Ⅱ 憧れのこんぴら参り 江戸時代、旅行を禁止されていた庶民にとって、例外的に許された神仏への参拝は、一生 に一度の夢でした。そうしたなか、こんぴら参りはお伊勢参りとならんで、一大ブームとな ります。 「すべての道はこんぴらさんへ」といわれたように、人々は海路と陸路の両方から、 憧れのこんぴらさんを目指しました。 神への厚い信仰を核としながら、庶民の娯楽の場、文化の発展の場ともなったこんぴらさ ん。そこに祀られる神様も、土着や外来のさまざまな信仰を結んだものでした。 ここでは象頭山やお宮の風景、ご祭神の御影やお祭りの情景など、土地や信仰にまつわる 作品とともに、神仏習合の時代を物語る仏像や仏画などもあわせてご覧いただくことで、 人々とともに歩んできたお宮の歴史をひもときます。 もくぞうじゅういちめんかんのんりゅうぞう 重要文化財 「木造十一面観音立像」 平安時代 べっとうじこんこういん 平安時代に作られ、元は金刀比羅宮の別当寺金光院の観音 堂の本尊でした。神仏習合で金毘羅大権現と呼ばれていた頃 を物語る貴重な作品であるとともに、現在は重要文化財にも指 定されています。 かのうきよのぶ 伝狩野清信 ぞうずさんしゃとうならびにたいさいぎょうれつずびょうぶ 「象頭山社頭並大祭行列図屏風」 せき (右隻部分) 元禄末年頃(1703~1704) 金刀比羅宮における 10 月の大祭の様子を 描いた屏風。行列の傍らには店や見世物小 屋などが連なり、当時の参道の賑わいが感 じられます。名物讃岐うどんのお店も描か れています。
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