「せいび」誌 2008 年 2 月号掲載

「せいび」誌 2008 年 2 月号掲載
トイレの悪臭除去・理論と実践
今回の連載のために、インターネットで駅トイレの評価について調べてみましたが、J
Rさんの評価は他と比べ、大分評価が高くなっており、皆様の努力が評価を受けているこ
とを改めて認識しました。また、来年の作業近代化委員会のテーマもトイレ清掃について
だそうで、関心の高さが伺い知れます。JRさんは運輸だけではなく、駅のビル化、街(ま
ち)化が活発で大変注目を浴びており、トイレの重要性もますます高くなってきているも
のと認識しています。
トイレは衛生的で、美観が良く、無臭であることが必要ですが、今回はその中で、悪臭
の除去について、述べさせていただきます。
現代人にとって、悪臭は我慢のならないものであり、仮に美観がよくても、悪臭がする
と、一気に嫌気がさしてしまいます。特に生活悪臭は不潔さを連想させるため、非常に不
愉快な思いを相手に与えてしまいます。
一方、JRさんの駅では乗客数が非常に多い駅が数多くあり、こうした駅では、メンテ
ナンス回数に比して、利用客の数が多すぎて、悪臭の除去がなかなかうまくいかない場所
もあります。大量の乗降客がある駅でも、ほとんどの場合、丁寧清掃は 1 日 1 回で、あと
は見回り清掃と言うメンテナンススケジュールを取っているケースが多いようです。これ
はコストの問題もあるでしょうが、トイレを利用するお客様を妨げる事が出来ないと言う
ことも大きな理由になっているようです。
多すぎる利用客に対して、1 日 1 回の丁寧清掃では、悪臭の除去が上手くいかないケース
も多く、また運の悪い事に、設備的にも恵まれていないなどといったことが重なる場合も
あるようです。こうした場合は視点を変え、悪臭の除去を考えた清掃方法をとると、意外
に簡単に悪臭の除去が可能になります。以下に記して行きましょう。
トイレの頑固な悪臭は主に、尿が起こします。便や嘔吐、その他のゴミなども悪臭の原
因になりますが、こうしたものは一過性のもので、原因物を除去してしまえば悪臭はなく
なります。しかし、尿の堆積や尿の撥ねによる染み込みなどはなかなか除去しにくく、悪
臭を引き起こします。従って、この尿によって引き起こされる悪臭を抑えてしまえば、ト
イレの悪臭問題は殆ど解決されてしまいます。
一般に尿自体は便と違い、それほどひどい臭いはしません。尿成分の堆積物(尿石)や
尿の飛び撥ねがバクテリアによって分解され、悪臭が発生します。
図)尿+バクテリア⇒いやな臭い
従って、尿による汚れを取り去り、臭いを引き起こすバクテリアの活動を抑えてしまえ
ば、悪臭が無くなります。尿による汚れの除去に適した洗剤を使用し、悪臭の原因菌を抑
えてしまいます。その方法には除菌クリーニングとバイオクリーニングの二通りあります。
除菌クリーニングは汚れを除去しながら、同時に除菌をし、悪臭の元になるバクテリアを
殺す方法です。衛生性が高く、効果はすぐにあらわれます。大変優れた方法ですが、除菌
クリーニング後に出た汚れに対しては効果がありません。即ち、消臭効果が長持ちしない
と言う特徴があります。
バイオクリーニングは汚れを除去すると同時に、悪臭の原因菌よりも強く、働き者のバ
イオをその場所に送り込むことで、消臭効果をもたらします。衛生性をもたらす方法では
ありませんが、消臭効果は抜群に長持ちします。駅など状況がタフな場所にはこちらの方
が向くでしょう。
消臭効果
除菌クリーニング 長持ちしない
バイオクリーニング 長持ちする
悪臭の元になる場所
次に悪臭を起こす場所について述べましょう。悪臭.のするトイレで問題となる場所は
次の 3 か所です。
1.小便器(特に内側)
2.和便床(特に女子トイレ)
3.小便器下部の床(オダレ石など)
4.混雑するトイレの場合、床全体
小便器で問題になるのは、尿石です。尿石は悪臭を引き起こす原因になるので、必ず除去
しなければなりません。尿石を効率よく落とすには酸性洗剤が必要です。中性洗剤では目
皿をゴシゴシ人力でこすり落とさなければならず、時間もかかり、作業員の方の安全性や
お客様の衛生性にも問題です。尿石の主成分はカルシウムで、カルシウムはアルカリ性で
すので、酸性洗剤が良く効くのです。環境面と安全性を重視するならば、クエン酸ベース
の洗剤が使いやすいでしょう。その上でバイオの力を使います。
こうすることで、小便器から出る頑固な悪臭を除去することができます。大変有難いこと
に、JRさんの数多くの駅でご使用いただいている弊社のクエン酸ベースのバイオ洗剤「バ
イオボウル」での清掃方法は以下の通りです。
小 便 器 を 清 掃 す る 場 合 ① 水を流します
② . バイオボウルを M 字を ③ . 最初の一回だけ、 ④リム(便器の角の部分) ⑤ .全体をコスリます。必要で
描くように塗布します
ボウルスワップに塗布します は良くコスリます
⑥ .水を流します
あれば目皿にも塗布します
次に床の清掃ですが、弊社の除菌と同時にバイオクリーニングをする「エコライザー」の
使用方法を以下に載せさせていただきます。
床の清掃方法
4Lの所にマジックで線を引いて、希釈ポンプを 3 回押すと
40 倍液を簡単に作ることができます。
エコライザーは 24 時間以内に使い切る必要があるため、必要
量を作ります。
(希釈して24時間経過すると、洗剤・除菌剤としての効果がなくなります。)
バレンモップを希釈液に浸して、体重をかけるようにして絞
ると楽に絞ることができます。
トイレは血液や体液に触れやすい場所ですので、手絞りは避
けた方が理想的です。
特に小便器の下面、和便器の床面が悪臭の原因になります。
エコライザーで拭いて終りです。
二度拭きの必要がないので時間短縮になります。
バイオの善玉菌が働き続けて除菌と消臭を行います。
要点をまとめますと、頑固な悪臭の除去に最も力を発揮するのはバイオクリーニングです。
臭いの元になっている場所にバイオクリーニングをお試し下さい。非常に効果的です。そ
の際、臭いの元になる汚れも同時に除去してしまうことです。
以上で駅のトイレの悪臭除去の方法はお終いですが、列車内のトイレで悪臭がする場合、
はメンテナンスを請け負う会社が異なるケースが多く、効果が測れないと言う問題があり、
以前弊社でご相談を受けた時に、なかなか上手くいきませんでした。大変残念に思ってお
ります。そこでご提案ですが、一つの車両にまたがる会社同士でゲリラ部隊を作りません
か?各社一人づつでも賛成者がいれば、可能だと思います。弊社が喜んで窓口になりたい
と思います。悪臭をやっつけるゲリラ部隊にご賛同を頂ける方は、弊社窓口、・・・までご
連絡ください。
次回は変わった万能洗剤について記したいと思います。