後者は一般的な
2 条。
この自由度こそステッチドモック!
とともに着用される機会が多いた
ンの種類もさまざまで、靴の用途
れた。その後は主にワークオック
や性格に応じてシンガーミシンを
スフォード系に採用され今日に至
はじめ、
時には底づけを行なうグッ
っている。
ドイヤーミシンも活用される。
まず
1920年代後半から'30年代前半に
かけてボーイズブーツに使用され
今回紹介するもののなかでは最
た。
その後はしばらくこのモカでつ
もシンプルな、U字型のミシンステ
くられた靴はなかったが、1952年
ッチだけで表現される飾りモカ。
にワークオックスフォードとワー
純粋にデザイン上のアクセントで
クブーツで久々に使用され、その
あるため、2 条のみならず 3 条、4
翌年には現在のガレージマンのオ
条のステッチも。使用されるミシ
リジナルとなるモデルにも用いら
め、
エンボスが施されたボリューム
感のあるものは好まれなかったよ
うなのだ。
やがてどちらも封印状態
となってしまったが、エンボスつき
現在のガレージ
マンのルーツと
なる#466。
ステ
ッチは 3 条だ。
のものがこの秋ジラードブーツで
久々に復活した。
1955年に発売さ
れた#444には細
太 2 種類の 2 条ス
テッチが入る。
40
りの頼もしさを感じさせるオックスフォード
くり︶の意識が一気に高
まった頃にはすでに存
在していた。低姿勢で
踏ん張ってタイヤを交
換したり、仰向けで車
の下に潜り込み部品交換した
り⋮⋮オートメカニックすなわち自
動車整備工にとっては、足首を拘束
し過ぎないオックスフォード
︵短靴︶
の方がブーツよりもまさに目的に適
う。レッド・ウィングはそんな彼ら
の動きに応じた靴を、かなり早い段
階から用意していたわけだ。やがて
この種の靴は彼ら以外の多様なユー
ザーに広まっていく。特定の目的を
しっかり追求すると、結果として汎
用性・普遍性も伴う。ガレージマン
はそんな歴史を積み重ねたレッド・
ウィングだからこそ再創造できた靴
なのであろう。
︵飯野︶
あるシルエットを実現しているのだ。
当時はこのようなクッションク
レープソールのモデルも存在。
特定の用途を追求したからこその〝普遍性〟
︵目的
Purpose Built
に応じたつ
マン。レッド・ウィングのこの靴はその言葉通
ガ
和訳すれば工場長や職長の意味となるフォア
レージマンの直接のルーツは1
953年に登場した#466。
【基本データ FOREMAN】
(短靴)
だ。ルーツは1940年代に開発された#533
で、これはワークブーツのラウンドトゥの木型
で、油に強く耐久性の高いニトリルコルクソー
ルを底材に用いた最初のオックスフォードであ
る。当時増加した、事務所ではなく製造ライン
に常駐し指導・監督する立場の人々向けに、こ
れらのスペックを採り入れた。フォアマンにも
当然それらを盛り込でいるが、現代的な改良も
忘れていない。例えばアッパーのクロームレザ
ーは通常はブーツのみに用いる分厚いものとし、
つま先部はレザーライニング仕様としている。
そしてアウトソールも前半分のみミッドソール
をつけた凝った意匠とすることで、今日のユー
ザーが着こなすファッションに合わせた、迫力
ペーーー
ージでご紹介したノーマン・ロッ
クウェルが描いたレッド・ウィングの
広告にも、ポストマンとともにこの靴
と思われるものを履く人物が登場して
いる。しかしそのさらなる原型は19
30年代、すなわちレッド・ウィングに
799
RED WING
[SERVICE SHOE/WORK OXFORD]
GARAGEMAN&FOREMAN
No.9202
Garageman
レザー/チョコレート
“シャパラル”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/ブラウンネオプレーンクッション
ラスト/№23
サイズ/D6.5-11
価格/ 3 万9960円
No.9201
Garageman
レザー/ブラック
“シャパラル”
製法/オールアラウンド・グッドイヤーウエルト
ソール/ブラックネオプレーンクッション
ラスト/№23
サイズ/D6.5-11
価格/ 3 万9960円
【基本データ GARAGEMAN】
自動車整備工向けに1953年に登場した#466
をヒントに生み出されたガレージマンは、その
ルーツ通り狭くて低い場所でしゃがんだり力を
入れたりを繰り返す作業に向いた意匠を数多く
採り入れている。例えば木型は#875や#877と同
じ№23で、トゥボックスの高さがあるので指で
のまねきや踏ん張りがしやすい。また
「甲のカエ
リの良さ」と軽さを重視し、
アッパーには光沢の
No.8050
Foreman
レザー/チョコレート
“クローム”
製法/グッドイヤーウエルト
ソール/ブラウンニトリルコルク
ラスト/№ 8
サイズ/D6.5-11
価格/ 3 万9960円
20
87
アッパーの革に見る
レッド・ウィングの今昔
〝フフフフ
フ
〝〝〝〝
ォアマン〟とは製造現場のワ
ーカーとオフィスの管理職の
間
間間間間に立ち品質と効率の双方をチェッ
クする、大量生産時代に不可欠とな
ったポジション。 世紀中盤の彼ら
が足を通した#533を当時のレッ
ド・ウィングのカタログで確認する
と、例えばハトメやコルクソールの
種類など今の﹁フォアマン﹂との違
いが幾つか見られる。なかでも最大
の違いはアッパーの革で、#533
の革名はエルクと記されている。エ
ルクとは本来は大型の鹿のこと。そ
のレザーは厚く油分に富み、高い耐
久性のわりにソフトなことが特徴だ。
ところが厄介なことに、それに似せ
た型押しの牛革=エルクグレインを、
略してエルクと 呼ぶ場合も昔から
多いのである。#
533 以 外 に も
当時のレッド・ウ
ィングがワーク
ブ ーツ で 多 く
用いていた
﹁エ
ルク﹂は鹿革、
牛革、果して
ど ち ら だっ
たのだろ
う?
︵飯野︶
#533が載る'50年代の
カタログのページ。6 足
中 4 足のアッパーにエ
ルクが用いられている。
あるコレクテッドグレインレザーのシャパラル
を選択したのも特徴。トラクショントレッドソ
ールと同じクッション性をもつ素材であり
ながら、
ヒールがついている。一体型
なので釘でヒールを打つことが
なく軽量に仕上がることが長
所のひとつ。ソールのなか
ほどはトラクショ
ントレッドソー
ルよりも薄く
なっているため
靴の反りがよく、し
ゃがんでの作業にも都
合がいい。このような仕様の
おかげでガレージマンは、
IT関係の
配線やチェックなど、彼らと似た動きを
頻繁に行なう昨今のビジネスマンにも極めて有
用な一足となっている。
86